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第18話 「おめでとう」と言われても。
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ということで。
王子について考えることにした。
エーベルハルト・ユリアス・ハルトヴィッヒ・リオン・グリューネライヒ王子殿下。
長ったらしい名前の、このグリューネル王国の第一王子。ご兄弟はおられず、母后も亡く、このままいけば王位継承第一位で、王様になる(予定)の人。
御年22歳。
少しクセはあるけど、サラッサラな髪。色はもちろん、この世の光をかき集めたかのような金色。深く青い瞳は、当然のようにスッと切れ長。スラッと高い均整のとれた長身。王子というだけあって、洗練された身のこなし。声も低すぎず高すぎず耳に心地よい。
つまり、イケメン。
王子らしく普段の一人称は「私」。だけど裏の一人称は「俺」。
「私」の時は、どこのゲームの攻略対象かってぐらいイケメン王子なのに、「俺」の時は、どこかのラスボス、魔王レベルで口も態度も最悪になる。
王族としての責任を果たすため、戦争を終結させるために陣頭に立っているらしい。今も戦場に戻りたいらしく、そのために、父王の出した条件である「花嫁さがし」に参加している。
とりあえずの参加で、とりあえずの(仮)でわたしを押さえることにした、らしい。
自分に相応しいのは、優しいだけ、身分があるだけの女ではなく、わたしのように容赦なく引っぱたく女がいいらしい。もしかするとMの気があるのかもしれない。
わたしがミネッタとやってる「ジャライモの研究」にも興味があるらしい。もしかすると、研究資金とか協力してくれるかもしれない。
(う――――ん……)
ここまで考えてみて、思わず唸って腕を組んでみる。
気に入らないところは、その二面性かな。多分、「俺」の時が素の王子なんだろうけど、その時の上からっぷりがなんというのか……。気に喰わない。
家族を人質にとるようなこと言うし。コルセット外してただけで、色仕掛けとか勘違いしてくるし。人の口を容赦なくふさいでくるし。
黙ってればイケメンの完璧王子なんだけどな。今度あの口に布でもつっこんで黙らせておこうかしら。
戦争を終わらせるために自ら陣頭に立っている……っていうのは王子のいいところだと思う。王子が始めた戦争でないにしても、王家の者にその責任がないとは言えないのが戦争。だけど、ふつう王家の、それも王位継承者第一位の人は始めるだけ始めといて、あとは誰かに丸投げだもん。戦場なんかに赴かないからね。その点、王子はかなり評価できるんじゃないかな。話した感じ、「戦争屋です。戦争が好きで好きでたまらない……」ではなく、「それが王子としてのノブレス・オブリージュ」だからやっているみたいだし。
このまま相手のペースに合わせて恋愛していってもいいものかどうか。
もし、本当にわたしを好ましく思ってくれてるならまあ、その……、悪くないって気もするけど。これが本当に(仮)でしかなく、戦争が終わって、別のヒロインと一緒になりたい!! お前とは婚約破棄だって言われたら、恋愛も悪くないかな~って思っちゃった分、こっちへのダメージも大きくなるわけで。
「アホが見る~、ブタのケツ~」なんて笑われたくないし。
ってか、そもそもにわたし、「好きだ」とか言われてないんだよね。
花嫁候補だなんだって言ってくるけど、そういう根本的な部分が抜け落ちてんのよ。
「好き」って言われて、それで「花嫁候補」だって決められたのなら納得もするし、少しぐらい未来を考えてもいいかなってなるけど、そういうのまったくナシだから、考える気にならないのよ。
そうよ、そうなの、そうなのよ。
わたしだけがグルグル考え込むんじゃなくって、相手がどう思っているのか行動、もしくは言葉で示してくれなきゃ。王子との恋愛なんて危険な場所に、ホイホイと足を踏み込めるわけないじゃない。
ということで、わたしの判断は保留!!
相手の出方次第、様子見ってことにするわ。うん。
* * * *
ところがぎっちょん!!
「王宮ぅぅぅぅ~~~~っ!!」
って事態になった。
――アデル・ヘルミーナ・リリエンタール、ヴァルシュタイン男爵令嬢。汝を、エーベルハルト・ユリアス・ハルトヴィッヒ・リオン・グリューネライヒ王子殿下の花嫁最終候補とし、王宮にて暮らすことを命じる。
なんて通知が届いちゃって。
「最終選考は、『ひとつ屋根の下』ってことですか。やりますねえ、王宮。どうやったらラブコメになるか、恋愛が発展するか、よくわかってるじゃない。最高のフラグでしょ、それ」
いや、よくわかられても困る。
ミネッタの言葉に頭を抱えたくなった。
「ま、とりあえずここは選ばれて、めでたいということで……」
へ!?
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「めでたいなあ」
「おめでとさん」
「クックッカァ」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「「おめでとう」」
「……ねえ、これってわたしが『ありがとう』って言わなきゃいけない展開なの?」
ボクはボクでしかない。ボクはボクだ。ボクはここにいてもいいんだ的な。
いろんな角度から「おめでとう」と拍手をしてくれたミネッタ。声真似つき。ホント、こういうとこの芸は細かい。
「まあ、なんだっていいんですよ、別に。とりあえず王宮で暮らすことになったら、色々と波乱がありそうですねえ。最終候補って、お嬢様だけじゃないでしょうし。王子が常にそばにいることで、あれやこれやイベントが起きそうですし。楽しみですねえ」
「……楽しみ?」
「そうですよ。よくラノベなんかである『異世界学園モノ』のノリですよ。まあ、どうして王国の貴族が学園なんかに入学するのか、どうして王族が生徒会長なんかを務めてるのかツッコミどころ満載ではありますが、ああいうかんじで共同生活をおくれば、うれし恥ずかしハプニングとか、昼ドラばりのドロドロ事件も起きるでしょうし、見逃せませんよ」
「いや、見逃せないって。……もしかして、ついてくる気?」
「当たり前じゃないですか。そんなおもしろ……、いえ、大変なところへお嬢さまだけを行かせるわけないじゃないですか」
興味本位なのね。言い直したってバレてるわよ。
「あっちにも女官とかいるでしょうけど、普通は侍女の一人や二人、下手すりゃ一個師団レベルを引き連れての王宮入りだと思いますよ」
まあ、そうだろうけど。(一個師団は多すぎだけど)
身分のあるご令嬢ともなれば一人で出かけるなんてことはないし。着替え一つ自分でできないんだから、誰かお供は必須だろうし。
「ああ、ドレスとかも用意しなくちゃいけませんねえ。これはなにかと忙しくなりそうですねえ」
絶対楽しんでる。こっちはため息しか出てこないのに、ミネッタは鼻歌まじりのスキップ状態。
(王宮での生活……ねえ)
想像がつかない。
王子に選ばれるかどうかの王宮生活。
それってやっぱり、トゥシューズに画鋲が……みたいなことが起きちゃったりするんだろうか。
花嫁候補同士の足の引っ張り合い的なこととか。
「できれば何ごともなく、『厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添えない結果となりました。貴殿のますますのご活躍を祈念いたします』とかなんとか言われて、サヨナラされたら一番いいんだけどなあ」
そしたら、領地に戻ってジャライモ作りに精を出すのに。
どれだけ考えても、王子との未来なんて想像つかないし。イケメンだけど上から目線の王子を好きになる自分なんて想像すらできないし。
「ま、最終候補はわたしだけじゃないんだし。どれだけ王子が『コイツがいい』って言い張っても、周りが止めるでしょ」
飼うなら血統書付きの猫。わたしみたいなハズレ猫は、「もとの場所に返してきなさい」とか言って、雨に濡れたダンボールの中に戻されるのがオチなのよ。
じっくり比べてみれば、王子だってわたしみたいなハズレより、血統書付きのあっちのがいいってことに気がつくでしょ。
そうよね、そうだわ、そうなのよ。
ということで。
ムリヤリ気楽に考えることにする。
イヤなことは、わざと気楽にアホなことを考えて気を紛らわすにかぎる。
「そんな上手くいくと、ホントに思ってます? このフラグが簡単にへし折れるとでも?」
ちょっとミネッタ!! 笑いながら不穏なこと言わないでよ!!
王子について考えることにした。
エーベルハルト・ユリアス・ハルトヴィッヒ・リオン・グリューネライヒ王子殿下。
長ったらしい名前の、このグリューネル王国の第一王子。ご兄弟はおられず、母后も亡く、このままいけば王位継承第一位で、王様になる(予定)の人。
御年22歳。
少しクセはあるけど、サラッサラな髪。色はもちろん、この世の光をかき集めたかのような金色。深く青い瞳は、当然のようにスッと切れ長。スラッと高い均整のとれた長身。王子というだけあって、洗練された身のこなし。声も低すぎず高すぎず耳に心地よい。
つまり、イケメン。
王子らしく普段の一人称は「私」。だけど裏の一人称は「俺」。
「私」の時は、どこのゲームの攻略対象かってぐらいイケメン王子なのに、「俺」の時は、どこかのラスボス、魔王レベルで口も態度も最悪になる。
王族としての責任を果たすため、戦争を終結させるために陣頭に立っているらしい。今も戦場に戻りたいらしく、そのために、父王の出した条件である「花嫁さがし」に参加している。
とりあえずの参加で、とりあえずの(仮)でわたしを押さえることにした、らしい。
自分に相応しいのは、優しいだけ、身分があるだけの女ではなく、わたしのように容赦なく引っぱたく女がいいらしい。もしかするとMの気があるのかもしれない。
わたしがミネッタとやってる「ジャライモの研究」にも興味があるらしい。もしかすると、研究資金とか協力してくれるかもしれない。
(う――――ん……)
ここまで考えてみて、思わず唸って腕を組んでみる。
気に入らないところは、その二面性かな。多分、「俺」の時が素の王子なんだろうけど、その時の上からっぷりがなんというのか……。気に喰わない。
家族を人質にとるようなこと言うし。コルセット外してただけで、色仕掛けとか勘違いしてくるし。人の口を容赦なくふさいでくるし。
黙ってればイケメンの完璧王子なんだけどな。今度あの口に布でもつっこんで黙らせておこうかしら。
戦争を終わらせるために自ら陣頭に立っている……っていうのは王子のいいところだと思う。王子が始めた戦争でないにしても、王家の者にその責任がないとは言えないのが戦争。だけど、ふつう王家の、それも王位継承者第一位の人は始めるだけ始めといて、あとは誰かに丸投げだもん。戦場なんかに赴かないからね。その点、王子はかなり評価できるんじゃないかな。話した感じ、「戦争屋です。戦争が好きで好きでたまらない……」ではなく、「それが王子としてのノブレス・オブリージュ」だからやっているみたいだし。
このまま相手のペースに合わせて恋愛していってもいいものかどうか。
もし、本当にわたしを好ましく思ってくれてるならまあ、その……、悪くないって気もするけど。これが本当に(仮)でしかなく、戦争が終わって、別のヒロインと一緒になりたい!! お前とは婚約破棄だって言われたら、恋愛も悪くないかな~って思っちゃった分、こっちへのダメージも大きくなるわけで。
「アホが見る~、ブタのケツ~」なんて笑われたくないし。
ってか、そもそもにわたし、「好きだ」とか言われてないんだよね。
花嫁候補だなんだって言ってくるけど、そういう根本的な部分が抜け落ちてんのよ。
「好き」って言われて、それで「花嫁候補」だって決められたのなら納得もするし、少しぐらい未来を考えてもいいかなってなるけど、そういうのまったくナシだから、考える気にならないのよ。
そうよ、そうなの、そうなのよ。
わたしだけがグルグル考え込むんじゃなくって、相手がどう思っているのか行動、もしくは言葉で示してくれなきゃ。王子との恋愛なんて危険な場所に、ホイホイと足を踏み込めるわけないじゃない。
ということで、わたしの判断は保留!!
相手の出方次第、様子見ってことにするわ。うん。
* * * *
ところがぎっちょん!!
「王宮ぅぅぅぅ~~~~っ!!」
って事態になった。
――アデル・ヘルミーナ・リリエンタール、ヴァルシュタイン男爵令嬢。汝を、エーベルハルト・ユリアス・ハルトヴィッヒ・リオン・グリューネライヒ王子殿下の花嫁最終候補とし、王宮にて暮らすことを命じる。
なんて通知が届いちゃって。
「最終選考は、『ひとつ屋根の下』ってことですか。やりますねえ、王宮。どうやったらラブコメになるか、恋愛が発展するか、よくわかってるじゃない。最高のフラグでしょ、それ」
いや、よくわかられても困る。
ミネッタの言葉に頭を抱えたくなった。
「ま、とりあえずここは選ばれて、めでたいということで……」
へ!?
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「めでたいなあ」
「おめでとさん」
「クックッカァ」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「「おめでとう」」
「……ねえ、これってわたしが『ありがとう』って言わなきゃいけない展開なの?」
ボクはボクでしかない。ボクはボクだ。ボクはここにいてもいいんだ的な。
いろんな角度から「おめでとう」と拍手をしてくれたミネッタ。声真似つき。ホント、こういうとこの芸は細かい。
「まあ、なんだっていいんですよ、別に。とりあえず王宮で暮らすことになったら、色々と波乱がありそうですねえ。最終候補って、お嬢様だけじゃないでしょうし。王子が常にそばにいることで、あれやこれやイベントが起きそうですし。楽しみですねえ」
「……楽しみ?」
「そうですよ。よくラノベなんかである『異世界学園モノ』のノリですよ。まあ、どうして王国の貴族が学園なんかに入学するのか、どうして王族が生徒会長なんかを務めてるのかツッコミどころ満載ではありますが、ああいうかんじで共同生活をおくれば、うれし恥ずかしハプニングとか、昼ドラばりのドロドロ事件も起きるでしょうし、見逃せませんよ」
「いや、見逃せないって。……もしかして、ついてくる気?」
「当たり前じゃないですか。そんなおもしろ……、いえ、大変なところへお嬢さまだけを行かせるわけないじゃないですか」
興味本位なのね。言い直したってバレてるわよ。
「あっちにも女官とかいるでしょうけど、普通は侍女の一人や二人、下手すりゃ一個師団レベルを引き連れての王宮入りだと思いますよ」
まあ、そうだろうけど。(一個師団は多すぎだけど)
身分のあるご令嬢ともなれば一人で出かけるなんてことはないし。着替え一つ自分でできないんだから、誰かお供は必須だろうし。
「ああ、ドレスとかも用意しなくちゃいけませんねえ。これはなにかと忙しくなりそうですねえ」
絶対楽しんでる。こっちはため息しか出てこないのに、ミネッタは鼻歌まじりのスキップ状態。
(王宮での生活……ねえ)
想像がつかない。
王子に選ばれるかどうかの王宮生活。
それってやっぱり、トゥシューズに画鋲が……みたいなことが起きちゃったりするんだろうか。
花嫁候補同士の足の引っ張り合い的なこととか。
「できれば何ごともなく、『厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添えない結果となりました。貴殿のますますのご活躍を祈念いたします』とかなんとか言われて、サヨナラされたら一番いいんだけどなあ」
そしたら、領地に戻ってジャライモ作りに精を出すのに。
どれだけ考えても、王子との未来なんて想像つかないし。イケメンだけど上から目線の王子を好きになる自分なんて想像すらできないし。
「ま、最終候補はわたしだけじゃないんだし。どれだけ王子が『コイツがいい』って言い張っても、周りが止めるでしょ」
飼うなら血統書付きの猫。わたしみたいなハズレ猫は、「もとの場所に返してきなさい」とか言って、雨に濡れたダンボールの中に戻されるのがオチなのよ。
じっくり比べてみれば、王子だってわたしみたいなハズレより、血統書付きのあっちのがいいってことに気がつくでしょ。
そうよね、そうだわ、そうなのよ。
ということで。
ムリヤリ気楽に考えることにする。
イヤなことは、わざと気楽にアホなことを考えて気を紛らわすにかぎる。
「そんな上手くいくと、ホントに思ってます? このフラグが簡単にへし折れるとでも?」
ちょっとミネッタ!! 笑いながら不穏なこと言わないでよ!!
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