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16.閑話‐ちょっとこれ、友達の話なんだけど
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竜野悠理です。
大学二年生、工学部。
今、オレの友だちが面白いことになっている。
今年の春。
友だちのマンションの隣の部屋に、一学年下の女の子が引っ越してきた。主に学生向けに貸し出してるマンションだし、それ自体は普通のことなんだけど。その女の子は、今どき珍しく、引っ越しの挨拶に来たんだって。
手土産に、お菓子を持って。
ここまでは普通。律儀な子だなって印象。
面白かったのはここから。
その手土産お菓子、友だちが学校で分けてくれたんだけど。
〝銘菓 のどか〟
いやフツーだろ? 栗きんとんなんて、古風っていうかなんていうかだけど。
って、友だちに訊き返したらさ、その女の子の名前、「筒井のどか」って言うんだとかで。
フツー、自分の名入り(?)のお菓子を手土産にするか? それも栗きんとん?
爆笑だった。
栗きんとんだけなら、「うん、まあまあ……(色々含む)」だったんだけど、名入りだったことに、友だちだけじゃなく、オレまで腹を抱えて笑ってしまった。
でもまあ、それだけなら、「友だちんちの隣に、面白い子が住んでる」ぐらいで終わってた。なんかの拍子に、将来引っ越し挨拶なんかを受けた時に、「そういや面白い手土産持ってきた子がいたな~」ぐらいは思い出したかもしれないけど、言ってしまえばそれだけ。日常に紛れて忘れてくはずだった。だったんだ。
その栗きんのどかちゃん。
文学部(持ってた教科書からの推定)のはずなのに、なぜか工学部に近い、男子まみれの学食によく現れていた。
それも、普通に現れるんじゃなくて、物陰からこっちを伺うような、ピョコっと顔を出してあたりを見回すような。まるでハムスター。
で、探してるものを見つけると、それまでの不安そうな顔から、パアっと明るい顔になる。明るい顔になって、食堂に入ってくるんだけど。……小柄すぎて、飢えた工学部野郎どもに揉まれて流されてくんだよ。
河童の川流れならぬ、ハムスターの川流れ。
途中、一緒にいる友だちに助けられてるけど、そのアップアップした様は、見てるだけで面白いし、「大丈夫?」って助けてやりたくなる。
そんな栗きんちゃん、わざわざこっちの学食を訪れてる理由はわかってる。
佐保宮だ。
オレの友だち、佐保宮志乃。
彼女の目当ては、コイツを見ること。コイツを見ると途端に、わかりやすいぐらい「ニヘッ」と顔を緩ませる。
コイツのどこがいいんだか。
というのが、オレの本音。
そりゃあ、悪いヤツじゃないけどさ。顔だっていいし、背も高い。でも、言ってしまえばそれだけ。
無愛想だし、つき合い悪いし、ニコリとも笑いやしない。
本音さ、「よくオレ、コイツとつき合ってんな~」って思うぐらい、無愛想なんだよ。オレがレポート困ってても助けてくれねえし。休みに一緒に遊んだりもしない。女子に声かけられても、気づかないのか無視すること多いし。
だから栗きんちゃんが惚れても無駄だから止めときゃいいのに、顔のいいヤツなら他にもいるからって思ってたのにさ。
くっついちゃったんだよなあ。あの二人。
なにがどうしてどうなったら、そうなるのか知らん。
けど、佐保宮曰く、「交際を申し込んで、ようやくオッケーをもらった」だそうで。
ようやく? ってことはずっと交際申し込んでたわけ? いつから?
学校では、そんな空気は全く無かった。普通に授業受けて、普通に無愛想で。
強いて言うなら、最近やけに猫について調べてた。「にゃ~る」がどうとか、猫の飼い方がどうとか。「猫、肉球、触る」とか検索してたし。
佐保宮が、猫?
不思議に思った。
だって、佐保宮って猫にも関心なさそうだったし。ってか、実際興味なかった。いつだったか、女子グループから猫カフェ行かないかって(おそらく佐保宮目当てで)誘われた時も、「俺、猫好きじゃないから」って、一人だけ誘いを断ってたし。(そのせいで、他の男子は行く気満々下心だったのに、女子から「なかった話」にされた) ペットショップだって普通にスルーしてた。
それなのに、猫?
その答えは、アイツの部屋を訪れてわかった。
あの栗きんちゃん、猫を飼ってたんだよ。
アイツの部屋にいた猫。栗きんちゃんの飼い猫で、今日はたまたま預かってるとかなんとか。名前は「のの」。灰色の、飼い主と同じで、ちょっとどんくさそうなハチワレ猫。
飼い猫預けて、栗きんちゃんは何してるんだ? って気になったけど、それと同時に、飼い猫預けるぐらい、佐保宮のことを信頼してるんだなって思った。
だってなあ。
学校じゃ、一方的にお熱い行動する佐保宮に、タジタジの栗きんちゃんだもん。この間も、学食で佐保宮の「食べさせて♡」にものすごくアワアワしてたし。佐保宮の(強引すぎる)交際申し込みに、(仕方なく折れる形で)ようやくオッケーしたのかと疑ってた。佐保宮がやりすぎてるなら、友だちとして「もうちょっとセーブしろ、お前」って諌めたほうがいいかなって思ってた。
けどまあ。栗きんちゃんも佐保宮のことを、愛猫を預けるぐらいには信頼してるみたいだし。愛し合ってるかどうかは、イマイチ信じられないけど、カップルの形は人それぞれだから、オレがとやかく言うことじゃないだろ。
あ~あ。オレもカノジョ欲しいなあ。
オレの場合、栗きんちゃんみたいな、小柄でカワイイタイプじゃなくて。
そう。そこのキミ。真っ直ぐキレイな黒髪のキミ。栗きんちゃんの友だち、黒姫さん。
互いの友だちがくっついたことだし。よければ、キミもオレとつき合ってみない? ――ダメ?
* * * *
黒姫佳菜子です。
大学一年、文学部。
私の友だちにカレシができました。
私の友だち、筒井のどか。
女子としては小柄な部類。フワフワの柔らかそうな髪と、ちょっと大きめな瞳の持ち主。大人で美人とか、キレイ、清楚って枠には入らないけど、代わりに、そのどんくささも相まって、「カワイイ」の部類には入れてると思う。
――オタク言動さえなければ。
そう、筒井のどかは、とってもオタク。
マンガやアニメはもちろんのこと、ゲームなんかも大好きで、特に『何度でもキミと恋する約束を』、略して「ナンキミ」のキャラ、シノ・グランディールが最推しなんだとか。
大学で知り合って、うっかり同じゲームをプレイしてるって話したら、「コイツには、どれだけでも喋ってOK」認定されてしまい、トコトン「シノさま」話につきあわされている。
それもまあ、ゲームの「シノさま」だけ話してるなら、いつかはテンション下がるだろうって静観していればいいんだけど。
この子の場合、お隣志乃さまにもフィーバーしてるから。
のどかの隣の部屋の住人。
佐保宮志乃さん。
私達より一つ学年上の男性。
長身で、カッコいいの部類に入る彼は、名前だけじゃなく顔も声も、おっそろしく「ゲーム:シノ」に似ていた。さすがに、目の色は違ったけど、それ以外の違いを見いだせないほどソックリ。
私、別にシノ推しじゃないけど、あれはホント、驚いた。
で。ゲームのシノ推しののどかが、ソックリ三次元の志乃さんに出会えばどうなるかっていうと――とんでもなくうるさくなった。
今日のシノさま。
文学部生なら使わないだろう、遠くの学食をわざわざ利用し、日々志乃さまウォッチング。そして三次元の志乃さまの顔を見ながら、ゲーム、二次元のシノさまを語る。
シノさまと志乃さま。
そのうち、語ってる方も聞いてる方も、どっちの「シノサマ」なのかわかんなくなるぐらい、熱く語ってくる。
勘弁してくれ。
そう思わないでもないけど、普段、どんくさくておとなしいのどかが、やたら興奮しながらベラベラ喋るのは、見ていて楽しいので、「あっちの学食のほうがガッツリ食べられるから」と、理由をひっつけて私ものどかにつき合っていた。
けど、まさかねえ。
まさか、そののどかが志乃さんとつき合うとは思わなかったわ。
だって。
オタクにとって「推し」とは、遠きにありて想うもの。そして尊く、拝むもの。
それが正しいオタクの姿。それが正しい彼我の距離。
そもそも「推し」ってのは、「好き」って感情もあるけど、間には越えられない一線みたいなものがあって、普通の恋愛みたいに相手との一対一を望まないもの。だから、これまでののどかの行動は、正しい「推し」だったんだけど。
まあ、恋愛するのは自由だからねえ。
推しと恋愛したって、つき合ったって、別に悪いことじゃない。恋愛は好きにしたらいい。二人とも、普通の大学生なんだし。アイドルとかと違って、恋愛ご法度なんてことはない。ただその場合、「推しと恋愛」じゃなくて「カレピと恋愛」って言い換えといてほしいけど。まあ、そこは私のこだわりだからどうでもいいけど。
ただ。
あの二人、ホントにラブラブ大恋愛中なの?
それだけは疑ってしまう。
だってねえ。
佐保宮さん、授業が終わると、いっつものどかを迎えに来てくれるけどさ。のどかから全然「幸せバカップル」オーラが出てないんだよ。なんていうのか、強引に連れ去られていくハムスター。「カレシが迎えに来てくれて、恥ずかしっ! でもうれしい♡」みたいなのはゼロ。どっちかというと、これから収監される囚人。
ああ、でもこの間「ナチュラルに見えるメイク教えて」って言ってたから、それなりに、のどかなりに上手くつき合ってるのかもね。のどか、「メイクなんてお面つけてるみたいで気持ち悪い」とか言ってた子だったのに。彼のためにキレイになろうって頑張ってるのなら、案外うまくいってるのかもしれない。
ま、この先、佐保宮さんがのどかを泣かせるようなことしたら、私、友人として黙っちゃいないけどね。
ところで。
佐保宮さんのお友達、えっと確か、竜野さんでしたっけ。ユーリル似の。
どうしてそんなに私の近くに立つんですか?
は? 「互いの友だちがくっついたことだし。よければ、キミもオレとつき合ってみない?」か?
ナニイッテンデスカ。
申し訳ありませんが、私、チャラ騎士ユーリルではなく、裏表ありすぎ神官カティスさま推しなので、丁重にお断りさせていただきます。
大学二年生、工学部。
今、オレの友だちが面白いことになっている。
今年の春。
友だちのマンションの隣の部屋に、一学年下の女の子が引っ越してきた。主に学生向けに貸し出してるマンションだし、それ自体は普通のことなんだけど。その女の子は、今どき珍しく、引っ越しの挨拶に来たんだって。
手土産に、お菓子を持って。
ここまでは普通。律儀な子だなって印象。
面白かったのはここから。
その手土産お菓子、友だちが学校で分けてくれたんだけど。
〝銘菓 のどか〟
いやフツーだろ? 栗きんとんなんて、古風っていうかなんていうかだけど。
って、友だちに訊き返したらさ、その女の子の名前、「筒井のどか」って言うんだとかで。
フツー、自分の名入り(?)のお菓子を手土産にするか? それも栗きんとん?
爆笑だった。
栗きんとんだけなら、「うん、まあまあ……(色々含む)」だったんだけど、名入りだったことに、友だちだけじゃなく、オレまで腹を抱えて笑ってしまった。
でもまあ、それだけなら、「友だちんちの隣に、面白い子が住んでる」ぐらいで終わってた。なんかの拍子に、将来引っ越し挨拶なんかを受けた時に、「そういや面白い手土産持ってきた子がいたな~」ぐらいは思い出したかもしれないけど、言ってしまえばそれだけ。日常に紛れて忘れてくはずだった。だったんだ。
その栗きんのどかちゃん。
文学部(持ってた教科書からの推定)のはずなのに、なぜか工学部に近い、男子まみれの学食によく現れていた。
それも、普通に現れるんじゃなくて、物陰からこっちを伺うような、ピョコっと顔を出してあたりを見回すような。まるでハムスター。
で、探してるものを見つけると、それまでの不安そうな顔から、パアっと明るい顔になる。明るい顔になって、食堂に入ってくるんだけど。……小柄すぎて、飢えた工学部野郎どもに揉まれて流されてくんだよ。
河童の川流れならぬ、ハムスターの川流れ。
途中、一緒にいる友だちに助けられてるけど、そのアップアップした様は、見てるだけで面白いし、「大丈夫?」って助けてやりたくなる。
そんな栗きんちゃん、わざわざこっちの学食を訪れてる理由はわかってる。
佐保宮だ。
オレの友だち、佐保宮志乃。
彼女の目当ては、コイツを見ること。コイツを見ると途端に、わかりやすいぐらい「ニヘッ」と顔を緩ませる。
コイツのどこがいいんだか。
というのが、オレの本音。
そりゃあ、悪いヤツじゃないけどさ。顔だっていいし、背も高い。でも、言ってしまえばそれだけ。
無愛想だし、つき合い悪いし、ニコリとも笑いやしない。
本音さ、「よくオレ、コイツとつき合ってんな~」って思うぐらい、無愛想なんだよ。オレがレポート困ってても助けてくれねえし。休みに一緒に遊んだりもしない。女子に声かけられても、気づかないのか無視すること多いし。
だから栗きんちゃんが惚れても無駄だから止めときゃいいのに、顔のいいヤツなら他にもいるからって思ってたのにさ。
くっついちゃったんだよなあ。あの二人。
なにがどうしてどうなったら、そうなるのか知らん。
けど、佐保宮曰く、「交際を申し込んで、ようやくオッケーをもらった」だそうで。
ようやく? ってことはずっと交際申し込んでたわけ? いつから?
学校では、そんな空気は全く無かった。普通に授業受けて、普通に無愛想で。
強いて言うなら、最近やけに猫について調べてた。「にゃ~る」がどうとか、猫の飼い方がどうとか。「猫、肉球、触る」とか検索してたし。
佐保宮が、猫?
不思議に思った。
だって、佐保宮って猫にも関心なさそうだったし。ってか、実際興味なかった。いつだったか、女子グループから猫カフェ行かないかって(おそらく佐保宮目当てで)誘われた時も、「俺、猫好きじゃないから」って、一人だけ誘いを断ってたし。(そのせいで、他の男子は行く気満々下心だったのに、女子から「なかった話」にされた) ペットショップだって普通にスルーしてた。
それなのに、猫?
その答えは、アイツの部屋を訪れてわかった。
あの栗きんちゃん、猫を飼ってたんだよ。
アイツの部屋にいた猫。栗きんちゃんの飼い猫で、今日はたまたま預かってるとかなんとか。名前は「のの」。灰色の、飼い主と同じで、ちょっとどんくさそうなハチワレ猫。
飼い猫預けて、栗きんちゃんは何してるんだ? って気になったけど、それと同時に、飼い猫預けるぐらい、佐保宮のことを信頼してるんだなって思った。
だってなあ。
学校じゃ、一方的にお熱い行動する佐保宮に、タジタジの栗きんちゃんだもん。この間も、学食で佐保宮の「食べさせて♡」にものすごくアワアワしてたし。佐保宮の(強引すぎる)交際申し込みに、(仕方なく折れる形で)ようやくオッケーしたのかと疑ってた。佐保宮がやりすぎてるなら、友だちとして「もうちょっとセーブしろ、お前」って諌めたほうがいいかなって思ってた。
けどまあ。栗きんちゃんも佐保宮のことを、愛猫を預けるぐらいには信頼してるみたいだし。愛し合ってるかどうかは、イマイチ信じられないけど、カップルの形は人それぞれだから、オレがとやかく言うことじゃないだろ。
あ~あ。オレもカノジョ欲しいなあ。
オレの場合、栗きんちゃんみたいな、小柄でカワイイタイプじゃなくて。
そう。そこのキミ。真っ直ぐキレイな黒髪のキミ。栗きんちゃんの友だち、黒姫さん。
互いの友だちがくっついたことだし。よければ、キミもオレとつき合ってみない? ――ダメ?
* * * *
黒姫佳菜子です。
大学一年、文学部。
私の友だちにカレシができました。
私の友だち、筒井のどか。
女子としては小柄な部類。フワフワの柔らかそうな髪と、ちょっと大きめな瞳の持ち主。大人で美人とか、キレイ、清楚って枠には入らないけど、代わりに、そのどんくささも相まって、「カワイイ」の部類には入れてると思う。
――オタク言動さえなければ。
そう、筒井のどかは、とってもオタク。
マンガやアニメはもちろんのこと、ゲームなんかも大好きで、特に『何度でもキミと恋する約束を』、略して「ナンキミ」のキャラ、シノ・グランディールが最推しなんだとか。
大学で知り合って、うっかり同じゲームをプレイしてるって話したら、「コイツには、どれだけでも喋ってOK」認定されてしまい、トコトン「シノさま」話につきあわされている。
それもまあ、ゲームの「シノさま」だけ話してるなら、いつかはテンション下がるだろうって静観していればいいんだけど。
この子の場合、お隣志乃さまにもフィーバーしてるから。
のどかの隣の部屋の住人。
佐保宮志乃さん。
私達より一つ学年上の男性。
長身で、カッコいいの部類に入る彼は、名前だけじゃなく顔も声も、おっそろしく「ゲーム:シノ」に似ていた。さすがに、目の色は違ったけど、それ以外の違いを見いだせないほどソックリ。
私、別にシノ推しじゃないけど、あれはホント、驚いた。
で。ゲームのシノ推しののどかが、ソックリ三次元の志乃さんに出会えばどうなるかっていうと――とんでもなくうるさくなった。
今日のシノさま。
文学部生なら使わないだろう、遠くの学食をわざわざ利用し、日々志乃さまウォッチング。そして三次元の志乃さまの顔を見ながら、ゲーム、二次元のシノさまを語る。
シノさまと志乃さま。
そのうち、語ってる方も聞いてる方も、どっちの「シノサマ」なのかわかんなくなるぐらい、熱く語ってくる。
勘弁してくれ。
そう思わないでもないけど、普段、どんくさくておとなしいのどかが、やたら興奮しながらベラベラ喋るのは、見ていて楽しいので、「あっちの学食のほうがガッツリ食べられるから」と、理由をひっつけて私ものどかにつき合っていた。
けど、まさかねえ。
まさか、そののどかが志乃さんとつき合うとは思わなかったわ。
だって。
オタクにとって「推し」とは、遠きにありて想うもの。そして尊く、拝むもの。
それが正しいオタクの姿。それが正しい彼我の距離。
そもそも「推し」ってのは、「好き」って感情もあるけど、間には越えられない一線みたいなものがあって、普通の恋愛みたいに相手との一対一を望まないもの。だから、これまでののどかの行動は、正しい「推し」だったんだけど。
まあ、恋愛するのは自由だからねえ。
推しと恋愛したって、つき合ったって、別に悪いことじゃない。恋愛は好きにしたらいい。二人とも、普通の大学生なんだし。アイドルとかと違って、恋愛ご法度なんてことはない。ただその場合、「推しと恋愛」じゃなくて「カレピと恋愛」って言い換えといてほしいけど。まあ、そこは私のこだわりだからどうでもいいけど。
ただ。
あの二人、ホントにラブラブ大恋愛中なの?
それだけは疑ってしまう。
だってねえ。
佐保宮さん、授業が終わると、いっつものどかを迎えに来てくれるけどさ。のどかから全然「幸せバカップル」オーラが出てないんだよ。なんていうのか、強引に連れ去られていくハムスター。「カレシが迎えに来てくれて、恥ずかしっ! でもうれしい♡」みたいなのはゼロ。どっちかというと、これから収監される囚人。
ああ、でもこの間「ナチュラルに見えるメイク教えて」って言ってたから、それなりに、のどかなりに上手くつき合ってるのかもね。のどか、「メイクなんてお面つけてるみたいで気持ち悪い」とか言ってた子だったのに。彼のためにキレイになろうって頑張ってるのなら、案外うまくいってるのかもしれない。
ま、この先、佐保宮さんがのどかを泣かせるようなことしたら、私、友人として黙っちゃいないけどね。
ところで。
佐保宮さんのお友達、えっと確か、竜野さんでしたっけ。ユーリル似の。
どうしてそんなに私の近くに立つんですか?
は? 「互いの友だちがくっついたことだし。よければ、キミもオレとつき合ってみない?」か?
ナニイッテンデスカ。
申し訳ありませんが、私、チャラ騎士ユーリルではなく、裏表ありすぎ神官カティスさま推しなので、丁重にお断りさせていただきます。
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