腰巾着を辞めたいです。

藤白

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2話

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「エマ、こっちへ来なさい。」

あぁ、お兄様が呼んでいます。
ハァ…せっかく家に帰ってこれたと言うのに…憂鬱です。

「エマ、どうしてお前はクロエをもっとはやく止めないんだ。いや、寧ろ何故あのような横暴な真似を許しているのだ?第一、あのようなことをエミリーに対してさせるのは止めなさいと何度言ったらわかる。お前の言うことしかクロエは聞かないからお前には黒ま(以下略)」

お兄様のこの御説教はクロエがエミリー嬢に何かした日には必ずあるものですから、もう耳にタコができそうなほど聞いております。
内容だって覚えましたわ。お兄様の真似をして同じような内容を誰かに30分、いえ、2時間くらいは語り続けられます。
だってこの御説教、長いときには3時間ほど続くのですから…
クロエがエミリー嬢にやったことに比例して長さが伸びるので、今日は長くても1時間もいかないでしょう。良かったです。お父様とお母様と一緒に夕食の席につけますもの…。

1度他の方にやって見せたところ、1時間ほどで彼は根をあげましたから、最長3時間も聞いているわたくしの忍耐力には目を見張るものがあると思いますの。
まぁ、それくらいでないとクロエの腰巾着はやっていられませんわ…ハァ。


お兄様も昔はわたくしに甘くて溺愛していたのですが、今ではすっかりとエミリー嬢に傾倒しておりますから、わたくしの訴えなど聞いてはおりません。寧ろ「ふざけたことを言うのではない」と御説教が伸びるだけですので、もうお兄様に伝えるのは諦めました。
チャールズ王子の側近の大半の者…あえてはっきりと言うならばエミリー嬢に傾倒している者たちは大体このようになってしまっているらしいです。
その者の婚約者のご令嬢が愚痴をこぼしておりました。
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