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五、若き蔵人の悩み
(三)
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「兄さま、どうしたの? えらく元気がないようだけど……」
いつものように訪れた承香殿の東の廂。
先に着いてた彩子が、オレを見て驚く。
「ちょっと、な。寝不足なんだよ、今」
「大丈夫なの? 昨日もお勤め、休んでたって言うし」
「仕事は終わったから。お前の様子だけ見たら帰るつもり」
あの捕り物の後、まるっと一日休んじまったから、今日は彩子の様子を見ておかないと。
フアッと軽くあくびをして、コキコキと首を鳴らす。
「お前がどうしてるか、ちゃんと確認しておかないと、兄ちゃん心配でおちおち休んでられねえんだよ」
「ひどい、兄さま」
「ってことで、今日は何も持ってこなかったけど」
「いいわよ、そんなもの。それより……」
「おわっ!!」
グイッと身を乗り出した彩子。その腕がひっつかんだのはオレの頭。
ポスンとその頭が柔らかいものにぶつかる。――って、え?
「ちょっとぐらい休んでいきなさい。……膝、貸してあげるから」
「……彩子」
驚き見上げると、そこに真っ赤になった彩子の顔があった。
「特別だからね!! と、く、べ、つ!!」
彩子がその赤い顔ををプイッとそむける。
「このまま帰らせたんじゃあ、兄さまが途中で行き倒れになりそうだし!! 特別に膝を貸してあげるから、少しだけ休んでいきなさい!!」
「お、おう。わかった。特別に借り受けるわ」
起き上がろうにも、体を手で押さえつけられてるし。
妹の膝枕なんて、誰かに見られたらそ死ぬほど恥ずかしいけど、それでも少しだけその優しさを受取る。
体の力を抜き、横に倒れた承香殿の庭の景色を眺める。
少し離れたところに建つ、仁寿殿。そこに続く渡殿と、添えるように植えられた梅の木。
檜皮葺の屋根の曲線の向こうに広がる、真っ青な空。日ざしを浴びて緑を濃くした梅の木。夏らしい、内裏の風景。
庭と違って、日ざしの遮られた日陰のここは、かすかに吹く風も相まって、少しだけ心地よい。――けど。
「海……行きたいな」
一瞬、自分が発したのかと思った。けど、それは彩子の声。
「尾張なら、今頃海で遊んでるわよね」
「そうだな」
オレたちの親父どのは、海だなんだと遊び回るのが好きな人だ。それも海を眺めるのではなく、海に入って遊ぶほう。泳ぐのは当たり前。魚を採ったり、舟を漕いでみたりと、おおよそ貴族らしくない海の楽しみ方をしていた。
あの頃は、オレも彩子も親父どのに倣って海で散々遊び倒して、肌も真っ黒に日焼けしてたが、今見る彩子の手はとても白い。
「なあ、彩子」
その手を見ながら話す。あれほど日焼けして、乳母を卒倒させた手だったのに。
「次の除目でさ、オレ、国司に推挙してもらえるよう、中将どのに頼んでくるわ」
「国司?」
「親父どののように守になれねえのなら、介でも掾でもいい。どっか海の見える国を任地にしてもらう」
こんな狭い切り取られたような空じゃなくて、海と空しかない世界。ギンギンに差し込む日ざしはクソ暑いけど、それでも、どこまでも広がる世界。
「土佐か、紀伊か。駿河、相模ってのもいいな。大海原が待ってる。下国だけど志摩も面白そうだ。旨いメシがいっぱいある」
一番いいのは親父どののいる尾張の何かに任ぜられることだけど。それが無理なら似たような海がある場所がいい、
「なあ、そうなったら、一緒に任地に赴かないか?」
「兄さま?」
驚く彩子の膝から身を起こす。
「お前を特別に妹枠で招待してやるよ。こんなどっかからお取り寄せしたようなもんしか食べられねえとこじゃなく、採れたての旨いもん食えるところに行こうぜ」
こんな、おっそろしい鬼が出るような場所じゃなく。
流民を使って毒を作るようなヤツがいるような場所じゃなく。
宴の松原の人魂もどきは、まあ、百歩譲って容認することができる。肝試しなんていうふざけたことをしようとした公達が、雅顕を怯えさせるために用意したもんだって説明できる。
だけど。だけど今回の百鬼夜行は洒落にならない。
流民を使って毒を作らせ、携わったも者を容赦なく殺した。捕縛、投獄という、相手の手の内から引き抜いた連中も、口封じに殺された。
何のために毒を作ったのかは知らない。知りたくもない。
ただ、毒を作らせた主は、人の命をなんとも思ってない恐ろしいやつだってことはわかる。そして、どこにでも手を伸ばすことのできる立場の者だってことも。
こんなおっそろしい殺人鬼のいる都になんていたくない。こんな恐ろしい都に彩子を置いておくなんてできっこない。
忠高や史人、晴継なんていう面白えヤツもいるけど、それと殺人鬼とでは、釣り合いが取れない。忠高たちには悪いが、とっとと立ち去りたい。
「そうねえ。兄さまについて任地に赴くのも良さそうね」
彩子が頬に手を当てる。
「あちらで兄さまが里の女にたぶらかされたり、騙されたりしないか、見張ってるのも悪くないわ」
「おまっ、コラ」
人を何だと思ってるんだ。「頼りない」とか「はっちゃけて遊びすぎないように」とか言われるならともかく、「たぶらかされる」「騙される」とは。オレ、そんなに情けねえ兄ちゃんなのか?
「でも、もう少しだけ待って。今は、もうちょっとだけここに居たいの」
彩子がキッパリ言った。
「女御さまのね、おそばにもう少しだけ侍っていたいのよ」
「お前……。女御さまのこと、嫌っていなかったか?」
面白みのない、そばにいてもつまんない女御だって。ここよりもっと別、藤壷に鞍替えしたいって。それを今更どうして?
「それがね、意外と面白い方だったのよ、女御さまって」
「面白い? 怖いじゃなくってか?」
「そうなの。あの方ね、本当はとってもいたずら好きの、面白いことがお好きな方なのよ」
「――へ? 嘘だろ?」
この暑さで、彩子の頭がどうにかなった。マジでそう思った。
いつものように訪れた承香殿の東の廂。
先に着いてた彩子が、オレを見て驚く。
「ちょっと、な。寝不足なんだよ、今」
「大丈夫なの? 昨日もお勤め、休んでたって言うし」
「仕事は終わったから。お前の様子だけ見たら帰るつもり」
あの捕り物の後、まるっと一日休んじまったから、今日は彩子の様子を見ておかないと。
フアッと軽くあくびをして、コキコキと首を鳴らす。
「お前がどうしてるか、ちゃんと確認しておかないと、兄ちゃん心配でおちおち休んでられねえんだよ」
「ひどい、兄さま」
「ってことで、今日は何も持ってこなかったけど」
「いいわよ、そんなもの。それより……」
「おわっ!!」
グイッと身を乗り出した彩子。その腕がひっつかんだのはオレの頭。
ポスンとその頭が柔らかいものにぶつかる。――って、え?
「ちょっとぐらい休んでいきなさい。……膝、貸してあげるから」
「……彩子」
驚き見上げると、そこに真っ赤になった彩子の顔があった。
「特別だからね!! と、く、べ、つ!!」
彩子がその赤い顔ををプイッとそむける。
「このまま帰らせたんじゃあ、兄さまが途中で行き倒れになりそうだし!! 特別に膝を貸してあげるから、少しだけ休んでいきなさい!!」
「お、おう。わかった。特別に借り受けるわ」
起き上がろうにも、体を手で押さえつけられてるし。
妹の膝枕なんて、誰かに見られたらそ死ぬほど恥ずかしいけど、それでも少しだけその優しさを受取る。
体の力を抜き、横に倒れた承香殿の庭の景色を眺める。
少し離れたところに建つ、仁寿殿。そこに続く渡殿と、添えるように植えられた梅の木。
檜皮葺の屋根の曲線の向こうに広がる、真っ青な空。日ざしを浴びて緑を濃くした梅の木。夏らしい、内裏の風景。
庭と違って、日ざしの遮られた日陰のここは、かすかに吹く風も相まって、少しだけ心地よい。――けど。
「海……行きたいな」
一瞬、自分が発したのかと思った。けど、それは彩子の声。
「尾張なら、今頃海で遊んでるわよね」
「そうだな」
オレたちの親父どのは、海だなんだと遊び回るのが好きな人だ。それも海を眺めるのではなく、海に入って遊ぶほう。泳ぐのは当たり前。魚を採ったり、舟を漕いでみたりと、おおよそ貴族らしくない海の楽しみ方をしていた。
あの頃は、オレも彩子も親父どのに倣って海で散々遊び倒して、肌も真っ黒に日焼けしてたが、今見る彩子の手はとても白い。
「なあ、彩子」
その手を見ながら話す。あれほど日焼けして、乳母を卒倒させた手だったのに。
「次の除目でさ、オレ、国司に推挙してもらえるよう、中将どのに頼んでくるわ」
「国司?」
「親父どののように守になれねえのなら、介でも掾でもいい。どっか海の見える国を任地にしてもらう」
こんな狭い切り取られたような空じゃなくて、海と空しかない世界。ギンギンに差し込む日ざしはクソ暑いけど、それでも、どこまでも広がる世界。
「土佐か、紀伊か。駿河、相模ってのもいいな。大海原が待ってる。下国だけど志摩も面白そうだ。旨いメシがいっぱいある」
一番いいのは親父どののいる尾張の何かに任ぜられることだけど。それが無理なら似たような海がある場所がいい、
「なあ、そうなったら、一緒に任地に赴かないか?」
「兄さま?」
驚く彩子の膝から身を起こす。
「お前を特別に妹枠で招待してやるよ。こんなどっかからお取り寄せしたようなもんしか食べられねえとこじゃなく、採れたての旨いもん食えるところに行こうぜ」
こんな、おっそろしい鬼が出るような場所じゃなく。
流民を使って毒を作るようなヤツがいるような場所じゃなく。
宴の松原の人魂もどきは、まあ、百歩譲って容認することができる。肝試しなんていうふざけたことをしようとした公達が、雅顕を怯えさせるために用意したもんだって説明できる。
だけど。だけど今回の百鬼夜行は洒落にならない。
流民を使って毒を作らせ、携わったも者を容赦なく殺した。捕縛、投獄という、相手の手の内から引き抜いた連中も、口封じに殺された。
何のために毒を作ったのかは知らない。知りたくもない。
ただ、毒を作らせた主は、人の命をなんとも思ってない恐ろしいやつだってことはわかる。そして、どこにでも手を伸ばすことのできる立場の者だってことも。
こんなおっそろしい殺人鬼のいる都になんていたくない。こんな恐ろしい都に彩子を置いておくなんてできっこない。
忠高や史人、晴継なんていう面白えヤツもいるけど、それと殺人鬼とでは、釣り合いが取れない。忠高たちには悪いが、とっとと立ち去りたい。
「そうねえ。兄さまについて任地に赴くのも良さそうね」
彩子が頬に手を当てる。
「あちらで兄さまが里の女にたぶらかされたり、騙されたりしないか、見張ってるのも悪くないわ」
「おまっ、コラ」
人を何だと思ってるんだ。「頼りない」とか「はっちゃけて遊びすぎないように」とか言われるならともかく、「たぶらかされる」「騙される」とは。オレ、そんなに情けねえ兄ちゃんなのか?
「でも、もう少しだけ待って。今は、もうちょっとだけここに居たいの」
彩子がキッパリ言った。
「女御さまのね、おそばにもう少しだけ侍っていたいのよ」
「お前……。女御さまのこと、嫌っていなかったか?」
面白みのない、そばにいてもつまんない女御だって。ここよりもっと別、藤壷に鞍替えしたいって。それを今更どうして?
「それがね、意外と面白い方だったのよ、女御さまって」
「面白い? 怖いじゃなくってか?」
「そうなの。あの方ね、本当はとってもいたずら好きの、面白いことがお好きな方なのよ」
「――へ? 嘘だろ?」
この暑さで、彩子の頭がどうにかなった。マジでそう思った。
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