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このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。
第1話 結婚は命令です。
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「リリー。アナタ、結婚なさい」
それは、ある日突然、王妃さまから命じられた。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた命令。
「あっ、あの、それは、いったい……っ!!」
その唐突すぎる命令に、一瞬思考が停止し、そして混乱する。
結婚!? わたしが!?
戸惑っているのは、わたしだけらしい。侍女頭のベネットさんが王妃さまのために注いでるお茶は、少しもブレたりこぼれたりせず、カップのなかに静かに収まる。
「アナタも、もう十七。結婚しても悪くない歳だと思うけど?」
「あの、それは、そうなんですけど……」
わたしも今年で十七歳。いつ結婚してもおかしくないと言われれば、そうなんだけど。
(なぜ、今さら突然に結婚?)
「わたくしね、これからの生活を支えてくれる侍女には、同じ境遇を味わってほしいのよ」
王妃さまの細い指が、用意されたカップを持ち上げる。軽く香りを堪能してから、伏し目がちにカップに口づける仕草は、「優雅」の一言。
「この先、陛下との結婚生活。幸せであると信じているけれど、そうでない時もきっとあると思うの。その時に、誰か信頼の置けるものに相談したい。そのためにも、人妻となった侍女が必要なの」
「それなら、もっと別の、先輩侍女たちに命じられれば……」
「ダメよ。あの子たちは、口が軽すぎるわ」
そ、そうなんだ。
ピシャリと言われた辛口批評に、二の句が消えていく。まあ、おしゃべり好きな先輩たちであることを否定する気はないけど。
王宮で働く侍女にとって、主たちのウワサ話は、かっこう憂さ晴らしになる。
「アナタなら、わたくしが困ってる時に親身になって聞いてくれそうだし。口も堅そうだから、頼れるかしらって思っているの」
「はあ……。ありがとうございます」
たしかに。ウワサ話というか、陰口はあまり好きじゃないし、関わらないようにしてきてるけど。
それだったら、完璧侍女のベネットさんに結婚を命じれば……って、一瞬脳裏をよぎったけど、妙齢すぎるベネットさんと目が合ってしまい、すぐに意見を呑み込んだ。
「それにね。彼の相手を選ぶとしたら、アナタしかいないのよ」
「え? ……彼、ですか?」
結婚しろという命は、すでに相手ありきで決められたことらしい。誰か良い人を探して、今すぐ結婚なさいという命令でなかったことはありがたいけど。
(「彼」って、誰?)
王妃さまが、「彼」と呼ぶような親しい異性。
王妃さまが選んだ、わたしの結婚相手。
おそらく、そう年齢の離れた相手ではない、身分もそこまで離れていない相手だと思うけど。
コンコン――。
控え目な叩扉の音。
「失礼します。お呼びでしょうか、王妃殿下」
扉を開け、部屋に入ってきた一人の若い男性。
国王陛下の護衛騎士。
元は王妃さまの護衛騎士で、王妃さまが公爵家からお輿入れなさる以前からその任に当たっていた人。王妃さまの乳母の息子で、妃殿下とは乳兄妹の関係にある。
結婚したばかりの主――王妃さまと国王陛下――の関係に遠慮してか、こちらに顔を出すことが減ったお方。最近は、その実力を買われて、王妃さまではなく国王陛下の付きの護衛としての任を与えられているらしい。
「よく来たわね、エディル」
乳兄妹ゆえの気安さか。王妃さまが、椅子に腰かけたまま彼に手を差し出す。その手を取り、甲にそっと口づける騎士。ああ、絵になる光景。けど――。
まさか。
「エディル・ロードリック。リリー・フォレット。アナタたち二人に、夫婦となることを命じます」
「えええええええっっ!!」
声がひっくり返った。
「リリー、アナタもエディルのこと、知ってるでしょ?」
「う、え? し、知ってはおりますがっ、その、あのっ……」
知ってるからって、だからって「はい、そうですか。結婚しますね」にはならない。知ってるから結婚となるなら、わたしは厨房のコックから、果ては国王陛下とも結婚しなくちゃいけなくなる。
「エディルにはリリー。リリーにはエディル。お似合いだと思ったんだけど?」
王妃さまの軽いウィンク。
わー、キレイ、色っぽーい。なんて言ってる場合じゃない。
(どうしてわたしが、エディルさまとぉぉぉぉっ!!)
頭の中、いっぱいいっぱい。身体中の血液が頭に昇ったのか、耳までジンジンして熱いし、もう、テッペンから湯気出てるんじゃないかってぐらいグラグラしてくる。
エディル・ロードリックさま。
御歳二十五。
黒髪、切れ長の目。端正な顔立ち。
穏やかな気性、優し気な風貌。
スラリとした長身。腰に剣を佩き、騎士服をまとう姿はまるで一幅の絵画のよう。
でも剣をとれば、近衛騎士団の誰にも引けを取らないだけの実力の持ち主。もしかすると、団長をしのぐ力を持ってるというウワサもある。
女性にモテそうな条件はそろっているのに、まったく浮ついたウワサを聞かない。王妃さまの乳兄妹。妃殿下方の護衛騎士。
そんなお方とわたしが結婚っ!?
そりゃあ、心の底からお慕いしてるっていうか、わたしのすべてを捧げても損はないってぐらい憧れの方ではいらっしゃいますけどね? だからって、結婚は無理でしょ、結婚はっ!!
適齢期、十七になっても「色っぽさ」はどこにも見当たらず、ただ十七年という月日だけが加算された身体。身分だって、元王宮庭師だった亡き祖父の孫だから、身よりもないからお情けで雇っていただいただけの侍女だし。国王陛下が王妃さまにお花を贈られることが多く、庭師の孫娘なんだから花の扱いは上手いでしょ? キチンと飾って頂戴ね程度で採用された程度なんだから。
それを、それを、それをっ!!
「妃殿下、その命令、お受けいたしかねます」
戸惑い、アワアワするだけのわたしと違って、エディルさまが顔色一つ変えずに拒否された。
「彼女、フォレット嬢が悪いとは言いませんが、私は彼女とあまり面識がありません。互いによく知らぬまま、そんな状態で結婚などと命じられても、承知することは出来かねます」
ド正論。
そう。そうなんだよね。
わたしは、エディルさまをウワサとかで色々知ってるけど、エディルさまは、わたしのことなんて少しもご存知ないわよね。知ってたとしても「王妃さま付きの侍女、その1」だろうし。もしかしたら「その2」「その3」、最悪「侍女、その他大勢」かもしれないし。侍女の数の増減、わたしがいてもいなくても気づかれない、その程度の認識だろうし。
会話だってほとんどしたことない。
こうして今日、王妃さまに結婚を命じられたことで、初めて「王妃さまのまわりの風景」から「人」として認識を改めてもらった、その程度の存在だし。名前だって、今、初めて知ってもらった程度だろうし。
そんな相手と結婚なんて。いくら王妃さまの命令であっても嫌だよね。
エディルさまが今までそういうウワサがないのは、それだけ理想を高くお持ちだったからであって、王妃さまに「結婚しなさい。お似合いだと思うのよ~」なんて直感100%の命令を待ってたからじゃないだろうし。
「よく知らないまま……ねえ」
乳兄妹の苦言など意に介さないかのように、王妃さまが艶然とほほ笑まれた。
「では、『よく知った』ら、結婚するのね?」
あ、これ、王妃さまがイタズラを思いつかれた時に見せる笑顔だ。
「ならば、エディル、これから半年間、リリーとともに暮らしなさい。ともに暮らして、互いをじっくりわかり合って。そうしたら、構わないでしょ?」
「妃殿下っ!!」
「これは命令です。二人とも、今日より半年の間、仮の夫婦としてともに暮らしなさい」
それは、ある日突然、王妃さまから命じられた。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた命令。
「あっ、あの、それは、いったい……っ!!」
その唐突すぎる命令に、一瞬思考が停止し、そして混乱する。
結婚!? わたしが!?
戸惑っているのは、わたしだけらしい。侍女頭のベネットさんが王妃さまのために注いでるお茶は、少しもブレたりこぼれたりせず、カップのなかに静かに収まる。
「アナタも、もう十七。結婚しても悪くない歳だと思うけど?」
「あの、それは、そうなんですけど……」
わたしも今年で十七歳。いつ結婚してもおかしくないと言われれば、そうなんだけど。
(なぜ、今さら突然に結婚?)
「わたくしね、これからの生活を支えてくれる侍女には、同じ境遇を味わってほしいのよ」
王妃さまの細い指が、用意されたカップを持ち上げる。軽く香りを堪能してから、伏し目がちにカップに口づける仕草は、「優雅」の一言。
「この先、陛下との結婚生活。幸せであると信じているけれど、そうでない時もきっとあると思うの。その時に、誰か信頼の置けるものに相談したい。そのためにも、人妻となった侍女が必要なの」
「それなら、もっと別の、先輩侍女たちに命じられれば……」
「ダメよ。あの子たちは、口が軽すぎるわ」
そ、そうなんだ。
ピシャリと言われた辛口批評に、二の句が消えていく。まあ、おしゃべり好きな先輩たちであることを否定する気はないけど。
王宮で働く侍女にとって、主たちのウワサ話は、かっこう憂さ晴らしになる。
「アナタなら、わたくしが困ってる時に親身になって聞いてくれそうだし。口も堅そうだから、頼れるかしらって思っているの」
「はあ……。ありがとうございます」
たしかに。ウワサ話というか、陰口はあまり好きじゃないし、関わらないようにしてきてるけど。
それだったら、完璧侍女のベネットさんに結婚を命じれば……って、一瞬脳裏をよぎったけど、妙齢すぎるベネットさんと目が合ってしまい、すぐに意見を呑み込んだ。
「それにね。彼の相手を選ぶとしたら、アナタしかいないのよ」
「え? ……彼、ですか?」
結婚しろという命は、すでに相手ありきで決められたことらしい。誰か良い人を探して、今すぐ結婚なさいという命令でなかったことはありがたいけど。
(「彼」って、誰?)
王妃さまが、「彼」と呼ぶような親しい異性。
王妃さまが選んだ、わたしの結婚相手。
おそらく、そう年齢の離れた相手ではない、身分もそこまで離れていない相手だと思うけど。
コンコン――。
控え目な叩扉の音。
「失礼します。お呼びでしょうか、王妃殿下」
扉を開け、部屋に入ってきた一人の若い男性。
国王陛下の護衛騎士。
元は王妃さまの護衛騎士で、王妃さまが公爵家からお輿入れなさる以前からその任に当たっていた人。王妃さまの乳母の息子で、妃殿下とは乳兄妹の関係にある。
結婚したばかりの主――王妃さまと国王陛下――の関係に遠慮してか、こちらに顔を出すことが減ったお方。最近は、その実力を買われて、王妃さまではなく国王陛下の付きの護衛としての任を与えられているらしい。
「よく来たわね、エディル」
乳兄妹ゆえの気安さか。王妃さまが、椅子に腰かけたまま彼に手を差し出す。その手を取り、甲にそっと口づける騎士。ああ、絵になる光景。けど――。
まさか。
「エディル・ロードリック。リリー・フォレット。アナタたち二人に、夫婦となることを命じます」
「えええええええっっ!!」
声がひっくり返った。
「リリー、アナタもエディルのこと、知ってるでしょ?」
「う、え? し、知ってはおりますがっ、その、あのっ……」
知ってるからって、だからって「はい、そうですか。結婚しますね」にはならない。知ってるから結婚となるなら、わたしは厨房のコックから、果ては国王陛下とも結婚しなくちゃいけなくなる。
「エディルにはリリー。リリーにはエディル。お似合いだと思ったんだけど?」
王妃さまの軽いウィンク。
わー、キレイ、色っぽーい。なんて言ってる場合じゃない。
(どうしてわたしが、エディルさまとぉぉぉぉっ!!)
頭の中、いっぱいいっぱい。身体中の血液が頭に昇ったのか、耳までジンジンして熱いし、もう、テッペンから湯気出てるんじゃないかってぐらいグラグラしてくる。
エディル・ロードリックさま。
御歳二十五。
黒髪、切れ長の目。端正な顔立ち。
穏やかな気性、優し気な風貌。
スラリとした長身。腰に剣を佩き、騎士服をまとう姿はまるで一幅の絵画のよう。
でも剣をとれば、近衛騎士団の誰にも引けを取らないだけの実力の持ち主。もしかすると、団長をしのぐ力を持ってるというウワサもある。
女性にモテそうな条件はそろっているのに、まったく浮ついたウワサを聞かない。王妃さまの乳兄妹。妃殿下方の護衛騎士。
そんなお方とわたしが結婚っ!?
そりゃあ、心の底からお慕いしてるっていうか、わたしのすべてを捧げても損はないってぐらい憧れの方ではいらっしゃいますけどね? だからって、結婚は無理でしょ、結婚はっ!!
適齢期、十七になっても「色っぽさ」はどこにも見当たらず、ただ十七年という月日だけが加算された身体。身分だって、元王宮庭師だった亡き祖父の孫だから、身よりもないからお情けで雇っていただいただけの侍女だし。国王陛下が王妃さまにお花を贈られることが多く、庭師の孫娘なんだから花の扱いは上手いでしょ? キチンと飾って頂戴ね程度で採用された程度なんだから。
それを、それを、それをっ!!
「妃殿下、その命令、お受けいたしかねます」
戸惑い、アワアワするだけのわたしと違って、エディルさまが顔色一つ変えずに拒否された。
「彼女、フォレット嬢が悪いとは言いませんが、私は彼女とあまり面識がありません。互いによく知らぬまま、そんな状態で結婚などと命じられても、承知することは出来かねます」
ド正論。
そう。そうなんだよね。
わたしは、エディルさまをウワサとかで色々知ってるけど、エディルさまは、わたしのことなんて少しもご存知ないわよね。知ってたとしても「王妃さま付きの侍女、その1」だろうし。もしかしたら「その2」「その3」、最悪「侍女、その他大勢」かもしれないし。侍女の数の増減、わたしがいてもいなくても気づかれない、その程度の認識だろうし。
会話だってほとんどしたことない。
こうして今日、王妃さまに結婚を命じられたことで、初めて「王妃さまのまわりの風景」から「人」として認識を改めてもらった、その程度の存在だし。名前だって、今、初めて知ってもらった程度だろうし。
そんな相手と結婚なんて。いくら王妃さまの命令であっても嫌だよね。
エディルさまが今までそういうウワサがないのは、それだけ理想を高くお持ちだったからであって、王妃さまに「結婚しなさい。お似合いだと思うのよ~」なんて直感100%の命令を待ってたからじゃないだろうし。
「よく知らないまま……ねえ」
乳兄妹の苦言など意に介さないかのように、王妃さまが艶然とほほ笑まれた。
「では、『よく知った』ら、結婚するのね?」
あ、これ、王妃さまがイタズラを思いつかれた時に見せる笑顔だ。
「ならば、エディル、これから半年間、リリーとともに暮らしなさい。ともに暮らして、互いをじっくりわかり合って。そうしたら、構わないでしょ?」
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