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11.Is it ture?
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「――説明、してくれるよね?」
志乃さまの部屋。ベッドに腰掛け、腕も足も組む志乃さま。
「……はい」
彼の座るベッドの前で、うなだれ、正座するあたし。
シャワーでびしょ濡れになった服はどうにか着替えさせてもらえたけど、そのままトンズラはさせてもらえなかった。「は? 猫があたしに? やだなあ、佐保宮さん。夢でも見てたんじゃないですかあ?」なんてテキトー強引な誤魔化しは効かなさそうな状況。
だって、志乃さま、メッチャ怒ってる。さっきまでの猫への優しさなんて、全然残ってない。
ええい。こうなったら……。かくなる上は……。
「上様がこのような所に来られるはずがない」――チガウ。
「おのれ~、上様とて構わぬ、斬れ!斬り捨てい!」――チガウって。
「もはやこれまで」――チッガーウ!
「うぬ~、此奴は上様を語る不届き者じゃ、斬れ!切捨てい!」――斬ってどうする!
自分で自分にツッコミ。それから、深くふかく息を吐いて覚悟を決める。
「あの、実はですね。あたし、ちょっと不思議なドロップを手に入れまして。こ、これです……」
おずおずと、水色ドロップ入りのビンを彼に渡す。
「これは?」
ビンを光にかざした志乃さま。ビンを少し回してみたり、不思議そうに見つめる。
「その中身、ドロップなんですけど、それを舐めるとなぜか猫に変身できまして……」
「これを?」
「はい」
信じてないって顔の志乃さま。
まあ、それが普通の反応だよね。
ドロップを舐めて猫になった? あたしだって、他の人がそんな話しを始めたら、今の志乃さまみたいな顔をすると思う。喋ってる相手を「こいつ、頭大丈夫か?」って顔。
「信じられないってのなら、もう一回舐めて猫になりますけど」
ここで、目の前で舐めて猫になったら信じてもらえる?
なぜか時間内に人に戻っちゃったけど。でもまた舐めたら猫になれると思う。
「いや、いい。それより、このドロップはどこから入手した?」
「えー、あー、それはあ……」
答える言葉が尻つぼみ。だって。
「よくわからないんです」
「は?」
「いつの間にかポケットに紛れ込んでたり、部屋に置かれてたりしたもので……」
「じゃあ、キミは、得体の知れないドロップを舐めたってこと?」
「えっと。そういうことに、なり……ます」
あ、呆れてる! 志乃さまが呆れてる!
知らない怪しげドロップまで舐めるような〝いやしいんぼ〟だって呆れてる!
「あ、あの! 初めて舐めた時は、なんか、その、すっごく舐めたい誘惑があって! 喉も乾いてたし! メチャクチャ美味しそうに見えたし!」
って、あれ? これ、全然弁護になってないことない?
〝いやしんぼ〟を自分で肯定したようなもんだぞ?
聴いた志乃さまも、深くため息つかれてるし。
「で? 百歩譲ってこのドロップで猫になれるとして。どうして俺の部屋に入り込んできた?」
「えーっと。それはですねえ……」
どうしよ。
これ、話さなきゃいけない? 話すの? マジで?
逃げ出したい。それか気を失ってしまいたい。それかそれか、巨人でも現れて、マンションごとどうにかしてくれないかな。――くれないな。どうにかされても困るけど。
ゴクリと唾を飲み込みたいけど、緊張で喉が細くなってるのか、それも上手くいかない。「どうしよう」だけが、ガンガンと頭の中で響く。
「言えないのか? なら、警察呼んで不法侵入で――」
言いながら、スマホを取り出した志乃さま。――限界!
「あのっ! それはアナタがあたしの推しソックリだからです!」
もはやここまで!
「推し?」
「そうですよ! 佐保宮さんがあたしの最推し『ナンキミ』シノ・グランディールさまにソックリだったから! だから現実でもリアルな推しを感じたくて猫のフリしてここに来てたんです!」
フン!
開き直った!
早口だけど言い切った!
あー、スッキリ。
「ちょ、ちょっと待って。なに? そのシノなんとかって……」
「シノ・グランディールさま。あたしの好きなゲーム『何度でもキミと恋する約束を』略して『ナンキミ』に出てくるキャラクターで主人公の聖女を守る騎士なんですが最初はとってもクールで『キミを聖女と認められない』とかおっしゃて主人公を拒否するポジションで目の色は流石に違いますけど顔立ちとか髪型とか佐保宮さんを二次元に落とし込んだらきっとこんなふうなんだろうなって容貌をしてて声なんて双子でもここまで似てないんじゃないかってぐらいそっくりで常にストイックに上を目指して鍛錬を重ねていてだから同じだけの努力を主人公にも求めていて――」
「ちょっ、ちょっと待った! 待って待って! 頼むから!」
ストップ。
志乃さまが、あたしに手を突き出す。
そこから、天井に向かって大きく息を吐き出された。
あたしも息継ぎナシだったので、ここで呼吸を整え直す。ゼイゼイ。
「それで? 俺がそのシノなんとかに似てるから、ここに通ってたってこと?」
「推し活の一環です!」
「推しに逢う」、「推しに触れる」、「推しを感じる」。
そこに追加されてた「推し(似)に逢う」、「推し(似)に触れる」、「推し(似)を感じる」。
ゲームに会いに行ったり、グッズを揃えたり、コラボイベントに参加したり、推しを布教したり。そんな数ある推し活のなかで、ちょっと特殊な推し活形態、推し(似)観察。
推しがいるだけで、毎日が楽しい。充実してる。落ち込んだ時も辛い時も励まされる。
その一翼を、志乃さまも担ってた。調子に乗っちゃったけど、それだけ、志乃さまに会えることは、すごく楽しかった。調子に乗っちゃうぐらい楽しかったんだ。
(けど、それももうおしまいか)
あたしが引っ越すか、志乃さまが引っ越されるか。
いくらなんでも、バレちゃった以上、隣で暮らすことは無理だろう。
(お母さんたちにどう説明しようかな)
こんな入学半年で引っ越しだなんて。事情は詳しく説明できないし。
やけのやんぱち、開き直って説明したけど、ズンッとお腹の底が重くなる。
(って、あれ? これ、もしかして大学とかそういうとこに通報されちゃう案件だったりする?)
いくら推し活の一環だからって、あたし志乃さまの部屋に不法侵入してたんだよね? 「好きだから」、「推し似だから」で許される案件?
(どどっ、どうしようっ!?)
さっきから志乃さま、スマホいじってるし! もしかしてもしかすると、通報先とか調べてたり――する?
「あ、あのっ!」
勇気を出して声を上げる。
「もうこんなことしませんから。ですから通報だけはしないでいただけますか?」
「え?」
「気味が悪いとおっしゃるなら、あたし、引っ越します。大学でも近づいたりしません。ですから、学校とか親に通報するのだけは止めてもらえませんか?」
お願い。
お母さんたちを悲しませたくない。
「ふぅん」
お願いお祈りポースのあたしを睥睨する志乃さま。
発した「ふうん」が、どういう意味の「ふうん」かわからない。だから、必死に目を瞑ってお願いポーズ。
「いいけど?」
その赦しの声にパッと顔を上げる。
「でも一つだけ、こっちの出す条件を呑むなら、だけど」
「え? 条件?」
驚くあたしに、ニヤッと笑う志乃さま。
「俺のカノジョになってよ」
は? 志乃さまの? か、かかっ、かっ――
「カノジョォオォッ!?」
声も思考もグルングルン。
カノジョってどういうことよ! カノジョって!
それも相手、あたしよ? あたしなんだよ? ストーカー気味オタクのあたしなんだよ?
顔も平凡だし、チビだし、取り柄もないし、オタクだし。ドコをとってもいいトコなしのあたしだよ?
そんなあたしを、志乃さまが? カノジョにって?
ゲームじゃないんだから、「主人公は無条件に愛される」なんてのはないわけで――。ハッ、もしかして!
「そ、それって、〝女よけ〟とかそういうの……ですか?」
「は?」
「ほら、よくあるじゃないですか。女性にモテてモテて仕方ないんだけど、『今は恋愛に興味がない』とかの理由で、〝女よけ〟に『なんであんな女が』みたいな平凡ブスをニセモノカノジョにするっていうパターン!」
女よけ偽装カノジョ。
マンガなんかでよくあるやつ。
「ナンキミ」でも、そういう展開になる攻略対象者がいた。
派生型として、「結婚よけに偽装婚約者を作る」ってのがある。そういうマンガは、その後、「おかしい偽装だったはずなのに」になって、「お前が好きだ」って展開になるけど、あたしと志乃さまなら、そういうことは起きずに、「偽装、ありがとうございました。じゃ」で、終わるだろうけど。
志乃さま、カッコいいから、きっといろんな女性から言い寄られてるだろうし。どういう事情で〝女よけ〟が必要なのか知らないけど、あたしなんかに頼むんだから、よほど困っていらっしゃるのかも知れない。
「――そう……そうなんだ。実はちょっと困ってて」
フッと息を吐き、軽く前髪を掻き上げた志乃さま。その憂いを帯びたお顔。
推理、間違ってなかったのね! というか、現実にもあるんだ、そういうこと。ほえ~。
「キミが〝女よけ〟になってくれるなら、これまでのこと、黙っててあげるけど、――どうする?」
志乃さまの部屋。ベッドに腰掛け、腕も足も組む志乃さま。
「……はい」
彼の座るベッドの前で、うなだれ、正座するあたし。
シャワーでびしょ濡れになった服はどうにか着替えさせてもらえたけど、そのままトンズラはさせてもらえなかった。「は? 猫があたしに? やだなあ、佐保宮さん。夢でも見てたんじゃないですかあ?」なんてテキトー強引な誤魔化しは効かなさそうな状況。
だって、志乃さま、メッチャ怒ってる。さっきまでの猫への優しさなんて、全然残ってない。
ええい。こうなったら……。かくなる上は……。
「上様がこのような所に来られるはずがない」――チガウ。
「おのれ~、上様とて構わぬ、斬れ!斬り捨てい!」――チガウって。
「もはやこれまで」――チッガーウ!
「うぬ~、此奴は上様を語る不届き者じゃ、斬れ!切捨てい!」――斬ってどうする!
自分で自分にツッコミ。それから、深くふかく息を吐いて覚悟を決める。
「あの、実はですね。あたし、ちょっと不思議なドロップを手に入れまして。こ、これです……」
おずおずと、水色ドロップ入りのビンを彼に渡す。
「これは?」
ビンを光にかざした志乃さま。ビンを少し回してみたり、不思議そうに見つめる。
「その中身、ドロップなんですけど、それを舐めるとなぜか猫に変身できまして……」
「これを?」
「はい」
信じてないって顔の志乃さま。
まあ、それが普通の反応だよね。
ドロップを舐めて猫になった? あたしだって、他の人がそんな話しを始めたら、今の志乃さまみたいな顔をすると思う。喋ってる相手を「こいつ、頭大丈夫か?」って顔。
「信じられないってのなら、もう一回舐めて猫になりますけど」
ここで、目の前で舐めて猫になったら信じてもらえる?
なぜか時間内に人に戻っちゃったけど。でもまた舐めたら猫になれると思う。
「いや、いい。それより、このドロップはどこから入手した?」
「えー、あー、それはあ……」
答える言葉が尻つぼみ。だって。
「よくわからないんです」
「は?」
「いつの間にかポケットに紛れ込んでたり、部屋に置かれてたりしたもので……」
「じゃあ、キミは、得体の知れないドロップを舐めたってこと?」
「えっと。そういうことに、なり……ます」
あ、呆れてる! 志乃さまが呆れてる!
知らない怪しげドロップまで舐めるような〝いやしいんぼ〟だって呆れてる!
「あ、あの! 初めて舐めた時は、なんか、その、すっごく舐めたい誘惑があって! 喉も乾いてたし! メチャクチャ美味しそうに見えたし!」
って、あれ? これ、全然弁護になってないことない?
〝いやしんぼ〟を自分で肯定したようなもんだぞ?
聴いた志乃さまも、深くため息つかれてるし。
「で? 百歩譲ってこのドロップで猫になれるとして。どうして俺の部屋に入り込んできた?」
「えーっと。それはですねえ……」
どうしよ。
これ、話さなきゃいけない? 話すの? マジで?
逃げ出したい。それか気を失ってしまいたい。それかそれか、巨人でも現れて、マンションごとどうにかしてくれないかな。――くれないな。どうにかされても困るけど。
ゴクリと唾を飲み込みたいけど、緊張で喉が細くなってるのか、それも上手くいかない。「どうしよう」だけが、ガンガンと頭の中で響く。
「言えないのか? なら、警察呼んで不法侵入で――」
言いながら、スマホを取り出した志乃さま。――限界!
「あのっ! それはアナタがあたしの推しソックリだからです!」
もはやここまで!
「推し?」
「そうですよ! 佐保宮さんがあたしの最推し『ナンキミ』シノ・グランディールさまにソックリだったから! だから現実でもリアルな推しを感じたくて猫のフリしてここに来てたんです!」
フン!
開き直った!
早口だけど言い切った!
あー、スッキリ。
「ちょ、ちょっと待って。なに? そのシノなんとかって……」
「シノ・グランディールさま。あたしの好きなゲーム『何度でもキミと恋する約束を』略して『ナンキミ』に出てくるキャラクターで主人公の聖女を守る騎士なんですが最初はとってもクールで『キミを聖女と認められない』とかおっしゃて主人公を拒否するポジションで目の色は流石に違いますけど顔立ちとか髪型とか佐保宮さんを二次元に落とし込んだらきっとこんなふうなんだろうなって容貌をしてて声なんて双子でもここまで似てないんじゃないかってぐらいそっくりで常にストイックに上を目指して鍛錬を重ねていてだから同じだけの努力を主人公にも求めていて――」
「ちょっ、ちょっと待った! 待って待って! 頼むから!」
ストップ。
志乃さまが、あたしに手を突き出す。
そこから、天井に向かって大きく息を吐き出された。
あたしも息継ぎナシだったので、ここで呼吸を整え直す。ゼイゼイ。
「それで? 俺がそのシノなんとかに似てるから、ここに通ってたってこと?」
「推し活の一環です!」
「推しに逢う」、「推しに触れる」、「推しを感じる」。
そこに追加されてた「推し(似)に逢う」、「推し(似)に触れる」、「推し(似)を感じる」。
ゲームに会いに行ったり、グッズを揃えたり、コラボイベントに参加したり、推しを布教したり。そんな数ある推し活のなかで、ちょっと特殊な推し活形態、推し(似)観察。
推しがいるだけで、毎日が楽しい。充実してる。落ち込んだ時も辛い時も励まされる。
その一翼を、志乃さまも担ってた。調子に乗っちゃったけど、それだけ、志乃さまに会えることは、すごく楽しかった。調子に乗っちゃうぐらい楽しかったんだ。
(けど、それももうおしまいか)
あたしが引っ越すか、志乃さまが引っ越されるか。
いくらなんでも、バレちゃった以上、隣で暮らすことは無理だろう。
(お母さんたちにどう説明しようかな)
こんな入学半年で引っ越しだなんて。事情は詳しく説明できないし。
やけのやんぱち、開き直って説明したけど、ズンッとお腹の底が重くなる。
(って、あれ? これ、もしかして大学とかそういうとこに通報されちゃう案件だったりする?)
いくら推し活の一環だからって、あたし志乃さまの部屋に不法侵入してたんだよね? 「好きだから」、「推し似だから」で許される案件?
(どどっ、どうしようっ!?)
さっきから志乃さま、スマホいじってるし! もしかしてもしかすると、通報先とか調べてたり――する?
「あ、あのっ!」
勇気を出して声を上げる。
「もうこんなことしませんから。ですから通報だけはしないでいただけますか?」
「え?」
「気味が悪いとおっしゃるなら、あたし、引っ越します。大学でも近づいたりしません。ですから、学校とか親に通報するのだけは止めてもらえませんか?」
お願い。
お母さんたちを悲しませたくない。
「ふぅん」
お願いお祈りポースのあたしを睥睨する志乃さま。
発した「ふうん」が、どういう意味の「ふうん」かわからない。だから、必死に目を瞑ってお願いポーズ。
「いいけど?」
その赦しの声にパッと顔を上げる。
「でも一つだけ、こっちの出す条件を呑むなら、だけど」
「え? 条件?」
驚くあたしに、ニヤッと笑う志乃さま。
「俺のカノジョになってよ」
は? 志乃さまの? か、かかっ、かっ――
「カノジョォオォッ!?」
声も思考もグルングルン。
カノジョってどういうことよ! カノジョって!
それも相手、あたしよ? あたしなんだよ? ストーカー気味オタクのあたしなんだよ?
顔も平凡だし、チビだし、取り柄もないし、オタクだし。ドコをとってもいいトコなしのあたしだよ?
そんなあたしを、志乃さまが? カノジョにって?
ゲームじゃないんだから、「主人公は無条件に愛される」なんてのはないわけで――。ハッ、もしかして!
「そ、それって、〝女よけ〟とかそういうの……ですか?」
「は?」
「ほら、よくあるじゃないですか。女性にモテてモテて仕方ないんだけど、『今は恋愛に興味がない』とかの理由で、〝女よけ〟に『なんであんな女が』みたいな平凡ブスをニセモノカノジョにするっていうパターン!」
女よけ偽装カノジョ。
マンガなんかでよくあるやつ。
「ナンキミ」でも、そういう展開になる攻略対象者がいた。
派生型として、「結婚よけに偽装婚約者を作る」ってのがある。そういうマンガは、その後、「おかしい偽装だったはずなのに」になって、「お前が好きだ」って展開になるけど、あたしと志乃さまなら、そういうことは起きずに、「偽装、ありがとうございました。じゃ」で、終わるだろうけど。
志乃さま、カッコいいから、きっといろんな女性から言い寄られてるだろうし。どういう事情で〝女よけ〟が必要なのか知らないけど、あたしなんかに頼むんだから、よほど困っていらっしゃるのかも知れない。
「――そう……そうなんだ。実はちょっと困ってて」
フッと息を吐き、軽く前髪を掻き上げた志乃さま。その憂いを帯びたお顔。
推理、間違ってなかったのね! というか、現実にもあるんだ、そういうこと。ほえ~。
「キミが〝女よけ〟になってくれるなら、これまでのこと、黙っててあげるけど、――どうする?」
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