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おかわり。
番外編-1 すきやき弁当、白菜とひき肉の重ね煮。
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「うわぁ。やっぱ美味しすぎる~っ!!」
向かい合った食卓。机を挟んだ先に座る奏さんが箸を咥えたまま、軽くジタバタと足踏みをした。
かなり行儀が悪い。
「『やっぱ冬は鍋だよね~』ってテッパン台詞を言いたくなっちゃう。メッチャ美味しいっ!!」
食卓にあるのは、鍋。それもちょっと豪華に、「すき焼き鍋」。
割りしたから自分で配合した鍋。行儀悪くてもなんでも、奏さんがそこまで喜んでくれたのなら最高だ。
「お野菜も食べてくださいよ?」
「わかってるって。そんなベタな台詞言われなくても」
どうだか。
「この白菜だって、しらたきだって……。うーっ!! 味、シミシミで美味しい~っ!!」
再び、足をジタバタ。足音うるさいって、下の階の人に文句言われないかな。
まあ、言われたとしても、それが奏さんが喜んでくれたことの代償だと思えば、「ごめんなさい」と頭を下げるのも苦じゃない。
奏さんの幸せそうに食べる姿に満足してから、わたしも溶いた卵に肉と野菜を浸して口に入れる。
うん。これは美味しい。白菜が割りしたをタップリ含んでいるから、噛むたびに味が口内に染み渡る。
ウッカリすると、わたしも足踏みしそう。
「これは、箸が止まらなくなる、魔の味だね~」
会話の合間合間に奏さんの箸がせわしなく動く。
「食べ過ぎないでくださいよ?」
「わかってるって~。でも、まだこんなにあるんだし、ちょっと多めに食べても大丈夫だって」
ミオってば、食いしん坊だな。
勝手に認定された。
いや、食いしん坊は奏さんのほうでしょ。
多めに作ったハズなんだけど。鍋の残量が気になる。
「あ~、食べた、食べた~。ごちそうさまでした」
どれだけふざけてても、キチンと背を伸ばして手を合わせる奏さん。
その姿は、やはりキレイだ。
「お風呂、沸いてるから、先に入っちゃってください」
「OK~」
食べてすぐのお風呂ってどうなの?って思わないでもないけど、どうせこの後、また仕事に潜るだろうし。そうなったら、お風呂とかそういうの、どうでもよくなって、テコでも動かなくなるから、サッサとやるべきことをやっておいてほしい。
「あ、そうだ。ミオ」
部屋から戻ってきた奏さん。手には部屋着と……何?
「これ、取材に行ってた斎藤さんからのお土産。山梨限定の、桃のフェイシャルマスクなんだって。よかったら、一緒に使お?」
「斎藤さんが?」
それはかなり珍しい。今まで、斎藤さんからお土産なんて、一度ももらったことない。
「いやあ、この間広島でレモンの買ったじゃない。あれの使い心地がすごいよかったって話したら、これを買ってきてくれてさ。なんか、私このマスクのマニア認定されたらしくって。今度京都に帰省するって同僚も、土産に買ってきてくれるようなこと言ってたし」
「京都……」
「舞妓さんみたいな肌になれるみたいだよ?」
そうなんだ。
というか、あれ、そんなにいっぱい地域限定品があるヤツだったんだ。
はんなり京都美人になった奏さんを想像する。きっと奏さんなら着物も美しく映えるに違いない。着物の襟からのぞくうなじ……、多分、メッチャキレイなんだろうな。結い上げた髪からこぼれたおくれ毛も相まって色っぽく……。
って、ダメだ。
これ以上、奏さんが美人になったら、また誰か知らない男が言い寄ってくるかもしれない。それこそ、この間の元カレみたいに。
あれは、奏さんがフッたみたいだけど、油断はできない。
奏さんがステキな女性だって思われるのはうれしいけど、ステキな女性だからって言い寄られるのはうれしくない。
次は消えもの、食べ物をお土産にしてもらえるよう、話題をふってもらえるように誘導しておこう。
これ以上美人になられてハラハラしたくない。
* * * *
朝。アラームの音と同時に目を覚ます。
午前六時。
窓の外は、当たり前だけど暗い夜のまま。
さすがに寒くなってきたので、リビングに行くと同時に、エアコンのスイッチをいれる。
それからキッチンで、いつものように朝食とお弁当の用意をはじめる。キッチンはタイマーで予約していたのが炊きあがったばかりなのか、ほのかにご飯の匂いが漂っていた。
その炊きたてのご飯を弁当箱によそう。それから、昨日のすき焼きの残りを火にかける。
一晩置いといたから、割りしたはバッチリ具材に染みこんでいる。あとは、汁が出ないぐらいに煮詰めるだけ。弁当で汁気が残っているのは洒落にならない。
それと同時に温泉卵を作る。
よそっておいたご飯に汁気のなくなったすき焼きを見た目よく載せていく。端っこには紅ショウガ。温泉卵は、弁当とは別、小さめのタッパーに入れておく。
これで、すき焼き弁当の出来上がり。食べる時に、温泉卵をONしてもらえば完成だ。
奏さん、驚くかな。喜んでくれるかな。
想像するだけで楽しい。会社でも、足をジタバタさせてくれると最高なんだけど。
ちょっとしたビックリ箱を仕込んだような気分。
* * * *
「ちょっと、ミオ、今日のお弁当、あれなにっ!?」
帰ってくるなり、奏さんの第一声。
「美味しくなかった……?」
息せき切って家に飛び込んできたから、ものすごく不安になる。わたしも同じ弁当だったんだけど。――マズかったかな。
「違う、逆っ!! 逆!! 美味しすぎてどうにかなりそうだったよ!!」
あ、そうなんだ。
緊張が、全身から抜け落ちる。
「タッパー付きの弁当なんて珍しいなあって思ってたら、すき焼き丼なんだもん。フタ開けてみて、メッチャ驚いたよ。二日目のすき焼きがあそこまで美味しいとはねえ。それも温泉卵つき!! あまりの美味しさに思わず叫んじゃったよ。『美味しいっ!!』って」
そ、それは……。
美味しいから「美味しいっ!!」と叫ぶ。シンプルで、単純。なんのひねりもない、わかりやすすぎる反応。
「あれは、悪魔のお弁当だよ。午後からもずっとあの味が忘れられなかったもん」
そ、そこまで?
「私があまりに『美味しい!!』って連呼するもんだから、編集長が弁当を見に来てさ。『ミオちゃんに、お料理のページの監修してほしいな』って言われちゃったよ」
「それは、さすがに大げさじゃあ……」
「ううん。そんなことない。ミオが成人してたら、絶対料理の仕事、依頼出すって。私だって、ミオに記事を書いて欲しいぐらいだし」
そうかな。そんなにすごいこと、してるかな。
褒められすぎて、背中がかなりこそばゆい。
「で? 今日のゴハンは何かな~? さっきからダシのいい匂いがするんだけど?」
「白菜と鶏ひき肉の重ね煮だよ。昨日のすき焼きで使った白菜が残ってたから」
鶏ひき肉と卵、みじん切りのショウガ、片栗粉大さじ1、酒大さじ1/2を混ぜて練って、白菜、ひき肉(練ったヤツ)、白菜、ひき肉と、ミルフィーユみたいに鍋のなかで交互に重ねる。ダシカップ2杯と、酒大さじ2、みりん大さじ2、しょう油大さじ3を入れて、落し蓋をして、弱火で30分ぐらい煮る。取り出して断面がキレイに見えるように切り分けたら、残った汁に水溶き片栗粉をいれてとろみをつけて、上からかけたら出来上がり。
鍋用に白菜を買うと必ず余る。それも、1/4サイズが売り切れてたかので、仕方なく1/2サイズを買っちゃったから余計に。浅漬けにしたり、八宝菜にしたり、活用方法は色々あるけど、一番消費できるのはこの重ね煮だ。
「ヤバい、これ、美味しい予感しかしない」
「美味しいかどうかは、食べてみなくちゃわかんないよ?」
「いや、絶対、美味しいって。見てよ、この断面。白菜とひき肉のミルフィーユ具合が、かなりヤバいって」
う~~ん。見た目キレイでも味はわかんないのになあ。美味しそうにはできたと思うけど。
編集者とは思えないほど、奏さんの語彙力が低下してる。さっきから「ヤバい」しか連呼してない。
「とりあえず、手、洗ってきてください。ゴハンは逃げたりしませんから」
「はいはーい」
飛び跳ねるように洗面所に向かう奏さん。まるで子どもみたい。
奏さんが手を洗ってる間に、重ね煮以外の料理も食卓に並べる。今日の惣菜は、さやいんげんの胡麻和え。それとなめこの味噌汁。
「さ、食べよ、食べよ。いただきまーす」
座ると同時に手を合わせた奏さん。食べるの、ガマンできなかったらしい。それでも、手を合わせる姿勢はさすがです。
「う~~!! 美味しい~~!!」
バタバタバタバタ。
奏さんの美味しい足踏み。
うれしいけど、「うるさい」って苦情くるな、絶対。
「ホント、ミオが大人だったら料理の取材をさせてもらうか、記事を書いてもらうんだけどなあ」
「だから、大げさだってば。こんなの、料理本とかサイト見て作っただけだし」
重ね煮は本来、薄口しょう油を使って、もう少し上品な、素材の色を活かした出来栄えにならなきゃいけないのに、濃口しょう油を使ったから、どこか野暮ったくなってる。味に大差ないと思うけど(薄口のが塩分濃いし)、料理で取材受けるには、そのあたりも気をつけられるようにならないと無理じゃないかな。
「それでもすごいって。こんなに美味しいの作れるんだから。ミオには、それだけの才能があるんだって」
幸せそうに一口食べるたび、頬に手をやる奏さん。もしかして、「美味しくて、ほっぺが落ちる」直前とか?
「あのさ、もしかして、これも明日の弁当に入ったり……する?」
「このままじゃないけど……。残った材料で別のメニューを作るつもりだよ。重ね煮で捏ねたひき肉をそのまま団子にし……」
「待った!! 待った、待った、待ったっ!!」
STOP!!
奏さんが手をパーにして突き出した。
「それ以上、言っちゃダメ!! 明日の楽しみがなくなる!!」
「そう? じゃあ、ナイショにしておくね」
重ね煮で使ったお肉や調味料って、ようするに「つくね」のタネと同じだから、そのまま一口大に丸めて「つくね」を作る。丸めてレンジで一分ぐらい加熱して、しょう油とみりんを絡めたら出来上がり。あとは、冷凍ポテトを揚げて、卵焼きとプチトマトを入れたら完成のお弁当。
明日も奏さん、喜んでくれるかな?
「そういやこの間さ、新人のバイトくんに『成瀬さんって家庭的な人なんですね。手作り弁当だなんて憧れます』って言われたよ。私が弁当作ってるって勘違いされてさ」
ブホッ。
飲み込みかけた重ね煮をのどに詰まらせる。
「編集長とか斎藤さんとか、事情を知ってる人は、思いっきり笑いをこらえてるし。仕方ないから、『中学生の姪っ子が作ってる』って、本当のことを教えてあげたら、バイトくん、目を白黒させてたよ。『中学生が……』ってね」
それは、おそらくだけど、奏さんに惚れて、お近づきになるキッカケとして弁当を褒めたのでは? 美人なだけじゃなく、家庭的な人なんですね~、俺、そういう人、好きだな~的な。
なのに、「これ、姪っ子が作ったの」では、次の言葉が出てこなくなるよね。「姪御さんでこれだけ上手なら、叔母であるアナタはもっと上手なんじゃないですか?」なんて台詞、気転は、とっさに出てこなかったんだろうな。
「ホント、罪作りだよね、ミオのお弁当って」
いーや。
罪作りなのは、奏さん。アナタの方です。
美人で気立てがよくって、サバサバしてて。それでいて手作り弁当持参、家庭的に見えたら、そりゃあ、誰だって惚れる。
女が作ったっぽい、女の影ありあり弁当。男性に渡したら虫よけにちょうどいいけど、女性(それも美人)に渡したら、惚れたホイホイになってしまうのか。
なるほど。
「バイトくんだけじゃないよ? 私もガッツリ胃袋掴まれてるし。ミオのゴハンなしに生きてけないっていうか。ミオのゴハンを楽しみに生きてるっていうか」
「そんな人生、淋しくない? ゴハンを楽しみに生きてるって」
オーバーすぎる表現?
「それだけ、美味しすぎるってこと。責任取ってよね、ミオ」
「責任?」
「そ。これからも、ずっと私にゴハンを作ってくれるって責任。私、もう、ミオのゴハン以外食べたくないんだもん。ミオに作ってもらえなくなったら、飢え死にしちゃう」
「だから、大げさだってば。そんなことばっか言ってると、婚期逃して『老嬢』になっちゃうよ?」
辛辣な言葉とは裏腹に、心はドキドキしてくる。
「いいも~ん。そうなったら、私、毎日、ミオのゴハン食べて、幸せに暮らすんだから。メデタシ、メデタシってね」
「ちょっと!! わたしまで『老嬢』確定なの?」
勝手に「お一人様」を決めつけないで。
「いいじゃん、いいじゃん。二人で縁側にでも並んで座ってさ。『ばあさんや、メシはまだかのう』なんて言いあってるの」
「ばあさんがばあさんに? ってそれ、認知症テッパン台詞でしょ。『さっき食べたばかりでしょ、おばあちゃん。忘れちゃったの?』って」
おばあちゃんになった奏さんと、おばあちゃんになったわたしが縁側に並んで日向ぼっこ。ちょっとすごい絵面だと思う。普通は、共白髪になったおばあちゃんとおじいちゃんが座ってるハズだ。
「それでもいいの。ミオのゴハンを食べて暮らす老後。最高じゃない」
「ええ~。そこまでお世話したくないですぅ」
ブーッとふてくされたような顔をしてみせる。けど。
……それもいいかもしれない。
なんて思う自分がいた。
奏さんと暮らす未来以外、考えたこともないし、考えたくもない。
「そういや、ミオ、試験、来週の日曜だっけ。聖泉女学院の」
夕飯を食べ終え、食卓にパソコンを取り出しながら奏さんが問うた。
「え? 今週の土曜日だけど?」
わたしも、いつものように食器を洗いながら答える。
「日曜は、一般試験のほうですよ。わたし、特待生希望だからその前週の土曜日です」
特待生枠は、一般の一週間前に試験が行われる。
「でもありがたいですよね~。特待で不合格になっても、成績よければ、一般で合格させてくれるんですから……って、奏さん?」
食器を洗い続けるわたしの隣に、怒ったような顔の奏さんが立っていた。
「土曜日って、明後日じゃない!!」
「そ、そうだけど……」
「だったら、こんなの洗ってないで、ちゃんと勉強しなさいっ!!」
ひったくるように奪われたスポンジ。お皿を落とさなかったことを褒めてあげたいぐらいに驚く。
「明日の夕飯は、私が作るから!! ミオは勉強に集中しなさいっ!!」
料理は勉強の息抜きだったんだけど。
そんな言い訳すら許してくれなさそうな形相の奏さん。
……仕方ない。勉強しよう。
明日の夜、キッチンがとんでもないことになる。そんな予感を残しながら、しぶしぶ自分の部屋に戻ることにした。
あ。
明日の弁当。
あれは作ってもいいんだよね? 奏さん。
向かい合った食卓。机を挟んだ先に座る奏さんが箸を咥えたまま、軽くジタバタと足踏みをした。
かなり行儀が悪い。
「『やっぱ冬は鍋だよね~』ってテッパン台詞を言いたくなっちゃう。メッチャ美味しいっ!!」
食卓にあるのは、鍋。それもちょっと豪華に、「すき焼き鍋」。
割りしたから自分で配合した鍋。行儀悪くてもなんでも、奏さんがそこまで喜んでくれたのなら最高だ。
「お野菜も食べてくださいよ?」
「わかってるって。そんなベタな台詞言われなくても」
どうだか。
「この白菜だって、しらたきだって……。うーっ!! 味、シミシミで美味しい~っ!!」
再び、足をジタバタ。足音うるさいって、下の階の人に文句言われないかな。
まあ、言われたとしても、それが奏さんが喜んでくれたことの代償だと思えば、「ごめんなさい」と頭を下げるのも苦じゃない。
奏さんの幸せそうに食べる姿に満足してから、わたしも溶いた卵に肉と野菜を浸して口に入れる。
うん。これは美味しい。白菜が割りしたをタップリ含んでいるから、噛むたびに味が口内に染み渡る。
ウッカリすると、わたしも足踏みしそう。
「これは、箸が止まらなくなる、魔の味だね~」
会話の合間合間に奏さんの箸がせわしなく動く。
「食べ過ぎないでくださいよ?」
「わかってるって~。でも、まだこんなにあるんだし、ちょっと多めに食べても大丈夫だって」
ミオってば、食いしん坊だな。
勝手に認定された。
いや、食いしん坊は奏さんのほうでしょ。
多めに作ったハズなんだけど。鍋の残量が気になる。
「あ~、食べた、食べた~。ごちそうさまでした」
どれだけふざけてても、キチンと背を伸ばして手を合わせる奏さん。
その姿は、やはりキレイだ。
「お風呂、沸いてるから、先に入っちゃってください」
「OK~」
食べてすぐのお風呂ってどうなの?って思わないでもないけど、どうせこの後、また仕事に潜るだろうし。そうなったら、お風呂とかそういうの、どうでもよくなって、テコでも動かなくなるから、サッサとやるべきことをやっておいてほしい。
「あ、そうだ。ミオ」
部屋から戻ってきた奏さん。手には部屋着と……何?
「これ、取材に行ってた斎藤さんからのお土産。山梨限定の、桃のフェイシャルマスクなんだって。よかったら、一緒に使お?」
「斎藤さんが?」
それはかなり珍しい。今まで、斎藤さんからお土産なんて、一度ももらったことない。
「いやあ、この間広島でレモンの買ったじゃない。あれの使い心地がすごいよかったって話したら、これを買ってきてくれてさ。なんか、私このマスクのマニア認定されたらしくって。今度京都に帰省するって同僚も、土産に買ってきてくれるようなこと言ってたし」
「京都……」
「舞妓さんみたいな肌になれるみたいだよ?」
そうなんだ。
というか、あれ、そんなにいっぱい地域限定品があるヤツだったんだ。
はんなり京都美人になった奏さんを想像する。きっと奏さんなら着物も美しく映えるに違いない。着物の襟からのぞくうなじ……、多分、メッチャキレイなんだろうな。結い上げた髪からこぼれたおくれ毛も相まって色っぽく……。
って、ダメだ。
これ以上、奏さんが美人になったら、また誰か知らない男が言い寄ってくるかもしれない。それこそ、この間の元カレみたいに。
あれは、奏さんがフッたみたいだけど、油断はできない。
奏さんがステキな女性だって思われるのはうれしいけど、ステキな女性だからって言い寄られるのはうれしくない。
次は消えもの、食べ物をお土産にしてもらえるよう、話題をふってもらえるように誘導しておこう。
これ以上美人になられてハラハラしたくない。
* * * *
朝。アラームの音と同時に目を覚ます。
午前六時。
窓の外は、当たり前だけど暗い夜のまま。
さすがに寒くなってきたので、リビングに行くと同時に、エアコンのスイッチをいれる。
それからキッチンで、いつものように朝食とお弁当の用意をはじめる。キッチンはタイマーで予約していたのが炊きあがったばかりなのか、ほのかにご飯の匂いが漂っていた。
その炊きたてのご飯を弁当箱によそう。それから、昨日のすき焼きの残りを火にかける。
一晩置いといたから、割りしたはバッチリ具材に染みこんでいる。あとは、汁が出ないぐらいに煮詰めるだけ。弁当で汁気が残っているのは洒落にならない。
それと同時に温泉卵を作る。
よそっておいたご飯に汁気のなくなったすき焼きを見た目よく載せていく。端っこには紅ショウガ。温泉卵は、弁当とは別、小さめのタッパーに入れておく。
これで、すき焼き弁当の出来上がり。食べる時に、温泉卵をONしてもらえば完成だ。
奏さん、驚くかな。喜んでくれるかな。
想像するだけで楽しい。会社でも、足をジタバタさせてくれると最高なんだけど。
ちょっとしたビックリ箱を仕込んだような気分。
* * * *
「ちょっと、ミオ、今日のお弁当、あれなにっ!?」
帰ってくるなり、奏さんの第一声。
「美味しくなかった……?」
息せき切って家に飛び込んできたから、ものすごく不安になる。わたしも同じ弁当だったんだけど。――マズかったかな。
「違う、逆っ!! 逆!! 美味しすぎてどうにかなりそうだったよ!!」
あ、そうなんだ。
緊張が、全身から抜け落ちる。
「タッパー付きの弁当なんて珍しいなあって思ってたら、すき焼き丼なんだもん。フタ開けてみて、メッチャ驚いたよ。二日目のすき焼きがあそこまで美味しいとはねえ。それも温泉卵つき!! あまりの美味しさに思わず叫んじゃったよ。『美味しいっ!!』って」
そ、それは……。
美味しいから「美味しいっ!!」と叫ぶ。シンプルで、単純。なんのひねりもない、わかりやすすぎる反応。
「あれは、悪魔のお弁当だよ。午後からもずっとあの味が忘れられなかったもん」
そ、そこまで?
「私があまりに『美味しい!!』って連呼するもんだから、編集長が弁当を見に来てさ。『ミオちゃんに、お料理のページの監修してほしいな』って言われちゃったよ」
「それは、さすがに大げさじゃあ……」
「ううん。そんなことない。ミオが成人してたら、絶対料理の仕事、依頼出すって。私だって、ミオに記事を書いて欲しいぐらいだし」
そうかな。そんなにすごいこと、してるかな。
褒められすぎて、背中がかなりこそばゆい。
「で? 今日のゴハンは何かな~? さっきからダシのいい匂いがするんだけど?」
「白菜と鶏ひき肉の重ね煮だよ。昨日のすき焼きで使った白菜が残ってたから」
鶏ひき肉と卵、みじん切りのショウガ、片栗粉大さじ1、酒大さじ1/2を混ぜて練って、白菜、ひき肉(練ったヤツ)、白菜、ひき肉と、ミルフィーユみたいに鍋のなかで交互に重ねる。ダシカップ2杯と、酒大さじ2、みりん大さじ2、しょう油大さじ3を入れて、落し蓋をして、弱火で30分ぐらい煮る。取り出して断面がキレイに見えるように切り分けたら、残った汁に水溶き片栗粉をいれてとろみをつけて、上からかけたら出来上がり。
鍋用に白菜を買うと必ず余る。それも、1/4サイズが売り切れてたかので、仕方なく1/2サイズを買っちゃったから余計に。浅漬けにしたり、八宝菜にしたり、活用方法は色々あるけど、一番消費できるのはこの重ね煮だ。
「ヤバい、これ、美味しい予感しかしない」
「美味しいかどうかは、食べてみなくちゃわかんないよ?」
「いや、絶対、美味しいって。見てよ、この断面。白菜とひき肉のミルフィーユ具合が、かなりヤバいって」
う~~ん。見た目キレイでも味はわかんないのになあ。美味しそうにはできたと思うけど。
編集者とは思えないほど、奏さんの語彙力が低下してる。さっきから「ヤバい」しか連呼してない。
「とりあえず、手、洗ってきてください。ゴハンは逃げたりしませんから」
「はいはーい」
飛び跳ねるように洗面所に向かう奏さん。まるで子どもみたい。
奏さんが手を洗ってる間に、重ね煮以外の料理も食卓に並べる。今日の惣菜は、さやいんげんの胡麻和え。それとなめこの味噌汁。
「さ、食べよ、食べよ。いただきまーす」
座ると同時に手を合わせた奏さん。食べるの、ガマンできなかったらしい。それでも、手を合わせる姿勢はさすがです。
「う~~!! 美味しい~~!!」
バタバタバタバタ。
奏さんの美味しい足踏み。
うれしいけど、「うるさい」って苦情くるな、絶対。
「ホント、ミオが大人だったら料理の取材をさせてもらうか、記事を書いてもらうんだけどなあ」
「だから、大げさだってば。こんなの、料理本とかサイト見て作っただけだし」
重ね煮は本来、薄口しょう油を使って、もう少し上品な、素材の色を活かした出来栄えにならなきゃいけないのに、濃口しょう油を使ったから、どこか野暮ったくなってる。味に大差ないと思うけど(薄口のが塩分濃いし)、料理で取材受けるには、そのあたりも気をつけられるようにならないと無理じゃないかな。
「それでもすごいって。こんなに美味しいの作れるんだから。ミオには、それだけの才能があるんだって」
幸せそうに一口食べるたび、頬に手をやる奏さん。もしかして、「美味しくて、ほっぺが落ちる」直前とか?
「あのさ、もしかして、これも明日の弁当に入ったり……する?」
「このままじゃないけど……。残った材料で別のメニューを作るつもりだよ。重ね煮で捏ねたひき肉をそのまま団子にし……」
「待った!! 待った、待った、待ったっ!!」
STOP!!
奏さんが手をパーにして突き出した。
「それ以上、言っちゃダメ!! 明日の楽しみがなくなる!!」
「そう? じゃあ、ナイショにしておくね」
重ね煮で使ったお肉や調味料って、ようするに「つくね」のタネと同じだから、そのまま一口大に丸めて「つくね」を作る。丸めてレンジで一分ぐらい加熱して、しょう油とみりんを絡めたら出来上がり。あとは、冷凍ポテトを揚げて、卵焼きとプチトマトを入れたら完成のお弁当。
明日も奏さん、喜んでくれるかな?
「そういやこの間さ、新人のバイトくんに『成瀬さんって家庭的な人なんですね。手作り弁当だなんて憧れます』って言われたよ。私が弁当作ってるって勘違いされてさ」
ブホッ。
飲み込みかけた重ね煮をのどに詰まらせる。
「編集長とか斎藤さんとか、事情を知ってる人は、思いっきり笑いをこらえてるし。仕方ないから、『中学生の姪っ子が作ってる』って、本当のことを教えてあげたら、バイトくん、目を白黒させてたよ。『中学生が……』ってね」
それは、おそらくだけど、奏さんに惚れて、お近づきになるキッカケとして弁当を褒めたのでは? 美人なだけじゃなく、家庭的な人なんですね~、俺、そういう人、好きだな~的な。
なのに、「これ、姪っ子が作ったの」では、次の言葉が出てこなくなるよね。「姪御さんでこれだけ上手なら、叔母であるアナタはもっと上手なんじゃないですか?」なんて台詞、気転は、とっさに出てこなかったんだろうな。
「ホント、罪作りだよね、ミオのお弁当って」
いーや。
罪作りなのは、奏さん。アナタの方です。
美人で気立てがよくって、サバサバしてて。それでいて手作り弁当持参、家庭的に見えたら、そりゃあ、誰だって惚れる。
女が作ったっぽい、女の影ありあり弁当。男性に渡したら虫よけにちょうどいいけど、女性(それも美人)に渡したら、惚れたホイホイになってしまうのか。
なるほど。
「バイトくんだけじゃないよ? 私もガッツリ胃袋掴まれてるし。ミオのゴハンなしに生きてけないっていうか。ミオのゴハンを楽しみに生きてるっていうか」
「そんな人生、淋しくない? ゴハンを楽しみに生きてるって」
オーバーすぎる表現?
「それだけ、美味しすぎるってこと。責任取ってよね、ミオ」
「責任?」
「そ。これからも、ずっと私にゴハンを作ってくれるって責任。私、もう、ミオのゴハン以外食べたくないんだもん。ミオに作ってもらえなくなったら、飢え死にしちゃう」
「だから、大げさだってば。そんなことばっか言ってると、婚期逃して『老嬢』になっちゃうよ?」
辛辣な言葉とは裏腹に、心はドキドキしてくる。
「いいも~ん。そうなったら、私、毎日、ミオのゴハン食べて、幸せに暮らすんだから。メデタシ、メデタシってね」
「ちょっと!! わたしまで『老嬢』確定なの?」
勝手に「お一人様」を決めつけないで。
「いいじゃん、いいじゃん。二人で縁側にでも並んで座ってさ。『ばあさんや、メシはまだかのう』なんて言いあってるの」
「ばあさんがばあさんに? ってそれ、認知症テッパン台詞でしょ。『さっき食べたばかりでしょ、おばあちゃん。忘れちゃったの?』って」
おばあちゃんになった奏さんと、おばあちゃんになったわたしが縁側に並んで日向ぼっこ。ちょっとすごい絵面だと思う。普通は、共白髪になったおばあちゃんとおじいちゃんが座ってるハズだ。
「それでもいいの。ミオのゴハンを食べて暮らす老後。最高じゃない」
「ええ~。そこまでお世話したくないですぅ」
ブーッとふてくされたような顔をしてみせる。けど。
……それもいいかもしれない。
なんて思う自分がいた。
奏さんと暮らす未来以外、考えたこともないし、考えたくもない。
「そういや、ミオ、試験、来週の日曜だっけ。聖泉女学院の」
夕飯を食べ終え、食卓にパソコンを取り出しながら奏さんが問うた。
「え? 今週の土曜日だけど?」
わたしも、いつものように食器を洗いながら答える。
「日曜は、一般試験のほうですよ。わたし、特待生希望だからその前週の土曜日です」
特待生枠は、一般の一週間前に試験が行われる。
「でもありがたいですよね~。特待で不合格になっても、成績よければ、一般で合格させてくれるんですから……って、奏さん?」
食器を洗い続けるわたしの隣に、怒ったような顔の奏さんが立っていた。
「土曜日って、明後日じゃない!!」
「そ、そうだけど……」
「だったら、こんなの洗ってないで、ちゃんと勉強しなさいっ!!」
ひったくるように奪われたスポンジ。お皿を落とさなかったことを褒めてあげたいぐらいに驚く。
「明日の夕飯は、私が作るから!! ミオは勉強に集中しなさいっ!!」
料理は勉強の息抜きだったんだけど。
そんな言い訳すら許してくれなさそうな形相の奏さん。
……仕方ない。勉強しよう。
明日の夜、キッチンがとんでもないことになる。そんな予感を残しながら、しぶしぶ自分の部屋に戻ることにした。
あ。
明日の弁当。
あれは作ってもいいんだよね? 奏さん。
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*200. ロンド~踊る命~ -17- (1)~(6)
*エピローグ ロンド~廻る命~
本編最終回です。200話の一部を199.(2)にしたため、199.(2)から最終話シリーズになりました。
※この物語はフィクションです。実在する団体・企業・人物とはなんら関係ありません。架空の町が舞台です。
現在の関連作品
『邪眼の娘』更新 令和6年1/7
『月光に咲く花』(ショートショート)
以上2作品はみふゆの母親・水無瀬礼夏(青木礼夏)の物語。
『恋人はメリーさん』(主人公は京司朗の後輩・東雲結)
『繚乱ロンド』の元になった2作品
『花物語』に入っている『カサブランカ・ダディ(全五話)』『花冠はタンポポで(ショートショート)』
三度目の庄司
西原衣都
ライト文芸
庄司有希の家族は複雑だ。
小学校に入学する前、両親が離婚した。
中学校に入学する前、両親が再婚した。
両親は別れたりくっついたりしている。同じ相手と再婚したのだ。
名字が大西から庄司に変わるのは二回目だ。
有希が高校三年生時、両親の関係が再びあやしくなってきた。もしかしたら、また大西になって、また庄司になるかもしれない。うんざりした有希はそんな両親に抗議すべく家出を決行した。
健全な家出だ。そこでよく知ってるのに、知らない男の子と一夏を過ごすことになった。有希はその子と話すうち、この境遇をどうでもよくなってしまった。彼も同じ境遇を引き受けた子供だったから。
歌え!寮食堂 1・2・3(アイン・ツヴァイ・ドライ)!
皇海宮乃
ライト文芸
一年間の自宅浪人を経て、かろうじて補欠で大学入学の切符を掴んだ主人公、志信。
アパート住まいは経済的に無理だと親に言われ、付属の学生寮に入らなかったら往復三時間を超える電車通学をするしかない。
無事入寮が決まり、鞄一つで郷里から出てきたものの……。
そこは、旧制高校学生寮の気風残る、時代錯誤な場所だった。
寮食堂での昼食、食事の前には『寮食歌』なるものを歌うと聞かされ、あらわれたのは、学ラン、ハチマキ無精髭のバンカラ風男子大学生。
アイン、ツヴァイ、ドライ!
食堂には歌が響き、寮内暴走族? 女子寮へは不審者が?
学生寮を舞台に起こる物語。
心の落とし物
緋色刹那
ライト文芸
・完結済み(2024/10/12)。また書きたくなったら、番外編として投稿するかも
・第4回、第5回ライト文芸大賞にて奨励賞をいただきました!!✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω'✌︎ )
〈本作の楽しみ方〉
本作は読む喫茶店です。順に読んでもいいし、興味を持ったタイトルや季節から読んでもオッケーです。
知らない人、知らない設定が出てきて不安になるかもしれませんが、喫茶店の常連さんのようなものなので、雰囲気を楽しんでください(一応説明↓)。
〈あらすじ〉
〈心の落とし物〉はありませんか?
どこかに失くした物、ずっと探している人、過去の後悔、忘れていた夢。
あなたは忘れているつもりでも、心があなたの代わりに探し続けているかもしれません……。
喫茶店LAMP(ランプ)の店長、添野由良(そえのゆら)は、人の未練が具現化した幻〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉と、それを探す生き霊〈探し人(さがしびと)〉に気づきやすい体質。
ある夏の日、由良は店の前を何度も通る男性に目を止め、声をかける。男性は数年前に移転した古本屋を探していて……。
懐かしくも切ない、過去の未練に魅せられる。
〈主人公と作中用語〉
・添野由良(そえのゆら)
洋燈町にある喫茶店LAMP(ランプ)の店長。〈心の落とし物〉や〈探し人〉に気づきやすい体質。
・〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉
人の未練が具現化した幻。あるいは、未練そのもの。
・〈探し人(さがしびと)〉
〈心の落とし物〉を探す生き霊で、落とし主。当人に代わって、〈心の落とし物〉を探している。
・〈未練溜まり(みれんだまり)〉
忘れられた〈心の落とし物〉が行き着く場所。
・〈分け御霊(わけみたま)〉
生者の後悔や未練が物に宿り、具現化した者。込められた念が強ければ強いほど、人のように自由意志を持つ。いわゆる付喪神に近い。
さとうと編集。
cancan
ライト文芸
主人公、天月さとうは高校三年生女子。ライトノベル作家を目指している。若いながらも世の中の歪みのようなものと闘いながら日々の生活を一生懸命に生きている。若手女性声優とお金が大好き
タイムトラベル同好会
小松広和
ライト文芸
とある有名私立高校にあるタイムトラベル同好会。その名の通りタイムマシンを制作して過去に行くのが目的のクラブだ。だが、なぜか誰も俺のこの壮大なる夢を理解する者がいない。あえて言えば幼なじみの胡桃が付き合ってくれるくらいか。あっ、いやこれは彼女として付き合うという意味では決してない。胡桃はただの幼なじみだ。誤解をしないようにしてくれ。俺と胡桃の平凡な日常のはずが突然・・・・。
気になる方はぜひ読んでみてください。SFっぽい恋愛っぽいストーリーです。よろしくお願いします。
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