このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。

若松だんご

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このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。

第16話 慈しみの黄色い花。

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 ――アナタの幸せを邪魔したりしません。ただ、しばらくの間だけ、そばにいさせてくださいませんか?

 その言葉通り、エディルさまは宿屋で暮らすことになっても一切わたしに近づこうとしなかった。
 
 「俺があの亭主から守ってやるから、安心しな」

 ジェルドさんがそう言って、エディルさまの世話を買って出てくれたおかげでもある。わたしが必要以上にエディルさまと接しなくてもいいように取り計らってくれた。それどころか、何かあったら力づくでも阻止してやると言ってくれた。

 「まあ、俺はアイツを客として、もてなすつもりはまったくないけどな」

 わたしのためにエディルさまに怒ってくれたぐらいだから、雪山を越えて出て行けと言えない状況に一番苛立ってるのかもしれない。
 料理を部屋に運んだり、部屋の掃除をしたりと最低限の仕事をこなすだけで、それ以上の世話をしようとしなかった。雪山で殺すわけにはいかないから、仕方なくここに置いてやってるんだって感じ。
 でも、それに対してエディルさまは文句の一つもつけなかった。
 さすがに、自分の乗ってきた馬の世話には注文をつけたけど、それ以外、特に己の身に関することでとやかく言ってくることはなかった。一日一日を静かに部屋で過ごし、時がすぎ、雪が溶けるのを待っている。時折、天気のいい日に馬を軽く走らせに行くだけで、あとはジッと部屋で過ごされている。
 たまに部屋から出た時に、うっかりわたしとすれ違うことになっても、目が合うだけで話しかけてくることもない。

 (本当に、何もしないんだ――)

 邪魔をしない。
 その言葉通り、エディルさまは過ごされている。
 彼が己の言葉を違えることのない、高潔な騎士であることを改めて思い知らされる。

 「なんかちょっと……拍子抜けだな」

 「えっ!?」

 「いや、なんかさ~、こうして宿を無理矢理とるフリをして、もっとリーリアに迫ってくるって思ってたんだけどさ~、そういう気配すらなくって、なんつーか、気が抜けるっていうのか? そういうかんじ?」

 食堂での仕事の合間に呟かれたジェルドさんの台詞。
 エディルさまに真っ向から立ち向かう気満々だっただけに、気勢をそがれているのかもしれない。

 ――リーリアちゃんになにかしたら承知しないぞ。

 そう思ってくださっていたのはジェルドさんだけじゃなく、マスターや女将さん、それに常連のお客さん、他の人達も同じだった。みんながエディルさまの一挙手一投足を注意深く監視していた。少しでも挙動におかしな部分があれば、わたしに手出しをするようなことがあれば、冬だろうが雪深かろうが容赦なく追い出す。そういう意気込みだった。

 「あんまり部屋から出てこないしねえ。本当に、雪が溶けて山を越えられるのを待ってるだけってかんじだもんねえ」

 ジェルドさんの言葉に女将さんが頷く。
 
 「だからって、警戒はおこたるなよ、おふくろ。そうやって油断させといてってこともあるからな」

 「でもねえ……」

 「おふくろだって忘れてないだろ? リーリアがこの村に来た時のこと。リーリアをあんな風にしたのはあの男なんだぜ?」

 「そうなんだけどねえ……」

 女将さんの返答は歯切れが悪い。
 
 「リーリア、アンタ、一度あの人とじっくり話し合ったほうがいいんじゃないかい?」

 「おふくろ!!」

 「何があったか、くわしくは知らないけどさ。キチンとケリをつけたほうがいいと思うよ」

 ジェルドさんの静止には耳を貸さずに、女将さんが話し続ける。

 「あの人、そんな悪い人には見えないんだよ。アンタを探してこんな村まで来るぐらいだしね。それもこの雪深い季節にさ」

 「女将さん……」

 「このまま別れるにしても、ちゃんと話し合ってみなよ」

 「……わかりました」

 「大丈夫!! もしそれでとんでもない野郎だってわかったら、アタシが黙っちゃいないからねっ!! 騎士だろうとなんだろうと、この腕でブチのめしてやるわよ!!」

 豊かすぎる腕に力こぶを作ってみせる女将さん。……正直、肉なのか力こぶなのか判別は難しい。

 「ありがとうございます」

 それでも、人好きのする笑顔にいくぶんか気持ちが救われる。

 「俺も、そん時は参戦してやるからなっ!! 安心しろよ、リーリア!!」

 焦ったように付け加えてくれたジェルドさん。カウンターの向こうで、無言のまま聞いていたマスターまでウンウンと頷いてくれた。おそらく、加勢してくれるつもりなんだろう。

 (優しい方たちだな……)

 二年前、王都と出て、あてもなく旅を続けていたわたし。両親も祖父母も亡くしたわたしには、頼るべき縁者もなく、故郷と呼べる場所はない。ここに来たのは、たまたま乗合馬車を見つけて乗り込んだら行く先が北方で、路銀が尽きかけたのはこの村だっただけ。馬車の行くまま流されるまま。たどり着いた先の村で、泊まった場所がこの食堂兼宿屋だった。

 ――アンタ、大丈夫かい?
 ――行くあてがないのなら、ここで暮らしたらどうだい?

 そう提案してくれたのは女将さんだった。
 ろくに食事も睡眠もしてなかったわたしに、仕事と住むところを提供してくれた。
 
 ――何があったかなんて訊かないよ。言いたくなったら話してくれればいい。

 そう言って深く詮索せずに、そっとしておいてくれた。
 だから、わたしも深く説明しなかった。「夫から逃げてきた」とだけ告げ、万が一、捜索の手が伸びてきた時のことを考え、用心のため「リーリア」と偽名を名乗った。
 女将さんたちは、そんなわたしでも受け入れてくれた。もしかしたら、わたしが偽名を名乗ったことに気づいているのかもしれないけど、それでも、“リーリア”を受け入れてここで雇ってくれた。
 今だって、こうして無条件にわたしの味方をしようとしてくれてる。

 「一度、じっくり話し合ってみます」

 いざとなったら、ここも逃げ出そうと思っての偽名だったけれど、こうして味方になってくれる心強い人達がいるのなら、自分の過去と、エディルさまと話し合って、キッチリけじめをつけた方がいい。
 もう、逃げてばかりいちゃいけない。

 ――カラン。

 「いらっしゃいま――」

 言いかけた言葉が消える。
 ドアベルの音に、てっきりお客さまが訪れたのかと思ってふり返ったのだけど、そこにいたのは、外套に少し雪を積もらせたエディルさまだった。
 
 「――すまない。少し馬を走らせていたので」

 一瞬目を合わせ、すぐにそらしたエディルさま。「すまない」の意味は、わたしに会うつもりはなかったのに、思いがけず会ってしまった……ということなのかな。普段、わたしが店にいる時は、外出とかしないで部屋にいることが多いから。
 
 「ミス・フォレット、これをアナタに」

 店内を通り抜け、二階へと続く階段の手前でふり返ったエディルさま。
 外套から取り出された手には、黄色い花のついた木の枝が一つ。

 「馬を走らせていて見つけたんです。雪の中で、甘い香りときれいな花を咲かせていたので」

 差し出された一朶。手に取るかどうか、一瞬の迷い。

 「……店に飾るか――捨てておいてください」

 わたしが手を伸ばさなかったことをどう思ったのか。エディルさまが花を渡したのは女将さんだった。女将さんが受け取ると、そのまま無言で階段を上り始めた。
 その後ろ姿を見送って、女将さんとマスターが微妙な顔で見つめ合う。
 女将さんの手に残った花。――ロウバイ。
 雪の中でも黄色の花を咲かせる木。花びらが蝋のように艷やかで、ほんのり甘い香りがする。白い雪の中に咲く黄色い花。それはとても美しく感じられただろう。誰かに贈りたくなるぐらいに。
 花の少ない季節だから、珍しく思って持ち帰ったのかもしれない。
 そう。それだけのことだ。
 わたしに贈ろうとして持ち帰ったんじゃない。
 そう。きっとそう。
 だって、わたしじゃなく女将さんに渡したじゃない。店に飾るかっておっしゃってたし。
 珍しいから持ち帰っただけ。それだけ。
 ロウバイに意味があるなんて、エディルさまはご存知ないんだから。
 ロウバイ。花言葉は、「ゆかしさ、慈しみ」。
 でも、この枝に意味はない。
 そう思うのに、店に漂う甘い香りに、キュッと胸が締めつけられた。
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