8 / 18
第8話 追加実験条件
しおりを挟む
「大変だ、ガトー」
俺が帰るなり、顔を青くして駆け寄ってきたアグネス。
何が? 何が大変なんだ?
見回したところ、研究所にはなんの異変もなさそう。あるとすれば、なぜか、アグネスが頭からスッポリと毛布をかぶって、身を包んでることなんだが。――なんで毛布? 寒いのか?
「実験について、大事な条件を忘れていた」
「大事な条件?」
物質を実験対象とする化学実験において、実験条件はかなり重要な案件。温度、湿度、気圧。生物を対象とする場合は、その内的状況も重要な実験条件となる。
「そうだ。実験の条件として、私が感じてることが重要だとわかったんだ」
ブッ。
「かか、感じてるっ!?」
「そうだ。私が腟内でエトーの陰茎の存在を感じて、いわゆる〝絶頂〟という状況下にないと、実験の成功確率が減るというのだ」
どこ情報だ、それ。
「だから、今日の実験からは、ちゃんと感じさせて、絶頂させてくれ」
「え、えーっと。あの……〝絶頂〟の意味、わかってます?」
セックス中、何度もイッてると思ってたんだけど?
「知ってるぞ。絶頂。物事の上り詰めたところ。頂点。そういう意味だ」
「いや、まあ、そうなんですけど……」
山のテッペン。そういう意味で使われることもあるけど、この場合、どっちかというと「イクイクイク~」って意味の絶頂。セックスで感じすぎて、気持ちいいのが弾けるみたいな意味を含む。
「ということで、私を絶頂状態にしてから、精液を注いでくれないか」
…………。
それって、「私をイカせて、射精しろ」ってことか?
できるかできないかと問われれば、「できる」一択なんだけど。というか、今までもやってきたと思うんだけど。
「では、早速始めるぞ」
「は? もう、ですか?」
まだ、ラオの家から帰ってきたばかり。夕飯もまだなら、日も落ちてない夕方。
「うむ。早くしないと……寒い」
寒い? まさか、風邪でもひい――
バッ。
「え゛っ!?」
勢いよく毛布を脱ぎ捨てたアグネス。その下から顕れたものに、「風邪引いてるくせに実験なんて」とか、そういう意見はどっか吹き飛ぶ。
「あの、その格好は……」
「ララリアから借りた。これも実験条件として必要なものらしい」
(ラ~ラ~リ~アァ~!!)
グッと握りしめた拳に力がこもる。
毛布の下のアグネス。
胸を隠しただけ、少ない布面積の上衣、みぞおちから下、ヘソなんかは丸出し。下腹部からは、長い紗の帯で留めたスカートがあるけど、それも脚にまとわりつくような、膨らみのない巻きスカート。脚を広げれば、巻きを少しずらせば、秘めやかな部分が簡単に現れる仕様。胸を隠す布だって、その谷間にある紐を解けば、容易にすべてをさらけ出してくれる。
熱帯の南皇国ならではの装い、これでベールなんか被れば完璧な南皇国衣装なんだが。
素性のわからない用心すべき人物かもしれないのに。「何やってるんだ!」より、「ありがとう!」と感謝を捧げたくなる。
小柄で華奢なくせに豊かに熟れた胸が強調されて。とんでもなくエロい。
「お前を興奮させたほうがいい結果が得られると言われてな。なんだ、ガトーは気に入らない、か?」
深くため息を漏らした俺に、アグネスが不安そうな顔をする。
「白衣のほうがいいか? それとも早く脱いだほう――ンッ!」
アグネスが言い切るよりも早く、その体を抱きしめキスをする。深く喉の奥を突くように舌を差し入れ、唾液を啜り上げる。
「ンッ、ンンッ、ンムッ……」
雪崩れるように転がったベッドの上。キスで押さえ込みながら、空いた手で胸元の紐を解く。タユンと揺れてこぼれた胸。紐は思っていたより長い。
「アッ、ハッ、なっ、何をする!」
キスから解放され、息をするのに必死だったアグネスが驚きの声を上げる。
「絶頂のための準備ですよ」
掴んだ彼女の両手首を、頭の上、紐で一つに結わえる。
「ああ、そうだ。これも必要ですね」
次いで、腰にあった紗の帯も解く。
「な、なに、を……」
俺の動きにアグネスが怯える。けど、そんなことお構いなしに、メガネごと、水色の目を帯で隠す。
「俺は、こっちのほうがより興奮します」
言ってから「変態じみた答えだな」と思う。好きな女を拘束して興奮するなんて。変態の極みじゃないか。
だが。
(そそられる……)
帯を解いたことでゆるくなったスカートの包みを、そっと剥がす。
露わになった肢体。見えなくてもすべてが晒されてることに気づいたアグネスが、キュッと太ももをこすり合わせる。それが、さらに男の情欲を掻き立てるとも知らずに。
「ダメですよ。脚、閉じないでください」
恥ずかしがってることはわかってる。けど、それをあえて無視するように、足首を掴んで、すべてを目の前に晒させる。
「アッ、ヤアッ、こ、これっ……」
見えない恐怖か。それともこの先への不安か。期待か。
アグネスが、ピク、ピクと尖らせた乳首を震わせる。脚を開いているだけなのに。膣からはトロリと蜜が滴り落ちる。息も幾分熱っぽく荒れてきた。
(絶頂を知らない?)
そんなわけあるか。これまで何度もイカせてきた。何度もイカせて、何度もオスを教えてきたからこそ、体はこんな反応を示す。
「ヒャァン……!」
その肌のどこに触れるでもなく、顔を寄せる。吹きかける息、かすかに伝わる俺の熱。感じるたびに、アグネスが悲鳴を上げた。
「ねえ、サイトー、もっ、許し、てぇ……!」
何を許したらいいのか。俺は触れてもいなければ、何もしていない。勝手にアグネスが感じてるだけなのに。
「ねえ、おっ、お願、い……アッ!」
胸の頂きにフッと息を吹きかけると、大きくアグネスの背が反った。
「ヒアッ……」
チュプッと勃った乳首を吸うと、喜ぶように体が揺れる。もっと吸って。押しつけるように胸が動く。だが。
「ヤッ……」
乳首から離れ、代わりに太ももを高く持ち上げる。脚を開け、俺の目の前に蜜に濡れた孔を晒させる。
「あ、や、な、なに……?」
自分がどういう格好をして、なにを晒しているのか。不安げにアグネスが問う。
「なんでもありませんよ。実験条件を満たしているか。確認してるだけです」
「そ、そうなの?」
「ええ。問題はなさそうですが」
孔の周り、ぷっくら膨れた大陰唇を指で開く。
「ヒアッ!」
コポリとまた蜜が溢れ出た。赤く濡れた花びらのような、甘い香りのする孔。
「見られてる」だけで感じているのか。動かずジッと見つめていると、またコポンと蜜が溢れてきた。
(限界かな)
アグネスじゃなく、俺が。
この体。隅々まで堪能したい。
「アアッ!」
濡れた孔の奥、膣に指を差し込む。指は最初から二本。勝手に感じていた体は、やすやすとそれを受け入れた。
「ンアッ、サイッ、サイトォッ……!」
蜜が指にまとわりつき、出し入れするたびにジュブジュブと音を立てて掻き出される。膣壁が、指を歓待しキュウキュウと締め付ける。
(これで感じてないわけないだろ)
絶頂とまではいかなくても、この体はオスを求めて蠢き始めている。
「アッ、アアッ、サイトッ、アッ!」
指の代わりに舌を膣に入れる。
口の中の唾液を啜ったように、溢れる蜜も余すことなく啜り上げる。
(やっぱりこっちのが好きだな)
香り袋など使わなくても。アグネス本来の匂いのほうが俺は好きだ。
「サイトッ、なんか、ンアッ、ヘ、ヘンッ! ヘンなん、だっ!」
喘ぎ混じりにアグネスが訴える。
「頼む、いったん、アッ、止めて、ンヒッ、解い、てっ!」
「どうしたんですか、博士」
口淫を止め、代わりに指で孔とその周りを弄ぶ。
「どこが異常なのか。教えてもらえませんか?」
言ってる間もずっと指は蜜を溢れさせる。
「な、なんか、背中から頭に、かっ、駆け上っ、アアッ、アッ!」
「弾けそうなんですか?」
「ンッ、そ、そうなんだっ! お前が指を動かす、とっ! ンアッ!」
「頭が真っ白になる?」
「そう、なんだっ。だ、だから……、アアッ、ヒアッ!」
「構いません。弾けて真っ白になってください」
「で、でもっ! アアッ、ヤメッ、アッ、ヒッ、アアァッ……!」
指と舌。そのすべてでアグネスを犯す。キュウッと締まった膣。つま先まで強ばった脚。
そして。
プシュ。
孔とは違う場所から、吹き出した透明なもの。
(潮吹き?)
驚き、アグネスの体を放す。絶頂はともかくとして、今、潮を吹いたのか? 潮を吹くぐらい感じたのか?
「……だから、止めろと言ったのに」
解放された体を横向きにしたアグネス。よほど恥ずかしかったのだろう。身を丸めて縮こめ恨み言を述べる。
「すみません。調子に乗りました」
謝るけど、悪いとは思っていない。むしろうれしい。塩を吹くまで感じてくれたなんて。
「――解いて」
言われるまま、シュルッと目隠しを外す。現れた、涙目になってこちらを睨むアグネスの真っ赤な顔。
口をムッとへし折って、怒っているようなのに、とても愛しく感じる。
「こっちも」
次いで結ばれたままの手も差し出されるけど。
「ダメです。これは解きません」
代わりに、ベッドの上に腰掛けた俺の首に、その手の輪を掛ける。
「サ、サイトー!?」
俺の首に手を回されたことで、胸が押しつぶされ、不安顔になったアグネス。
「博士、さっき、感じましたよね。潮を吹くぐらいに」
「潮? 粗相したのではなくて?」
「違いますよ。あれは〝潮吹き〟。女性が感じた、絶頂を得た時、稀に起きる生理現象なんです」
「くわしいな、サイトー」
「まあ、それはそれなりに。ですから、何も恥じることはありませんし、なんならちょうどいい実験条件が整ってる証でもあるんですよ」
「そうなのか?」
「そうなんです。ですから、博士。どうします? 実験、続けますか?」
俺の陰茎は、痛いぐらい張り詰めて勃ち上がってる。ちょっと腰を動かすと、先走りがアグネスの腹の上にヌラヌラとこすりつけられた。
「……つ、続けてくれ」
茹でたように赤い顔のアグネス。小さな呟き。
「ええ。でもその前に、これを飲んでください。ラオさんに用意してもらった薬です」
丸薬と水を自分の口に含み、口移しですべてを飲み込ませる。
「じゃあ、再開しましょうか。大丈夫です。条件は揃いましたから。実験は成功しますよ」
「うん。頼む」
口づけを交わし、その火照って力の入らない体を持ち上げる。
「ア、ンッ、フッ……」
ズブズブと身の内に沈んでいった陰茎。代わりにアグネスが深く息を吐き出す。
(実験は成功……か)
彼女をもっとよがらせたくて、腰を動かし自虐する。
どれだけ体を重ねようと。どれだけ絶頂を味わおうと。
実験は成功しない。子はできない。
(すまない。アグネス)
一際大きく突き上げ、彼女の奥へと欲望をぶちまける。
「アッ、アアッ、ア……」
ガクガクと震えたその体を力いっぱい抱きしめる。
口腔に、丸薬の苦味がいつまでも消えずに残った。
俺が帰るなり、顔を青くして駆け寄ってきたアグネス。
何が? 何が大変なんだ?
見回したところ、研究所にはなんの異変もなさそう。あるとすれば、なぜか、アグネスが頭からスッポリと毛布をかぶって、身を包んでることなんだが。――なんで毛布? 寒いのか?
「実験について、大事な条件を忘れていた」
「大事な条件?」
物質を実験対象とする化学実験において、実験条件はかなり重要な案件。温度、湿度、気圧。生物を対象とする場合は、その内的状況も重要な実験条件となる。
「そうだ。実験の条件として、私が感じてることが重要だとわかったんだ」
ブッ。
「かか、感じてるっ!?」
「そうだ。私が腟内でエトーの陰茎の存在を感じて、いわゆる〝絶頂〟という状況下にないと、実験の成功確率が減るというのだ」
どこ情報だ、それ。
「だから、今日の実験からは、ちゃんと感じさせて、絶頂させてくれ」
「え、えーっと。あの……〝絶頂〟の意味、わかってます?」
セックス中、何度もイッてると思ってたんだけど?
「知ってるぞ。絶頂。物事の上り詰めたところ。頂点。そういう意味だ」
「いや、まあ、そうなんですけど……」
山のテッペン。そういう意味で使われることもあるけど、この場合、どっちかというと「イクイクイク~」って意味の絶頂。セックスで感じすぎて、気持ちいいのが弾けるみたいな意味を含む。
「ということで、私を絶頂状態にしてから、精液を注いでくれないか」
…………。
それって、「私をイカせて、射精しろ」ってことか?
できるかできないかと問われれば、「できる」一択なんだけど。というか、今までもやってきたと思うんだけど。
「では、早速始めるぞ」
「は? もう、ですか?」
まだ、ラオの家から帰ってきたばかり。夕飯もまだなら、日も落ちてない夕方。
「うむ。早くしないと……寒い」
寒い? まさか、風邪でもひい――
バッ。
「え゛っ!?」
勢いよく毛布を脱ぎ捨てたアグネス。その下から顕れたものに、「風邪引いてるくせに実験なんて」とか、そういう意見はどっか吹き飛ぶ。
「あの、その格好は……」
「ララリアから借りた。これも実験条件として必要なものらしい」
(ラ~ラ~リ~アァ~!!)
グッと握りしめた拳に力がこもる。
毛布の下のアグネス。
胸を隠しただけ、少ない布面積の上衣、みぞおちから下、ヘソなんかは丸出し。下腹部からは、長い紗の帯で留めたスカートがあるけど、それも脚にまとわりつくような、膨らみのない巻きスカート。脚を広げれば、巻きを少しずらせば、秘めやかな部分が簡単に現れる仕様。胸を隠す布だって、その谷間にある紐を解けば、容易にすべてをさらけ出してくれる。
熱帯の南皇国ならではの装い、これでベールなんか被れば完璧な南皇国衣装なんだが。
素性のわからない用心すべき人物かもしれないのに。「何やってるんだ!」より、「ありがとう!」と感謝を捧げたくなる。
小柄で華奢なくせに豊かに熟れた胸が強調されて。とんでもなくエロい。
「お前を興奮させたほうがいい結果が得られると言われてな。なんだ、ガトーは気に入らない、か?」
深くため息を漏らした俺に、アグネスが不安そうな顔をする。
「白衣のほうがいいか? それとも早く脱いだほう――ンッ!」
アグネスが言い切るよりも早く、その体を抱きしめキスをする。深く喉の奥を突くように舌を差し入れ、唾液を啜り上げる。
「ンッ、ンンッ、ンムッ……」
雪崩れるように転がったベッドの上。キスで押さえ込みながら、空いた手で胸元の紐を解く。タユンと揺れてこぼれた胸。紐は思っていたより長い。
「アッ、ハッ、なっ、何をする!」
キスから解放され、息をするのに必死だったアグネスが驚きの声を上げる。
「絶頂のための準備ですよ」
掴んだ彼女の両手首を、頭の上、紐で一つに結わえる。
「ああ、そうだ。これも必要ですね」
次いで、腰にあった紗の帯も解く。
「な、なに、を……」
俺の動きにアグネスが怯える。けど、そんなことお構いなしに、メガネごと、水色の目を帯で隠す。
「俺は、こっちのほうがより興奮します」
言ってから「変態じみた答えだな」と思う。好きな女を拘束して興奮するなんて。変態の極みじゃないか。
だが。
(そそられる……)
帯を解いたことでゆるくなったスカートの包みを、そっと剥がす。
露わになった肢体。見えなくてもすべてが晒されてることに気づいたアグネスが、キュッと太ももをこすり合わせる。それが、さらに男の情欲を掻き立てるとも知らずに。
「ダメですよ。脚、閉じないでください」
恥ずかしがってることはわかってる。けど、それをあえて無視するように、足首を掴んで、すべてを目の前に晒させる。
「アッ、ヤアッ、こ、これっ……」
見えない恐怖か。それともこの先への不安か。期待か。
アグネスが、ピク、ピクと尖らせた乳首を震わせる。脚を開いているだけなのに。膣からはトロリと蜜が滴り落ちる。息も幾分熱っぽく荒れてきた。
(絶頂を知らない?)
そんなわけあるか。これまで何度もイカせてきた。何度もイカせて、何度もオスを教えてきたからこそ、体はこんな反応を示す。
「ヒャァン……!」
その肌のどこに触れるでもなく、顔を寄せる。吹きかける息、かすかに伝わる俺の熱。感じるたびに、アグネスが悲鳴を上げた。
「ねえ、サイトー、もっ、許し、てぇ……!」
何を許したらいいのか。俺は触れてもいなければ、何もしていない。勝手にアグネスが感じてるだけなのに。
「ねえ、おっ、お願、い……アッ!」
胸の頂きにフッと息を吹きかけると、大きくアグネスの背が反った。
「ヒアッ……」
チュプッと勃った乳首を吸うと、喜ぶように体が揺れる。もっと吸って。押しつけるように胸が動く。だが。
「ヤッ……」
乳首から離れ、代わりに太ももを高く持ち上げる。脚を開け、俺の目の前に蜜に濡れた孔を晒させる。
「あ、や、な、なに……?」
自分がどういう格好をして、なにを晒しているのか。不安げにアグネスが問う。
「なんでもありませんよ。実験条件を満たしているか。確認してるだけです」
「そ、そうなの?」
「ええ。問題はなさそうですが」
孔の周り、ぷっくら膨れた大陰唇を指で開く。
「ヒアッ!」
コポリとまた蜜が溢れ出た。赤く濡れた花びらのような、甘い香りのする孔。
「見られてる」だけで感じているのか。動かずジッと見つめていると、またコポンと蜜が溢れてきた。
(限界かな)
アグネスじゃなく、俺が。
この体。隅々まで堪能したい。
「アアッ!」
濡れた孔の奥、膣に指を差し込む。指は最初から二本。勝手に感じていた体は、やすやすとそれを受け入れた。
「ンアッ、サイッ、サイトォッ……!」
蜜が指にまとわりつき、出し入れするたびにジュブジュブと音を立てて掻き出される。膣壁が、指を歓待しキュウキュウと締め付ける。
(これで感じてないわけないだろ)
絶頂とまではいかなくても、この体はオスを求めて蠢き始めている。
「アッ、アアッ、サイトッ、アッ!」
指の代わりに舌を膣に入れる。
口の中の唾液を啜ったように、溢れる蜜も余すことなく啜り上げる。
(やっぱりこっちのが好きだな)
香り袋など使わなくても。アグネス本来の匂いのほうが俺は好きだ。
「サイトッ、なんか、ンアッ、ヘ、ヘンッ! ヘンなん、だっ!」
喘ぎ混じりにアグネスが訴える。
「頼む、いったん、アッ、止めて、ンヒッ、解い、てっ!」
「どうしたんですか、博士」
口淫を止め、代わりに指で孔とその周りを弄ぶ。
「どこが異常なのか。教えてもらえませんか?」
言ってる間もずっと指は蜜を溢れさせる。
「な、なんか、背中から頭に、かっ、駆け上っ、アアッ、アッ!」
「弾けそうなんですか?」
「ンッ、そ、そうなんだっ! お前が指を動かす、とっ! ンアッ!」
「頭が真っ白になる?」
「そう、なんだっ。だ、だから……、アアッ、ヒアッ!」
「構いません。弾けて真っ白になってください」
「で、でもっ! アアッ、ヤメッ、アッ、ヒッ、アアァッ……!」
指と舌。そのすべてでアグネスを犯す。キュウッと締まった膣。つま先まで強ばった脚。
そして。
プシュ。
孔とは違う場所から、吹き出した透明なもの。
(潮吹き?)
驚き、アグネスの体を放す。絶頂はともかくとして、今、潮を吹いたのか? 潮を吹くぐらい感じたのか?
「……だから、止めろと言ったのに」
解放された体を横向きにしたアグネス。よほど恥ずかしかったのだろう。身を丸めて縮こめ恨み言を述べる。
「すみません。調子に乗りました」
謝るけど、悪いとは思っていない。むしろうれしい。塩を吹くまで感じてくれたなんて。
「――解いて」
言われるまま、シュルッと目隠しを外す。現れた、涙目になってこちらを睨むアグネスの真っ赤な顔。
口をムッとへし折って、怒っているようなのに、とても愛しく感じる。
「こっちも」
次いで結ばれたままの手も差し出されるけど。
「ダメです。これは解きません」
代わりに、ベッドの上に腰掛けた俺の首に、その手の輪を掛ける。
「サ、サイトー!?」
俺の首に手を回されたことで、胸が押しつぶされ、不安顔になったアグネス。
「博士、さっき、感じましたよね。潮を吹くぐらいに」
「潮? 粗相したのではなくて?」
「違いますよ。あれは〝潮吹き〟。女性が感じた、絶頂を得た時、稀に起きる生理現象なんです」
「くわしいな、サイトー」
「まあ、それはそれなりに。ですから、何も恥じることはありませんし、なんならちょうどいい実験条件が整ってる証でもあるんですよ」
「そうなのか?」
「そうなんです。ですから、博士。どうします? 実験、続けますか?」
俺の陰茎は、痛いぐらい張り詰めて勃ち上がってる。ちょっと腰を動かすと、先走りがアグネスの腹の上にヌラヌラとこすりつけられた。
「……つ、続けてくれ」
茹でたように赤い顔のアグネス。小さな呟き。
「ええ。でもその前に、これを飲んでください。ラオさんに用意してもらった薬です」
丸薬と水を自分の口に含み、口移しですべてを飲み込ませる。
「じゃあ、再開しましょうか。大丈夫です。条件は揃いましたから。実験は成功しますよ」
「うん。頼む」
口づけを交わし、その火照って力の入らない体を持ち上げる。
「ア、ンッ、フッ……」
ズブズブと身の内に沈んでいった陰茎。代わりにアグネスが深く息を吐き出す。
(実験は成功……か)
彼女をもっとよがらせたくて、腰を動かし自虐する。
どれだけ体を重ねようと。どれだけ絶頂を味わおうと。
実験は成功しない。子はできない。
(すまない。アグネス)
一際大きく突き上げ、彼女の奥へと欲望をぶちまける。
「アッ、アアッ、ア……」
ガクガクと震えたその体を力いっぱい抱きしめる。
口腔に、丸薬の苦味がいつまでも消えずに残った。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
(R18)灰かぶり姫の公爵夫人の華麗なる変身
青空一夏
恋愛
Hotランキング16位までいった作品です。
レイラは灰色の髪と目の痩せぎすな背ばかり高い少女だった。
13歳になった日に、レイモンド公爵から突然、プロポーズされた。
その理由は奇妙なものだった。
幼い頃に飼っていたシャム猫に似ているから‥‥
レイラは社交界でもばかにされ、不釣り合いだと噂された。
せめて、旦那様に人間としてみてほしい!
レイラは隣国にある寄宿舎付きの貴族学校に留学し、洗練された淑女を目指すのだった。
☆マーク性描写あり、苦手な方はとばしてくださいませ。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
女性執事は公爵に一夜の思い出を希う
石里 唯
恋愛
ある日の深夜、フォンド公爵家で女性でありながら執事を務めるアマリーは、涙を堪えながら10年以上暮らした屋敷から出ていこうとしていた。
けれども、たどり着いた出口には立ち塞がるように佇む人影があった。
それは、アマリーが逃げ出したかった相手、フォンド公爵リチャードその人だった。
本編4話、結婚式編10話です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
教師と生徒とアイツと俺と
本宮瑚子
恋愛
高校教師1年目、沢谷敬介。
教師という立場にありながら、一人の男としては屈折した感情を持て余す。
そんな敬介が、教師として男として、日に日に目で追ってしまうのは……、一人の女であり、生徒でもあった。
★教師×生徒のストーリーながら、中身は大人風味の恋愛仕立て。
★未成年による飲酒、喫煙の描写が含まれますが、あくまでストーリー上によるものであり、法令をお守り下さい。
★こちらの作品は、他サイトでも掲載中のものに、加筆・修正を加えたものです。
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる