1 / 30
一、碧鳥
(一)
しおりを挟む
キレイだなって思った。
単純に。そして純粋に、キレイだって思った。
それを「キレイ」以外の言葉で表せるほどオレは言葉を知らないし、知っていたとしても「キレイ」以外の言葉で表せないと思った。
知り合いのオッサンに連れてこられた皇宮。
荘厳なたたずまい。圧倒されそうなほど大きな建物。案内してくれてるオッサンがいなければ、すぐに迷子になりそうなほどデカくて広い。かくれんぼなんてしたら、一生見つけてもらえない。そんな気がする。
それほど巨大で広大な皇宮。
何度もなんども回廊を曲がって、いくつもいくつも建物を過ぎた先にそれはあった。
明るい日差しを浴びて緑を濃くした庭園。
終りが見えないほど大きな庭なのに、枯れ葉一つ落ちてない。どこまでも色とりどりの花が咲き乱れ、満開の美しさを競い合っている。普段、街の狭い路地や、扱う地味な色の薬草しか見てないオレからしてみれば、そこは楽園。天上の世界のようにも思えた。鳴いてる鳥の声も軽やかで美しく、カラスの「カア」なんて雑な音は、どこからも聞こえてこない。
(天女がいる……)
庭園もさることながら、それよりオレが「キレイ」だと思ったのは、咲き乱れる藤の下にたたずむ人の姿だった。
とても華奢な体。抜けるように白い肌。日の光に輝くつやのある黒髪。
天女みたいだって思ったけど、よく見ればそれは髪を後頭部で結い上げた少年だった。天女のような領巾はなく、袍をまとい、裳のかわりに白袴を穿いていた。線の細い色白の少年。
(うわ……)
きれいなのはその姿だけじゃない。
近づくオレたちに気づいて向けられた視線。その瞳がとんでもなく青くて、透き通ってて。静かな湖面のようで、夏の空のようで。
吸い込まれそうなほどキレイで……。
「誰?」
少年の発した誰何に応えるのを忘れそうで――って。
「お、オレはリュカと言います! 殿下の専属治癒師として、こちらに罷り越しましてございます!」
やっべ。
うっかり口上を忘れるとこだった。あわ食ったせいで、前半部分、「オレ」になっちまったけど。ちょっとカッコつけて「私」って言うんだって決めてたのに。
「殿下と年の近い私なら、殿下もお心安く治療を受けてくださるのではないかと、近侍のセイハ殿の紹介で参りました。年若くはありますが、治癒師である祖父の元で修行しておりましたので、安心してお任せください」
何回も練習しきたとおりに。
そう。
オレがここに来たのは、地上の楽園のような庭を見に来たわけでもなければ、遊びに来たわけでもない。
――俺のお仕えする殿下のお身体を診てあげてほしい。
そう、頼まれたから。
頼んできたのは、じいちゃんの患者、セイハってオッサン。ただの腰痛、胃痛、頭痛持ちのオッサン、万年うだつの上がらない中間管理職だと思ってたら、なんと宮中で働く、皇子付きの近侍だったんだ。
――殿下と同い年で治癒師の男。きみなら、殿下の出した条件にピッタリなんだよ、リュカ。
オッサンの仕える殿下の出したという条件。同い年で治癒師の男。その条件に、オレとじいちゃんはそろって首を傾げた。
――なんで治癒師? 皇宮にはれっきとした医師もいるだろうに。
――それがねえ。殿下が皇宮の医師は嫌だとおっしゃるんだよ。
――なんで男?
――それはねえ。殿下が女はうっとおしいから嫌いだとおっしゃるんだよ。
――なんで十三歳?
――同じ年頃なら、心安くいられると殿下がおっしゃったんだ。高名な治癒師の孫である君なら適任だと思うんだ。
そう言われて悪い気はしない。
実際、オレのじいちゃんは、この国で最高の治癒師だし、そのもとで暮らしてずっとじいちゃんの仕事を見てきたオレも、それなりの腕を持っていると自負している。
皇子殿下の診察、治療。
それがオレの治癒師としての初仕事。
皇子がどんな病を抱えてるのか知らねえけど、じいちゃんから教わった技で、チョチョイっと治してやるぜ。
「殿下、このリュカ殿の腕は、俺が保証いたしますよ」
オレを連れてきた近侍のオッサンがつけ加えた。
「なんたって、俺の万年腰痛、胃痛を治してくださってる高名な治癒師の孫で、最高の弟子ですからね。殿下のお身体の不具合も、あっという間に……」
「――いらない」
は?
「必要ない」
にべもない皇子の言葉。
おい。
それがわざわざここまで足を運んだ者に対する言葉か、コラ。プイッとそむけられた横顔に思わずムッとする。
「殿下、そのようなことをおっしゃらずに。一度、診察だけでもお受けいただいてですねぇ」
メチャクチャ低姿勢なオッサン。取り付く島もない皇子と、カチンときてるオレの、まさしく中間、板挟み。胃痛が再発したのか、無意識にみぞおちに手を当ててる。
「このところ、おかげんもよろしくないようですし。宮廷医がダメならせめて、こちらの治癒師に見ていただくなど……、その……」
皇子にキッと睨まれて、シドロモドロ。オレたちの倍ぐらい生きてそうなのに、カッコ悪。
「セイハ、お前はこんな得体の知れないやつに、僕の体に触れさせようというのか?」
「い、いや、得体は知ってましてですねぇ。私もかかってる高名な治癒師の孫なんですよ。腕のほどは確かだと……」
「お前のその胃痛を完治出来ない程度の腕で高名?」
「いや、これは、その……、クセみたいなものでして……」
オッサンの言い訳を、ハッと皇子が鼻で笑いとばした。
胃痛を治してくれた名治癒師の話をしてて、胃に手を当ててたら、まあその腕を疑われるよな。治ってねえじゃねえか、と。
「僕を診せたいと言うのなら、百歩譲って、その高名な治癒師とやらを連れてこい。胃痛すら治せてない治癒師の孫なんかに診られたくない」
皇子ド正論。
そうだよな。仮に皇子が病気だったとして。診せるなら普通、じいちゃんを頼るよな。オレみたいな若造じゃなくって。
けど、けどさ。
「せっかくここまで出向いてやったのに、何様だ、テメエッ!」
「いや、皇子殿下だけど。この国の第一皇子……」
ブチ切れたオレに、小さくオッサンのツッコミ。
「オッサンの胃痛は、お前が原因だろうがっ!」
オレのじいちゃんは、ちゃんと適切な治癒を行った。行ったけど。
「胃痛の症状は薬で治めることができるけど、その原因を取り除かなきゃ、何度だって再発するんだよ! 胃痛を起こさせてるのは、お前だろうが!」
そう。
オッサンの万年胃痛、頭痛、腰痛の原因はこの皇子だ。
天女のようにキレイだけど、天女と違って辛辣で容赦ない毒皇子。この皇子に仕えてるせいで、オッサンは万年胃痛、頭痛、腰痛持ちになっちまって、じいちゃんのお得意様になってしまっている。
「皇子だなんだって威張りくさるなら、部下の体も守ってやれ!」
言いたいことは言い切った。
フンスッと鼻息を荒らしたオレに、オッサンが「あちゃあ」と、額に手を当て天を見上げた。
あ。今のでオッサン、頭痛も併発した……か?
単純に。そして純粋に、キレイだって思った。
それを「キレイ」以外の言葉で表せるほどオレは言葉を知らないし、知っていたとしても「キレイ」以外の言葉で表せないと思った。
知り合いのオッサンに連れてこられた皇宮。
荘厳なたたずまい。圧倒されそうなほど大きな建物。案内してくれてるオッサンがいなければ、すぐに迷子になりそうなほどデカくて広い。かくれんぼなんてしたら、一生見つけてもらえない。そんな気がする。
それほど巨大で広大な皇宮。
何度もなんども回廊を曲がって、いくつもいくつも建物を過ぎた先にそれはあった。
明るい日差しを浴びて緑を濃くした庭園。
終りが見えないほど大きな庭なのに、枯れ葉一つ落ちてない。どこまでも色とりどりの花が咲き乱れ、満開の美しさを競い合っている。普段、街の狭い路地や、扱う地味な色の薬草しか見てないオレからしてみれば、そこは楽園。天上の世界のようにも思えた。鳴いてる鳥の声も軽やかで美しく、カラスの「カア」なんて雑な音は、どこからも聞こえてこない。
(天女がいる……)
庭園もさることながら、それよりオレが「キレイ」だと思ったのは、咲き乱れる藤の下にたたずむ人の姿だった。
とても華奢な体。抜けるように白い肌。日の光に輝くつやのある黒髪。
天女みたいだって思ったけど、よく見ればそれは髪を後頭部で結い上げた少年だった。天女のような領巾はなく、袍をまとい、裳のかわりに白袴を穿いていた。線の細い色白の少年。
(うわ……)
きれいなのはその姿だけじゃない。
近づくオレたちに気づいて向けられた視線。その瞳がとんでもなく青くて、透き通ってて。静かな湖面のようで、夏の空のようで。
吸い込まれそうなほどキレイで……。
「誰?」
少年の発した誰何に応えるのを忘れそうで――って。
「お、オレはリュカと言います! 殿下の専属治癒師として、こちらに罷り越しましてございます!」
やっべ。
うっかり口上を忘れるとこだった。あわ食ったせいで、前半部分、「オレ」になっちまったけど。ちょっとカッコつけて「私」って言うんだって決めてたのに。
「殿下と年の近い私なら、殿下もお心安く治療を受けてくださるのではないかと、近侍のセイハ殿の紹介で参りました。年若くはありますが、治癒師である祖父の元で修行しておりましたので、安心してお任せください」
何回も練習しきたとおりに。
そう。
オレがここに来たのは、地上の楽園のような庭を見に来たわけでもなければ、遊びに来たわけでもない。
――俺のお仕えする殿下のお身体を診てあげてほしい。
そう、頼まれたから。
頼んできたのは、じいちゃんの患者、セイハってオッサン。ただの腰痛、胃痛、頭痛持ちのオッサン、万年うだつの上がらない中間管理職だと思ってたら、なんと宮中で働く、皇子付きの近侍だったんだ。
――殿下と同い年で治癒師の男。きみなら、殿下の出した条件にピッタリなんだよ、リュカ。
オッサンの仕える殿下の出したという条件。同い年で治癒師の男。その条件に、オレとじいちゃんはそろって首を傾げた。
――なんで治癒師? 皇宮にはれっきとした医師もいるだろうに。
――それがねえ。殿下が皇宮の医師は嫌だとおっしゃるんだよ。
――なんで男?
――それはねえ。殿下が女はうっとおしいから嫌いだとおっしゃるんだよ。
――なんで十三歳?
――同じ年頃なら、心安くいられると殿下がおっしゃったんだ。高名な治癒師の孫である君なら適任だと思うんだ。
そう言われて悪い気はしない。
実際、オレのじいちゃんは、この国で最高の治癒師だし、そのもとで暮らしてずっとじいちゃんの仕事を見てきたオレも、それなりの腕を持っていると自負している。
皇子殿下の診察、治療。
それがオレの治癒師としての初仕事。
皇子がどんな病を抱えてるのか知らねえけど、じいちゃんから教わった技で、チョチョイっと治してやるぜ。
「殿下、このリュカ殿の腕は、俺が保証いたしますよ」
オレを連れてきた近侍のオッサンがつけ加えた。
「なんたって、俺の万年腰痛、胃痛を治してくださってる高名な治癒師の孫で、最高の弟子ですからね。殿下のお身体の不具合も、あっという間に……」
「――いらない」
は?
「必要ない」
にべもない皇子の言葉。
おい。
それがわざわざここまで足を運んだ者に対する言葉か、コラ。プイッとそむけられた横顔に思わずムッとする。
「殿下、そのようなことをおっしゃらずに。一度、診察だけでもお受けいただいてですねぇ」
メチャクチャ低姿勢なオッサン。取り付く島もない皇子と、カチンときてるオレの、まさしく中間、板挟み。胃痛が再発したのか、無意識にみぞおちに手を当ててる。
「このところ、おかげんもよろしくないようですし。宮廷医がダメならせめて、こちらの治癒師に見ていただくなど……、その……」
皇子にキッと睨まれて、シドロモドロ。オレたちの倍ぐらい生きてそうなのに、カッコ悪。
「セイハ、お前はこんな得体の知れないやつに、僕の体に触れさせようというのか?」
「い、いや、得体は知ってましてですねぇ。私もかかってる高名な治癒師の孫なんですよ。腕のほどは確かだと……」
「お前のその胃痛を完治出来ない程度の腕で高名?」
「いや、これは、その……、クセみたいなものでして……」
オッサンの言い訳を、ハッと皇子が鼻で笑いとばした。
胃痛を治してくれた名治癒師の話をしてて、胃に手を当ててたら、まあその腕を疑われるよな。治ってねえじゃねえか、と。
「僕を診せたいと言うのなら、百歩譲って、その高名な治癒師とやらを連れてこい。胃痛すら治せてない治癒師の孫なんかに診られたくない」
皇子ド正論。
そうだよな。仮に皇子が病気だったとして。診せるなら普通、じいちゃんを頼るよな。オレみたいな若造じゃなくって。
けど、けどさ。
「せっかくここまで出向いてやったのに、何様だ、テメエッ!」
「いや、皇子殿下だけど。この国の第一皇子……」
ブチ切れたオレに、小さくオッサンのツッコミ。
「オッサンの胃痛は、お前が原因だろうがっ!」
オレのじいちゃんは、ちゃんと適切な治癒を行った。行ったけど。
「胃痛の症状は薬で治めることができるけど、その原因を取り除かなきゃ、何度だって再発するんだよ! 胃痛を起こさせてるのは、お前だろうが!」
そう。
オッサンの万年胃痛、頭痛、腰痛の原因はこの皇子だ。
天女のようにキレイだけど、天女と違って辛辣で容赦ない毒皇子。この皇子に仕えてるせいで、オッサンは万年胃痛、頭痛、腰痛持ちになっちまって、じいちゃんのお得意様になってしまっている。
「皇子だなんだって威張りくさるなら、部下の体も守ってやれ!」
言いたいことは言い切った。
フンスッと鼻息を荒らしたオレに、オッサンが「あちゃあ」と、額に手を当て天を見上げた。
あ。今のでオッサン、頭痛も併発した……か?
2
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
恋の終わらせ方がわからない失恋続きの弟子としょうがないやつだなと見守る師匠
万年青二三歳
BL
どうやったら恋が終わるのかわからない。
「自分で決めるんだよ。こればっかりは正解がない。魔術と一緒かもな」
泣きべそをかく僕に、事も無げに師匠はそういうが、ちっとも参考にならない。
もう少し優しくしてくれてもいいと思うんだけど?
耳が出たら破門だというのに、魔術師にとって大切な髪を切ったらしい弟子の不器用さに呆れる。
首が傾ぐほど強く手櫛を入れれば、痛いと涙目になって睨みつけた。
俺相手にはこんなに強気になれるくせに。
俺のことなどどうでも良いからだろうよ。
魔術師の弟子と師匠。近すぎてお互いの存在が当たり前になった二人が特別な気持ちを伝えるまでの物語。
表紙はpome bro. sukii@kmt_srさんに描いていただきました!
弟子が乳幼児期の「師匠の育児奮闘記」を不定期で更新しますので、引き続き二人をお楽しみになりたい方はどうぞ。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
相槌を打たなかったキミへ
ことわ子
BL
カメラマンの平凡ノンケ攻め×ホストの美形ビッチ受け。
一人で写真スタジオを営んでいる都井心広(とい みひろ)とホストの苗加笑也(なえか えみや)は高校の同級生。
三年間同じクラスだったが、グループが違ったため一度も話した事がなかった。それどころか、陽キャグループにいた心広は、大人しく暗い笑也の事を少し引いた目で見ていた。
そのまま時は過ぎ、大人になった二人は偶然再会する。
ホストとカメラマン。
元同級生で性格は真逆。
だったはずなのに──?
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
玄牝観の奇怪な事件
六角堂
BL
◆中華風オメガバース異世界
◆若干グロ表現あり(解剖ネタ等)
◆クトゥルー神話要素あり
◆変人元医者アルファ×新米役人オメガ
元は岐(き)を国号とする大帝国が支配していたが,現在は群雄割拠の戦国時代。
有力勢力の一つ,華氏の入り婿となり,同時に兵部卿(軍務大臣)に任じられ、異例の出世を遂げた共琅玕(きょう ろうかん、アルファ・攻)は、男オメガの新米役人、顔に酷い瘢痕のある紫翠(しすい・受)と運命の番として出会い、強引に彼を妾に迎える。
琅玕の別邸につとめる奉公人、オメガの王仁礼(おう にれい)が火事で焼け落ちた安宿で焼死体で発見されるが、紆余曲折を経てこの王仁礼が、岐の皇族・尖晶王家の落とし胤であることが判明。国力の衰退した岐は、皇族のオメガと有力勢力の者とを政略結婚させて同盟を結び、起死回生を図ろうとしている。
王仁礼は生存の可能性もあり、もし生きていれば彼が未来の皇帝の地位につくかもしれない。オメガ皇帝の婿候補には琅玕の名があがっていたが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる