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一章

26.新スキル取得

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 楓子ちゃんのレベル上げが終わり、俺たちもレベル上げをすることにした。
 その前にアイテム欄を整理しよう。
 まずはパペバードの肉なるものがあったので、それを売却する。
 そういえば素材は何かに使えるかも、と思っていたので残しているのだが、いらなさそうなものは売ってしまおうか。
 カイマンマンの皮に、パペバードの待針、ジェットGの甲殻……。
 俺はカイマンマンの皮とパペバードの待針を一つずつだけ残して、残りはすべて売却した。
 そしてレベル上げに入る。

名前  :イクト ヤクモ
所属PT:アラクネマスター
状態  :病(中)
体力  :59→61
攻撃力 :126→132
耐久力 :126→132
敏捷  :57→61
反応速度:57→61
魔力  :42→44
魔力耐性:43→45
SP   :49→133(+254、-170)
職業  :狂戦士LV8→10(NEXT100)
スキル :狂化LV2→3(27→24min)、自動回復LV3、精神汚染耐性LV3、狂化・弐式LV1(30min)、獣爪破レッドクローLV1(3/3【15min】)

 おお! レベルを10まで上げたら新しいスキルを覚えたぞ!
 多分獣爪破レッドクローというのは、ルージュの聖破斬ホーリースラッシュみたいな攻撃スキルだろう。どんな効果があって、どうやって使うのかはわからない。どこかで試してみる必要がありそうだ。
 それで、狂化・弐式は狂化の発展系スキルだと思う。
 なんか怖いな。今度こそ理性を失いそうな気がする。まぁルージュがいれば何とかなる気はするが。

 そのルージュも、今回はレベル上げだけを行ったらしい。俺がスキルを新しく覚えたのを見て、羨ましく思ったようだ。

名前  :ルージュ
所属PT:アラクネマスター
状態  :健康
体力  :641→665
攻撃力 :527→557
耐久力 :653→683
敏捷  :177→201
反応速度:177→201
魔力  :122→140
魔力耐性:134→152
SP   :36→25(+379、-390)
職業  :騎士LV4→10(NEXT:100SP)
スキル : 聖破斬ホーリースラッシュLV1→3(3/3→5/5【10min】)、武装硬化LV3、騎乗LV3、紫電突スパークチャージLV1(3/3【15min】)、真・聖破斬スターホーリースラッシュLV1(1/1【20min】)

 お、追いつかれたな。レベルが上がるにつれ、必要なSPが多くなるから、まぁそれも仕方ないか。
 だが、問題が一つある。

「おい、ルージュ」
「何でしょう、マスター?」
「スターホーリースラッシュなるいかにも厨二くさい技があるわけだが、……使うなよ?」
「それは『押すなよ』的な……?」
「違う! 絶対使うんじゃないぞ!」
「それは『絶対押すなよ』的な……?」
「だから違うって!」

 一応ルージュには命令権を行使して、絶対に使わないことを誓わせた。
 まったく、何で駄目と言えば言うほどうずうずするんだ、こいつは……。

 さて、ルージュのことは一旦置いておいて、春川さんのステータスも見せてもらう。

名前  :ナオ ハルカワ
所属PT:アラクネマスター
状態  :健康
体力  :17→22
攻撃力 :21→26
耐久力 :21→26
敏捷  :38→48
反応速度:38→48
魔力  :67→82
魔力耐性:69→84
SP   :68→61(+393、-400)
職業  :黒魔法使いLV6→11(NEXT:110SP)
スキル :炎弾LV2→3(6/6→7/7【10min】)、水刃LV2→3(6/6→7/7【10min】)、
風刃LV2→3(6/6→7/7【10min】)、岩弾LV2→3(6/6→7/7【10min】)、火炎槍LV1(3/3【20min】)、竜巻刃LV1(3/3【20min】)、紫電破砲LV1(3/3【20min】)、凍結十杭LV1(3/3【20min】)

 なんかカッコいいな。
 黒魔法使い感がバシバシ伝わってくる。
 でも、ルージュが強過ぎて出番がほとんどないわけだけど。
 ……さ、気を取り直してレンを見てみよう。

 レンは今回武器が欲しいそうだ。
 俺の大太刀を見て憧れたらしい。
 ただレンの選べる武器の中に刀はなかった。
 ルージュが使っているような、両刃の剣だけだ。
 あと武器になりそうなのは、スタッフとかロッドとかしかない。
 アイテム欄に装備の項目もあったから、俺が刀を手に入れてそれをレンに譲渡するという方法もあると言えばあるが、うーん、そこまで甘やかして良いものだろうか。
 なので、今回はとりあえずレベル上げだけすることになった。

名前  :レン クズミ
所属PT:アラクネマスター
状態  :健康
体力  :21→29
攻撃力 :30→38
耐久力 :29→37
敏捷  :23→27
反応速度:24→28
魔力  :35→47
魔力耐性:35→47
SP   :33→86(+393、-340)
職業  :白魔法使いLV7→11(NEXT:110SP)
スキル : 癒しの光LV2→3(6/6→7/7【10min】)、解毒の聖水LV2→3(6/6→7/7【10min】)、退魔の光LV2→3(6/6→7/7【10min】)、女神の加護LV1(5/5【15min】)、精霊の加護LV1(5/5【15min】)

 新しくレンが得たスキルを見て、思わず俺は口をへの字に曲げていた。
 効果が全く分からん!
 だから俺は動物博士を取ろうとしたというのに……。
 まぁ、加護というぐらいだから、何かしら耐性が得られるとかだとは思うが。
 おいおい確認していくしかないだろう。

 さて、これで全員レベル上げが済んだわけであるが、レンだけ少し不貞腐れている。
 そんなに刀が欲しかったのか。
 そういえばレンは、結局三階でおもちゃを欲しがらなかった。
 理由はわからない。ただ「いらない」と言っていただけだ。
 それなのに、刀は欲しいのか。
 うーん、出来れば何とかしてやりたい。
 あ、何とかなるな。

「レン、刀なんだがな」
「んー?」
「俺、置いてある場所に心当たりあるわ」
「えぇっ!? ほんと、イクト!?」
「ああ、本当」

 他のメンバーが不思議そうな目で俺を見ている。
 まぁ、普通刀の置いてある場所なんてすぐには思い付かないだろう。
 ちなみに実家ではない。実家は西に五百キロほどの所にある。ルージュを飛ばせば何時間かで着くかもしれないが、他のメンバーだっているわけだし、行ったところでもう手遅れかもしれない。それに今はどうしても行きたい場所もある。

「まさか八雲さん、どこかの事務所に乗り込むつもりじゃないですよね?」
「……違うよ?」

 違う。違うんだが、それも有りだな。上手くいけばチャカというかハジキというかも手に入るかもしれない。生憎事務所の場所なんて知らんが。

 俺がレンのために行こうとしている場所は、元々俺がいく予定だった場所の通り道にある。
 なんかでもこう考えると、俺の都合ばかりではあるが。
 ただ申し訳ないが、反対されるようなら一人になっても俺はそこに行くつもりだ。いや、ルージュだけは連れて行くけれど。
 それに他のメンツも反対はしないだろう。全員俺について行くと言っていた、ような気がする。
 だが、一応今後の予定についてだけは話しておこうと思う。

「よし、皆聞いてくれ」

 全員が俺に注目した。

「今後の予定なんだが、出来ればやっぱり自衛隊とかに守ってもらった方が楽だと思うんだ」

 春川さんと楓子ちゃんが頷くが、ルージュとレンは微妙そうな顔だ。
 何か問題があるんだろうか?

「マスター、私のこの見た目だと、見敵必殺サーチアンドデストロイされないでしょうか?」

 あ、うん。そうね。
 俺には全くモンスターに見えないからすっかり忘れてた。
 こいつ、見た目はモンスターそのものだったわ。

「そこはアレだ。春川さんが頑張って交渉してくれる」
「わ、私ですか?」
「それはほら、綺麗な女の人の方が信用されやすいだろ?」
「は、はぁ……」

 春川さんはちょっと嬉しそうだ。
 おい、睨むな、ルージュ。

「で、まぁ、ルージュは春川さんに任せるしかないとして、レンは何が不満なんだ?」
「イクトといっしょに、モンスターいっぱいやっつけたい!」

 おぅふっ。
 まさかの戦闘狂発言か。
 これが子供らしい無邪気な悪意っていう奴なら俺も注意するんだが、レンの目はそんな可愛らしくて残酷なものじゃない。
 なんかもう、「戦うことが生きること!」とか目で語っていらっしゃる。

「ま、まぁ、この先どうなるかわからんが、そういう機会もあるとは思うよ。きっと」

 うん、全然納得してないって顔だが、特にそれ以上文句を言うつもりもないらしい。
 ただ機嫌はとても悪い。
 ここは何としても刀を手に入れてあげよう。

「お兄さん、自衛隊の基地の場所分かるの?」
「知ってるけど、基地っていうか、駐屯地に行くつもりはない。恐らく自衛隊が守っているであろう場所に行って、ついでに守ってもらうつもりだ。その途中に刀もある」

 俺の言葉にレンは顔を輝かせた。
 うん、こういうところはまだまだ子供だ。チョロいチョロい。

 だが、女性陣が頭を悩ませ始めた。
 俺の言った場所がどこなのか考えているようだ。
 と思ったら、すぐにルージュが手を上げる。
 いや、勝手に言えよ。クイズじゃないんだから。

「はい、ルージュ」
「わかりました! ホームセンターですね!」
「違う! そんなわけないだろ! お前いい加減ホームセンターから離れろ!」

 前にも似たような会話をした記憶があるぞ。こいつどんだけゾンビ映画に拘るんだ。

「えーっと、学校?」

 次に発言したのは楓子ちゃんだ。
 うん、中学生らしい発言である。

「外れ。学校なんていくつもあるからな。全部を全部守りになんて行けないだろ」

 地震とかの災害で学校を避難所として使い、そこで自衛隊が活動している光景はよく見る。
 まぁ、だから、もしかしたらどこかの学校には自衛隊が向かっているのかもしれないけれど、それがどこかなんてわからないし、色々設備的にももっといい場所があるから、そういうことにさせてもらおう。

「やっぱりそうすると、インフラ関係ですよね。さすがに永田町とか霞が関に行っても、門前払いを受けそうですし」

 むむ、さすがに春川さんは鋭い。
 ゾンビハザードが起きた時に自衛隊が守りそうな場所(俺の中で)、第一位と第二位を押さえて来るとは。
 だが、ここは回避させてもらおう。

「まぁ、俺もそう思ったんだけど、昨日停電しただろ? インフラ関係は何か危険が潜んでいるのかもしれない」
「そ、そうなんでしょうか……?」

 俺は力強く頷いた。

「で、結局マスターはどこだと思うんですか?」
「うん、ズバリ病院だ!」

 楓子ちゃんは納得した顔で頷いているが、春川さんは首を傾げていた。

「病院もいっぱいあると思うんですが?」
「確かにそうだ。だけど、学校よりも優先して守りそうな場所には心当たりがある」
「うーん、総合病院ですかね……? あ、わかりました。大学病院ですね!」

 おお、まさか春川さんが答えを導いてくれるとは。
 俺から言い出さないで助かった。ちょっと言い辛い気持ちはあったわけだし。

「ああ、自家発電もあるし、給食施設もある。ついでに言うと、俺の薬も」
「そ、そうですよね。むしろ気が付かなくて申し訳ありません」

 俺は手を振って応えた。
 俺が言い辛かったのは薬のことじゃない。もっと別のことだ。
 そのことには、誰も気が付いてはいないらしい。というよりは、誰も知らないのだ。
 と思ったのだが、

「マスター……」

 ルージュが何か言いたそうな顔で俺を見ていた。
 そうか、ルージュは知っていたのか。

「何だ?」

 俺はルージュに言葉の先を促した。
 まぁ、バレるならバレるで構わない。いずれいつかは知られることだ。

「いえ、何でもありません」

 しかしルージュはそれ以上何も言わず、少し悲しげな顔で微笑んだのだった。


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