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二、籠鳥
(五)
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く、食った……。
卓の上のもの、全部。オレのぶんは全部腹のなかに収めきった。空いた皿の上、蕃茄のひとかけらも残っちゃいない。全部ぜんぶ腹のなか。
「リュカ姫、お茶を……」
「あ、いらね。それより帯を解いて横になってもいいか?」
腹に少しでもゆとりを持たせたい。
嫌いな蕃茄を食べたからじゃない。蕃茄を抜いたとしても、腹がはち切れそうなぐらい食った。ちょっと動いただけで、喉に逆流してきそう。ウプ。
「そこの牀を使え」
「ありがとよ」
皇子の申し出に遠慮することなく、ヨロヨロと牀に近づく。帯を解いても苦しいのは変わらなかったので、少しでも消化を促進、胃から腸へ食べものを流すために、右腹を下にして寝転んだ。まあ、気休めだけど。
「まさか、全部食べるとはな」
少し遅れて、呆れた皇子が近づいてきた。
「ふん。こんなことで勝てるなんて思うなんざ、百万年早いんだよ」
オレはやってやったぜ。全部食った。オレの勝利だ。
売られたケンカはオレの勝ち。
「次は、オレの用意したもん食ってもらうからな」
「わかった」
お。
意外と聞き分けいいじゃん。
もっとなんていうのか、「そんな約束をした覚えはない」とかなんとか言って逃げるかと思ったのに。
(頑張って食ったかいはあったなあ)
おそらくだけど、一生分の蕃茄を食った気がする。蕃茄、蕃茄、蕃茄づくし。もう、一生蕃茄見たくねえ。って。
「ぎも゛ぢわ゛り゛ぃ……」
ちょっと息をするだけで気持ち悪さが駆け上がってくる。コイツの前で吐くなんて醜態晒したくないけど、これはさすがに……。
嫌いなものを食べたからじゃない。これはただの食べ過ぎ。胃もたれ。まあ、口の中に残ってる蕃茄の味も気持ち悪いんだけど。
「だ、大丈夫ですか、リュカ姫」
これが大丈夫に見えるか、オッサンよ。
吐き出すのを我慢するため、深呼吸すらできないこの状態が。
「オッサン。室にあるオレの行李を持ってきてくれ」
「行李?」
「そこに薬が入って……ウプ」
ダメだ。これ以上喋れねえ。喋ったら出る。
「わかりました。行李ですね! 持ってきます!」
あわてて室を飛び出していったオッサン。
頼む。間に合ってくれ。
早く薬を。薬をくれ。
でないと、オレ……。
「リュカ」
突然、皇子に名を呼ばれた。そして。
ゴロン。
横向きの体を仰向けに転がされ――って、テメエ何しやがる! その衝撃で、喉まで来てるそれを吐いちまうだろうが……って。え?
帯を緩めたオレの体の上をなぞるようにかざされた皇子の手のひら。喉のあたりから、胸、腹。ゆっくりと動かされ、それと同時に体に溜まってきた気持ち悪さが抜けていく。まるで、その手のひらに吸い取られるように。
「お、皇子?」
オレの体、どうなったんだ? 吐く寸前まできてた気持ち悪さがどこにも残ってない。体は重いけど、言ってしまえばそれだけ。
「これは……さすがに。堪える……な」
「お、おいっ!」
オレが体を起こすと同時に、皇子が崩れ落ちた。
「お前……、まさか、オレの吐き気を抜き取ったのか?」
どういう仕組みで、どうやったらそんなことができるのか。
言ってて自分でもわけわかんねえけど、この状況はそういうことなんだろう。オレの吐き気をコイツが抜き取った。手をかざしたことで、吐き気を自分の体に移し替えた。
驚いたオレがその体を支えると、皇子が青い顔のままニッと笑った。肯定という意味の笑い。
「バカか、お前は」
「バカはお前の方だ。こんなに気持ち悪くなるまで蕃茄を食べるなんて、な」
グッタリした皇子の体を牀に転がす。
浅い息。青いどころか紙のように白くなった顔。まるで、さっきまでのオレを再現したような皇子の姿。
辛いのだろう。皇子が閉じた目の上に腕を当てた。
「行李、持ってきましたよ……って、うわあああっ! まさかリュカ殿、殿下をのしちゃったんですかあっ!?」
「違う! オレじゃねえっ!」
行李を片手に帰ってきたオッサンの言葉を即座に否定。
「コイツが、手のひらをかざして、オレの気持ち悪さを抜き取ったんだよ!」
「術を使ったのですか?」
「術?」
「皇族だけが使える、不思議な技のことですよ」
首をかしげたオレに、オッサンが説明を始めた。
「皇族がこの国の長たる所以は、その術を扱える力にありますからね。普通では扱うことのできない力を操って統治してるんですよ」
「ふうん」
話を聞きながら、受け取った行李を開く。
「皇族の方々は、それぞれ操ることのできる力を象徴した瞳をお持ちです。火の紅。水の碧。土の琥珀。風の翠。皇帝陛下は、土の琥珀。殿下の場合は、碧の瞳。〝水〟の力を得意とされています。おそらくですけど、その力を使って、リュカ殿の体内を巡る吐き気を吸い取られたのでしょう」
今は、腕に隠されたきれいな青い目。
その目にそんな意味があると、初めて知った。
「とりあえず、これを呑め。楽になる」
行李から取り出したのは、袋に入れておいた丸薬。独特の草の匂いがあたりに広がる。
「不味いのか?」
「不味くても呑め。気持ち悪さが抑えられる」
皇子の上半身を支え、押し付けるように無理やり呑ませる。嫌がるかと思ったけど、暴れるだけの力もないのだろう。渡した水で素直に呑み下す。
「これで後は安静にしていれば、楽になるはずだ。そのまま横になってろ」
皇子を休ませてから、同じ丸薬を同じ数だけ自分も呑む。
消化を助け、胃もたれと吐き気を抑える丸薬。
いくらコイツが気持ち悪さを抜き取ってくれたとしても、オレの体はまだ絶賛消化不良中。吐きはしないけど、胃はパンパンに膨らんでる。
「まったく、バカなことしやがって。オレだけなら一人分の丸薬ですんだのに。おかげで薬が二人分必要になっちまったじゃねえか」
術だなんだって、すげえことされた、助かったって思わないでもないけど。でも、その吐き気の源はオレの体に残ったままなんだから、薬を呑まなきゃいけないのは同じ。二人分、余分に薬がいるようになっただけ。
「すまない」
珍しく殊勝な皇子。
少しだけ。ほんの少しだけ顔色が良くなっている。
「なあ、なんでそんな術を使ったんだ? オレの吐き気を抜き取るだなんて」
術がどんなものか、庶民であるオレは具体的には知らないけど、それでもコイツが手をかざしただけで体の気持ち悪さ、吐き気が抜けたってことはそういうことなんだろう。
術を使って、オレの吐き気を引っこ抜いた。正確には、オレの吐き気を自分の体に移し替えた。
今までのコイツなら、オレが蕃茄を食べすぎて気持ち悪くなろうがなんだろうが、「無様だな」とか笑ってきそうなのに。
「きみに吐かれたりでもしたら、室が汚れる」
「なんだと?」
なんなら今からでも吐いてやるぞ? 気持ち悪さの原因は、まだ腹んなかに残ってるんだからな?
「それより、僕も訊きたい。どうしてそこまでして僕に構うんだ?」
腕で顔を隠したままの皇子。
「女装だって蕃茄だって。僕が嫌がらせしてるって理解してないのか?」
「いや、理解してる」
痛いぐらい、ムカつくぐらい理解してる。
「なら、なぜ?」
「あのなあ。オレはじいちゃんみたいな一流の治癒師を目指してるんだよ。どんなことがあっても患者を見捨てない、最高の治癒師。だから、お前のことだって諦めねえ。なにがあっても治してやるって思ってるんだよ」
「治癒師の矜持にかけてか」
「まあ、そういうことだな。それに、お前を放り出して帰ったら、じいちゃんに叱られる。オレのじいちゃん、怒るとおっかねえんだ」
「なるほど」
かすかだけど、皇子が笑った。
「それにさ、お前はオレの記念すべき初めての患者なんだよ。それを治療失敗したら、オレの輝かしい治癒師の経歴に傷がつく」
「――わかった。なら、協力しよう。明日からはちゃんと食事を取る」
「ホントか?」
「ああ。これ以上つき纏われても面倒だからな」
腕を外し、皇子が起き上がった。
「この先も一緒に食べてほしいが……。蕃茄以外にも食べられないものはあるか?」
「テメッ、またそんなこと言って、オレの嫌いなもの用意させるんじゃねえだろうな?」
次は食わねえぞ?
「ハハッ。そんなことはしない。こんな気持ち悪いのは二度とゴメンだ」
笑って細められた目。長いまつげに縁取られた青い目がオレを見る。
(やっぱきれいだよな、コイツの目。真っ青な硝子玉みたいだ)
場違いかもしれないけど、そんなことを思った。
卓の上のもの、全部。オレのぶんは全部腹のなかに収めきった。空いた皿の上、蕃茄のひとかけらも残っちゃいない。全部ぜんぶ腹のなか。
「リュカ姫、お茶を……」
「あ、いらね。それより帯を解いて横になってもいいか?」
腹に少しでもゆとりを持たせたい。
嫌いな蕃茄を食べたからじゃない。蕃茄を抜いたとしても、腹がはち切れそうなぐらい食った。ちょっと動いただけで、喉に逆流してきそう。ウプ。
「そこの牀を使え」
「ありがとよ」
皇子の申し出に遠慮することなく、ヨロヨロと牀に近づく。帯を解いても苦しいのは変わらなかったので、少しでも消化を促進、胃から腸へ食べものを流すために、右腹を下にして寝転んだ。まあ、気休めだけど。
「まさか、全部食べるとはな」
少し遅れて、呆れた皇子が近づいてきた。
「ふん。こんなことで勝てるなんて思うなんざ、百万年早いんだよ」
オレはやってやったぜ。全部食った。オレの勝利だ。
売られたケンカはオレの勝ち。
「次は、オレの用意したもん食ってもらうからな」
「わかった」
お。
意外と聞き分けいいじゃん。
もっとなんていうのか、「そんな約束をした覚えはない」とかなんとか言って逃げるかと思ったのに。
(頑張って食ったかいはあったなあ)
おそらくだけど、一生分の蕃茄を食った気がする。蕃茄、蕃茄、蕃茄づくし。もう、一生蕃茄見たくねえ。って。
「ぎも゛ぢわ゛り゛ぃ……」
ちょっと息をするだけで気持ち悪さが駆け上がってくる。コイツの前で吐くなんて醜態晒したくないけど、これはさすがに……。
嫌いなものを食べたからじゃない。これはただの食べ過ぎ。胃もたれ。まあ、口の中に残ってる蕃茄の味も気持ち悪いんだけど。
「だ、大丈夫ですか、リュカ姫」
これが大丈夫に見えるか、オッサンよ。
吐き出すのを我慢するため、深呼吸すらできないこの状態が。
「オッサン。室にあるオレの行李を持ってきてくれ」
「行李?」
「そこに薬が入って……ウプ」
ダメだ。これ以上喋れねえ。喋ったら出る。
「わかりました。行李ですね! 持ってきます!」
あわてて室を飛び出していったオッサン。
頼む。間に合ってくれ。
早く薬を。薬をくれ。
でないと、オレ……。
「リュカ」
突然、皇子に名を呼ばれた。そして。
ゴロン。
横向きの体を仰向けに転がされ――って、テメエ何しやがる! その衝撃で、喉まで来てるそれを吐いちまうだろうが……って。え?
帯を緩めたオレの体の上をなぞるようにかざされた皇子の手のひら。喉のあたりから、胸、腹。ゆっくりと動かされ、それと同時に体に溜まってきた気持ち悪さが抜けていく。まるで、その手のひらに吸い取られるように。
「お、皇子?」
オレの体、どうなったんだ? 吐く寸前まできてた気持ち悪さがどこにも残ってない。体は重いけど、言ってしまえばそれだけ。
「これは……さすがに。堪える……な」
「お、おいっ!」
オレが体を起こすと同時に、皇子が崩れ落ちた。
「お前……、まさか、オレの吐き気を抜き取ったのか?」
どういう仕組みで、どうやったらそんなことができるのか。
言ってて自分でもわけわかんねえけど、この状況はそういうことなんだろう。オレの吐き気をコイツが抜き取った。手をかざしたことで、吐き気を自分の体に移し替えた。
驚いたオレがその体を支えると、皇子が青い顔のままニッと笑った。肯定という意味の笑い。
「バカか、お前は」
「バカはお前の方だ。こんなに気持ち悪くなるまで蕃茄を食べるなんて、な」
グッタリした皇子の体を牀に転がす。
浅い息。青いどころか紙のように白くなった顔。まるで、さっきまでのオレを再現したような皇子の姿。
辛いのだろう。皇子が閉じた目の上に腕を当てた。
「行李、持ってきましたよ……って、うわあああっ! まさかリュカ殿、殿下をのしちゃったんですかあっ!?」
「違う! オレじゃねえっ!」
行李を片手に帰ってきたオッサンの言葉を即座に否定。
「コイツが、手のひらをかざして、オレの気持ち悪さを抜き取ったんだよ!」
「術を使ったのですか?」
「術?」
「皇族だけが使える、不思議な技のことですよ」
首をかしげたオレに、オッサンが説明を始めた。
「皇族がこの国の長たる所以は、その術を扱える力にありますからね。普通では扱うことのできない力を操って統治してるんですよ」
「ふうん」
話を聞きながら、受け取った行李を開く。
「皇族の方々は、それぞれ操ることのできる力を象徴した瞳をお持ちです。火の紅。水の碧。土の琥珀。風の翠。皇帝陛下は、土の琥珀。殿下の場合は、碧の瞳。〝水〟の力を得意とされています。おそらくですけど、その力を使って、リュカ殿の体内を巡る吐き気を吸い取られたのでしょう」
今は、腕に隠されたきれいな青い目。
その目にそんな意味があると、初めて知った。
「とりあえず、これを呑め。楽になる」
行李から取り出したのは、袋に入れておいた丸薬。独特の草の匂いがあたりに広がる。
「不味いのか?」
「不味くても呑め。気持ち悪さが抑えられる」
皇子の上半身を支え、押し付けるように無理やり呑ませる。嫌がるかと思ったけど、暴れるだけの力もないのだろう。渡した水で素直に呑み下す。
「これで後は安静にしていれば、楽になるはずだ。そのまま横になってろ」
皇子を休ませてから、同じ丸薬を同じ数だけ自分も呑む。
消化を助け、胃もたれと吐き気を抑える丸薬。
いくらコイツが気持ち悪さを抜き取ってくれたとしても、オレの体はまだ絶賛消化不良中。吐きはしないけど、胃はパンパンに膨らんでる。
「まったく、バカなことしやがって。オレだけなら一人分の丸薬ですんだのに。おかげで薬が二人分必要になっちまったじゃねえか」
術だなんだって、すげえことされた、助かったって思わないでもないけど。でも、その吐き気の源はオレの体に残ったままなんだから、薬を呑まなきゃいけないのは同じ。二人分、余分に薬がいるようになっただけ。
「すまない」
珍しく殊勝な皇子。
少しだけ。ほんの少しだけ顔色が良くなっている。
「なあ、なんでそんな術を使ったんだ? オレの吐き気を抜き取るだなんて」
術がどんなものか、庶民であるオレは具体的には知らないけど、それでもコイツが手をかざしただけで体の気持ち悪さ、吐き気が抜けたってことはそういうことなんだろう。
術を使って、オレの吐き気を引っこ抜いた。正確には、オレの吐き気を自分の体に移し替えた。
今までのコイツなら、オレが蕃茄を食べすぎて気持ち悪くなろうがなんだろうが、「無様だな」とか笑ってきそうなのに。
「きみに吐かれたりでもしたら、室が汚れる」
「なんだと?」
なんなら今からでも吐いてやるぞ? 気持ち悪さの原因は、まだ腹んなかに残ってるんだからな?
「それより、僕も訊きたい。どうしてそこまでして僕に構うんだ?」
腕で顔を隠したままの皇子。
「女装だって蕃茄だって。僕が嫌がらせしてるって理解してないのか?」
「いや、理解してる」
痛いぐらい、ムカつくぐらい理解してる。
「なら、なぜ?」
「あのなあ。オレはじいちゃんみたいな一流の治癒師を目指してるんだよ。どんなことがあっても患者を見捨てない、最高の治癒師。だから、お前のことだって諦めねえ。なにがあっても治してやるって思ってるんだよ」
「治癒師の矜持にかけてか」
「まあ、そういうことだな。それに、お前を放り出して帰ったら、じいちゃんに叱られる。オレのじいちゃん、怒るとおっかねえんだ」
「なるほど」
かすかだけど、皇子が笑った。
「それにさ、お前はオレの記念すべき初めての患者なんだよ。それを治療失敗したら、オレの輝かしい治癒師の経歴に傷がつく」
「――わかった。なら、協力しよう。明日からはちゃんと食事を取る」
「ホントか?」
「ああ。これ以上つき纏われても面倒だからな」
腕を外し、皇子が起き上がった。
「この先も一緒に食べてほしいが……。蕃茄以外にも食べられないものはあるか?」
「テメッ、またそんなこと言って、オレの嫌いなもの用意させるんじゃねえだろうな?」
次は食わねえぞ?
「ハハッ。そんなことはしない。こんな気持ち悪いのは二度とゴメンだ」
笑って細められた目。長いまつげに縁取られた青い目がオレを見る。
(やっぱきれいだよな、コイツの目。真っ青な硝子玉みたいだ)
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