26 / 33
一章
26.新スキル取得
しおりを挟む楓子ちゃんのレベル上げが終わり、俺たちもレベル上げをすることにした。
その前にアイテム欄を整理しよう。
まずはパペバードの肉なるものがあったので、それを売却する。
そういえば素材は何かに使えるかも、と思っていたので残しているのだが、いらなさそうなものは売ってしまおうか。
カイマンマンの皮に、パペバードの待針、ジェットGの甲殻……。
俺はカイマンマンの皮とパペバードの待針を一つずつだけ残して、残りはすべて売却した。
そしてレベル上げに入る。
名前 :イクト ヤクモ
所属PT:アラクネマスター
状態 :病(中)
体力 :59→61
攻撃力 :126→132
耐久力 :126→132
敏捷 :57→61
反応速度:57→61
魔力 :42→44
魔力耐性:43→45
SP :49→133(+254、-170)
職業 :狂戦士LV8→10(NEXT100)
スキル :狂化LV2→3(27→24min)、自動回復LV3、精神汚染耐性LV3、狂化・弐式LV1(30min)、獣爪破LV1(3/3【15min】)
おお! レベルを10まで上げたら新しいスキルを覚えたぞ!
多分獣爪破というのは、ルージュの聖破斬みたいな攻撃スキルだろう。どんな効果があって、どうやって使うのかはわからない。どこかで試してみる必要がありそうだ。
それで、狂化・弐式は狂化の発展系スキルだと思う。
なんか怖いな。今度こそ理性を失いそうな気がする。まぁルージュがいれば何とかなる気はするが。
そのルージュも、今回はレベル上げだけを行ったらしい。俺がスキルを新しく覚えたのを見て、羨ましく思ったようだ。
名前 :ルージュ
所属PT:アラクネマスター
状態 :健康
体力 :641→665
攻撃力 :527→557
耐久力 :653→683
敏捷 :177→201
反応速度:177→201
魔力 :122→140
魔力耐性:134→152
SP :36→25(+379、-390)
職業 :騎士LV4→10(NEXT:100SP)
スキル : 聖破斬LV1→3(3/3→5/5【10min】)、武装硬化LV3、騎乗LV3、紫電突LV1(3/3【15min】)、真・聖破斬LV1(1/1【20min】)
お、追いつかれたな。レベルが上がるにつれ、必要なSPが多くなるから、まぁそれも仕方ないか。
だが、問題が一つある。
「おい、ルージュ」
「何でしょう、マスター?」
「スターホーリースラッシュなるいかにも厨二くさい技があるわけだが、……使うなよ?」
「それは『押すなよ』的な……?」
「違う! 絶対使うんじゃないぞ!」
「それは『絶対押すなよ』的な……?」
「だから違うって!」
一応ルージュには命令権を行使して、絶対に使わないことを誓わせた。
まったく、何で駄目と言えば言うほどうずうずするんだ、こいつは……。
さて、ルージュのことは一旦置いておいて、春川さんのステータスも見せてもらう。
名前 :ナオ ハルカワ
所属PT:アラクネマスター
状態 :健康
体力 :17→22
攻撃力 :21→26
耐久力 :21→26
敏捷 :38→48
反応速度:38→48
魔力 :67→82
魔力耐性:69→84
SP :68→61(+393、-400)
職業 :黒魔法使いLV6→11(NEXT:110SP)
スキル :炎弾LV2→3(6/6→7/7【10min】)、水刃LV2→3(6/6→7/7【10min】)、
風刃LV2→3(6/6→7/7【10min】)、岩弾LV2→3(6/6→7/7【10min】)、火炎槍LV1(3/3【20min】)、竜巻刃LV1(3/3【20min】)、紫電破砲LV1(3/3【20min】)、凍結十杭LV1(3/3【20min】)
なんかカッコいいな。
黒魔法使い感がバシバシ伝わってくる。
でも、ルージュが強過ぎて出番がほとんどないわけだけど。
……さ、気を取り直してレンを見てみよう。
レンは今回武器が欲しいそうだ。
俺の大太刀を見て憧れたらしい。
ただレンの選べる武器の中に刀はなかった。
ルージュが使っているような、両刃の剣だけだ。
あと武器になりそうなのは、スタッフとかロッドとかしかない。
アイテム欄に装備の項目もあったから、俺が刀を手に入れてそれをレンに譲渡するという方法もあると言えばあるが、うーん、そこまで甘やかして良いものだろうか。
なので、今回はとりあえずレベル上げだけすることになった。
名前 :レン クズミ
所属PT:アラクネマスター
状態 :健康
体力 :21→29
攻撃力 :30→38
耐久力 :29→37
敏捷 :23→27
反応速度:24→28
魔力 :35→47
魔力耐性:35→47
SP :33→86(+393、-340)
職業 :白魔法使いLV7→11(NEXT:110SP)
スキル : 癒しの光LV2→3(6/6→7/7【10min】)、解毒の聖水LV2→3(6/6→7/7【10min】)、退魔の光LV2→3(6/6→7/7【10min】)、女神の加護LV1(5/5【15min】)、精霊の加護LV1(5/5【15min】)
新しくレンが得たスキルを見て、思わず俺は口をへの字に曲げていた。
効果が全く分からん!
だから俺は動物博士を取ろうとしたというのに……。
まぁ、加護というぐらいだから、何かしら耐性が得られるとかだとは思うが。
おいおい確認していくしかないだろう。
さて、これで全員レベル上げが済んだわけであるが、レンだけ少し不貞腐れている。
そんなに刀が欲しかったのか。
そういえばレンは、結局三階でおもちゃを欲しがらなかった。
理由はわからない。ただ「いらない」と言っていただけだ。
それなのに、刀は欲しいのか。
うーん、出来れば何とかしてやりたい。
あ、何とかなるな。
「レン、刀なんだがな」
「んー?」
「俺、置いてある場所に心当たりあるわ」
「えぇっ!? ほんと、イクト!?」
「ああ、本当」
他のメンバーが不思議そうな目で俺を見ている。
まぁ、普通刀の置いてある場所なんてすぐには思い付かないだろう。
ちなみに実家ではない。実家は西に五百キロほどの所にある。ルージュを飛ばせば何時間かで着くかもしれないが、他のメンバーだっているわけだし、行ったところでもう手遅れかもしれない。それに今はどうしても行きたい場所もある。
「まさか八雲さん、どこかの事務所に乗り込むつもりじゃないですよね?」
「……違うよ?」
違う。違うんだが、それも有りだな。上手くいけばチャカというかハジキというかも手に入るかもしれない。生憎事務所の場所なんて知らんが。
俺がレンのために行こうとしている場所は、元々俺がいく予定だった場所の通り道にある。
なんかでもこう考えると、俺の都合ばかりではあるが。
ただ申し訳ないが、反対されるようなら一人になっても俺はそこに行くつもりだ。いや、ルージュだけは連れて行くけれど。
それに他のメンツも反対はしないだろう。全員俺について行くと言っていた、ような気がする。
だが、一応今後の予定についてだけは話しておこうと思う。
「よし、皆聞いてくれ」
全員が俺に注目した。
「今後の予定なんだが、出来ればやっぱり自衛隊とかに守ってもらった方が楽だと思うんだ」
春川さんと楓子ちゃんが頷くが、ルージュとレンは微妙そうな顔だ。
何か問題があるんだろうか?
「マスター、私のこの見た目だと、見敵必殺されないでしょうか?」
あ、うん。そうね。
俺には全くモンスターに見えないからすっかり忘れてた。
こいつ、見た目はモンスターそのものだったわ。
「そこはアレだ。春川さんが頑張って交渉してくれる」
「わ、私ですか?」
「それはほら、綺麗な女の人の方が信用されやすいだろ?」
「は、はぁ……」
春川さんはちょっと嬉しそうだ。
おい、睨むな、ルージュ。
「で、まぁ、ルージュは春川さんに任せるしかないとして、レンは何が不満なんだ?」
「イクトといっしょに、モンスターいっぱいやっつけたい!」
おぅふっ。
まさかの戦闘狂発言か。
これが子供らしい無邪気な悪意っていう奴なら俺も注意するんだが、レンの目はそんな可愛らしくて残酷なものじゃない。
なんかもう、「戦うことが生きること!」とか目で語っていらっしゃる。
「ま、まぁ、この先どうなるかわからんが、そういう機会もあるとは思うよ。きっと」
うん、全然納得してないって顔だが、特にそれ以上文句を言うつもりもないらしい。
ただ機嫌はとても悪い。
ここは何としても刀を手に入れてあげよう。
「お兄さん、自衛隊の基地の場所分かるの?」
「知ってるけど、基地っていうか、駐屯地に行くつもりはない。恐らく自衛隊が守っているであろう場所に行って、ついでに守ってもらうつもりだ。その途中に刀もある」
俺の言葉にレンは顔を輝かせた。
うん、こういうところはまだまだ子供だ。チョロいチョロい。
だが、女性陣が頭を悩ませ始めた。
俺の言った場所がどこなのか考えているようだ。
と思ったら、すぐにルージュが手を上げる。
いや、勝手に言えよ。クイズじゃないんだから。
「はい、ルージュ」
「わかりました! ホームセンターですね!」
「違う! そんなわけないだろ! お前いい加減ホームセンターから離れろ!」
前にも似たような会話をした記憶があるぞ。こいつどんだけゾンビ映画に拘るんだ。
「えーっと、学校?」
次に発言したのは楓子ちゃんだ。
うん、中学生らしい発言である。
「外れ。学校なんていくつもあるからな。全部を全部守りになんて行けないだろ」
地震とかの災害で学校を避難所として使い、そこで自衛隊が活動している光景はよく見る。
まぁ、だから、もしかしたらどこかの学校には自衛隊が向かっているのかもしれないけれど、それがどこかなんてわからないし、色々設備的にももっといい場所があるから、そういうことにさせてもらおう。
「やっぱりそうすると、インフラ関係ですよね。さすがに永田町とか霞が関に行っても、門前払いを受けそうですし」
むむ、さすがに春川さんは鋭い。
ゾンビハザードが起きた時に自衛隊が守りそうな場所(俺の中で)、第一位と第二位を押さえて来るとは。
だが、ここは回避させてもらおう。
「まぁ、俺もそう思ったんだけど、昨日停電しただろ? インフラ関係は何か危険が潜んでいるのかもしれない」
「そ、そうなんでしょうか……?」
俺は力強く頷いた。
「で、結局マスターはどこだと思うんですか?」
「うん、ズバリ病院だ!」
楓子ちゃんは納得した顔で頷いているが、春川さんは首を傾げていた。
「病院もいっぱいあると思うんですが?」
「確かにそうだ。だけど、学校よりも優先して守りそうな場所には心当たりがある」
「うーん、総合病院ですかね……? あ、わかりました。大学病院ですね!」
おお、まさか春川さんが答えを導いてくれるとは。
俺から言い出さないで助かった。ちょっと言い辛い気持ちはあったわけだし。
「ああ、自家発電もあるし、給食施設もある。ついでに言うと、俺の薬も」
「そ、そうですよね。むしろ気が付かなくて申し訳ありません」
俺は手を振って応えた。
俺が言い辛かったのは薬のことじゃない。もっと別のことだ。
そのことには、誰も気が付いてはいないらしい。というよりは、誰も知らないのだ。
と思ったのだが、
「マスター……」
ルージュが何か言いたそうな顔で俺を見ていた。
そうか、ルージュは知っていたのか。
「何だ?」
俺はルージュに言葉の先を促した。
まぁ、バレるならバレるで構わない。いずれいつかは知られることだ。
「いえ、何でもありません」
しかしルージュはそれ以上何も言わず、少し悲しげな顔で微笑んだのだった。
0
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる