15 / 35
三、美濃の強力娘、宇治の荘にて琴を爪弾くの語
(五)
しおりを挟む
あっふ……。
何度目かの、あふれるアクビを噛み殺す。
延々と続く偉いお坊さん、阿闍梨? の読経。
よいお声だと思うし、御仏にお参りするのは、功徳タップリ、来世もこれで安心! なんだろうけど。
(ね、眠い……)
信心深そうにするため、手と手を合わせて数珠なんかを持って拝んでるフリをするんだけど。
御仏とのご縁が深くなるより先に、上瞼と下瞼のご縁が深くなりそう。瞼と瞼は比翼の鳥だ、連理の枝だ。くっついたら二度と離れない、愛しい愛しい恋人同士。
(中途半端に起きちゃったからなあ)
昨夜の琴の練習。
一人でコッソリ練習しようと思ってたのに、なぜか安積さまに指南してもらうことになって。
月明かりの下、蓮の花を眺めながらの箏を弾く。下手くそすぎるわたしのために、安積さまが、わたしの後ろから手を取って教えてくださって。弦が切れたせいで怪我したわたしの指を、指を――、ちちち、チュ、チュッて――!
ボボンッ!
思い出しただけで、頭から湯気が出そう。そして、愛しい恋人瞼は離ればなれで、一気に目が覚める。
これまでの人生で、父さまと孤太以外、あんな風に近づいてきた男性はいなくって。だから、あんな風にされたら、誰でもひっくり返っちゃうって。
あの後、孤太がわたしを室に運んで寝かせてくれたらしいんだけど。妙な時に寝ちゃったせいか、朝が微妙に早起きになっちゃって。その結果が、この眠気。
ちょっと眠いな~ってところに、よくわからないお経。お堂には、川からの涼しい風が時折吹いて。
これは、「さあ、お眠りなさい」っていう御仏のささやきかしら。立っていようが座っていようが、数珠を手に拝んでるふりをしていようが、グッスリ眠れそう。
あ~、もうダメ。
眠りがわたしを呼んでいる……。
「コレッ、美濃! しっかりなさい!」
フガッ? え、なに?
落ちかけた意識を取り戻して、あたりをキョロキョロ見回す。その先にあったのは、わたしが倒れかけたのだろう。すっごく不機嫌な命婦さまのお顔。
いけない、いけない。
寝ちゃダメだ。今はありがた~い読経の最中。命婦さまにもたれかかって眠るなんて、もってのほか。
軽く首を振って、目を覚ます。
こういう時は、あれだ。なにか目の覚めるようなことを考えよう。うん。
ってことで、そのネタを思い起こす。
そうだなあ。考えるとしたら、一番気にかかること、気にすべきことかなあ。
今日か明日の演奏会が、今のところ、一番気にかかる。
一応、曲がりなりにも練習はしたけど、だからって聴いて惚れ惚れするような腕になったかと言えば、そうじゃない。怨霊呼び寄せが、まあ聴いていられるわね(苦笑)になった程度。爆発的に上達したわけじゃない。
(わたしの知ってる曲を選んでいただけたらいいんだけどなあ)
もしくは、わたしでも弾ける曲。
(安積さまは、わたしの腕の程度をご存知だから、そんな無茶は要求してこないだろうけど)
さすがに。さすがに、難曲を弾かせるなんていじわるはしないよね?
もしそんなことしてきたら、桜花さまの御前だろうがなんだろうが、怨霊呼び寄せちゃうからね?
昨夜の指の怪我は、もう治ってる。孤太が、妖力を使って治してくれた。元通りの指先。いつでも怨霊呼び寄せられるんだから。
チュッ……。
(え? あ……)
元通りの指先に、昨日の感触が蘇る。
少し強引にわたしの手を引っ張った安積さま。そのまま目を閉じると、プクッと膨らんだ血の球に唇を寄せて。
ボボボボンッ!
あ、ダメだ。
頭クラクラしてきた。
考えちゃダメ。思い出しちゃダメ。
思い出したら、考えたら、頭がグラグラ煮えちゃうじゃない。
なのに、なのに、なのにぃぃ……っ!
「今日は少し暑いわね」
「そうね」
となりの命婦さまが、手で顔を仰ぐ。涼しい川風が吹いているのに。首をかしげる先輩方だけど。
(それって、わたしが、カッカしてるから?)
なんか申し訳なくて、首をすくめる。
「クスッ……」
そのやり取りに気がついたのか、前の方で手を合わせていらっしゃった安積さまがふり返る。なんか意味ありげな笑みつき。
「暑いわね~」
すみません、先輩方。
眠気は覚めましたが、のぼせる頭は鎮まりそうにありません。
* * * *
そして迎えた夜。
迎えたくなくても迎えちゃった夜。演奏会。
大丈夫、大丈夫。
昨日、あれだけ教えていただいたんだし。思い出すと全然大丈夫じゃなくなくるけど、それでもなんとか大丈夫。
怪我は、孤太に治してもらったし。あとは平常心だけ取り戻せれば、大丈夫。
ゴクリと息を呑んで挑んだ泉殿――だったんだけど。
「久しぶりに、桜花、合わせてみないかい?」
安積さまがいっしょに演奏する相手に、桜花さまを選ばれた。
「彼女は、指を怪我していてね、無理はさせられないから」
つけ加えるように、安積さまが説明なされた。
安積さまの説明に、中将さまが「おや」って顔をなさったけど、桜花さまが「わたくしでよろしければ喜んで、兄さま」ってお答えなさったので、それ以上追求されることはなかった。
これで演奏せずにすむ、聴いてればいいだけだもん、よかった~って。
(え――っ!?)
一瞬、琵琶を手にされた安積さまと目が合う。意味ありげな視線、再び。お堂のときといい、今といい、いったい何? そして、どうしてわたしの心臓はこんなにうるさいの?
よくわからなくて、怪我した(ことになってる)指を抱きしめる。
安積さまが琵琶、桜花さまが琴の琴、そして中将さまが笛。
お三方が入ると、それだけで泉殿は満員になってしまうので、わたしたち女房はそこに続く渡殿に座ることになる。
というか、あの空間はズカズカ入っちゃいけない聖域だと思うのよ。
昨日と変わらず降り注ぐ白い月の光。桃色の蓮の花は美しく水面に影を濃く落とす。その影を時折かき乱す夏夜の風。風が載せるは雅な調べ。奏でるは、華やかな中将さまと、愛らしい桜花さま。それと清らかに美しい安積さま。
眼福、耳福。
わたし、あの中に入って演奏しなくて、ほんと良かった。天人すら舞い降りて聴きに来そうな演奏に、わたしなんかが混じったら、天人、耳を押さえて逃げ帰っちゃうわよ。
一緒に腰掛けて音に聴き入る先輩方。誰も、感想を述べたりしない。感想すら出てこないほど素晴らしいってのと、感想を述べることで聴きそびれることを惜しんでいるのだろう。わたしがそうだもん。
ずっと見ていたい。ずっと聴いていたい。
でも。
どうしてかな。
琵琶を奏でられる安積さまから目が離せない。愛らしい桜花さまを見ていたいのに、奏でられる音に聴き入っていたいのに。
薄く目を閉じたかと思えば、軽く桜花さまや中将さまに合図を送られる安積さま。絃を押さえる指、琵琶を抱えて座す姿。その一つ一つの動きから目が離せない。
いったいわたし、どうしちゃったんだろう。
どうしようもなく、心臓がバクバクして胸が痛い。
何度目かの、あふれるアクビを噛み殺す。
延々と続く偉いお坊さん、阿闍梨? の読経。
よいお声だと思うし、御仏にお参りするのは、功徳タップリ、来世もこれで安心! なんだろうけど。
(ね、眠い……)
信心深そうにするため、手と手を合わせて数珠なんかを持って拝んでるフリをするんだけど。
御仏とのご縁が深くなるより先に、上瞼と下瞼のご縁が深くなりそう。瞼と瞼は比翼の鳥だ、連理の枝だ。くっついたら二度と離れない、愛しい愛しい恋人同士。
(中途半端に起きちゃったからなあ)
昨夜の琴の練習。
一人でコッソリ練習しようと思ってたのに、なぜか安積さまに指南してもらうことになって。
月明かりの下、蓮の花を眺めながらの箏を弾く。下手くそすぎるわたしのために、安積さまが、わたしの後ろから手を取って教えてくださって。弦が切れたせいで怪我したわたしの指を、指を――、ちちち、チュ、チュッて――!
ボボンッ!
思い出しただけで、頭から湯気が出そう。そして、愛しい恋人瞼は離ればなれで、一気に目が覚める。
これまでの人生で、父さまと孤太以外、あんな風に近づいてきた男性はいなくって。だから、あんな風にされたら、誰でもひっくり返っちゃうって。
あの後、孤太がわたしを室に運んで寝かせてくれたらしいんだけど。妙な時に寝ちゃったせいか、朝が微妙に早起きになっちゃって。その結果が、この眠気。
ちょっと眠いな~ってところに、よくわからないお経。お堂には、川からの涼しい風が時折吹いて。
これは、「さあ、お眠りなさい」っていう御仏のささやきかしら。立っていようが座っていようが、数珠を手に拝んでるふりをしていようが、グッスリ眠れそう。
あ~、もうダメ。
眠りがわたしを呼んでいる……。
「コレッ、美濃! しっかりなさい!」
フガッ? え、なに?
落ちかけた意識を取り戻して、あたりをキョロキョロ見回す。その先にあったのは、わたしが倒れかけたのだろう。すっごく不機嫌な命婦さまのお顔。
いけない、いけない。
寝ちゃダメだ。今はありがた~い読経の最中。命婦さまにもたれかかって眠るなんて、もってのほか。
軽く首を振って、目を覚ます。
こういう時は、あれだ。なにか目の覚めるようなことを考えよう。うん。
ってことで、そのネタを思い起こす。
そうだなあ。考えるとしたら、一番気にかかること、気にすべきことかなあ。
今日か明日の演奏会が、今のところ、一番気にかかる。
一応、曲がりなりにも練習はしたけど、だからって聴いて惚れ惚れするような腕になったかと言えば、そうじゃない。怨霊呼び寄せが、まあ聴いていられるわね(苦笑)になった程度。爆発的に上達したわけじゃない。
(わたしの知ってる曲を選んでいただけたらいいんだけどなあ)
もしくは、わたしでも弾ける曲。
(安積さまは、わたしの腕の程度をご存知だから、そんな無茶は要求してこないだろうけど)
さすがに。さすがに、難曲を弾かせるなんていじわるはしないよね?
もしそんなことしてきたら、桜花さまの御前だろうがなんだろうが、怨霊呼び寄せちゃうからね?
昨夜の指の怪我は、もう治ってる。孤太が、妖力を使って治してくれた。元通りの指先。いつでも怨霊呼び寄せられるんだから。
チュッ……。
(え? あ……)
元通りの指先に、昨日の感触が蘇る。
少し強引にわたしの手を引っ張った安積さま。そのまま目を閉じると、プクッと膨らんだ血の球に唇を寄せて。
ボボボボンッ!
あ、ダメだ。
頭クラクラしてきた。
考えちゃダメ。思い出しちゃダメ。
思い出したら、考えたら、頭がグラグラ煮えちゃうじゃない。
なのに、なのに、なのにぃぃ……っ!
「今日は少し暑いわね」
「そうね」
となりの命婦さまが、手で顔を仰ぐ。涼しい川風が吹いているのに。首をかしげる先輩方だけど。
(それって、わたしが、カッカしてるから?)
なんか申し訳なくて、首をすくめる。
「クスッ……」
そのやり取りに気がついたのか、前の方で手を合わせていらっしゃった安積さまがふり返る。なんか意味ありげな笑みつき。
「暑いわね~」
すみません、先輩方。
眠気は覚めましたが、のぼせる頭は鎮まりそうにありません。
* * * *
そして迎えた夜。
迎えたくなくても迎えちゃった夜。演奏会。
大丈夫、大丈夫。
昨日、あれだけ教えていただいたんだし。思い出すと全然大丈夫じゃなくなくるけど、それでもなんとか大丈夫。
怪我は、孤太に治してもらったし。あとは平常心だけ取り戻せれば、大丈夫。
ゴクリと息を呑んで挑んだ泉殿――だったんだけど。
「久しぶりに、桜花、合わせてみないかい?」
安積さまがいっしょに演奏する相手に、桜花さまを選ばれた。
「彼女は、指を怪我していてね、無理はさせられないから」
つけ加えるように、安積さまが説明なされた。
安積さまの説明に、中将さまが「おや」って顔をなさったけど、桜花さまが「わたくしでよろしければ喜んで、兄さま」ってお答えなさったので、それ以上追求されることはなかった。
これで演奏せずにすむ、聴いてればいいだけだもん、よかった~って。
(え――っ!?)
一瞬、琵琶を手にされた安積さまと目が合う。意味ありげな視線、再び。お堂のときといい、今といい、いったい何? そして、どうしてわたしの心臓はこんなにうるさいの?
よくわからなくて、怪我した(ことになってる)指を抱きしめる。
安積さまが琵琶、桜花さまが琴の琴、そして中将さまが笛。
お三方が入ると、それだけで泉殿は満員になってしまうので、わたしたち女房はそこに続く渡殿に座ることになる。
というか、あの空間はズカズカ入っちゃいけない聖域だと思うのよ。
昨日と変わらず降り注ぐ白い月の光。桃色の蓮の花は美しく水面に影を濃く落とす。その影を時折かき乱す夏夜の風。風が載せるは雅な調べ。奏でるは、華やかな中将さまと、愛らしい桜花さま。それと清らかに美しい安積さま。
眼福、耳福。
わたし、あの中に入って演奏しなくて、ほんと良かった。天人すら舞い降りて聴きに来そうな演奏に、わたしなんかが混じったら、天人、耳を押さえて逃げ帰っちゃうわよ。
一緒に腰掛けて音に聴き入る先輩方。誰も、感想を述べたりしない。感想すら出てこないほど素晴らしいってのと、感想を述べることで聴きそびれることを惜しんでいるのだろう。わたしがそうだもん。
ずっと見ていたい。ずっと聴いていたい。
でも。
どうしてかな。
琵琶を奏でられる安積さまから目が離せない。愛らしい桜花さまを見ていたいのに、奏でられる音に聴き入っていたいのに。
薄く目を閉じたかと思えば、軽く桜花さまや中将さまに合図を送られる安積さま。絃を押さえる指、琵琶を抱えて座す姿。その一つ一つの動きから目が離せない。
いったいわたし、どうしちゃったんだろう。
どうしようもなく、心臓がバクバクして胸が痛い。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

陰陽怪奇録
井田いづ
キャラ文芸
都の外れで、女が捻り殺された──「ねじりおに」と呼ばれ恐れられたその鬼の呪いを祓うは、怪しい面で顔を覆った男と、少年法師の二人組。
「失礼、失礼、勝手な呪いなど返して仕舞えば良いのでは?」
物理で都に蔓延る数多の呪いを"怨返し"する、胡乱な二人のバディ×異種×鬼退治録。
※カクヨム掲載の『かきちらし 仮題陰陽怪奇録』の推敲版です。
紅屋のフジコちゃん ― 鬼退治、始めました。 ―
木原あざみ
キャラ文芸
この世界で最も安定し、そして最も危険な職業--それが鬼狩り(特殊公務員)である。
……か、どうかは定かではありませんが、あたしこと藤子奈々は今春から鬼狩り見習いとして政府公認特A事務所「紅屋」で働くことになりました。
小さい頃から憧れていた「鬼狩り」になるため、誠心誠意がんばります! のはずだったのですが、その事務所にいたのは、癖のある上司ばかりで!? どうなる、あたし。みたいな話です。
お仕事小説&ラブコメ(最終的には)の予定でもあります。
第5回キャラ文芸大賞 奨励賞ありがとうございました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
カフェぱんどらの逝けない面々
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
キャラ文芸
奄美の霊媒師であるユタの血筋の小春。霊が見え、話も出来たりするのだが、周囲には胡散臭いと思われるのが嫌で言っていない。ごく普通に生きて行きたいし、母と結託して親族には素質がないアピールで一般企業への就職が叶うことになった。
大学の卒業を間近に控え、就職のため田舎から東京に越し、念願の都会での一人暮らしを始めた小春だが、昨今の不況で就職予定の会社があっさり倒産してしまう。大学時代のバイトの貯金で数カ月は食いつなげるものの、早急に別の就職先を探さなければ詰む。だが、不況は根深いのか別の理由なのか、新卒でも簡単には見つからない。
就活中のある日、コーヒーの香りに誘われて入ったカフェ。おっそろしく美形なオネエ言葉を話すオーナーがいる店の隅に、地縛霊がたむろしているのが見えた。目の保養と、疲れた体に美味しいコーヒーが飲めてリラックスさせて貰ったお礼に、ちょっとした親切心で「悪意はないので大丈夫だと思うが、店の中に霊が複数いるので一応除霊してもらった方がいいですよ」と帰り際に告げたら何故か捕獲され、バイトとして働いて欲しいと懇願される。正社員の仕事が決まるまで、と念押しして働くことになるのだが……。
ジバティーと呼んでくれと言う思ったより明るい地縛霊たちと、彼らが度々店に連れ込む他の霊が巻き起こす騒動に、虎雄と小春もいつしか巻き込まれる羽目になる。ほんのりラブコメ、たまにシリアス。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
お狐様とひと月ごはん 〜屋敷神のあやかしさんにお嫁入り?〜
織部ソマリ
キャラ文芸
『美詞(みこと)、あんた失業中だから暇でしょう? しばらく田舎のおばあちゃん家に行ってくれない?』
◆突然の母からの連絡は、亡き祖母のお願い事を果たす為だった。その願いとは『庭の祠のお狐様を、ひと月ご所望のごはんでもてなしてほしい』というもの。そして早速、山奥のお屋敷へ向かった美詞の前に現れたのは、真っ白い平安時代のような装束を着た――銀髪狐耳の男!?
◆彼の名は銀(しろがね)『家護りの妖狐』である彼は、十年に一度『世話人』から食事をいただき力を回復・補充させるのだという。今回の『世話人』は美詞。
しかし世話人は、百年に一度だけ『お狐様の嫁』となる習わしで、美詞はその百年目の世話人だった。嫁は望まないと言う銀だったが、どれだけ美味しい食事を作っても力が回復しない。逆に衰えるばかり。
そして美詞は決意する。ひと月の間だけの、期間限定の嫁入りを――。
◆三百年生きたお狐様と、妖狐見習いの子狐たち。それに竈神や台所用品の付喪神たちと、美味しいごはんを作って過ごす、賑やかで優しいひと月のお話。
◆『第3回キャラ文芸大賞』奨励賞をいただきました!ありがとうございました!
後宮の不憫妃 転生したら皇帝に“猫”可愛がりされてます
枢 呂紅
キャラ文芸
旧題:後宮の不憫妃、猫に転生したら初恋のひとに溺愛されました
★第16回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました!応援いただきありがとうございます★
後宮で虐げられ、命を奪われた不遇の妃・翠花。彼女は六年後、猫として再び後宮に生まれた。
幼馴染で前世の仇である皇帝・飛龍に拾われ翠花は絶望する。だけど飛龍は「お前を見ていると翠花を思い出す」「翠花は俺の初恋だった」と猫の翠花を溺愛。翠花の死の裏に隠された陰謀と、実は一途だった飛龍とのすれ違ってしまった初恋の行く先は……?
一度はバッドエンドを迎えた両片想いな幼馴染がハッピーエンドを取り戻すまでの物語。
こちら夢守市役所あやかしよろず相談課
木原あざみ
キャラ文芸
異動先はまさかのあやかしよろず相談課!? 変人ばかりの職場で始まるほっこりお役所コメディ
✳︎✳︎
三崎はな。夢守市役所に入庁して三年目。はじめての異動先は「旧館のもじゃおさん」と呼ばれる変人が在籍しているよろず相談課。一度配属されたら最後、二度と異動はないと噂されている夢守市役所の墓場でした。 けれど、このよろず相談課、本当の名称は●●よろず相談課で――。それっていったいどういうこと? みたいな話です。
第7回キャラ文芸大賞奨励賞ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる