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これまでのこと。これからのこと。(SIDE:律)
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――んじゃあ、ちょっくら一踏ん張りしてくるわ。
わざとだろう。明るくおどけて言った彼女。
――じゃあね、世那。楽しみに待っててね。ママ、赤ちゃん連れてくるから。
額に脂汗をにじませながら。浅い息をくり返しながら。
それでも僕に抱かれたままの息子に笑顔を作る。
――ママ。
世那が不安そうに声をかける。
――だ、大丈夫。大丈夫。パパと、まっ……、てて、ね。
ヒュッと息を飲む彼女。グッと歯を噛み締め、顔を大きく歪ませた。
――じゃあ、りっ、せな、おねがっ……。
――うん。大丈夫。だから、こっちのことは心配しないで。
看護師さんに付き添われながら、扉の向こうへと去っていった彼女。大きなお腹を抱えながら、よろめき、時折立ち止まって、激しい痛みと排泄欲に耐える。
二時間ほど前から始まった陣痛はピークに達し、間断なく彼女を襲っている。病室で待機している時は、その痛む腰をさすったりもしてあげられたけど、ここから先、扉の向こうのことは医師と看護師に委ねるしかない。
――お願いします。
本当は、出産に立ち会いたい。何もできないのだとしても、せめてそばにいて、苦しむ彼女を励ましてあげたい。だけど。
――世那が不安がっちゃうから。律は世那のそばにいてあげて。
自分なら大丈夫だと。彼女は、自分のことより息子のことを優先した。息子を立ち会わせる訳にはいかない。かと言って、一人残しておくわけにもいかない。
息子は両親にでも預けて、立ち会い出産を――と思ったが、それも彼女に完全拒否された。世那のためにも、律はそばにいてあげて、と。
どこまでも息子を案じる。息子のことを一番に考える優しい母親。
「パパ?」
分娩室の前、黒い合皮のソファに並んで腰掛けた息子がこちらを見上げる。
「ああ、なんでもないよ。ごめんね」
ダメだな。
彼女に「頼む」と言われたのに。こんな不安そうな顔をさせていたら、「何やってんの」と怒られそうだ。
北側の窓から差し込む光。ここに腰を落ち着けた時は、まだ淡い白さを保っていたのに、今では金色に輝き、タイルの床を照らす。
どれだけの時間が過ぎたのだろう。どれだけの時間、彼女は苦しんでいるのだろう。
替われるものなら代わってやりたい。二人の子どもなのだから、彼女だけ苦しむのは理不尽だ。
「パパと遊ぼうか」
わざと明るく、持ってきたカバンから息子の好きなオモチャを取り出す。
「こえ!! こえがいい!!」
探すカバンのなかに乱入してきた小さな手。迷うことなくつかんだ、イルカのぬいぐるみ。
「こえ、あかちゃんにみせてあげゆの」
初めて訪れた水族館。そこで、記念に買ってあげたイルカのぬいぐるみ。
よっぽど気に入ったのだろう。いつもどこに行くときでも持っていきたがるほど大事にしてる。
「貸してあげるの?」
そんな大事なものを?
質問にう~んと首を傾げ悩む世那。意地悪すぎたか。
「ちょっと……いいよ。いっかいだけ」
「そっか」
それが最大限の譲歩。独占欲と優しさとの狭間のからの解答。
「世那は優しいな」
頭を撫でてやると、エヘヘと笑った世那。
この子は、彼女に似てとても優しい子に育っている。
(明里のおかげだな)
この子の母親、明里は底抜けのお人好しで優しい。
――私が世那くんの面倒をみてあげる!!
一年ほど前、僕と世那の窮状を見かねてベビーシッターになることをかって出てくれた彼女。自分も、実家を出て自立しなくちゃいけないからと理由を重ね、こちらにやって来た。
知り合い、幼なじみの子ってだけなのに。困ってるからって、そこまでしてくれるものなのか。
彼女の提案には正直驚いた。
子どもの面倒をみるためとはいえ、男の家に転がり込むなんて。大胆すぎないか?
彼女のことは小学生の頃までしか覚えてない。高校からは別々だったし、特段仲良かったこともない。だからあのドラッグストアで再会した時は驚いたし、そうして提案されることにも驚かされた。
「律!!」
「律さん、あの子は!?」
息せき切って駆けつけた女性二人。
僕の母と、彼女の母。
「今、分娩室に」
「ああ、そうなの……」
荒れた息を、不安をなだめるように胸に手を当てた彼女の母親。その肩に励ますように手を置いた、僕の母親。この二人、ご近所同士、子供同士が同い年ということもあってか、とても仲が良い。子が生まれる、いよいよだと伝えると、こうして二人で駆けつけてくれた。
「せなくん。それ、なあに?」
「いうか!! あかちゃんにみせてあげゆの!! あとね、こえもみせてあげゆの!!」
カバンから続々と電車を取り出した世那。持ちきれなかった電車が、ソファの上にジャラジャラと引きずり出される。
「そっかあ。赤ちゃん喜ぶだろうねえ」
軽く膝を折り、世那に微笑みかける義母。彼女の母親は、義理の孫でしかない世那にも優しい。彼女の優しさ、お人好しは、この母親譲りなのだろう。彼女との出会いも、義母が用意してくれた惣菜がキッカケだった。
「そんなやさしいお兄ちゃんには、これをあげよう」
カバンからジュースを取り出したのは僕の母親。
「世那」
「あいがとごじゃます」
軽く促し、礼を言わせる。ペコッとおじぎつき。おじぎは、彼女が教えてくれた礼儀。
「あら、かわいい」
「ほんとね」
祖母たちが孫に目を細める。
二人共、世那を孫として受け入れてくれている。
――世那は、僕と血が繋がっていない。
明里と三人、結婚を機にすべて話した。
世那は、薫子が他の男との間にもうけた子であること。
血が繋がってないこと。
そして。
世那は、僕たちの子であること。
コウノトリ間違えて届けた――なんてメルヘンなことは言わない。けれど、僕たちの子に違いはないから、このまま二人で育てると伝えた。
血の繋がらない子を育てるなんて。そんな子、孫でもなんでもないわ。
呆れ、怒り、罵られる。
血縁がないのなら、育てる義理はない。ましてや彼女は初婚。子持ちバツイチ男に嫁ぐだけでもハードルは高いのに、その子が実子でないとしたら。
最悪、絶縁も覚悟した。
――せなくん、おばあちゃんですよ~、よろしくね~。明里のとこにも、こんな大きな孫がいただなんてねえ。ビックリだけど会えてうれしいわ。誠彦のところの二人と、世那くん。それとお腹の子。わたし、一気に四人の孫のおばあちゃんになるのねえ。
彼女の母は、ニッコリ笑って、世那を受け入れてくれた。自らを祖母と名乗り、世那を孫として認めてくれた。
――それにしても。世の中には、あわてんぼうすぎるコウノトリもいたもんだねえ。
最後につけられた言葉に、うれしさより笑いが勝りかけた。彼女と同じことを言うのかと。
その彼女がいる分娩室はとても静かだ。扉で仕切られてるせいか、何も聞こえてこない。
彼女の苦しむ声も。うめきも。赤子の産声も。
「――律。しっかりなさい。パパでしょアンタは」
ヌッと、目の前に現れたお茶のペットボトル。差し出したのは僕の母親。
「ありがとう」
飲む気はしなかったけれど、その励ましと優しさを受け取る。
世那にはジュース、僕にはお茶。子供扱いされてるようで、少し情けない。
「まあ、赤ちゃんなんて、そうポンポン産まれるもんじゃないからねえ」
「そうねえ。でもわたし、明里を産んだ時は五時間で済んだわよ」
「あら、速いじゃない。ウチは一日半かかったわ。帝王切開に切り替えるかってなった時に、嫌だ~って踏ん張ったら、ポロッとね」
「あらあら。親孝行ね、律くん」
クスクス笑い合う母たち。五時間は速いのか。そしてポロッとは親孝行なのか。彼女が母親と同じ体質であることを願いつつ、五時間ならあとどれだけ彼女が苦しむのか、思わず計算してしまう。
できれば、もっと安産で、ツルッと生まれてほしいけど。
世那の弟妹はうれしいけれど、そのために彼女が苦しむのはいただけない。
「そんなんだから。だからドーンと腰を据えて待ってなさい、律」
不安でウロウロしたくなるのを見透かされている。
(女性って、――強いな)
目の前にいる二人の母も、明里も強い。
子を持つと、強くなるものなんだろうか。強く、優しく子を想う。
(薫子――)
比べてはいけないとわかっているが、思い出してしまう前妻のこと。
――アナタの子よ!! あたし、アナタの子を妊娠したの。
世那が托卵であることはわかっていた。薫子が他の男との間にもうけた子であることは知っていた。
だけど。
――いらないっていうのなら、堕ろすけど。……どうする?
宿った命をそんな簡単に棄てられるのか。自分が責任を取って、「結婚する」と言うのを見越していたんだろう。薫子の唇は、勝ち誇ったように笑っていた。
子どもが生まれたら、薫子も妻らしく母らしく落ち着くかもしれない。子育てが大変だというなら、できる限りの協力はする。仕事だって早めに切り上げて、家事、育児を担った。育休も取得した。赤子とだけでいるのはストレスがたまるというのなら、夜出かけることもとめなかった。ちょっとぐらい贅沢な買い物をしてきても。赤子を抱こうとしなくても。
それが薫子のワガママを助長させ、最終的に世那を捨てていく結果になるとは思わずに。
女は子を産んだら母になる。
母性神話とでもいうのだろうか。腹を痛めて産んだ子なのだから、子を愛おしむ母性が生まれるはずだ。子を大事にしない母親などいない。
それがすべての女性に当てはまらないこと。それを薫子と明里で痛感した。
薫子は世那を産みはしたが愛情を持たず、明里は産んでないのに世那を慈しみ続ける。
対照的だった。
薫子は喜んで出かけて帰ってこないこともあったのに、明里は世那が気になってとすぐに帰ってきた。
明里は慣れない育児に奮闘し、世那の成長を我がことのように喜んでくれた。世那のために苦手な動物にも挑戦してくれたし、健診にもつき合ってくれた。
坊ちゃまとバアヤ。
そう表現した明里だったけど、世那に与えられたのは、母親の深い愛情だった。
こんな女性もいるんだな。
薫子しか知らなかったから、明里の世那に注がれる愛情に心底驚いた。そして。
三人で暮らしていけたら。
いつからだっただろう。そう願うようになっていた。
明里に世那の母親になって欲しい。世那の母親になって、僕の妻になって欲しい。
彼女がその底抜けお人好しで一緒に暮らしているのはわかってる。でも、好きだと思う感情を止めることは出来なかった。
比べたから好きになったんじゃない。その優しさに触れたから好きになった。
明里に触れるけじめとして、薫子との離婚届を提出した。もともと離婚したがってたのは薫子だ。置いていかれた届を出さなかったのは、万が一薫子が戻ってきて、世那を大事にしてくれることもあるかもしれないと、望みを繋いでいたから。
でも、明里がいる。明里にこそ世那を愛してもらいたい。
思いのままに彼女と関係を持ったけれど、その先の「結婚」を言い出せなかったのは、やはり自分がバツイチで、彼女に世那という負担を与えることに不安があったから。
それも世那は自分と血が繋がってない子だ。
どれだけ自分と愛し合っても、どれだけ明里が世那を大事にしてくれたとしても、本当のことを知れば躊躇うのではないか。
明里を信じきれてなかったんだろう。世那に向ける眼差しが、お人好しの延長線なのか、愛情なのかを。
彼女がどれほど世那を大事に思っているのか。
それを思い知ったのは、不本意にも薫子が戻ってきた時だった。
薫子が戻りたがっていることは、興信所の調べでわかっていた。
家を出ていく時、昼寝していた世那を置いていった代わりに、貯金、貴金属、車と、マンション以外の資産をすべて持っていった薫子。その資産をすべて使い果たし、車まで僕を語って売り飛ばしていたことも。僕の身辺、僕が課長に昇進したことを、薫子が探っていたことも。
――近々、奥様から接触があるかもしれません。
興信所の所感。
金の切れ目が縁の切れ目。
薫子はともに逃げた男とすでに別れていた。となると、再び金を目当てにこちらに接触してくる可能性がある。
――奥様が、家に戻られました。
その連絡は仕事中に聞いた。
前日の夜、やけに積極的だった明里。
彼女は、薫子についてなにか知っていたのか? 知っていたから、泣いたのか? だから、メチャクチャに僕を求めたのか? もしかして、別れるつもりであんなふうにーー。
焦り、逸る心。マンションに駆けつける足が、ひどくもどかしかった。
――この子は、世那は私の子です!!
部屋に飛び込むと、明里が叫んでいた。
――コウノトリが配達先を間違えた、私の大切な息子です!!
ああ、そうか。そうなんだ。
ストンと、胸に落ちていった言葉。
薫子はせせら笑っていたけれど、明里のその言葉は、僕の心に強く染み渡っていった。
世那は僕の子だ。
そして、明里の子だ。
コウノトリなんてメルヘンを信じるわけじゃない。でも、そうやって間違えて届けられてしまった僕たちの子だ。
ならば僕は父親として、明里の夫として二人を護る。たとえそれが前妻であろうと、世那の実の母親であろうと容赦はしない。
過去の日和っていた自分との決別。
あの時、自分は生まれて初めて誰かに吠えかかった。
「――パパ?」
「ああ、ゴメン。なんでもないよ」
この子と明里を守れたこと。そして新たな家族を迎えられること。
見上げる我が子に触れる手に、目いっぱいの愛情をこめる。
「パパ、きたよ」
「え?」
「きたよ。さっき」
何が?
問いかけるより先に、扉が開く。出てきたのは年配の看護師さん。
「おめでとうございます。生まれましたよ」
開け放たれた扉の向こうから聞こえる、赤子の産声。そして、「おめでとうございます」と「頑張りましたね」という医師たちのねぎらいの声。
「3556gの大きな赤ちゃん、女の子ですよ」
世那の言う「きたよ」はこのことか。
何も聞こえてなかったはずなのに。この子は、妹が生まれたことを感じ取ったんだろうか。
「明里っ!!」
兄になった世那を抱き上げ、分娩室に入る。
「律……」
少しぐったりしているものの、それでも微笑む妻。
「生まれた……。女の子、だよ」
「うん」
「世那、お兄ちゃんになったんだよ」
「うん」
その額に汗で張り付いた髪をそっと払ってやる。
「お疲れ様。それと――ありがとう」
二人目の我が子。
その誕生に、視界がにじむ。
「ほぉら、パパとお兄ちゃんですよ~、おめでとうございま~す」
看護師さんが、白い布に包まれた赤子を連れてくる。
「あかちゃん、ねんね?」
「そうだな。ねんねしてるな」
産湯を使ったのだろうか。全身を赤くしわくちゃにした子は、意外と静かに包まっていた。
「いうか、いらない?」
「今はいらないかな。もう少し大きくなったら、貸してあげてほしいな」
今は無理でも、いつかは。
いつか妹が大きくなったら。世那とこの子を連れて、水族館に出かけてもいい。動物園も悪くない――って、また明里が怖がるか?
動物が苦手な妻のことを思い、クスリと笑う。
この赤子のために、また彼女は体をしゃちほこばらせても頑張るんだろうな。
「お父さん、抱っこしてみますか?」
看護師さんが提案した。世那を用意してもらった椅子に下ろし、代わりにそっと子を受け取る。
腕に伝わる温もり。重さ。
この子は、僕と明里の子。二人目の、コウノトリが運んできてくれた愛しい子。
「世那」
息子に生まれたばかりの妹を見せる。ほあぁと感嘆の息を洩らし、覗き込む世那。
「かぁいいねぇ」
しげしげと覗き込む世那。興味深そうに見る時の特徴で、その口が少し尖っている。
「世那。お前もかわいいよ」
生まれた妹と、兄になった世那と。
どちらも比べようのないぐらい愛おしい存在。
「パァパッ!!」
エヘヘッと笑った世那が抱きついてくる。それを娘とともに受け止める。
「明里、ありがとう」
二人の子とともに、愛する妻に眼差しをむける。
彼女のおかげで、僕はこの子たちに会うことができた。
「どういたしまして」
明里が微笑む。そして。
「世那。世那は今日からお兄ちゃんだよ。おめでとう」
明里のその言葉に、世那が僕から身を離し、照れたようにイルカのぬいぐるみを抱きしめた。
今日は娘の生まれた日。そして世那がお兄ちゃんになった記念日。
明里と世那と娘。
彼女の夫であること、二人の子の父親であること。家族であること。
守る覚悟と、守れる立場に誇りをもって、子を抱く腕に力を込めた。
わざとだろう。明るくおどけて言った彼女。
――じゃあね、世那。楽しみに待っててね。ママ、赤ちゃん連れてくるから。
額に脂汗をにじませながら。浅い息をくり返しながら。
それでも僕に抱かれたままの息子に笑顔を作る。
――ママ。
世那が不安そうに声をかける。
――だ、大丈夫。大丈夫。パパと、まっ……、てて、ね。
ヒュッと息を飲む彼女。グッと歯を噛み締め、顔を大きく歪ませた。
――じゃあ、りっ、せな、おねがっ……。
――うん。大丈夫。だから、こっちのことは心配しないで。
看護師さんに付き添われながら、扉の向こうへと去っていった彼女。大きなお腹を抱えながら、よろめき、時折立ち止まって、激しい痛みと排泄欲に耐える。
二時間ほど前から始まった陣痛はピークに達し、間断なく彼女を襲っている。病室で待機している時は、その痛む腰をさすったりもしてあげられたけど、ここから先、扉の向こうのことは医師と看護師に委ねるしかない。
――お願いします。
本当は、出産に立ち会いたい。何もできないのだとしても、せめてそばにいて、苦しむ彼女を励ましてあげたい。だけど。
――世那が不安がっちゃうから。律は世那のそばにいてあげて。
自分なら大丈夫だと。彼女は、自分のことより息子のことを優先した。息子を立ち会わせる訳にはいかない。かと言って、一人残しておくわけにもいかない。
息子は両親にでも預けて、立ち会い出産を――と思ったが、それも彼女に完全拒否された。世那のためにも、律はそばにいてあげて、と。
どこまでも息子を案じる。息子のことを一番に考える優しい母親。
「パパ?」
分娩室の前、黒い合皮のソファに並んで腰掛けた息子がこちらを見上げる。
「ああ、なんでもないよ。ごめんね」
ダメだな。
彼女に「頼む」と言われたのに。こんな不安そうな顔をさせていたら、「何やってんの」と怒られそうだ。
北側の窓から差し込む光。ここに腰を落ち着けた時は、まだ淡い白さを保っていたのに、今では金色に輝き、タイルの床を照らす。
どれだけの時間が過ぎたのだろう。どれだけの時間、彼女は苦しんでいるのだろう。
替われるものなら代わってやりたい。二人の子どもなのだから、彼女だけ苦しむのは理不尽だ。
「パパと遊ぼうか」
わざと明るく、持ってきたカバンから息子の好きなオモチャを取り出す。
「こえ!! こえがいい!!」
探すカバンのなかに乱入してきた小さな手。迷うことなくつかんだ、イルカのぬいぐるみ。
「こえ、あかちゃんにみせてあげゆの」
初めて訪れた水族館。そこで、記念に買ってあげたイルカのぬいぐるみ。
よっぽど気に入ったのだろう。いつもどこに行くときでも持っていきたがるほど大事にしてる。
「貸してあげるの?」
そんな大事なものを?
質問にう~んと首を傾げ悩む世那。意地悪すぎたか。
「ちょっと……いいよ。いっかいだけ」
「そっか」
それが最大限の譲歩。独占欲と優しさとの狭間のからの解答。
「世那は優しいな」
頭を撫でてやると、エヘヘと笑った世那。
この子は、彼女に似てとても優しい子に育っている。
(明里のおかげだな)
この子の母親、明里は底抜けのお人好しで優しい。
――私が世那くんの面倒をみてあげる!!
一年ほど前、僕と世那の窮状を見かねてベビーシッターになることをかって出てくれた彼女。自分も、実家を出て自立しなくちゃいけないからと理由を重ね、こちらにやって来た。
知り合い、幼なじみの子ってだけなのに。困ってるからって、そこまでしてくれるものなのか。
彼女の提案には正直驚いた。
子どもの面倒をみるためとはいえ、男の家に転がり込むなんて。大胆すぎないか?
彼女のことは小学生の頃までしか覚えてない。高校からは別々だったし、特段仲良かったこともない。だからあのドラッグストアで再会した時は驚いたし、そうして提案されることにも驚かされた。
「律!!」
「律さん、あの子は!?」
息せき切って駆けつけた女性二人。
僕の母と、彼女の母。
「今、分娩室に」
「ああ、そうなの……」
荒れた息を、不安をなだめるように胸に手を当てた彼女の母親。その肩に励ますように手を置いた、僕の母親。この二人、ご近所同士、子供同士が同い年ということもあってか、とても仲が良い。子が生まれる、いよいよだと伝えると、こうして二人で駆けつけてくれた。
「せなくん。それ、なあに?」
「いうか!! あかちゃんにみせてあげゆの!! あとね、こえもみせてあげゆの!!」
カバンから続々と電車を取り出した世那。持ちきれなかった電車が、ソファの上にジャラジャラと引きずり出される。
「そっかあ。赤ちゃん喜ぶだろうねえ」
軽く膝を折り、世那に微笑みかける義母。彼女の母親は、義理の孫でしかない世那にも優しい。彼女の優しさ、お人好しは、この母親譲りなのだろう。彼女との出会いも、義母が用意してくれた惣菜がキッカケだった。
「そんなやさしいお兄ちゃんには、これをあげよう」
カバンからジュースを取り出したのは僕の母親。
「世那」
「あいがとごじゃます」
軽く促し、礼を言わせる。ペコッとおじぎつき。おじぎは、彼女が教えてくれた礼儀。
「あら、かわいい」
「ほんとね」
祖母たちが孫に目を細める。
二人共、世那を孫として受け入れてくれている。
――世那は、僕と血が繋がっていない。
明里と三人、結婚を機にすべて話した。
世那は、薫子が他の男との間にもうけた子であること。
血が繋がってないこと。
そして。
世那は、僕たちの子であること。
コウノトリ間違えて届けた――なんてメルヘンなことは言わない。けれど、僕たちの子に違いはないから、このまま二人で育てると伝えた。
血の繋がらない子を育てるなんて。そんな子、孫でもなんでもないわ。
呆れ、怒り、罵られる。
血縁がないのなら、育てる義理はない。ましてや彼女は初婚。子持ちバツイチ男に嫁ぐだけでもハードルは高いのに、その子が実子でないとしたら。
最悪、絶縁も覚悟した。
――せなくん、おばあちゃんですよ~、よろしくね~。明里のとこにも、こんな大きな孫がいただなんてねえ。ビックリだけど会えてうれしいわ。誠彦のところの二人と、世那くん。それとお腹の子。わたし、一気に四人の孫のおばあちゃんになるのねえ。
彼女の母は、ニッコリ笑って、世那を受け入れてくれた。自らを祖母と名乗り、世那を孫として認めてくれた。
――それにしても。世の中には、あわてんぼうすぎるコウノトリもいたもんだねえ。
最後につけられた言葉に、うれしさより笑いが勝りかけた。彼女と同じことを言うのかと。
その彼女がいる分娩室はとても静かだ。扉で仕切られてるせいか、何も聞こえてこない。
彼女の苦しむ声も。うめきも。赤子の産声も。
「――律。しっかりなさい。パパでしょアンタは」
ヌッと、目の前に現れたお茶のペットボトル。差し出したのは僕の母親。
「ありがとう」
飲む気はしなかったけれど、その励ましと優しさを受け取る。
世那にはジュース、僕にはお茶。子供扱いされてるようで、少し情けない。
「まあ、赤ちゃんなんて、そうポンポン産まれるもんじゃないからねえ」
「そうねえ。でもわたし、明里を産んだ時は五時間で済んだわよ」
「あら、速いじゃない。ウチは一日半かかったわ。帝王切開に切り替えるかってなった時に、嫌だ~って踏ん張ったら、ポロッとね」
「あらあら。親孝行ね、律くん」
クスクス笑い合う母たち。五時間は速いのか。そしてポロッとは親孝行なのか。彼女が母親と同じ体質であることを願いつつ、五時間ならあとどれだけ彼女が苦しむのか、思わず計算してしまう。
できれば、もっと安産で、ツルッと生まれてほしいけど。
世那の弟妹はうれしいけれど、そのために彼女が苦しむのはいただけない。
「そんなんだから。だからドーンと腰を据えて待ってなさい、律」
不安でウロウロしたくなるのを見透かされている。
(女性って、――強いな)
目の前にいる二人の母も、明里も強い。
子を持つと、強くなるものなんだろうか。強く、優しく子を想う。
(薫子――)
比べてはいけないとわかっているが、思い出してしまう前妻のこと。
――アナタの子よ!! あたし、アナタの子を妊娠したの。
世那が托卵であることはわかっていた。薫子が他の男との間にもうけた子であることは知っていた。
だけど。
――いらないっていうのなら、堕ろすけど。……どうする?
宿った命をそんな簡単に棄てられるのか。自分が責任を取って、「結婚する」と言うのを見越していたんだろう。薫子の唇は、勝ち誇ったように笑っていた。
子どもが生まれたら、薫子も妻らしく母らしく落ち着くかもしれない。子育てが大変だというなら、できる限りの協力はする。仕事だって早めに切り上げて、家事、育児を担った。育休も取得した。赤子とだけでいるのはストレスがたまるというのなら、夜出かけることもとめなかった。ちょっとぐらい贅沢な買い物をしてきても。赤子を抱こうとしなくても。
それが薫子のワガママを助長させ、最終的に世那を捨てていく結果になるとは思わずに。
女は子を産んだら母になる。
母性神話とでもいうのだろうか。腹を痛めて産んだ子なのだから、子を愛おしむ母性が生まれるはずだ。子を大事にしない母親などいない。
それがすべての女性に当てはまらないこと。それを薫子と明里で痛感した。
薫子は世那を産みはしたが愛情を持たず、明里は産んでないのに世那を慈しみ続ける。
対照的だった。
薫子は喜んで出かけて帰ってこないこともあったのに、明里は世那が気になってとすぐに帰ってきた。
明里は慣れない育児に奮闘し、世那の成長を我がことのように喜んでくれた。世那のために苦手な動物にも挑戦してくれたし、健診にもつき合ってくれた。
坊ちゃまとバアヤ。
そう表現した明里だったけど、世那に与えられたのは、母親の深い愛情だった。
こんな女性もいるんだな。
薫子しか知らなかったから、明里の世那に注がれる愛情に心底驚いた。そして。
三人で暮らしていけたら。
いつからだっただろう。そう願うようになっていた。
明里に世那の母親になって欲しい。世那の母親になって、僕の妻になって欲しい。
彼女がその底抜けお人好しで一緒に暮らしているのはわかってる。でも、好きだと思う感情を止めることは出来なかった。
比べたから好きになったんじゃない。その優しさに触れたから好きになった。
明里に触れるけじめとして、薫子との離婚届を提出した。もともと離婚したがってたのは薫子だ。置いていかれた届を出さなかったのは、万が一薫子が戻ってきて、世那を大事にしてくれることもあるかもしれないと、望みを繋いでいたから。
でも、明里がいる。明里にこそ世那を愛してもらいたい。
思いのままに彼女と関係を持ったけれど、その先の「結婚」を言い出せなかったのは、やはり自分がバツイチで、彼女に世那という負担を与えることに不安があったから。
それも世那は自分と血が繋がってない子だ。
どれだけ自分と愛し合っても、どれだけ明里が世那を大事にしてくれたとしても、本当のことを知れば躊躇うのではないか。
明里を信じきれてなかったんだろう。世那に向ける眼差しが、お人好しの延長線なのか、愛情なのかを。
彼女がどれほど世那を大事に思っているのか。
それを思い知ったのは、不本意にも薫子が戻ってきた時だった。
薫子が戻りたがっていることは、興信所の調べでわかっていた。
家を出ていく時、昼寝していた世那を置いていった代わりに、貯金、貴金属、車と、マンション以外の資産をすべて持っていった薫子。その資産をすべて使い果たし、車まで僕を語って売り飛ばしていたことも。僕の身辺、僕が課長に昇進したことを、薫子が探っていたことも。
――近々、奥様から接触があるかもしれません。
興信所の所感。
金の切れ目が縁の切れ目。
薫子はともに逃げた男とすでに別れていた。となると、再び金を目当てにこちらに接触してくる可能性がある。
――奥様が、家に戻られました。
その連絡は仕事中に聞いた。
前日の夜、やけに積極的だった明里。
彼女は、薫子についてなにか知っていたのか? 知っていたから、泣いたのか? だから、メチャクチャに僕を求めたのか? もしかして、別れるつもりであんなふうにーー。
焦り、逸る心。マンションに駆けつける足が、ひどくもどかしかった。
――この子は、世那は私の子です!!
部屋に飛び込むと、明里が叫んでいた。
――コウノトリが配達先を間違えた、私の大切な息子です!!
ああ、そうか。そうなんだ。
ストンと、胸に落ちていった言葉。
薫子はせせら笑っていたけれど、明里のその言葉は、僕の心に強く染み渡っていった。
世那は僕の子だ。
そして、明里の子だ。
コウノトリなんてメルヘンを信じるわけじゃない。でも、そうやって間違えて届けられてしまった僕たちの子だ。
ならば僕は父親として、明里の夫として二人を護る。たとえそれが前妻であろうと、世那の実の母親であろうと容赦はしない。
過去の日和っていた自分との決別。
あの時、自分は生まれて初めて誰かに吠えかかった。
「――パパ?」
「ああ、ゴメン。なんでもないよ」
この子と明里を守れたこと。そして新たな家族を迎えられること。
見上げる我が子に触れる手に、目いっぱいの愛情をこめる。
「パパ、きたよ」
「え?」
「きたよ。さっき」
何が?
問いかけるより先に、扉が開く。出てきたのは年配の看護師さん。
「おめでとうございます。生まれましたよ」
開け放たれた扉の向こうから聞こえる、赤子の産声。そして、「おめでとうございます」と「頑張りましたね」という医師たちのねぎらいの声。
「3556gの大きな赤ちゃん、女の子ですよ」
世那の言う「きたよ」はこのことか。
何も聞こえてなかったはずなのに。この子は、妹が生まれたことを感じ取ったんだろうか。
「明里っ!!」
兄になった世那を抱き上げ、分娩室に入る。
「律……」
少しぐったりしているものの、それでも微笑む妻。
「生まれた……。女の子、だよ」
「うん」
「世那、お兄ちゃんになったんだよ」
「うん」
その額に汗で張り付いた髪をそっと払ってやる。
「お疲れ様。それと――ありがとう」
二人目の我が子。
その誕生に、視界がにじむ。
「ほぉら、パパとお兄ちゃんですよ~、おめでとうございま~す」
看護師さんが、白い布に包まれた赤子を連れてくる。
「あかちゃん、ねんね?」
「そうだな。ねんねしてるな」
産湯を使ったのだろうか。全身を赤くしわくちゃにした子は、意外と静かに包まっていた。
「いうか、いらない?」
「今はいらないかな。もう少し大きくなったら、貸してあげてほしいな」
今は無理でも、いつかは。
いつか妹が大きくなったら。世那とこの子を連れて、水族館に出かけてもいい。動物園も悪くない――って、また明里が怖がるか?
動物が苦手な妻のことを思い、クスリと笑う。
この赤子のために、また彼女は体をしゃちほこばらせても頑張るんだろうな。
「お父さん、抱っこしてみますか?」
看護師さんが提案した。世那を用意してもらった椅子に下ろし、代わりにそっと子を受け取る。
腕に伝わる温もり。重さ。
この子は、僕と明里の子。二人目の、コウノトリが運んできてくれた愛しい子。
「世那」
息子に生まれたばかりの妹を見せる。ほあぁと感嘆の息を洩らし、覗き込む世那。
「かぁいいねぇ」
しげしげと覗き込む世那。興味深そうに見る時の特徴で、その口が少し尖っている。
「世那。お前もかわいいよ」
生まれた妹と、兄になった世那と。
どちらも比べようのないぐらい愛おしい存在。
「パァパッ!!」
エヘヘッと笑った世那が抱きついてくる。それを娘とともに受け止める。
「明里、ありがとう」
二人の子とともに、愛する妻に眼差しをむける。
彼女のおかげで、僕はこの子たちに会うことができた。
「どういたしまして」
明里が微笑む。そして。
「世那。世那は今日からお兄ちゃんだよ。おめでとう」
明里のその言葉に、世那が僕から身を離し、照れたようにイルカのぬいぐるみを抱きしめた。
今日は娘の生まれた日。そして世那がお兄ちゃんになった記念日。
明里と世那と娘。
彼女の夫であること、二人の子の父親であること。家族であること。
守る覚悟と、守れる立場に誇りをもって、子を抱く腕に力を込めた。
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実はムーンさんで読んでて、もしかしたらこっちにもあるかも?って作者様を検索させていただきました。
めちゃキュンキュンしました。明里ちゃんの言葉ステキです。
感想ありがとうございます!!
あっちで読んでいただいて、こっちを検索いただいて。ハア~、なんて物書き冥利に尽きることを♡
律を、「お前、オレのことが好きなんだろう?」「そんなこと言っても体は正直だぜ?」「こんなにトロトロに濡らしやがって」「このまま素直に抱かれろよ」みたいな、キスの一つや二つ、百個や千個ぐらい余裕でかましてくれるようなキャラ(唇腫れる)にしなかったせいで、20話まででキス一回という、とんでもなくジレジレ(ノロノロ)恋愛になってしまいましたが。それでもキュンキュン、お気に召していただけたのなら幸いです。
お読みいただき、ありがとございました。
せなくんに癒されたくて、定期的に何回も読んでます💕
ヒロイン 明里さんの心の中のツッコミ等もとても好きです✨
感想ありがとうございます!!
定期的に……メチャクチャありがとうございます!! ナンテイイヒトダ
世那。この物語の主役は世那なので(チガウ)、そうおっしゃっていただけるとうれしいです。
好きなものを好きなだけ好きなように詰め込んだ物語なので、気に入っていただけたら最高です。
(何度も)お読みいただき、ありがとうございました。
せなくんがとってもかわいいくて癒されました☺️
感想ありがとうございます!!
この物語の主題は「いかにかわいい赤ちゃんを書くか」にあったので、「かわいい」「癒やされ」というお言葉に、「やったゼ☆」という気分になっております――ってチッガーウ!! 主題は「ジレジレ恋愛」です。多分。
お読みいただきありがとうございました。