3 / 23
巻の三、ヒョウタンから出た駒は、なにがあっても逃さない
しおりを挟む
「ねえ、今日で何日目? 尚佳」
「一年と二ヶ月、それと二十三日目ですわ」
「そっかぁ……」
そんなに過ぎたかあ。そして、よく即答できるなあ、尚佳。
わたしがここに来て何日目か。最初こそ、わたしもカウントしてたけど、なんかもう数えるのもイヤになったし、虚しくなってきて止めてしまった。
――敵国の少年皇帝を籠絡して堕落させ、国が疲弊した隙をついて責め滅ぼす。
そのために貢物として、送り出されたわたし、鳥さえもさえずりをはばかるほどの美声、噤鳥美人。
声だけじゃなく、その容姿、物腰、教養、あと夜のアレコレ。すべてにおいて完璧な女として育て上げられたけど。
(これじゃあ、自信なくす……ってか、自信の持ちようがないっての)
籠絡するもなにも、その皇帝に一度も会ってないんだもん。
この作戦が長期戦になることは覚悟している。皇帝を籠絡したって、すぐに国は疲弊しないし、他国が攻め入る隙は簡単には生まれない。おそらくは五年、十年。それぐらいのロングスパンで見なきゃいけない作戦。
作戦が成功したとしても、故国に戻っても、わたし、白髪のお婆ちゃんになってるかもしれない。慈恩さまよりも先に、バンバン皇帝の子を産んじゃってるかもしれない。それぐらい時間と身体の負担のかかる作戦。
だけど。
(始まらなければ終わらないっての)
一日も早く任務を終えて、慈恩さまの元に帰りたいのに。
日陰の窓辺。ここならギリオッケーと尚佳に言われた場所で、牀に腰掛け、物憂げに窓の外を見る。
どうよ、このアンニュイな美人の姿! と思うけど、尚佳しか見てくれる人のいない室では、アンニュイがムダ遣いされてるだけ。虚しい。
「――菫青妃さま」
ホトホト。
室と廊下の間にある戸が叩かれる。
菫青妃。この菫青宮に暮らす女主。つまり、わたしのことだ。
「今宵、陛下がこちらにお渡りになります。お支度なさいませ」
扉越しに声をかけてきたのは、この国の女官。
「――承知致しました」
わたしに代わって尚佳が答えるけど。
(声、上ずってるなあ……)
カチンコチンのガッチガチ。お笑い芸人みたいな、トーン高すぎの声。
まあ、仕方ないよね。
だって、ここに来て初めての「お成り、予告!」だもん。それも突然の。
なんで? どうして? 唐突にどうした? どういう風の吹き回しだ、これ? って感情より、
(いよいよなんだ……)
が大きい。
そういう意味では、わたしもゴクリと喉を鳴らす。
この先。
わたしが皇帝に気に入られるかどうか。そこに作戦の、ううん、わたしと尚佳の運命がかかってる。
気に入られれば、作戦を始められて、いつかは国に帰れるかもしれない。故郷に錦を飾るって感じの凱旋。
気に入られなければ、一生この後宮で命をすり減らすだけの生涯になる。慈恩さまのもとにも戻れず、老いさらばえていく。
それか、アッサリと作戦を見破られて、「このスパイが」でザシュッとぶった斬られ……は嫌だ。慈恩さまのもとに戻れなくても。ここではじっこぐらししてたほうがマシ。命、大事にしたい。
(すべては、今日の夜にかかってる)
気に入られるか。気に入られないか。
バレるか。作戦通りに進むか。
「――尚佳支度を」
言ったわたしの声も微妙に裏返った。
そうとなったら、さっそく行動開始! のんべんだらりと牀に腰掛けてる場合じゃない。
湯に浸かって垢をすべて削ぎ落として。髪もくしけずって、たっぷり香油を塗り込んで。
美しく淫らに啼いてあげるために水飴舐めて喉を整えて。後は、そういう気分を盛り上げるために、室に香を焚きしめて。
あとは、えーっと。何かすることあったかしら。
タイムリミットは、今日の夕暮れ。それまでに、誰もが一目で惚れる、最高のわたしになっておかなくては。
人生初の、ハニートラップ!
必ず。必ず落としてやるのよ! 噤鳥美人の二つ名にかけて!
*
「――お前が、皎錦から来たという者か」
「はい。陽里珠と申します」
石床に膝をつき、胸の前あたりで、袖の中の両手を重ねそのまま恭しく持ち上げる。拱手。本来は立ったまま行う所作だけど、今だけは特別。わたくし、跪いて挨拶するほど、アナタを最上級に敬っておりますのよ。――ってポーズ。
そして、人生最大最高の美声で名乗った。顔こそ袖で隠れて見えないだろうけど。
どや。
興味持ったか? 袖に隠された顔が気になったか?
自分から手をほどくことはできないから、相手の出す音で、次の行動を予測する。
かすかにした、衣擦れの音。目の前に立つ皇帝が動いた証拠だ。
わたしの予想だと、「面をあげよ」で、わたしの手を動かす(or払いのける)で、「うむ。なかなか見目好い娘だ。気に入った」になる――
「クサいな」
――は?
「そこなる女儒。窓を開けよ」
わたしではなく、その脇を通り過ぎ、窓に向かう皇帝。同じように控えていた尚佳に命じると、バタンバタンと自らも室の窓を開け始める。
「よくもここまで臭い部屋に居られるものだな。皎錦の者は、みな匂いを感じられぬほど、鼻がひん曲がっておるのか?」
――は?
窓という窓を開けても、苦虫噛み潰したように顔を歪めた少年皇帝。
「うわ、若いな~」とか、「おっ、意外とイケメン?」みたいな感想よりも、「は?」が頭を占める。
臭いってナニ? これぐらいの香を焚くことぐらい普通でしょうが! 年頃の女性なら、これぐらいの香を焚くことぐらいあるっちゅーの!
そりゃあ、まあ? ちょっと(かなり)ムラムラしてもらうために、麝香とか焚きまくったけどね? でも、「イヤン♡アハン♡」する場所って、たいていこういうもんでしょうが。
……自分でも「匂いキツすぎたかな~」ぐらいは思ってたけどさ。
「キレイな鼻筋をしているが……。残念だな、鼻が悪いのはどうしようもないな」
近づいて、わたしの顔をマジマジと見る皇帝。顎を持ち上げ、お肌の毛穴までチェックされてるような視線。
(うわ、若い……)
大きく黒目がちの瞳に映るわたし――じゃなくて。
普段からセッセとお手入れしてるわたしよりもキレイな肌。皇帝らしく絹の豪奢な刺繍入りの衣を着ているけど、その顔はどこか幼くてアンバランス。顔立ちも整ってるけど、どっちかというと「カッコいい」より「かわいい」。背もわたしと同じぐらいだし。
「……一度ぐらいこちらに参らぬと、お主の国がなにかとやかましいからな」
わたしの国?
「宰相の、張慈恩だったか。贈った女はどうだったか、息災にしておるか。あの手この手でこちらに問うてくる」
じ、慈恩さまがっ!?
「両国の友誼をというのなら、贈った時点で問題なく結ばれておるというのに。余がそなたを抱かぬ限りは、安心できぬという」
そ、それは……。
「まあ、それも杞憂に終わる。そなたは息災であるようだし、余もこうして寝所を訪れた。これで宰相も納得するであろう。そなたのことも『佳い女であった』と報告しておこう。ウソはついておらぬからな」
う、ウソはついてないけど……。
慈恩さまが願ってる報告は、「朱煌国の新皇帝は、贈られた美女にメロメロのデレデレで、日も夜もあかず女に溺れております」ってヤツだろう。「政なんてうっちゃって、女のもとで、デヘヘとエロい顔してます」っての。朱煌国が弱体化していくのも時間の問題。朱煌国が滅びるまであとわずか。
そういう報告が欲しいのであって、「贈られた女は元気でしたよ~」なんてのは、いらないと思う。そりゃあ、優しい慈恩さまのことだから、わたしのことを案じてくださってるだろうけど。
「ではな。今宵はここで寝るつもりだったが、――興が冷めた」
スッと立ち上がった皇帝。そのまま回廊につながる扉に向かって歩き出す。
「次に来るまでに、そのひん曲がった鼻を直しておけ。さすれば、そなたを抱くこともあるかもしれん」
ニッと、底意地悪そうな笑いを残して、扉の向こうに消えた。
(なっ、なんなのよ、あれ――っ!)
怒りと屈辱と、苛立ちとムカつきとムカつきとムカつきと……。
(ムキ――――っ!)
ムカつき大爆発。
「一年と二ヶ月、それと二十三日目ですわ」
「そっかぁ……」
そんなに過ぎたかあ。そして、よく即答できるなあ、尚佳。
わたしがここに来て何日目か。最初こそ、わたしもカウントしてたけど、なんかもう数えるのもイヤになったし、虚しくなってきて止めてしまった。
――敵国の少年皇帝を籠絡して堕落させ、国が疲弊した隙をついて責め滅ぼす。
そのために貢物として、送り出されたわたし、鳥さえもさえずりをはばかるほどの美声、噤鳥美人。
声だけじゃなく、その容姿、物腰、教養、あと夜のアレコレ。すべてにおいて完璧な女として育て上げられたけど。
(これじゃあ、自信なくす……ってか、自信の持ちようがないっての)
籠絡するもなにも、その皇帝に一度も会ってないんだもん。
この作戦が長期戦になることは覚悟している。皇帝を籠絡したって、すぐに国は疲弊しないし、他国が攻め入る隙は簡単には生まれない。おそらくは五年、十年。それぐらいのロングスパンで見なきゃいけない作戦。
作戦が成功したとしても、故国に戻っても、わたし、白髪のお婆ちゃんになってるかもしれない。慈恩さまよりも先に、バンバン皇帝の子を産んじゃってるかもしれない。それぐらい時間と身体の負担のかかる作戦。
だけど。
(始まらなければ終わらないっての)
一日も早く任務を終えて、慈恩さまの元に帰りたいのに。
日陰の窓辺。ここならギリオッケーと尚佳に言われた場所で、牀に腰掛け、物憂げに窓の外を見る。
どうよ、このアンニュイな美人の姿! と思うけど、尚佳しか見てくれる人のいない室では、アンニュイがムダ遣いされてるだけ。虚しい。
「――菫青妃さま」
ホトホト。
室と廊下の間にある戸が叩かれる。
菫青妃。この菫青宮に暮らす女主。つまり、わたしのことだ。
「今宵、陛下がこちらにお渡りになります。お支度なさいませ」
扉越しに声をかけてきたのは、この国の女官。
「――承知致しました」
わたしに代わって尚佳が答えるけど。
(声、上ずってるなあ……)
カチンコチンのガッチガチ。お笑い芸人みたいな、トーン高すぎの声。
まあ、仕方ないよね。
だって、ここに来て初めての「お成り、予告!」だもん。それも突然の。
なんで? どうして? 唐突にどうした? どういう風の吹き回しだ、これ? って感情より、
(いよいよなんだ……)
が大きい。
そういう意味では、わたしもゴクリと喉を鳴らす。
この先。
わたしが皇帝に気に入られるかどうか。そこに作戦の、ううん、わたしと尚佳の運命がかかってる。
気に入られれば、作戦を始められて、いつかは国に帰れるかもしれない。故郷に錦を飾るって感じの凱旋。
気に入られなければ、一生この後宮で命をすり減らすだけの生涯になる。慈恩さまのもとにも戻れず、老いさらばえていく。
それか、アッサリと作戦を見破られて、「このスパイが」でザシュッとぶった斬られ……は嫌だ。慈恩さまのもとに戻れなくても。ここではじっこぐらししてたほうがマシ。命、大事にしたい。
(すべては、今日の夜にかかってる)
気に入られるか。気に入られないか。
バレるか。作戦通りに進むか。
「――尚佳支度を」
言ったわたしの声も微妙に裏返った。
そうとなったら、さっそく行動開始! のんべんだらりと牀に腰掛けてる場合じゃない。
湯に浸かって垢をすべて削ぎ落として。髪もくしけずって、たっぷり香油を塗り込んで。
美しく淫らに啼いてあげるために水飴舐めて喉を整えて。後は、そういう気分を盛り上げるために、室に香を焚きしめて。
あとは、えーっと。何かすることあったかしら。
タイムリミットは、今日の夕暮れ。それまでに、誰もが一目で惚れる、最高のわたしになっておかなくては。
人生初の、ハニートラップ!
必ず。必ず落としてやるのよ! 噤鳥美人の二つ名にかけて!
*
「――お前が、皎錦から来たという者か」
「はい。陽里珠と申します」
石床に膝をつき、胸の前あたりで、袖の中の両手を重ねそのまま恭しく持ち上げる。拱手。本来は立ったまま行う所作だけど、今だけは特別。わたくし、跪いて挨拶するほど、アナタを最上級に敬っておりますのよ。――ってポーズ。
そして、人生最大最高の美声で名乗った。顔こそ袖で隠れて見えないだろうけど。
どや。
興味持ったか? 袖に隠された顔が気になったか?
自分から手をほどくことはできないから、相手の出す音で、次の行動を予測する。
かすかにした、衣擦れの音。目の前に立つ皇帝が動いた証拠だ。
わたしの予想だと、「面をあげよ」で、わたしの手を動かす(or払いのける)で、「うむ。なかなか見目好い娘だ。気に入った」になる――
「クサいな」
――は?
「そこなる女儒。窓を開けよ」
わたしではなく、その脇を通り過ぎ、窓に向かう皇帝。同じように控えていた尚佳に命じると、バタンバタンと自らも室の窓を開け始める。
「よくもここまで臭い部屋に居られるものだな。皎錦の者は、みな匂いを感じられぬほど、鼻がひん曲がっておるのか?」
――は?
窓という窓を開けても、苦虫噛み潰したように顔を歪めた少年皇帝。
「うわ、若いな~」とか、「おっ、意外とイケメン?」みたいな感想よりも、「は?」が頭を占める。
臭いってナニ? これぐらいの香を焚くことぐらい普通でしょうが! 年頃の女性なら、これぐらいの香を焚くことぐらいあるっちゅーの!
そりゃあ、まあ? ちょっと(かなり)ムラムラしてもらうために、麝香とか焚きまくったけどね? でも、「イヤン♡アハン♡」する場所って、たいていこういうもんでしょうが。
……自分でも「匂いキツすぎたかな~」ぐらいは思ってたけどさ。
「キレイな鼻筋をしているが……。残念だな、鼻が悪いのはどうしようもないな」
近づいて、わたしの顔をマジマジと見る皇帝。顎を持ち上げ、お肌の毛穴までチェックされてるような視線。
(うわ、若い……)
大きく黒目がちの瞳に映るわたし――じゃなくて。
普段からセッセとお手入れしてるわたしよりもキレイな肌。皇帝らしく絹の豪奢な刺繍入りの衣を着ているけど、その顔はどこか幼くてアンバランス。顔立ちも整ってるけど、どっちかというと「カッコいい」より「かわいい」。背もわたしと同じぐらいだし。
「……一度ぐらいこちらに参らぬと、お主の国がなにかとやかましいからな」
わたしの国?
「宰相の、張慈恩だったか。贈った女はどうだったか、息災にしておるか。あの手この手でこちらに問うてくる」
じ、慈恩さまがっ!?
「両国の友誼をというのなら、贈った時点で問題なく結ばれておるというのに。余がそなたを抱かぬ限りは、安心できぬという」
そ、それは……。
「まあ、それも杞憂に終わる。そなたは息災であるようだし、余もこうして寝所を訪れた。これで宰相も納得するであろう。そなたのことも『佳い女であった』と報告しておこう。ウソはついておらぬからな」
う、ウソはついてないけど……。
慈恩さまが願ってる報告は、「朱煌国の新皇帝は、贈られた美女にメロメロのデレデレで、日も夜もあかず女に溺れております」ってヤツだろう。「政なんてうっちゃって、女のもとで、デヘヘとエロい顔してます」っての。朱煌国が弱体化していくのも時間の問題。朱煌国が滅びるまであとわずか。
そういう報告が欲しいのであって、「贈られた女は元気でしたよ~」なんてのは、いらないと思う。そりゃあ、優しい慈恩さまのことだから、わたしのことを案じてくださってるだろうけど。
「ではな。今宵はここで寝るつもりだったが、――興が冷めた」
スッと立ち上がった皇帝。そのまま回廊につながる扉に向かって歩き出す。
「次に来るまでに、そのひん曲がった鼻を直しておけ。さすれば、そなたを抱くこともあるかもしれん」
ニッと、底意地悪そうな笑いを残して、扉の向こうに消えた。
(なっ、なんなのよ、あれ――っ!)
怒りと屈辱と、苛立ちとムカつきとムカつきとムカつきと……。
(ムキ――――っ!)
ムカつき大爆発。
10
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
亡くなった王太子妃
沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。
侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。
王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。
なぜなら彼女は死んでしまったのだから。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました
Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。
どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も…
これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない…
そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが…
5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。
よろしくお願いしますm(__)m
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
妻の死を人伝てに知りました。
あとさん♪
恋愛
妻の死を知り、急いで戻った公爵邸。
サウロ・トライシオンと面会したのは成長し大人になった息子ダミアンだった。
彼は母親の死には触れず、自分の父親は既に死んでいると言った。
※なんちゃって異世界。
※「~はもう遅い」系の「ねぇ、いまどんな気持ち?」みたいな話に挑戦しようとしたら、なぜかこうなった。
※作中、葬儀の描写はちょっとだけありますが、人死の描写はありません。
※人によってはモヤるかも。広いお心でお読みくださいませ<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる