オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご

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18.窮兎、狼に噛みつく

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 こうなったら、あたし、課長の真意を訊く!

 課長があたしのことをどう思ってるのか。
 好きだと言ってくれたのは本当なのか。本当だとしたら、どうしてキスより先に進んでくれないのか。どうしてあたしと目を合わせてくれないのか。やっぱり、あたしなんか好きじゃなくなったのか。 
 全部、全部、課長に訊く!
 けど。

 (やっぱり怖い)

 答えを知るのが怖い。
 「あ゛? もうお前になど、興味はないが?」って言われたら怖い。
 けど、けど、けどっ!

 (宙ぶらりんが一番イヤ!)

 なので、用意したお酒、ドドン!
 ビール、日本酒、ワイン、ウィスキー、チューハイ、焼酎。
 課長がどんなお酒が好きかわかんないから、アパート帰りに全部買ってきた。(なぜか、身分証明書の提示を求められたけど)
 お酒の力を借りたら、あたしみたいなウサギハートでも、オオカミ課長に質問ぐらいできるでしょ。――たぶん。
 課長だってお酒が入れば、少しぐらい口が緩んで、本音を話してくれるかもしれない。

 名づけて、「当たって砕けて粉々作戦。でもお酒入ってるからワンチャンあるかもね?」

 なにか参考になる方法ないかなと、スマホで調べた、TL小説、TL漫画。
 そこで一番多かったパターンがこれ。

 〝酒の力を借りる! 酔った勢いで、ワンナイト!〟

 今日、課長はミーティングで帰りが遅くなる。
     ↓
 疲れて帰って来るだろう課長のために、お酒とおつまみを用意した。
 (ちょっとだけ、察しの良いウサギアピール)
     ↓
 「大変でしたね」「お疲れさまでした」で、ビールで乾杯!
 作戦上、あたしは酔ってられないので、ノンアル。課長には同じものを飲んでるフリをする。
     ↓
 ノンアルだけど「あ~ん、酔っちゃった♡」の演技。
 (かなりハードルが高いが、頑張る)
     ↓
 そこから、「あたしって、魅力ないですかあ」とちょっとくだを巻いてみる。
 (ハードルが棒高跳びレベルの高さになるけど、それでも頑張る)
     ↓
 優しい課長のことだから「そんなことない」と言ってくれるはず。そしたら、「だったら抱いてください、かちょお」と甘えてみる。
 (ハードル激高。でも乗り越える!)
     ↓
 いっぱいキスして、寝室へなだれ込む。
 ワンナイト、成功!

 それか。
 「あたし、お前は不感症だって、元カレにフラれたんですぅ」
     ↓
 「課長にも抱いてもらえないなんて。あたし、そんなに魅力ないですかあ」のくだ巻き。
     ↓
 「そんなことはない。お前が不感症かどうか、確かめてやる」と課長に言わせる。
 (ここからは、課長が先導していく)
     ↓
 寝室へなだれ込んで、いっぱい触ってもらう。
     ↓
 「こんなに濡らして。どこが不感症なんだ?」
 「あぁん♡」
 で、ワンナイト、成功!

 みたいな。
 乗り越えるハードルの高さが行方不明になりそうだけど、このモヤモヤを解消するにはこれっきゃない! (きっと)
 けど。

 (課長、遅いな)

 昨日も帰ってくるの遅かったから、一応、そのあたりの時間を見計らって用意したんだけど。

 クピ。

 (おつまみ、冷めちゃうじゃない)

 せっかく、料理もできるウサギアピールしようと頑張ったのに。

 クピ。

 (仕方ない。ちょっと勢いをつけるために、先にちょっとだけ飲んでおこう)

 クピ。クピ。

 (あー、苦い。最近のノンアルって、本物のビールみたいな味付けになってるのね~。これ、結構苦いわ)

 クピ。クピ。クピ。

 (課長、まだかなあ)

 クピ。クピ。クピ。クピ。

 (まさか、お泊り……とかないよね)

 クピクピクピグビグビ。

 (帰ってくるよね?)

 グビグビグビグビ。

 (あれ? もう無くなっちゃった? しかたない、二本目飲んで待機だ)

 グビグビグビグビグビ。プハーッ。

 あー、これ、なんか気持ちいー。 フワフワしてきたぁ。
 最近のノンアルって、ほろ酔い疑似体験できるようになってるんだぁ。すごいなあ。ノンアルなのにぃ。

 ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ。

 あー、たまんないー! このノンアル、すっごく美味しい!

 (課長、早く帰ってこないかなあ)

 れらひと、あらひ、れんぶのんひゃいまふよぉ?

*     *     *     *

 「真白っ!? どうした、真白っ!?」

 なんれふかぁ?
 あ~、かちょぉ、お帰ひなひゃい~。

 「しっかりしろ。お前、どれだけ飲んだんだ!?」

 ろんらけ? ちょっとれふよぉ。
 それより、床、冷らふてきもちいーれふから、ほっといてくらはい。あらひは、ねむひんれふからぁ。抱っこひひゃらめれふよぉ。
 かちょおの、エッチぃ。

 「なにがだ」

 あ~、怒ったかちょお、かーいいれふねえ。ほっぺたツンツン♡

 「そうか」

 にゅふふふ。はい。
 あ~、そうら、あらひ、かちょーに言いらいころ、あっらんれふよ。

 「なんだ」

 あのれふね。
 あらひ、酔っ払っちゃっらみらひれふ。

 「見ればわかる」

 そうれふか。そうなんれふか、そうれふか。
 じゃあ、なんれ、チューしてくれなひんれふか?

 「チュー? キスのことか?」

 そうれふよ。
 酔った女にはチューするもんれひょうが。チューひて、エッチするもんれひょうが。

 「そうなのか」
 
 そうれふよ。
 あらひは、かちょーが好きらから。かちょーなら、ちょっと怖いけろ、それもいいかなあって思っへらのにぃ。あらひの初めて、かちょーならいいなっへ、思っひゃのにぃ。
 普段は、オオカミのくしぇにぃ。なんれ、エッチらけは、草食羊ひゃんなんれふかあ。

 「真白……」

 名前呼ふなんれ、ヒキョーれふ。
 あらひ、かちょーなんれ、大っきらひなんれふからぁね。
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