正しいホムンクルスの作り方。

若松だんご

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第14話 上方置換、下方置換

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 「今まで通りに――か」

 腕の中で、アグネスが呟いた。

 「よし。では、今まで通り、実験を続けるぞ」

 「は?」

 「服を脱いで、準備を始めてくれ。ん? ああ、もう準備はできてるようだな」

 なんでそういう思考にたどり着く?
 ってか、俺のっ! 俺のイチモツ、こするんじゃねえっ!
 イキナリこすられたせいで、腰が数センチ浮かび上がった。

 「ちょっ、ちょっと待って! 待ってください!」

 アグネスの手を掴み、とりあえず興奮を止める。

 「なんでイキナリそういうことになるんですか!」

 いくら大砲の音が静まったからって。さっきまで怯えてたアグネスはどこいった?

 「大砲より、より優れた武器があると軍に売り込まねばならん」

 「は?」

 「一日も早くカワイイを武器化して、軍に売りつけなくては。あんな大砲で敵を倒そうなど、愚の骨頂。カワイイなら、誰も傷つけずに勝てるというのに。戦わずして敵に勝つことこそ上策。たしか東の国の兵法だったと思うが」

 「えっと、それは、そうですけど……」

 だからって、カワイイが本当に武器になるって思ってるのか?

 「カワイイの研究を進めるためには、お前の精液が必要だ。だから脱げ」

 「ぎゃあっ! 待って! 待ってください! 自分で脱ぎますから!」

 トンチキ思考の回路は理解できたけど、だからってなんで好きな女に襲われるわけ?

 「なら脱げ。急いで」

 …………返してくれ。さっきのか弱いアグネスを。

 「とりあえず、俺は自分で脱ぎますから。博士も、薬を服用して準備してください」

 「わかった。待ってろ」

 素直に俺の言葉に従うアグネス。ポンッとベッドから降りると、薬を片手に水を飲みに行く。

 (まったく。情緒もへったくれもない)

 さっきは、怯えて俺にしがみついていたのに。
 元気に、元通りになってよかったって言っていいのかどうか。できればそのトンチキ思考は元通りになってほしくなかった。
 
 「用意できたか?」

 「ええ、まあ」

 言われた通り、服は全部脱いだ。微妙に不本意だけど。

 「よし」

 満足そうに笑ってアグネスが近づいてくる。プチンプチンと自身の白衣のボタンを外しながら。

 (あ、これ、全然不本意じゃないや)

 白衣を脱ぎ捨て、下の服も何もかも、一枚ずつ剥ぎ取っていくアグネス。エッチなショーでも観せられてるみたいで。自然と、体の熱が下腹部に集まってくる。

 「――どうした?」

 「いえ。ナンデモアリマセン」

 最後の一枚。軽く足を曲げて下着を脱ぐ仕草に欲情しましたとは言えない。揺れた胸にゴクリと喉が鳴ってしまったことも内緒。

 「では始めるか」

 「はい」

 ベッドの縁に腰掛ける俺の前に立ったアグネス。見下ろす彼女の視線に、見上げる俺の視線を絡め、その細い腰を抱き寄せる。
 
 「ンッ」

 下りてきた唇。
 どちらからともなくキスを交わせば、それだけで、「なんで、どうして」は消えて、「抱ける喜び」だけが残る。
 実験でもなんでもいい。アグネスが欲しい。アグネスを愛したい。
 欲しいというのなら、どれだけでも俺の精液を注いでやる。

 「――サイトー」

 少し離れ、アグネスが濡れた唇をペロリと舐める。
 赤く上気した顔。キスに夢中で汗ばんだ肌。潤んだ目。いいなあ、やっぱり――って、え?
 グイッと額を押され、ボスッと仰向けにひっくり返った俺の体って――え?

 「博士?」

 何するつもりなんだ?
 倒れた俺を追うように、上にまたがってきたアグネス。

 「今日は、私がやる」

 「へ? ――ングッ!」

 硬くそそり立っていた陰茎が、アグネスの股に押しつぶされた。押しつぶすだけじゃない、そのまま前後にこすられる。

 「は、博士、それは、ちょっと!」

 こすられてるだけなのに、挿れてもないのに。濡れた熱いヒダが吸いつくように気持ちいい。

 「気持ちいいか?」

 問われ、認めたくないけど頷く。

 「そうか。なら、このまま続けるぞ」

 宣言して、後ろでまとめた髪をパサッと解いたアグネス。
 続けるって?

 「ンォッ!」

 陰茎をこすってた動きが変化する。なめらかに、自然に、ズプと孔が陰茎を呑み込む。

 「や、はり……、大き、い、な……!」

 体を真っ直ぐに起こしたアグネス。前戯も何もなしに呑み込むのは難しいのか、ゆっくりと体を下ろしていく。

 「博士、ムリですよ!」

 「いいんだ。今日は、私が、やる、と、言っただ、ろっ!」

 ンッと喘ぎながら、時折身を震わせながら、それでも根本まで咥え込んだ。

 「ほら、一つになれた」

 (ンオォッ!)

 ツツッと、繋がった部分をアグネスの細い指がなぞる。それだけで、腰が大きく跳ねた。

 「ダメだ、ぞ。今日は、私が……、ンッ、ア……」

 腰を持ち上げたことで襲う排泄感に、アグネスが震えた。苦悶の表情を浮かべ、またズブズブと陰茎を呑み込む。けど。

 (なんだこの、生殺し)

 最初、咥えられた時は、それだけでイキそうになったけど、そこから始まったゆっくりすぎる抽送に、萎えるというか、昂りが鎮まっていくというか。
 必死になって、俺をイカせようとしてる努力は認める。認めるけど。

 「今日は、アッ、私が、や、るから、なっ。ンッ、いつでも、出し、て、ンゥ、いい、ぞ!」

 無理です。こんなゆっくりじゃあ、出るものも出ない。引っ込む。

 「――博士」

 その心意気に、生殺しでもガマンしてたけど、もう限界。

 「え? ヤッ、サイトォッ!」

 アグネスの細い腰を掴んで、下から強く穿つ。

 「アッ、激しっ、激しいっ! アアッ、アッ!」

 速く強く乱暴に。俺の腹の上で、喘ぐアグネスが上下左右に翻弄される。

 (エッロ……)

 襲う快感に耐える顔。動きに合わせて踊る髪。揺れる胸。繋がった部分からは、グチョグチョと淫靡な音が溢れる。

 「アッ、ダメッ! イッ、イッちゃっ、アアッ……!」

 (グッ……!)

 締め上げてくる膣。その蠕動に合わせて出したい。ぶちまけたい。けど。

 「博士!」

 その腰を掴んだまま、体を起こす。代わりにアグネスをベッドに押し倒し、上から叩きつけるように、激しく抽送をくり返す。バチュバチュと汗に濡れた肉のぶつかる音。

 「アアッ! アッ、アヒッ、アアッ!」

 限界だ。

 「グッ……!」

 溜まったそれを、容赦なくぶちまける。何度も腰を打ちつけ、残滓まですべて注ぎ込む。
 受け入れたアグネスが、体を強張らせ、何度も痙攣をくり返しても。

 「――私がやると言ったのに」

 激情が過ぎ、二人、裸のまま転がると、俺の胸に頬を寄せたアグネスがすねた。
 私がやりたかったのに。私がイカせたかったのに。
 怒って、俺の胸の上で指先をイジイジする。

 「すみません。では次回は、博士にお願いします」

 そのむくれた顔。指。怒ってるのに、とってもカワイイ。

 「でも、博士。その時は、もう少し腰を速く動かしてくださいね」

 でないと、また俺から襲っちゃいますよ?
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