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オレとお嬢の冒険密事。
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「いやあああぁぁぁっ!!」
暗い森に響き渡る悲鳴。
「お嬢さまっ!?」
その声に驚き、飛び起きると、脇に置いてあった剣を片手に走り出す。
月明かりもほとんど届かないような暗い森のなか。かろうじて見える枝葉を避けながら、声のした方へと走っていく。
(油断した――!!)
焚き火の暖かさに、旅の疲れも相まって、うっかり寝落ちしていた。そう長い時間眠っていたわけではないだろうが、それでも、そばで寝ていたはずのお嬢さまがいなくなっていることに気づかない程度には熟睡していた。 これで、もしお嬢さまの身に何かあったなら。左手に握りしめた剣の鞘。そこから抜き払って突き立てるは、己の喉元になるだろう。
(お嬢さま、お嬢さま、お嬢さま――!!)
逸る心。たどり着けないもどかしさ。
声の大きさから、そう遠くではないとわかっているが、夜の森は全力で駆け抜けられない分、己の足が遅く感じられる。
「あ、いや……、やめ……っ!!」
自分がかき分ける下草の音に混じって聞こえる、お嬢さまの声。
「ダメッ、やっ、やぁっ……」
涙が混じっているのだろうか。湿ったような悲鳴というか懇願している声。だが。
「あ、ああっ、や、やぁん……」
どこか甘い、とろけているようにも聞こえる。
「お嬢さ――――っ!!」
下草をかき分け、少し広い場所に出たところで声を失った。
短い草むらの上、縛り付けられ、崩れ落ちるような格好で座り込むお嬢さま。
白く清潔な服は溶けて崩れ落ち、残骸がかろうじてお嬢さまの体に引っかかっている状態。髪も乱れ、ほつれて草が絡まってる。涙とヨダレで汚れた顔は異様に紅潮し、体はヒクヒクと痙攣を繰り返している。
「あ、ん……、や、あ……」
お嬢さまを抱きしめるように、縛り付けるようにまとわりつく、ブニョブニョしたモンスター。それが動くたびに、お嬢さまが体を震わせ、甘くくぐもった啼き声を上げる。
「た、たひゅえ……へ、ングゥ」
お嬢さまの口腔にまで触手を伸ばしたモンスター。嫌がる唇をこじ開け、中へと潜り込もうとする。
鞘から剣を抜き払うと、そのまま、お嬢さまに絡みつくモンスターに斬りつける。触手のように長く伸ばされた、粘液状のモンスター。斬るたびに、モンスターは大きく蠢き、斬り落とされた体をベチャ、ボタッと草むらに落としていく。
お嬢さまの体に絡みつくベットリとした粘液状のモンスター、“スライム”。
スライムは、獲物をその体で飲み込んで窒息させ、消化するタイプのものと、己の体を触手として獲物の体の中に潜り込み、卵を産みつけるタイプのものがいる。お嬢さまに襲いかかっていたのは、どうやら後者だったらしい。スライムの触手化した体は、お嬢さまの体の中に入るべく、抵抗するお嬢さまを縛り上げ、広げ、穴という穴を探し求め、ウネウネと蠢いていた。
「――失礼」
スライムのほとんどは斬り捨てたものの、耳や口に入ろうとしていた触手にまで剣を振るうことはできない。うっかりすれば、お嬢さまの肌も傷つけてしまう。
剣を脇に置き、お嬢さまの体から残ったスライムを引き剥がしていく。
腕に、腰に、脚に。スライムの触手は、体中を這い回り、ベッタリとくっついた状態になっていた。
「あ、やん、あ、あ……」
グチョ、ヌチョッと肌に張り付いたスライムをひきはがすたびに、お嬢さまが身をよじった。白かった肌に、スライムの吸着した痕が赤く残る。
「あ、や、そこ、は……っ!! うぅん!!」
オレの手を嫌がり身をよじるお嬢さま。スライムによって開かれたままだった脚を慌てて閉じたのだが、そのせいで軽く悲鳴を上げ、体が震えた。
「いけませんよ。キチンと取り除いておかねば」
言いながら、お嬢さまの脚を持って再び開く。
「ほら、こんなところにも……」
「ひぅっ……!!」
ズルリと、お嬢さまの秘めやかな部分に似つかわしくない音をたて、中に入り込んでいたスライムの触手を抜き取る。
「かなり奥まで……。大丈夫ですか、お嬢さま」
抜き取った触手は長かった。そしてスライムのものではない、ぬるみをまとっている。それらをまとめて、軽く詠唱した炎魔法で燃やしておく。スライムは火に弱い。こうしておけば、付近に仲間がいたとしても、そう簡単には近寄ってこないだろう。
「あ、ありがとう……、レイ」
ハアハアと息を乱したままのお嬢さま。夜風にさらされた胸を押さえ、呼吸を整えようと必死だ。
「どうしてこんな森のなかに?」
オレと一緒に焚き火のそばにいれば襲われることもなかったのに。
「それは、その……。ちょっと、はばかりに……」
お嬢さまの顔に、別の赤さが加わる。
「だとしても、森の奥は危険ですよ」
今回はスライムだったが、森には他にもモンスターが生息している。それこそ、襲われて瞬殺されるようなことだってある。夜の森での単独行動は自殺行為だ。
「ごめん……なさい」
「――とにかく、ご無事でなによりです。お嬢さまに何かあれば、旦那さまをはじめ、領地の皆さまに顔向けできなくなりますからね」
「――うん。ほんと、ごめんね、レイ。わたしが無茶を言って冒険に出ちゃったから。迷惑、かけてるよね」
しょんぼりとうつむいたままのお嬢さま。
「仕方ありませんよ。あの屋敷にお嬢さまの出した条件に適う者は、私しかおりませんでしたので」
お嬢さまの出した条件。つまり。
・ 冒険に付き合えるだけの体力。経験。
・ 剣の腕。モンスターを倒すだけの実力。
・ 魔法も使えると尚良し。
・ 旅慣れ、世間慣れしていること。
・ 度胸と忠誠心も必須。
「自分で言う? それ」
「事実ですから。というか、従者として雇っていただいたのは建前でしょう? 仮にもご令嬢が、冒険者などといういかがわしい身分の者と旅に出るなどありえない。だから、即席であっても私を“従者”とした。従者なら、令嬢に付き従っていてもおかしくないですからね」
「うん、まあ、そうなんだけど……。怒らないの? こんな面倒な旅に同行させやがって!! とか」
「別に。初心者と組むのも一興かと。無知な素人を優しく先導していくのは、上級者の務めでもありますから。“お嬢さまの従者”というのも、なかなか新鮮で、いい経験だと思ってますよ」
“初心者”“無知な素人”という部分に、お嬢さまがプウッと頬をふくらます。怒っているのに愛らしいふくれっ面。
「それに、お嬢さまの志に感動しているのですよ。領民たちを守るため、自ら冒険者となってモンスターを倒す旅に出るなど。普通は、金に物を言わせて冒険者を雇って終わりですからね」
領民の生活を脅かすモンスターを倒すのは領主の責務。しかし、大抵は金で雇った傭兵や冒険者に任せて、自分たちは安全な場所でぬくぬくと暮らしてたりする。冒険者など使い捨て。戦ってどうなろうと、誰も気にしない。それが、普通。
「だって、うちは貧しいし。冒険者をたくさん雇う余裕なんてないし……」
「領民なんてどうなろうと構わないと放置する領主もたくさんおりますから。みずから冒険に出ようとする、お嬢さまの正義感にひどく感銘しているのです」
「レイ……」
「立てますか?」
「うん……、あぅっ」
座り込んだままのお嬢さまに差し出した手。その手をつかんだお嬢さまが、変な声を上げた。
「な、なんでも、ない、わ……」
言って立ち上がろうとするお嬢さま。しかし、その脚はプルプルと震え、体がヒクンッと軽く跳ねた。顔はずっと赤いまま、目も潤んでいる。
「お嬢さま、まさかスライムに……」
「だ、だいじょうぶっ!! 種付けはされてないからっ!!」
だが、体は小刻みに痙攣をくり返している。呼吸も荒く、収まる様子はない。溶けてボロ布と化した服の間からのぞく胸は、その先端、乳首をツンっと立たせたままだ。
「お嬢さま、一度確かめたほうがよろしいですね」
「え? なに、を?」
「スライムに犯されてないかを、です。種を出されてなかったとしても、もしかすると、まだスライムがお体の中に残っているのかもしれません」
「え? でも、スライムはさっき全部抜いてくれ……、あぁん!!」
その尖った乳首を空いてる手のひらでそっとこすってやる。それだけで、お嬢さまの体はビクビクっと震え上がった。
「ほら、これがスライムに襲われた後遺症なんです。体に力が入らないでしょう?」
クタリと草むらに崩れ落ちたお嬢さまの体。
「このまま放置すると、中に残ったスライムが成長して種付けをするかもしれません」
「そ、そうな……、のっ、あっ、ああんっ!!」
「ええ。ですので、お嬢さまのお体にスライムが残っていないかどうか、確認しておきましょう」
「わ、わかったわ……、あぅ、うぅ、ふぅん」
熱い吐息混じりの了承。それを聞きながら、こするだけだった手で、胸をガシッとつかんでやる。
しっとりと汗ばんだお嬢さまの胸。そのまま揉みしだくと、お嬢さまがやるせなさそうに、息を漏らした。
「レイ……」
握ったままのお嬢さまの手。そこに少しだけ力がこもる。
「気持ちいいのですか?」
「うん……、きもちい……」
快感に耐えようと閉じた瞼。まつげが、赤く染まった目の下に陰影を作り出す。
「いけませんね。これぐらいで気持ちよくなっては」
「いけ……ないの……?」
「ええ。スライムに媚薬を注入されてますね。アイツらは、種付けする前に、寄生先に媚薬を入れるのです。快感を与えることで、抵抗されることなく種付けできますからね」
「そん、な……。ど、どうし、よ……」
「大丈夫です。これから、ちゃんと処置して差し上げますから」
肩に引っかかるだけになっていたお嬢さまの服の残骸を取り払い、そのまま草むらの上にお嬢さまを押し倒す。
「れ、レイ……?」
「媚薬の効果が消えるまで、気持ちよくして差し上げます。でないと、残った媚薬が脳に回って、狂ってしまいますからね。最悪、死に至ることもあるんですよ」
「そんなの……、イヤ……」
「大丈夫です。さあ、体から力を抜いて。これから私がやることに、気持ちよかったらそのまま身を委ねてください」
「うん……、ンッ!! フッ……!!」
ポッテリと濡れたお嬢さまの唇。そこに自分のを重ね合わせる。
「ン、ンンッ……」
驚き少し開いた唇の中へと舌を滑り込ませ、そのまま歯列をなぞり、上顎を舌先で舐め、逃げ場を失ったお嬢さまの舌を絡め取る。
仰向けに転がったお嬢さまの上にまたがり、両手で顔を包み込み、お嬢さまの口腔を蹂躙する。
「ンッ!! ンンッ!! ン!!」
声も上げられず、代わりに抗議するようにオレの体を叩くお嬢さまの手。必死にのけぞるお嬢さまの体。
「……苦しいんですか? 息は、鼻でしてください」
軽くプニュッと鼻をつまんでやってから、再び口腔を犯す。息の仕方を教えたからか、抗議の声は上がらない。それどころか、舌を差し入れると、お嬢さまが不器用ながらも舌をこすり合わせてきた。ザラザラとした舌の感触。
「気持ちいいのですか?」
少し離して訊ねると、お嬢さまが軽くうなずいた。もっと、と言いたいのだろうか。オレの首に回されるお嬢さまの腕。
その仕草に抗うことなく唇を重ねる。角度を変え、何度も唇を押し付ける。
上顎をツツッと舌でなぞると、お嬢さまの背中がビクビクっと反った。反応が面白くて何度もなぞるうち、違った意味で背中を反らしていることに気づく。
背中が反るたびにこすれるお嬢さまの乳首。オレの胸に、ツンっと立ち上がった乳首をこすりつけている。もっと快楽を味わいたいのか、背中が反るだけでなく、体が左右に揺れ始めていた。
「――お嬢さま、ご自身で感じていらっしゃるのですか」
お嬢さまの腕をそっとほどき、身を離す。とたんに寂しげな、それでいて羞恥にまみれた表情になる。無意識に自分の胸を押し付けていたこと、身を離したことで我に返り、恥ずかしく思っているのだろう。
「いいですよ。もっと感じてくださっても」
上着を脱ぎ捨て素肌をさらす。羞恥から逃げようと軽くよじったままのお嬢さまの体を抱きしめ、首筋に唇を当てる。
「ひぃ、あ、れ、レイ……!!」
鎖骨から耳にかけて唇を這わせ、そのまま柔らかい耳たぶを喰む。
「いっぱい感じて、スライムが残した媚薬という毒素を抜いてしまいましょうね」
「あ、う……ん、あっ、はっ……!!」
グチュグチュとわざと音を立てて、お嬢さまの耳に舌を突き立てる。
「スライムはここにも入ろうとしたのですか? 口の中と同じ甘い匂いがします」
「なぞられた……だけっ、入ってない、よ、あっ!!」
「しかし、キレイに拭っておかねばいけませんね。毒を残しておいて何一ついいことはありませんから」
何度も何度も執拗に耳を舐める。耳たぶを甘く噛む。それと同時に、尖った胸を押しつぶすように体を押し付ける。
熱く火照ってきたオレの体と、柔らかいお嬢さまの体がこすり合う。
(毒は、どっちなんだろうな)
種付けしようとしたスライムと、解毒といいながら愛撫するオレと。
スライムの媚薬なんて、本当は大したものではない。解毒魔法でもかけてもらえば済むことだ。誰かにかけてもらわなくても、オレ自身がその魔法を使えばいいだけのこと。なんなら、一晩我慢すれば抜けてしまう程度のもの。
魔法を使えば一瞬で終わる。触手だって、全部取り除いた。
後遺症なんて大嘘だ。
だが。
(あれを目の前にして、我慢は無理だ)
お嬢さまの痴態。
いつもは、令嬢らしく清楚に、それでいて冒険者らしくこざっぱりとした装いのお嬢さま。ほどよく大きな胸、しなやかにくびれた腰回り。愛らしい顔立ち。柔らかそうな髪。ハツラツと明るい声。誰にでも別け隔てなく接する優しさと、誰かのために頑張る健気さ。
長く冒険者暮らしをしてきたオレにとって、その平和そうで幸せそうな姿は、眩しく、そして憎らしくもあった。
信頼を寄せてるであろう相手から裏切られ、蹂躙されたらどうなるのか。それでも前向きに笑っていられるのか? そんな破壊願望と同時に、その清らかさを大事にしたいと思う自分もいた。掌中の珠のように、真綿で包み込むように、大切に壊さないように。冒険に出るというのなら、全力をもって守り抜く。
それがどうだろう。
スライムに襲われ、無惨なほどに壊されたお嬢さま。触手に犯され、媚薬も盛られたのだろう。肌をむき出しにして喘ぐその姿に、オレの願いは一つの衝動へと集約されていった。
――この女がほしい。
令嬢だとか、身分だとか、関係ない。
蹂躙? 守る? そんなこと、どうでもいい。
愛してるだとか、愛おしいとか、言葉すら面倒だ。
ただただ、この女が欲しい。
手に入れるためなら、どんな嘘だって吐く。手段は選ばない。
この女の中に、欲望をぶちまけることさえできれば。あとはどうなっても構わない。どれだけでも欺ける。
(オレも媚薬に惑わされてるのかもな)
ふとそんなことを思ったが、今はそれもどうだっていい。
ひたすらに、嘘を並べ立て、この女を貪り尽くす。
「あ、ああっ、レイ、あ、ああっ……」
首筋をたどって、胸に這わせた唇。そのまま乳首を吸い上げ、舐め、口のなかで転がしてやると、ひときわ大きな嬌声が上がった。
「ひぅ……!!」
乳首を甘く噛んでやると、また体が震えた。痛いのかとも思ったが、嫌がってない証拠に、オレの頭を抱え込むように動いたお嬢さまの手。オレの髪に指を絡ませ、グイグイと胸を押し付けてくる。もっと吸え、もっと噛めってことなんだろう。その指示に逆らうことなくジュルジュルと音を立てて胸を吸い上げる。空いてるもう片方の胸は、手のひらで押しつぶし、乳首の先を爪で引っ掻いてやる。
「あ、レイ、レイ……!!」
せわしなく繰り返される喘ぎ声。胸を愛撫するオレにも伝わってくる激しい心音。
それだけじゃない。
ひどく濡れた股がグリグリとオレの一物にこすりつけられる。ヌルヌル、ヌメヌメと。まるで、このまま入れろとばかりに濡れぼそったお嬢さまの秘部。オレも硬く熱を帯び始めた一物をこすりつけ、軽く腰を前後させると、またお嬢さまの体が震えた。オレを迎え入れるつもりなのか、自然と脚が緩み自ら股を広げるお嬢さま。
ここに突き立てたら、きっと最高に気持ちいい。
わかってるが、それはまだだ。
胸をしゃぶりつつ、トロトロになってる孔に、一物代わりの指を突き立てる。
「あひっ……!!」
あまりに濡れていたため、そっと挿れるつもりが、ズプッと勢いよく突き立ってしまった。弾けるようにブチュッと中に溜まっていた愛液が噴き出す。
「すごい、溢れてきますね」
指は根本まで、やすやすと飲み込まれた。動かすたびに、グチュグチュと粘ついた音がして、隙間から愛液が滴り落ちる。
「ン、ンンッ、ン、フッ……」
噛み殺された喘ぎ声。見れば、お嬢さまが自分の腕を口に押し当て、必死に快楽から耐えていた。
「いけませんね。ほら、手を離して」
その腕をつかみとる。腕には、赤く歯型が残る。
「だって、声、恥ずか、しっ……!! あっ!!」
「いいんですよ、声ぐらい。どれだけ啼いても、ここには私しかおりませんので。それに、啼くことで気持ちいいのを逃さないと、体が更に辛くなりますよ」
つかんだ腕に残った歯型をチロチロと舌で舐め、口づける。
「ほら、たくさん啼いてくださいお嬢さま」
甘い啼き声、タップリ聴かせろ。
ジュプジュプと音を立てて挿入する指。二つに増やして、うねる壁を押し上げるようにバラバラに動かす。
「ひぃ、あ、はぁ、あっ、ダメ、そこ、そこっ……!!」
オレの手をベトベトに濡らしながら、お嬢さまが叫ぶ。掻き出された愛液が、オレの手首まで滴り落ちてくる。
「いっ、気持ち、いっ、あ、ああっ、んあっ……!!」
すがるように伸ばされた手が、オレの腕をつかむ。
「イきそうですか? お嬢さま?」
訊かなくてもわかっている。中が大きくうねり、蠢き、指がもぎ取られそうなほど締め付けられる。
「では、そのままイッておきましょう。気持ちいいのなら、そのまま抗わずに気持ちよくなってください」
「で、でも、こわ、い……!!」
涙を溜めた目でこちらを見てくるお嬢さま。初めての快感に戸惑っているのだろう。
(処女だしな)
「大丈夫です。ほら、イッてください!!」
グニグニと内壁を押し上げ、前後する速度を上げる。
「あ、やっ、ダメ、ダメェッ……!! ああっ……!!」
腰を浮かせ、きつく孔を締め上げたお嬢さまが絶頂を迎えた。指が突き上げた下腹から全身に軽く痙攣が伝わり強ばる。
「――っあ、はあっ、はあっ……」
一瞬、息を止めたお嬢さま。弛緩とともに、吹き返すように深く息を吐き出した。
「イキましたね」
その赤く熟れた肉体を見下ろし、孔から指をそっと引き抜く。トロリと指にまとわりつく愛液を見せつけるように舐める。やはり、スライムに襲われてたせいか、ほんのり甘い。
「あ……」
羞恥にまみれたお嬢さまが顔を背ける。
その姿がまた男の情欲をそそるとも知らずに。
「毒が残ってますね」
「そ、そうなの?」
「ええ。一回イッただけでは抜けきらないようです」
そんなの嘘だ。
甘いが、毒なんて残ってない。
「あと何回か、イッておきましょう」
「え? や、やあっ……!!」
お嬢さまの太ももを持ち上げる。赤くヌラヌラと光る秘部。その真ん中で絶頂を得た孔がヒクヒクと震えていたが、あえてそこに触れず、代わりにポッテリ膨らんだすぐ上の突起をつまむ。
「ひぃん……!!」
「ここ、気持ちよくないですか?」
つまんで、こねて、押しつぶして、爪で引っ掻く。
「あ、き、気持ちいい、から……っ!! あ、ああっ、あっ……!!」
その小さな花芽をもてあそぶたび、孔からコポン、クポンと愛液が溢れ出す。そのままお尻へと伝った愛液が、押しつぶされた草を濡らしていく。
「中から甘酸っぱい匂いもします。いけませんね。毒がまだ残っていたようです。しっかり拭っておきますね」
溢れた愛液は毒ではない。甘い香りはお嬢さまが感じているから。だが。
「ひっ、ダメ、そんなとこ舐めちゃ、あ、ああっ……!!」
抵抗するように身をよじるお嬢さま。けれど、快感を味わってる体では力が入らないのか、オレにされるまま、花芽も孔も舐め続けられた。
「あ、ああんっ……!!」
花芽から孔へ、舌でなぞると甘い嬌声。これで嫌がってるのなら、笑ってしまう。
執拗に舌で花芽を愛撫し、溢れ続ける愛液を音をたてて啜り上げる。
「や、そんなの、飲んじゃ……!! あ、ああっ」
わざとジュルジュルと嚥下する音を立ててやると、お嬢さまがイヤイヤと首をふった。しかし体は素直なようで、もっと飲め、もっと快感を与えろと、オレに秘部を押し付けてくる。
「お嬢さま、中も拭っておきますね」
赤く腫れた孔の周りの媚肉をかき分け、孔の中に舌を突き立てる。
「あ、い、そ、それっ……、ああっ!!」
指のような速さはないが、ザラザラする舌でこすられ出し入れされて、お嬢さまの膣がキュウキュウとうねりだす。溢れる愛液の量も増えてきた。
「あうっ……!!」
入り口近くのザラッとしたところをなぞると、ビクンと腰が動いた。喘ぐ声も変わった。
「気持ちいいんですね。ここ」
視線を上げると、胸の谷間の向こう、ギュッと目を閉じたままコクコクと頷くお嬢さまの顔が見えた。
「じゃあ、これはどうです?」
目の下を真っ赤にして、必死に快感に耐えてるその表情。もっとイジメてやりたくなる。
お嬢さまの気持ちいいところを執拗に舐めながら、指で花芽を弄り倒す。
「ひぃ……!! りょ、両方は……、あ、あぁん!!」
感じるところと花芽は、ちょうど裏表にあたる。両方からの責めはかなりの快感を与えてるはずだ。
絶頂を極めるお嬢さまの顔が見たい。
そう思ったオレは体を起こし、指で花芽と孔の中を愛撫する。快感に目を見開き、腰を浮かせるお嬢さま。嬌声を上げ続ける唇からは、飲み込めなかったヨダレが流れ落ちる。
「レイ、ダメッ、そこ、あ、ああっ、来るっ!! 来ちゃうっ!!」
視点が定まらないお嬢さまの目。ダメと言いながら、腰はさらなる快感を求めて動いている。
「違いますよ。そういう時は『イく』って言うんです」
「ち、違うの、あ、ああっ、出るっ!! なんか出ちゃ……、ああっ!!」
ブルッと震えたお嬢さまの肢体。同時に恥部からプシャッと吹き出した潮。
「お嬢さま自ら、“潮吹き”で体を清められたのですね」
「し、お、吹き……?」
「ええ。体内から毒を吐き出すために必要なことです。潮とともに体内から毒を吹き出させる。歴戦の勇者でもなかなかできることではありません」
「そう、なの……?」
二度目の絶頂を極め、浅く肩で息をしながら訊ねるお嬢さま。信じているのなら、これほどチョロい相手はいない。純粋すぎる。
「さて、残りはこの孔のなかにスライムの破片がないか、確認するだけですね」
「確認?」
「そうです。少しでも残っていたら大変ですからね。これを使って捜索します」
下穿きのなか、我慢できずに張り詰めた一物をズルンと引きずり出す。
「で、でも、さっき、指と舌で確認したんじゃ……」
「ええ。ですが、それでは届かない最奥に隠れている場合がありますので。これなら充分長いので、指よりも奥まで探ることが出来るのですよ」
「そ、そうなの?」
「はい」
自分でもよくぞここまで嘘を突き通せるものだと感心する。騙されすぎだぞお嬢さま。
いや。
騙されてるだけじゃない。
二度も絶頂を迎え、さんざん喘がされたお嬢さま。オレの血管の浮かび上がってそそり立つ一物を眺めるその目は、欲情にまみれた雌の色をしている。本能が、それを求めているのだ。
「ゆっくり、丹念に調べますので、力を抜いてください。できれば、探りやすいよう、脚を広げて」
「こ、こう?」
仰向けに転がり、脚を広げるお嬢さま。月明かりに光る孔がとても卑猥だ。
「そのまま、孔の奥まで見えるように。指で広げてくださいませんか?」
「わかったわ、んん……!!」
素直すぎるお嬢さまが、指で孔を広げて見せる。自分の指でも感じてるのか。くぱあっと開いた孔の奥の媚肉がヒクヒクと蠢いている。
――たまらない。
このままずっと見ていたいような。一気に突きこんで、グッチャグチャにして本能のままにぶちまけたいような。
ここに突き立てたらどれほどの快感を味わえるのか。無意識にゴクリと喉を鳴らす。
「ね、ねえ。まだなの……?」
「ああ、すみません。少し準備をしていたもので」
「準備?」
「ええ。最奥を探るためには、少しでも長くなるように準備が必要なのですが……。お嬢さま、お手伝い願えませんか?」
情欲が、オレの心の昏い部分に火を灯す。嗜虐心という炎。
「何をするの?」
「お嬢さまの手で、これをこすっていただきたいのです。こすればこするほど大きく硬くなって、調べやすくなりますから」
「そ、そうなの? じゃ、じゃあ……」
体を起こしたお嬢さま。恐るおそる伸ばされたお嬢さまの手が、オレの一物をつかむ。
「そうです。そのままギュッとつかんで、手を上下させてください」
ヒンヤリと細いお嬢さまの手がオレの一物をしごきあげる。オレも、お嬢さまがやりやすいように膝立ちして行為を迎え入れる。
「これで、いい……?」
「ええ。とてもお上手です」
不安そうに、オレの一物に顔を寄せるお嬢さま。その手の動きに合わせて沸き起こってくる快感と欲望。その顔にぶちまけてやったら、どんな顔をするのか見てみたい。
(いや、ダメだ。出すならコイツの腹の中だ)
二度でも三度でも出せる自信があるが、処女にそれをして引かれたら元も子もない。
「ねえ、レイもスライムに襲われたの?」
「え?」
気持ちよくなりかけた熱を冷ますようなお嬢さまの問いかけ。オレが? スライムに?
「だって、ほら。レイも毒が出てるわよ」
一物の先端から溢れたそれを手のひらにこすりつけたお嬢さま。そのまま一物をこすられ、手の中からヌチヌチと粘ついた音がした。
「そう、ですね。先程、スライムを倒した時に、少し毒が入ったのかもしれません」
嘘もここに極まれり。
「どうしたらいいの? 解毒の方法ってあるの?」
困惑したお嬢さまの顔。ああ、やっぱり初心すぎる。
「では、お嬢さまが舐め取ってくださいませんか? 私がして差し上げたように、お口でしゃぶって解毒するんです」
「え? ……じゃあ、――こほ?」
ヌポッとお嬢さまの口に入ったオレの一物。お嬢さまの声が振動として、屹立に伝わる。四つん這いになり、髪を掻き上げ、上目遣いにこちらを見てくるお嬢さま。その背中から尻にかけての稜線が素晴らしい。薄い産毛が月の光に輝いている。
「そう。そうです。そのまま口すぼめて前後に顔を動かして。いいですね。お上手ですよ」
腰を動かしたい衝動を抑え、口から与えられる快感に耐える。本当は顔を押さえ、ガンガンとお嬢さまがえずくぐらい奥に突き入れたい。喉の奥に流し込むように、滾った欲望をぶちまけたい。
「舌で先端を舐めてくださいませんか?」
「ん、んんっ……、んっ、へんふぁ、んっ、あひが、ふる、ふぁ」
「ええ。スライムの毒ですね。ああ、そうやって舐めてしゃぶってくださると、解毒されていくのがわかりますよ」
嘘だ。情欲を毒とするならば、体に溜まっていく一方だ。どこかで爆発させないと狂ってしまう。このままぶちまけたい。
「お嬢さま」
本能を無理やり押さえつけ、ズポッとお嬢さまの口腔から抜け出す。
「え? あ、レイ……ッ!!」
出すならこの中だ。
赤黒く淫猥な屹立が、お嬢さまの口淫でヌラヌラと光っている。
仰向けに押し倒したお嬢さまの脚を持ち上げ、ひくつく孔にズプリとそれを突き立てる。
「あっ、ああ……!!」
散々愛撫し、絶頂を味わったお嬢さまの中。突然押し入ったオレのそれを、熱く濡れながら歓待してくれる、お嬢さまの膣。
「痛みますか?」
「へ、いき……。だいじょう、ぶ、よ……、レ、イ」
途切れ途切れに紡がれる言葉。快楽を逃そうと、浅い息をくり返してるせいだ。初めて雄を迎え入れた孔からは血が滴り落ちているのに。痛みより快感がお嬢さまを支配しているらしい。
「中は狭い……ですね。熱くて、きつくて。――とろけそうだ」
蠢く膣は、悦び最奥へといざないながら、搾り取ろうと締め上げてくる。
そんな隘路を分け入り、一物の根本まで孔の中に埋める。
「全部、挿りましたよ。お嬢さま」
「ぜん、ぶ……?」
「ええ。――ほら。一つにつながってます」
お嬢さまの手を取り、つながった秘部に触れさせる。恥骨から花芽、媚肉を分け、食い込むオレの一物の根本を指でなぞらせた。
「上からでもわかりますか?」
ついで、下腹部を手のひらで押さえてやる。
「あうっ……!! わ、わかる、わっ、あっ、あぁん!!」
グイグイと一物の形がわかるように押さえると、それだけで感じるのか、お嬢さまが首を仰け反らせた。
「しばらくこのままでいましょうか。お嬢さまの中が、私の形を覚えるまで」
「――覚える?」
「そうです。お嬢さまが私のを、私のがお嬢さまの形を覚える。そうすることで、捜索がしやすくなるのですよ」
違う。快感を得やすくなるのだ。
オレだけの孔。オレしか知らない孔。オレだけのすべて。
「しばらくはこうして。お嬢さま。先程舐めていただきました毒、今度は私が舐めて浄化して差し上げます」
「ん、んふっ……」
豊満な胸を押しつぶすようにして、お嬢さまに口づけ、口腔を犯す。
上の口も下の口も。この体の全てはオレのものだ。
両手で頬をつかみ、口づけを続ける。舌を絡め、唾液が混じり合う。吐息も嬌声も、すべてを呑み込み、味わう。
「はっ、あっ、レイ、レイ……っ!!」
息継ぎの合間にこぼれ落ちるオレの名前。お嬢さまも興奮しているのか、まさぐるようにオレの体に腕を伸ばし、背中にしがみついてくる。
「お嬢さま……っ!!」
動かないと決めたはずなのに、衝動にかられ、体をうねらせる。腰を前後させると、お嬢さまがくぐもった嬌声を上げた。
冷たく乾いた夜の森。だが、重なり合った体は、溶けるように熱く湿っている。
「は、あっ、あっ、レイッ、レイッ……!!」
息に合わせ途切れとぎれに喘ぐ声と、グチュグチュと愛液が泡立つ音、パチュパチュと湿った肉がぶつかる音が、夜の静寂に響き渡る。
甘く淫猥な匂いと、押しつぶされた草の匂いが混じり合う。
ここには誰もいない。誰も見ていない。
ここでなら、何者でもない。ご令嬢も従者も関係ない。ただの男と女。
情欲にまみれ、互いを欲するだけの存在。
かすかに届いた月明かりのなか、蠢く獣のような二人。
「あ、ああっ……!!」
激しく突き上げると、先端がコリッとした部分に到達した。
「ひうっ……!!」
「ここ、子宮の入り口ですね。コリコリしてる」
一物の先でつつくと、お嬢さまの体がビクビクと跳ねた。
「気持ちいいのですか?」
「う、うん……、気持ち、い……あぁん!!」
「ここにも残ってないか、よく調べないと」
軽く腰を動かして何度もつつく。
「ひぃ、あ、あっ、そこ、は、残ってなぁ、あぁん!!」
コツコツぶつけていた先端。それを少しずつ大胆に、ゴツゴツゴリゴリと最奥にぶつけていく。
「あっ、あっ、あひっ、ダ、ダメッ、気持ち、よすぎて、頭、おかしく、な、るっ……!!」
「いいんですよ。そのまま感じていてください」
「や、やあっ……、あっ、あんっ」
快感に下りてきた子宮を突き上げられ、律動に合わせてお嬢さまが喘ぐ。膣の締めつけもきつくなり、蠕動が激しくなる。雄の精を呑みたくて仕方ない、淫らな雌の体。
(イキそうか?)
そのうねり具合から絶頂が近いことを知り、奥にぶつけることをやめ、速度をゆるめる。
(まだだ)
まだイカせない。
「熱い、のっ……、こすれ……て、あ、あっ、あっ、あっ、あっ」
わざと気持ちいいところを外し、膣壁を亀頭でこすり上げると、お嬢さまが短い嬌声を紡ぎ始めた。重い快楽から解放され、しかし物足りないのか、オレの動きに合わせてお嬢さまの腰が揺れ始めた。
「お嬢さま、もっとして欲しいのですか?」
「う、ん……っ!! ほしいっ……!! ほしいのっ!! レイの、気持ちいっ、の、いっぱい、して……っ!!」
情欲に溺れたお嬢さまに羞恥心など残ってない。オレに言われるまま、素直に欲望をむき出しにする。
オレも襞に引っかかった亀頭から伝わる快感に、すべてを持っていかれそうになる。目をつむり、突き込んだ屹立に全神経を集中させる。
終わりたくない。だけど、さらなる快感を得たい。お嬢さまの体を味わいたい。
「お嬢さま……っ!!」
嬢さまの両手首をつかんでその体を引き寄せると、狂ったように腰を振りたくった。
「あ、それダメッ、深っ!! 奥っ、奥にぶつか……、あ、あひっ、ひっ、あっ、あぁん!!」
再び与えられた逃げ場のない快楽。激しい挿入に、お嬢さまの胸がタプタプと揺れ続ける。
「お嬢さま、イキそうですか?」
「あ、うん、イクッ、イッちゃう……!! 気持ち、いっ、あ、あっ、あ……!!」
グチュグチュ、ジュプジュプと泡立つ愛液。
いや、愛液だけじゃない。オレの先走りも混じっている。互いの快楽は、とっくに限界を迎えている。
「ではお嬢さま、浄化するための最後の仕上げです。受け取ってくださいっ!!」
「えっ、あっ、ああ……っ!!」
体中の熱が、屹立の先に集まるような感覚。
手首を解放した代わりにその細い腰をつかむと、己の腰を勢いよく叩きつけ、最奥を穿ち、欲望をぶちまける。
「あ……、ひぃあ……、あ……」
「クッ……!!」
軽く腰を動かして、最後の一滴まで中に注ぎ込む。ビュルビュルっと脈打つように噴き出した欲望を浴びて、時折お嬢さまが体をひくつかせる。すべて呑み込むつもりなのか、痙攣してこわばった体の奥で、膣がギュッと一物を締め上げた。
「ハァッ……、ハァッ……」
すべてを吐き出した体から力が抜ける。お嬢さまの上に崩れるようにのしかかると、互いの熱い吐息が混じり合った。
「レ……イ……」
「よくがんばりましたね。これで、スライムの毒は消えましたよ」
汗ばんだ額に張り付いた髪を指で払ってやる。優しく頬を撫でて微笑み、行為に疲れたであろう体を労ってやる。絶頂を味わい上気した顔は、どこまでも艶めかしく愛おしい。
ご令嬢と従者。「愛してる」とは言えない関係。交わりあい、高ぶった体が冷めてくると同時に突きつけられる現実。この冒険が終われば、お嬢さまは名家の息女らしく、身分につり合った男の元へと嫁ぐだろう。オレは従者を解雇され、その日暮らしの命の保証さえない冒険者に戻る。
だから、これが精一杯の愛情表現。
「レイ、行かないで……」
「お嬢さま?」
終わりにしようとしたオレを抱きしめる手。細い指が、オレの背中を捕らえる。
「もう少しだけ、このままでいて……」
オレの肩口に顔を寄せたお嬢さま。その体は小さく震えていた。
(泣いている?)
肩を冷たく感じた。
「――大丈夫ですよ、もうスライムは襲ってきません。襲ってきたとしても、私がすべて倒して差し上げます」
「……うん」
「何があっても、私はお嬢さまの味方ですよ」
「……うん」
愛してると言わない代わりに、永遠の忠誠を誓う。
「レイ……」
呟かれた名前。そこにどんな想いがあるのか。
“スライムの毒”などと嘘を並べ立てたが、お嬢さまは気づいていたのかもしれない。ただ単にオレがお嬢さまを抱きたかっただけだということを。
「ねえ、もっとシて? スライムの毒で苦しいの……。お願い……」
お嬢さまも、か細く嘘を吐く。
スライムに襲われたのだって、もしかしたらオレとこうなりたかったから、その口実だったのかもしれない。襲われたらオレが助けてくれるかもしれない。オレが解毒と称して抱くかもしれないと。
「承知いたしました。お嬢さま」
嘘には嘘で。
ご令嬢の命令に従い、言葉に出来ない想いの代わりに、涙に濡れた瞼に口づけを落とす。
瞼から、頬、そして首筋、鎖骨、なだらかに続く胸のふくらみへ。
愛撫をくり返し、ゆっくりと再び腰を動かす。
「今、楽にして差し上げますからね」
毒なんてとっくに抜けている。
だが、それは愛し合うための言い訳。名目。名家の令嬢と元冒険者の従者。許されない立場の者同士が睦み合うための免罪符。
このまま熱く溶け合って、一つになってしまえばいい。冒険も身分も何もかもかなぐり捨てて、ただの愛し合う一つの塊になってしまえば。
* * * *
「あ、あ、レイ、レイ……ッ!!」
男の名を呼び、抱かれる悦びに体を震わせる女。
その女の体を抱きしめ、貪り、まぐわい、絶頂へと律動をくり返す男。
青白い月の光が、愛し合う二人の体を一つの影絵のように森の中に浮かび上がらせた。
暗い森に響き渡る悲鳴。
「お嬢さまっ!?」
その声に驚き、飛び起きると、脇に置いてあった剣を片手に走り出す。
月明かりもほとんど届かないような暗い森のなか。かろうじて見える枝葉を避けながら、声のした方へと走っていく。
(油断した――!!)
焚き火の暖かさに、旅の疲れも相まって、うっかり寝落ちしていた。そう長い時間眠っていたわけではないだろうが、それでも、そばで寝ていたはずのお嬢さまがいなくなっていることに気づかない程度には熟睡していた。 これで、もしお嬢さまの身に何かあったなら。左手に握りしめた剣の鞘。そこから抜き払って突き立てるは、己の喉元になるだろう。
(お嬢さま、お嬢さま、お嬢さま――!!)
逸る心。たどり着けないもどかしさ。
声の大きさから、そう遠くではないとわかっているが、夜の森は全力で駆け抜けられない分、己の足が遅く感じられる。
「あ、いや……、やめ……っ!!」
自分がかき分ける下草の音に混じって聞こえる、お嬢さまの声。
「ダメッ、やっ、やぁっ……」
涙が混じっているのだろうか。湿ったような悲鳴というか懇願している声。だが。
「あ、ああっ、や、やぁん……」
どこか甘い、とろけているようにも聞こえる。
「お嬢さ――――っ!!」
下草をかき分け、少し広い場所に出たところで声を失った。
短い草むらの上、縛り付けられ、崩れ落ちるような格好で座り込むお嬢さま。
白く清潔な服は溶けて崩れ落ち、残骸がかろうじてお嬢さまの体に引っかかっている状態。髪も乱れ、ほつれて草が絡まってる。涙とヨダレで汚れた顔は異様に紅潮し、体はヒクヒクと痙攣を繰り返している。
「あ、ん……、や、あ……」
お嬢さまを抱きしめるように、縛り付けるようにまとわりつく、ブニョブニョしたモンスター。それが動くたびに、お嬢さまが体を震わせ、甘くくぐもった啼き声を上げる。
「た、たひゅえ……へ、ングゥ」
お嬢さまの口腔にまで触手を伸ばしたモンスター。嫌がる唇をこじ開け、中へと潜り込もうとする。
鞘から剣を抜き払うと、そのまま、お嬢さまに絡みつくモンスターに斬りつける。触手のように長く伸ばされた、粘液状のモンスター。斬るたびに、モンスターは大きく蠢き、斬り落とされた体をベチャ、ボタッと草むらに落としていく。
お嬢さまの体に絡みつくベットリとした粘液状のモンスター、“スライム”。
スライムは、獲物をその体で飲み込んで窒息させ、消化するタイプのものと、己の体を触手として獲物の体の中に潜り込み、卵を産みつけるタイプのものがいる。お嬢さまに襲いかかっていたのは、どうやら後者だったらしい。スライムの触手化した体は、お嬢さまの体の中に入るべく、抵抗するお嬢さまを縛り上げ、広げ、穴という穴を探し求め、ウネウネと蠢いていた。
「――失礼」
スライムのほとんどは斬り捨てたものの、耳や口に入ろうとしていた触手にまで剣を振るうことはできない。うっかりすれば、お嬢さまの肌も傷つけてしまう。
剣を脇に置き、お嬢さまの体から残ったスライムを引き剥がしていく。
腕に、腰に、脚に。スライムの触手は、体中を這い回り、ベッタリとくっついた状態になっていた。
「あ、やん、あ、あ……」
グチョ、ヌチョッと肌に張り付いたスライムをひきはがすたびに、お嬢さまが身をよじった。白かった肌に、スライムの吸着した痕が赤く残る。
「あ、や、そこ、は……っ!! うぅん!!」
オレの手を嫌がり身をよじるお嬢さま。スライムによって開かれたままだった脚を慌てて閉じたのだが、そのせいで軽く悲鳴を上げ、体が震えた。
「いけませんよ。キチンと取り除いておかねば」
言いながら、お嬢さまの脚を持って再び開く。
「ほら、こんなところにも……」
「ひぅっ……!!」
ズルリと、お嬢さまの秘めやかな部分に似つかわしくない音をたて、中に入り込んでいたスライムの触手を抜き取る。
「かなり奥まで……。大丈夫ですか、お嬢さま」
抜き取った触手は長かった。そしてスライムのものではない、ぬるみをまとっている。それらをまとめて、軽く詠唱した炎魔法で燃やしておく。スライムは火に弱い。こうしておけば、付近に仲間がいたとしても、そう簡単には近寄ってこないだろう。
「あ、ありがとう……、レイ」
ハアハアと息を乱したままのお嬢さま。夜風にさらされた胸を押さえ、呼吸を整えようと必死だ。
「どうしてこんな森のなかに?」
オレと一緒に焚き火のそばにいれば襲われることもなかったのに。
「それは、その……。ちょっと、はばかりに……」
お嬢さまの顔に、別の赤さが加わる。
「だとしても、森の奥は危険ですよ」
今回はスライムだったが、森には他にもモンスターが生息している。それこそ、襲われて瞬殺されるようなことだってある。夜の森での単独行動は自殺行為だ。
「ごめん……なさい」
「――とにかく、ご無事でなによりです。お嬢さまに何かあれば、旦那さまをはじめ、領地の皆さまに顔向けできなくなりますからね」
「――うん。ほんと、ごめんね、レイ。わたしが無茶を言って冒険に出ちゃったから。迷惑、かけてるよね」
しょんぼりとうつむいたままのお嬢さま。
「仕方ありませんよ。あの屋敷にお嬢さまの出した条件に適う者は、私しかおりませんでしたので」
お嬢さまの出した条件。つまり。
・ 冒険に付き合えるだけの体力。経験。
・ 剣の腕。モンスターを倒すだけの実力。
・ 魔法も使えると尚良し。
・ 旅慣れ、世間慣れしていること。
・ 度胸と忠誠心も必須。
「自分で言う? それ」
「事実ですから。というか、従者として雇っていただいたのは建前でしょう? 仮にもご令嬢が、冒険者などといういかがわしい身分の者と旅に出るなどありえない。だから、即席であっても私を“従者”とした。従者なら、令嬢に付き従っていてもおかしくないですからね」
「うん、まあ、そうなんだけど……。怒らないの? こんな面倒な旅に同行させやがって!! とか」
「別に。初心者と組むのも一興かと。無知な素人を優しく先導していくのは、上級者の務めでもありますから。“お嬢さまの従者”というのも、なかなか新鮮で、いい経験だと思ってますよ」
“初心者”“無知な素人”という部分に、お嬢さまがプウッと頬をふくらます。怒っているのに愛らしいふくれっ面。
「それに、お嬢さまの志に感動しているのですよ。領民たちを守るため、自ら冒険者となってモンスターを倒す旅に出るなど。普通は、金に物を言わせて冒険者を雇って終わりですからね」
領民の生活を脅かすモンスターを倒すのは領主の責務。しかし、大抵は金で雇った傭兵や冒険者に任せて、自分たちは安全な場所でぬくぬくと暮らしてたりする。冒険者など使い捨て。戦ってどうなろうと、誰も気にしない。それが、普通。
「だって、うちは貧しいし。冒険者をたくさん雇う余裕なんてないし……」
「領民なんてどうなろうと構わないと放置する領主もたくさんおりますから。みずから冒険に出ようとする、お嬢さまの正義感にひどく感銘しているのです」
「レイ……」
「立てますか?」
「うん……、あぅっ」
座り込んだままのお嬢さまに差し出した手。その手をつかんだお嬢さまが、変な声を上げた。
「な、なんでも、ない、わ……」
言って立ち上がろうとするお嬢さま。しかし、その脚はプルプルと震え、体がヒクンッと軽く跳ねた。顔はずっと赤いまま、目も潤んでいる。
「お嬢さま、まさかスライムに……」
「だ、だいじょうぶっ!! 種付けはされてないからっ!!」
だが、体は小刻みに痙攣をくり返している。呼吸も荒く、収まる様子はない。溶けてボロ布と化した服の間からのぞく胸は、その先端、乳首をツンっと立たせたままだ。
「お嬢さま、一度確かめたほうがよろしいですね」
「え? なに、を?」
「スライムに犯されてないかを、です。種を出されてなかったとしても、もしかすると、まだスライムがお体の中に残っているのかもしれません」
「え? でも、スライムはさっき全部抜いてくれ……、あぁん!!」
その尖った乳首を空いてる手のひらでそっとこすってやる。それだけで、お嬢さまの体はビクビクっと震え上がった。
「ほら、これがスライムに襲われた後遺症なんです。体に力が入らないでしょう?」
クタリと草むらに崩れ落ちたお嬢さまの体。
「このまま放置すると、中に残ったスライムが成長して種付けをするかもしれません」
「そ、そうな……、のっ、あっ、ああんっ!!」
「ええ。ですので、お嬢さまのお体にスライムが残っていないかどうか、確認しておきましょう」
「わ、わかったわ……、あぅ、うぅ、ふぅん」
熱い吐息混じりの了承。それを聞きながら、こするだけだった手で、胸をガシッとつかんでやる。
しっとりと汗ばんだお嬢さまの胸。そのまま揉みしだくと、お嬢さまがやるせなさそうに、息を漏らした。
「レイ……」
握ったままのお嬢さまの手。そこに少しだけ力がこもる。
「気持ちいいのですか?」
「うん……、きもちい……」
快感に耐えようと閉じた瞼。まつげが、赤く染まった目の下に陰影を作り出す。
「いけませんね。これぐらいで気持ちよくなっては」
「いけ……ないの……?」
「ええ。スライムに媚薬を注入されてますね。アイツらは、種付けする前に、寄生先に媚薬を入れるのです。快感を与えることで、抵抗されることなく種付けできますからね」
「そん、な……。ど、どうし、よ……」
「大丈夫です。これから、ちゃんと処置して差し上げますから」
肩に引っかかるだけになっていたお嬢さまの服の残骸を取り払い、そのまま草むらの上にお嬢さまを押し倒す。
「れ、レイ……?」
「媚薬の効果が消えるまで、気持ちよくして差し上げます。でないと、残った媚薬が脳に回って、狂ってしまいますからね。最悪、死に至ることもあるんですよ」
「そんなの……、イヤ……」
「大丈夫です。さあ、体から力を抜いて。これから私がやることに、気持ちよかったらそのまま身を委ねてください」
「うん……、ンッ!! フッ……!!」
ポッテリと濡れたお嬢さまの唇。そこに自分のを重ね合わせる。
「ン、ンンッ……」
驚き少し開いた唇の中へと舌を滑り込ませ、そのまま歯列をなぞり、上顎を舌先で舐め、逃げ場を失ったお嬢さまの舌を絡め取る。
仰向けに転がったお嬢さまの上にまたがり、両手で顔を包み込み、お嬢さまの口腔を蹂躙する。
「ンッ!! ンンッ!! ン!!」
声も上げられず、代わりに抗議するようにオレの体を叩くお嬢さまの手。必死にのけぞるお嬢さまの体。
「……苦しいんですか? 息は、鼻でしてください」
軽くプニュッと鼻をつまんでやってから、再び口腔を犯す。息の仕方を教えたからか、抗議の声は上がらない。それどころか、舌を差し入れると、お嬢さまが不器用ながらも舌をこすり合わせてきた。ザラザラとした舌の感触。
「気持ちいいのですか?」
少し離して訊ねると、お嬢さまが軽くうなずいた。もっと、と言いたいのだろうか。オレの首に回されるお嬢さまの腕。
その仕草に抗うことなく唇を重ねる。角度を変え、何度も唇を押し付ける。
上顎をツツッと舌でなぞると、お嬢さまの背中がビクビクっと反った。反応が面白くて何度もなぞるうち、違った意味で背中を反らしていることに気づく。
背中が反るたびにこすれるお嬢さまの乳首。オレの胸に、ツンっと立ち上がった乳首をこすりつけている。もっと快楽を味わいたいのか、背中が反るだけでなく、体が左右に揺れ始めていた。
「――お嬢さま、ご自身で感じていらっしゃるのですか」
お嬢さまの腕をそっとほどき、身を離す。とたんに寂しげな、それでいて羞恥にまみれた表情になる。無意識に自分の胸を押し付けていたこと、身を離したことで我に返り、恥ずかしく思っているのだろう。
「いいですよ。もっと感じてくださっても」
上着を脱ぎ捨て素肌をさらす。羞恥から逃げようと軽くよじったままのお嬢さまの体を抱きしめ、首筋に唇を当てる。
「ひぃ、あ、れ、レイ……!!」
鎖骨から耳にかけて唇を這わせ、そのまま柔らかい耳たぶを喰む。
「いっぱい感じて、スライムが残した媚薬という毒素を抜いてしまいましょうね」
「あ、う……ん、あっ、はっ……!!」
グチュグチュとわざと音を立てて、お嬢さまの耳に舌を突き立てる。
「スライムはここにも入ろうとしたのですか? 口の中と同じ甘い匂いがします」
「なぞられた……だけっ、入ってない、よ、あっ!!」
「しかし、キレイに拭っておかねばいけませんね。毒を残しておいて何一ついいことはありませんから」
何度も何度も執拗に耳を舐める。耳たぶを甘く噛む。それと同時に、尖った胸を押しつぶすように体を押し付ける。
熱く火照ってきたオレの体と、柔らかいお嬢さまの体がこすり合う。
(毒は、どっちなんだろうな)
種付けしようとしたスライムと、解毒といいながら愛撫するオレと。
スライムの媚薬なんて、本当は大したものではない。解毒魔法でもかけてもらえば済むことだ。誰かにかけてもらわなくても、オレ自身がその魔法を使えばいいだけのこと。なんなら、一晩我慢すれば抜けてしまう程度のもの。
魔法を使えば一瞬で終わる。触手だって、全部取り除いた。
後遺症なんて大嘘だ。
だが。
(あれを目の前にして、我慢は無理だ)
お嬢さまの痴態。
いつもは、令嬢らしく清楚に、それでいて冒険者らしくこざっぱりとした装いのお嬢さま。ほどよく大きな胸、しなやかにくびれた腰回り。愛らしい顔立ち。柔らかそうな髪。ハツラツと明るい声。誰にでも別け隔てなく接する優しさと、誰かのために頑張る健気さ。
長く冒険者暮らしをしてきたオレにとって、その平和そうで幸せそうな姿は、眩しく、そして憎らしくもあった。
信頼を寄せてるであろう相手から裏切られ、蹂躙されたらどうなるのか。それでも前向きに笑っていられるのか? そんな破壊願望と同時に、その清らかさを大事にしたいと思う自分もいた。掌中の珠のように、真綿で包み込むように、大切に壊さないように。冒険に出るというのなら、全力をもって守り抜く。
それがどうだろう。
スライムに襲われ、無惨なほどに壊されたお嬢さま。触手に犯され、媚薬も盛られたのだろう。肌をむき出しにして喘ぐその姿に、オレの願いは一つの衝動へと集約されていった。
――この女がほしい。
令嬢だとか、身分だとか、関係ない。
蹂躙? 守る? そんなこと、どうでもいい。
愛してるだとか、愛おしいとか、言葉すら面倒だ。
ただただ、この女が欲しい。
手に入れるためなら、どんな嘘だって吐く。手段は選ばない。
この女の中に、欲望をぶちまけることさえできれば。あとはどうなっても構わない。どれだけでも欺ける。
(オレも媚薬に惑わされてるのかもな)
ふとそんなことを思ったが、今はそれもどうだっていい。
ひたすらに、嘘を並べ立て、この女を貪り尽くす。
「あ、ああっ、レイ、あ、ああっ……」
首筋をたどって、胸に這わせた唇。そのまま乳首を吸い上げ、舐め、口のなかで転がしてやると、ひときわ大きな嬌声が上がった。
「ひぅ……!!」
乳首を甘く噛んでやると、また体が震えた。痛いのかとも思ったが、嫌がってない証拠に、オレの頭を抱え込むように動いたお嬢さまの手。オレの髪に指を絡ませ、グイグイと胸を押し付けてくる。もっと吸え、もっと噛めってことなんだろう。その指示に逆らうことなくジュルジュルと音を立てて胸を吸い上げる。空いてるもう片方の胸は、手のひらで押しつぶし、乳首の先を爪で引っ掻いてやる。
「あ、レイ、レイ……!!」
せわしなく繰り返される喘ぎ声。胸を愛撫するオレにも伝わってくる激しい心音。
それだけじゃない。
ひどく濡れた股がグリグリとオレの一物にこすりつけられる。ヌルヌル、ヌメヌメと。まるで、このまま入れろとばかりに濡れぼそったお嬢さまの秘部。オレも硬く熱を帯び始めた一物をこすりつけ、軽く腰を前後させると、またお嬢さまの体が震えた。オレを迎え入れるつもりなのか、自然と脚が緩み自ら股を広げるお嬢さま。
ここに突き立てたら、きっと最高に気持ちいい。
わかってるが、それはまだだ。
胸をしゃぶりつつ、トロトロになってる孔に、一物代わりの指を突き立てる。
「あひっ……!!」
あまりに濡れていたため、そっと挿れるつもりが、ズプッと勢いよく突き立ってしまった。弾けるようにブチュッと中に溜まっていた愛液が噴き出す。
「すごい、溢れてきますね」
指は根本まで、やすやすと飲み込まれた。動かすたびに、グチュグチュと粘ついた音がして、隙間から愛液が滴り落ちる。
「ン、ンンッ、ン、フッ……」
噛み殺された喘ぎ声。見れば、お嬢さまが自分の腕を口に押し当て、必死に快楽から耐えていた。
「いけませんね。ほら、手を離して」
その腕をつかみとる。腕には、赤く歯型が残る。
「だって、声、恥ずか、しっ……!! あっ!!」
「いいんですよ、声ぐらい。どれだけ啼いても、ここには私しかおりませんので。それに、啼くことで気持ちいいのを逃さないと、体が更に辛くなりますよ」
つかんだ腕に残った歯型をチロチロと舌で舐め、口づける。
「ほら、たくさん啼いてくださいお嬢さま」
甘い啼き声、タップリ聴かせろ。
ジュプジュプと音を立てて挿入する指。二つに増やして、うねる壁を押し上げるようにバラバラに動かす。
「ひぃ、あ、はぁ、あっ、ダメ、そこ、そこっ……!!」
オレの手をベトベトに濡らしながら、お嬢さまが叫ぶ。掻き出された愛液が、オレの手首まで滴り落ちてくる。
「いっ、気持ち、いっ、あ、ああっ、んあっ……!!」
すがるように伸ばされた手が、オレの腕をつかむ。
「イきそうですか? お嬢さま?」
訊かなくてもわかっている。中が大きくうねり、蠢き、指がもぎ取られそうなほど締め付けられる。
「では、そのままイッておきましょう。気持ちいいのなら、そのまま抗わずに気持ちよくなってください」
「で、でも、こわ、い……!!」
涙を溜めた目でこちらを見てくるお嬢さま。初めての快感に戸惑っているのだろう。
(処女だしな)
「大丈夫です。ほら、イッてください!!」
グニグニと内壁を押し上げ、前後する速度を上げる。
「あ、やっ、ダメ、ダメェッ……!! ああっ……!!」
腰を浮かせ、きつく孔を締め上げたお嬢さまが絶頂を迎えた。指が突き上げた下腹から全身に軽く痙攣が伝わり強ばる。
「――っあ、はあっ、はあっ……」
一瞬、息を止めたお嬢さま。弛緩とともに、吹き返すように深く息を吐き出した。
「イキましたね」
その赤く熟れた肉体を見下ろし、孔から指をそっと引き抜く。トロリと指にまとわりつく愛液を見せつけるように舐める。やはり、スライムに襲われてたせいか、ほんのり甘い。
「あ……」
羞恥にまみれたお嬢さまが顔を背ける。
その姿がまた男の情欲をそそるとも知らずに。
「毒が残ってますね」
「そ、そうなの?」
「ええ。一回イッただけでは抜けきらないようです」
そんなの嘘だ。
甘いが、毒なんて残ってない。
「あと何回か、イッておきましょう」
「え? や、やあっ……!!」
お嬢さまの太ももを持ち上げる。赤くヌラヌラと光る秘部。その真ん中で絶頂を得た孔がヒクヒクと震えていたが、あえてそこに触れず、代わりにポッテリ膨らんだすぐ上の突起をつまむ。
「ひぃん……!!」
「ここ、気持ちよくないですか?」
つまんで、こねて、押しつぶして、爪で引っ掻く。
「あ、き、気持ちいい、から……っ!! あ、ああっ、あっ……!!」
その小さな花芽をもてあそぶたび、孔からコポン、クポンと愛液が溢れ出す。そのままお尻へと伝った愛液が、押しつぶされた草を濡らしていく。
「中から甘酸っぱい匂いもします。いけませんね。毒がまだ残っていたようです。しっかり拭っておきますね」
溢れた愛液は毒ではない。甘い香りはお嬢さまが感じているから。だが。
「ひっ、ダメ、そんなとこ舐めちゃ、あ、ああっ……!!」
抵抗するように身をよじるお嬢さま。けれど、快感を味わってる体では力が入らないのか、オレにされるまま、花芽も孔も舐め続けられた。
「あ、ああんっ……!!」
花芽から孔へ、舌でなぞると甘い嬌声。これで嫌がってるのなら、笑ってしまう。
執拗に舌で花芽を愛撫し、溢れ続ける愛液を音をたてて啜り上げる。
「や、そんなの、飲んじゃ……!! あ、ああっ」
わざとジュルジュルと嚥下する音を立ててやると、お嬢さまがイヤイヤと首をふった。しかし体は素直なようで、もっと飲め、もっと快感を与えろと、オレに秘部を押し付けてくる。
「お嬢さま、中も拭っておきますね」
赤く腫れた孔の周りの媚肉をかき分け、孔の中に舌を突き立てる。
「あ、い、そ、それっ……、ああっ!!」
指のような速さはないが、ザラザラする舌でこすられ出し入れされて、お嬢さまの膣がキュウキュウとうねりだす。溢れる愛液の量も増えてきた。
「あうっ……!!」
入り口近くのザラッとしたところをなぞると、ビクンと腰が動いた。喘ぐ声も変わった。
「気持ちいいんですね。ここ」
視線を上げると、胸の谷間の向こう、ギュッと目を閉じたままコクコクと頷くお嬢さまの顔が見えた。
「じゃあ、これはどうです?」
目の下を真っ赤にして、必死に快感に耐えてるその表情。もっとイジメてやりたくなる。
お嬢さまの気持ちいいところを執拗に舐めながら、指で花芽を弄り倒す。
「ひぃ……!! りょ、両方は……、あ、あぁん!!」
感じるところと花芽は、ちょうど裏表にあたる。両方からの責めはかなりの快感を与えてるはずだ。
絶頂を極めるお嬢さまの顔が見たい。
そう思ったオレは体を起こし、指で花芽と孔の中を愛撫する。快感に目を見開き、腰を浮かせるお嬢さま。嬌声を上げ続ける唇からは、飲み込めなかったヨダレが流れ落ちる。
「レイ、ダメッ、そこ、あ、ああっ、来るっ!! 来ちゃうっ!!」
視点が定まらないお嬢さまの目。ダメと言いながら、腰はさらなる快感を求めて動いている。
「違いますよ。そういう時は『イく』って言うんです」
「ち、違うの、あ、ああっ、出るっ!! なんか出ちゃ……、ああっ!!」
ブルッと震えたお嬢さまの肢体。同時に恥部からプシャッと吹き出した潮。
「お嬢さま自ら、“潮吹き”で体を清められたのですね」
「し、お、吹き……?」
「ええ。体内から毒を吐き出すために必要なことです。潮とともに体内から毒を吹き出させる。歴戦の勇者でもなかなかできることではありません」
「そう、なの……?」
二度目の絶頂を極め、浅く肩で息をしながら訊ねるお嬢さま。信じているのなら、これほどチョロい相手はいない。純粋すぎる。
「さて、残りはこの孔のなかにスライムの破片がないか、確認するだけですね」
「確認?」
「そうです。少しでも残っていたら大変ですからね。これを使って捜索します」
下穿きのなか、我慢できずに張り詰めた一物をズルンと引きずり出す。
「で、でも、さっき、指と舌で確認したんじゃ……」
「ええ。ですが、それでは届かない最奥に隠れている場合がありますので。これなら充分長いので、指よりも奥まで探ることが出来るのですよ」
「そ、そうなの?」
「はい」
自分でもよくぞここまで嘘を突き通せるものだと感心する。騙されすぎだぞお嬢さま。
いや。
騙されてるだけじゃない。
二度も絶頂を迎え、さんざん喘がされたお嬢さま。オレの血管の浮かび上がってそそり立つ一物を眺めるその目は、欲情にまみれた雌の色をしている。本能が、それを求めているのだ。
「ゆっくり、丹念に調べますので、力を抜いてください。できれば、探りやすいよう、脚を広げて」
「こ、こう?」
仰向けに転がり、脚を広げるお嬢さま。月明かりに光る孔がとても卑猥だ。
「そのまま、孔の奥まで見えるように。指で広げてくださいませんか?」
「わかったわ、んん……!!」
素直すぎるお嬢さまが、指で孔を広げて見せる。自分の指でも感じてるのか。くぱあっと開いた孔の奥の媚肉がヒクヒクと蠢いている。
――たまらない。
このままずっと見ていたいような。一気に突きこんで、グッチャグチャにして本能のままにぶちまけたいような。
ここに突き立てたらどれほどの快感を味わえるのか。無意識にゴクリと喉を鳴らす。
「ね、ねえ。まだなの……?」
「ああ、すみません。少し準備をしていたもので」
「準備?」
「ええ。最奥を探るためには、少しでも長くなるように準備が必要なのですが……。お嬢さま、お手伝い願えませんか?」
情欲が、オレの心の昏い部分に火を灯す。嗜虐心という炎。
「何をするの?」
「お嬢さまの手で、これをこすっていただきたいのです。こすればこするほど大きく硬くなって、調べやすくなりますから」
「そ、そうなの? じゃ、じゃあ……」
体を起こしたお嬢さま。恐るおそる伸ばされたお嬢さまの手が、オレの一物をつかむ。
「そうです。そのままギュッとつかんで、手を上下させてください」
ヒンヤリと細いお嬢さまの手がオレの一物をしごきあげる。オレも、お嬢さまがやりやすいように膝立ちして行為を迎え入れる。
「これで、いい……?」
「ええ。とてもお上手です」
不安そうに、オレの一物に顔を寄せるお嬢さま。その手の動きに合わせて沸き起こってくる快感と欲望。その顔にぶちまけてやったら、どんな顔をするのか見てみたい。
(いや、ダメだ。出すならコイツの腹の中だ)
二度でも三度でも出せる自信があるが、処女にそれをして引かれたら元も子もない。
「ねえ、レイもスライムに襲われたの?」
「え?」
気持ちよくなりかけた熱を冷ますようなお嬢さまの問いかけ。オレが? スライムに?
「だって、ほら。レイも毒が出てるわよ」
一物の先端から溢れたそれを手のひらにこすりつけたお嬢さま。そのまま一物をこすられ、手の中からヌチヌチと粘ついた音がした。
「そう、ですね。先程、スライムを倒した時に、少し毒が入ったのかもしれません」
嘘もここに極まれり。
「どうしたらいいの? 解毒の方法ってあるの?」
困惑したお嬢さまの顔。ああ、やっぱり初心すぎる。
「では、お嬢さまが舐め取ってくださいませんか? 私がして差し上げたように、お口でしゃぶって解毒するんです」
「え? ……じゃあ、――こほ?」
ヌポッとお嬢さまの口に入ったオレの一物。お嬢さまの声が振動として、屹立に伝わる。四つん這いになり、髪を掻き上げ、上目遣いにこちらを見てくるお嬢さま。その背中から尻にかけての稜線が素晴らしい。薄い産毛が月の光に輝いている。
「そう。そうです。そのまま口すぼめて前後に顔を動かして。いいですね。お上手ですよ」
腰を動かしたい衝動を抑え、口から与えられる快感に耐える。本当は顔を押さえ、ガンガンとお嬢さまがえずくぐらい奥に突き入れたい。喉の奥に流し込むように、滾った欲望をぶちまけたい。
「舌で先端を舐めてくださいませんか?」
「ん、んんっ……、んっ、へんふぁ、んっ、あひが、ふる、ふぁ」
「ええ。スライムの毒ですね。ああ、そうやって舐めてしゃぶってくださると、解毒されていくのがわかりますよ」
嘘だ。情欲を毒とするならば、体に溜まっていく一方だ。どこかで爆発させないと狂ってしまう。このままぶちまけたい。
「お嬢さま」
本能を無理やり押さえつけ、ズポッとお嬢さまの口腔から抜け出す。
「え? あ、レイ……ッ!!」
出すならこの中だ。
赤黒く淫猥な屹立が、お嬢さまの口淫でヌラヌラと光っている。
仰向けに押し倒したお嬢さまの脚を持ち上げ、ひくつく孔にズプリとそれを突き立てる。
「あっ、ああ……!!」
散々愛撫し、絶頂を味わったお嬢さまの中。突然押し入ったオレのそれを、熱く濡れながら歓待してくれる、お嬢さまの膣。
「痛みますか?」
「へ、いき……。だいじょう、ぶ、よ……、レ、イ」
途切れ途切れに紡がれる言葉。快楽を逃そうと、浅い息をくり返してるせいだ。初めて雄を迎え入れた孔からは血が滴り落ちているのに。痛みより快感がお嬢さまを支配しているらしい。
「中は狭い……ですね。熱くて、きつくて。――とろけそうだ」
蠢く膣は、悦び最奥へといざないながら、搾り取ろうと締め上げてくる。
そんな隘路を分け入り、一物の根本まで孔の中に埋める。
「全部、挿りましたよ。お嬢さま」
「ぜん、ぶ……?」
「ええ。――ほら。一つにつながってます」
お嬢さまの手を取り、つながった秘部に触れさせる。恥骨から花芽、媚肉を分け、食い込むオレの一物の根本を指でなぞらせた。
「上からでもわかりますか?」
ついで、下腹部を手のひらで押さえてやる。
「あうっ……!! わ、わかる、わっ、あっ、あぁん!!」
グイグイと一物の形がわかるように押さえると、それだけで感じるのか、お嬢さまが首を仰け反らせた。
「しばらくこのままでいましょうか。お嬢さまの中が、私の形を覚えるまで」
「――覚える?」
「そうです。お嬢さまが私のを、私のがお嬢さまの形を覚える。そうすることで、捜索がしやすくなるのですよ」
違う。快感を得やすくなるのだ。
オレだけの孔。オレしか知らない孔。オレだけのすべて。
「しばらくはこうして。お嬢さま。先程舐めていただきました毒、今度は私が舐めて浄化して差し上げます」
「ん、んふっ……」
豊満な胸を押しつぶすようにして、お嬢さまに口づけ、口腔を犯す。
上の口も下の口も。この体の全てはオレのものだ。
両手で頬をつかみ、口づけを続ける。舌を絡め、唾液が混じり合う。吐息も嬌声も、すべてを呑み込み、味わう。
「はっ、あっ、レイ、レイ……っ!!」
息継ぎの合間にこぼれ落ちるオレの名前。お嬢さまも興奮しているのか、まさぐるようにオレの体に腕を伸ばし、背中にしがみついてくる。
「お嬢さま……っ!!」
動かないと決めたはずなのに、衝動にかられ、体をうねらせる。腰を前後させると、お嬢さまがくぐもった嬌声を上げた。
冷たく乾いた夜の森。だが、重なり合った体は、溶けるように熱く湿っている。
「は、あっ、あっ、レイッ、レイッ……!!」
息に合わせ途切れとぎれに喘ぐ声と、グチュグチュと愛液が泡立つ音、パチュパチュと湿った肉がぶつかる音が、夜の静寂に響き渡る。
甘く淫猥な匂いと、押しつぶされた草の匂いが混じり合う。
ここには誰もいない。誰も見ていない。
ここでなら、何者でもない。ご令嬢も従者も関係ない。ただの男と女。
情欲にまみれ、互いを欲するだけの存在。
かすかに届いた月明かりのなか、蠢く獣のような二人。
「あ、ああっ……!!」
激しく突き上げると、先端がコリッとした部分に到達した。
「ひうっ……!!」
「ここ、子宮の入り口ですね。コリコリしてる」
一物の先でつつくと、お嬢さまの体がビクビクと跳ねた。
「気持ちいいのですか?」
「う、うん……、気持ち、い……あぁん!!」
「ここにも残ってないか、よく調べないと」
軽く腰を動かして何度もつつく。
「ひぃ、あ、あっ、そこ、は、残ってなぁ、あぁん!!」
コツコツぶつけていた先端。それを少しずつ大胆に、ゴツゴツゴリゴリと最奥にぶつけていく。
「あっ、あっ、あひっ、ダ、ダメッ、気持ち、よすぎて、頭、おかしく、な、るっ……!!」
「いいんですよ。そのまま感じていてください」
「や、やあっ……、あっ、あんっ」
快感に下りてきた子宮を突き上げられ、律動に合わせてお嬢さまが喘ぐ。膣の締めつけもきつくなり、蠕動が激しくなる。雄の精を呑みたくて仕方ない、淫らな雌の体。
(イキそうか?)
そのうねり具合から絶頂が近いことを知り、奥にぶつけることをやめ、速度をゆるめる。
(まだだ)
まだイカせない。
「熱い、のっ……、こすれ……て、あ、あっ、あっ、あっ、あっ」
わざと気持ちいいところを外し、膣壁を亀頭でこすり上げると、お嬢さまが短い嬌声を紡ぎ始めた。重い快楽から解放され、しかし物足りないのか、オレの動きに合わせてお嬢さまの腰が揺れ始めた。
「お嬢さま、もっとして欲しいのですか?」
「う、ん……っ!! ほしいっ……!! ほしいのっ!! レイの、気持ちいっ、の、いっぱい、して……っ!!」
情欲に溺れたお嬢さまに羞恥心など残ってない。オレに言われるまま、素直に欲望をむき出しにする。
オレも襞に引っかかった亀頭から伝わる快感に、すべてを持っていかれそうになる。目をつむり、突き込んだ屹立に全神経を集中させる。
終わりたくない。だけど、さらなる快感を得たい。お嬢さまの体を味わいたい。
「お嬢さま……っ!!」
嬢さまの両手首をつかんでその体を引き寄せると、狂ったように腰を振りたくった。
「あ、それダメッ、深っ!! 奥っ、奥にぶつか……、あ、あひっ、ひっ、あっ、あぁん!!」
再び与えられた逃げ場のない快楽。激しい挿入に、お嬢さまの胸がタプタプと揺れ続ける。
「お嬢さま、イキそうですか?」
「あ、うん、イクッ、イッちゃう……!! 気持ち、いっ、あ、あっ、あ……!!」
グチュグチュ、ジュプジュプと泡立つ愛液。
いや、愛液だけじゃない。オレの先走りも混じっている。互いの快楽は、とっくに限界を迎えている。
「ではお嬢さま、浄化するための最後の仕上げです。受け取ってくださいっ!!」
「えっ、あっ、ああ……っ!!」
体中の熱が、屹立の先に集まるような感覚。
手首を解放した代わりにその細い腰をつかむと、己の腰を勢いよく叩きつけ、最奥を穿ち、欲望をぶちまける。
「あ……、ひぃあ……、あ……」
「クッ……!!」
軽く腰を動かして、最後の一滴まで中に注ぎ込む。ビュルビュルっと脈打つように噴き出した欲望を浴びて、時折お嬢さまが体をひくつかせる。すべて呑み込むつもりなのか、痙攣してこわばった体の奥で、膣がギュッと一物を締め上げた。
「ハァッ……、ハァッ……」
すべてを吐き出した体から力が抜ける。お嬢さまの上に崩れるようにのしかかると、互いの熱い吐息が混じり合った。
「レ……イ……」
「よくがんばりましたね。これで、スライムの毒は消えましたよ」
汗ばんだ額に張り付いた髪を指で払ってやる。優しく頬を撫でて微笑み、行為に疲れたであろう体を労ってやる。絶頂を味わい上気した顔は、どこまでも艶めかしく愛おしい。
ご令嬢と従者。「愛してる」とは言えない関係。交わりあい、高ぶった体が冷めてくると同時に突きつけられる現実。この冒険が終われば、お嬢さまは名家の息女らしく、身分につり合った男の元へと嫁ぐだろう。オレは従者を解雇され、その日暮らしの命の保証さえない冒険者に戻る。
だから、これが精一杯の愛情表現。
「レイ、行かないで……」
「お嬢さま?」
終わりにしようとしたオレを抱きしめる手。細い指が、オレの背中を捕らえる。
「もう少しだけ、このままでいて……」
オレの肩口に顔を寄せたお嬢さま。その体は小さく震えていた。
(泣いている?)
肩を冷たく感じた。
「――大丈夫ですよ、もうスライムは襲ってきません。襲ってきたとしても、私がすべて倒して差し上げます」
「……うん」
「何があっても、私はお嬢さまの味方ですよ」
「……うん」
愛してると言わない代わりに、永遠の忠誠を誓う。
「レイ……」
呟かれた名前。そこにどんな想いがあるのか。
“スライムの毒”などと嘘を並べ立てたが、お嬢さまは気づいていたのかもしれない。ただ単にオレがお嬢さまを抱きたかっただけだということを。
「ねえ、もっとシて? スライムの毒で苦しいの……。お願い……」
お嬢さまも、か細く嘘を吐く。
スライムに襲われたのだって、もしかしたらオレとこうなりたかったから、その口実だったのかもしれない。襲われたらオレが助けてくれるかもしれない。オレが解毒と称して抱くかもしれないと。
「承知いたしました。お嬢さま」
嘘には嘘で。
ご令嬢の命令に従い、言葉に出来ない想いの代わりに、涙に濡れた瞼に口づけを落とす。
瞼から、頬、そして首筋、鎖骨、なだらかに続く胸のふくらみへ。
愛撫をくり返し、ゆっくりと再び腰を動かす。
「今、楽にして差し上げますからね」
毒なんてとっくに抜けている。
だが、それは愛し合うための言い訳。名目。名家の令嬢と元冒険者の従者。許されない立場の者同士が睦み合うための免罪符。
このまま熱く溶け合って、一つになってしまえばいい。冒険も身分も何もかもかなぐり捨てて、ただの愛し合う一つの塊になってしまえば。
* * * *
「あ、あ、レイ、レイ……ッ!!」
男の名を呼び、抱かれる悦びに体を震わせる女。
その女の体を抱きしめ、貪り、まぐわい、絶頂へと律動をくり返す男。
青白い月の光が、愛し合う二人の体を一つの影絵のように森の中に浮かび上がらせた。
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