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4.あまくはじけてほろ苦く
(一)
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「――起きて。起きて、大里くん」
優しい呼びかけ。同時に、ユサユサと身体が揺れた。
「――ンっ」
「こんなところで寝てると、風邪引くよ。ホラ」
寝てる? こんなところ?
その言葉に、意識が一気に戻って来る。けど。
「あれ? やま……の?」
どうして山野が? 草? 木? 境内?
ここは? 今は? どうしてこんなところで寝てたんだ、僕は?
開いた瞼。流れ込んできた情報に理解が追いつかない。いや、高速で一気に稼働した脳みそが、眠る前の情報と視覚がもたらした情報を照合していく。
今日は土曜日。家を出たところで絵を描きに出かけようとしてた山野に会って。彼女につき合って、神社に来た。そこで絵を描いてる彼女を見てるうちに、寝てしまってた。
「ご、ゴメン」
身を起こし、何がゴメンか知らないけど、とりあえず謝っておく。
「いいけど。でもやっぱり退屈だったよね。つき合わせてゴメンナサイ」
山野まで謝りだした。
「いや、悪いのはこっちだって」
勝手についてきたくせに、「退屈!」を体現するように寝てしまったのだから。
「それより。絵は描けたの?」
話題を変える。
「うん」
「見せてよ」
「ダーメ。これは見せられないの」
閉じたスケッチブックを、身をひねって僕から守る。
「もう、帰る?」
「そうだね。でも、う~ん……」
境内から立ち上がり、何歩か歩くんだけど。
「ゴメン、ちょっと休憩していい?」
ペションと神社の階段で、座り込んでしまった。
なんだろう。
目は覚めたし、頭も覚めたんだけど、身体が伴ってない。真っ直ぐ歩いてるつもりなのに、視界がグワグワ揺れる。普通の地面を歩くだけなら、そのうち身体も追いついてくるんだろうけど、長い階段、やや急ともなると、ちょっと不安。
「わかった。しばらく座ってようか」
座り込んだ僕のとなり、山野も階段に腰掛ける。
「ゴメン。そうしてくれると助かる」
「先行ってるよ」は寂しいし、「頑張って降りよう」は辛い。
「しばらく座ってようか」の優しさが、じんわり染みてくる。
「――ここ、いい景色だよね」
並んで座る山野。彼女が、目の前に広がる海を見て言った。
「そうだね。いい景色だ」
階段の両脇、濃い木々の緑に縁取られた仁木島の海。「いい景色」以外の表現方法が見つからない。
「ねえ。ちょっとだけ描いていってもいい?」
言いながら、ペラリとスケッチブックを開いた山野。その手にはすでに鉛筆がスタンバってる。
「いいけど。ホント、絵を描くの、好きだな」
「うん。大好き」
さっそく、サラサラと薄く輪郭を描き始めた。
「こういうね、ちょっと描くのが大変そうな構造物って、燃えるんだあ」
「構造物?」
隣からちょっと覗き見すると、描き始めてたのは海じゃなく、神社の入口の鳥居と、そこから続く階段だった。
「景色ももちろん好きなんだけど、こういう難しそうなものって、やりがいあるんだよね。なんていうのかな。『どや、お前にワシが描けるんか? おぉん?』みたいに、挑戦状叩きつけられてるみたいで」
なんか、ガラの悪い階段だな。
「じゃあさ、新島にかかる大橋なんてのは……」
「大好物!」
そ、そうなのか。
仁木島湾の南西にある大きな島、新島。そこにかかる真っ赤な大橋。背景となる海と空の青さと木々の緑がとてもキレイなんだけど。絵の描けない僕にしてみれば、「ウゲゲ」の対象物。絶対描きたくなんてない。描くとしたら、印象派の絵みたいにモワッとフワッとさせて誤魔化したい。
「絵を描くの、ホントに好きなんだな」
「そうだね、好きだよ」
描きながら山野が答える。
「わたしね、この仁木島が大好きなんだ。だから、自分の目で見たものを、自分の手で残す。残したいの」
「それって。将来、この町を出る時の思い出にするとか?」
大好きな故郷だから、どこに行っても持っていたい――みたいな。
「そうだね。そういうつもりで描いてるのかな」
ほんの一瞬。「そうだね」の後で、山野の手が止まった。
「わたし、どこに行っても仁木島といっしょにいたいって思ってるのかな」
山野の視線が、真っ直ぐ海に注がれる。
「大里くんは? 大里くんは、仁木島のこと、好き?」
え?
「高校卒業したら、この町を出ていきたいとか思ってる?」
どう……なんだろう。
この町を出たいのか。それともここにいたいのか。
「将来はわからないけど……。でもここは、嫌いじゃないよ」
「好き」と断言するには、まだなにかが足りない気がして、「嫌いじゃない」と表現した。
「そっか」
そこまで話して、また絵に取り掛かる山野。
仁木島が好きかどうか。
少なくとも、東京よりは好きだと思う。
高校の校舎とか、新島大橋みたいな構造物はあるけど、大きなビルもなければ、電車なんかも走ってない、のどかな田舎の海辺。
高校だって、再来年には廃校になる。小中高合わせた生徒数より、ウチの診療所を訪れる高齢の患者さんのが多い現状。コンビニ代わりのような美浜屋しかお店はないし、観光ったって、逢生ン家しか宿泊施設はない。誘致された工場、会社などなく、かろうじて、養殖された鯛、水揚げされた魚などの加工を担う水産工場とか、山にあるみかん農園ぐらいしか産業がない。
けど。
(ここに来て、救われたのも事実なんだよな)
中学受験の失敗。進学した公立中学でのイジメ。引きこもり。
あっちでは、少し成績がいいと「生意気だ」となじられ、成績を落とせば、「兄貴と違って出来損ない」とせせら笑われた。
だけど、この仁木島では違った。
東京から逃げてきたこと。「東京モンが」とイジメられる不安は、山野や健太たちの笑顔で一瞬で吹き飛んだ。それどころか、健太には「男子が増えた」と両手を上げて歓迎された。
勉強をしてても「ガリ勉」と言われなかった。それどころか、「お前、スゲえな」で、「よかったら、勉強教えてくれよ」で、その目に蔑みも苛立ちもなかった。
「大きゅうなったなあ」「アメちゃん、食べるか?」「陽くんは、ええ子やなあ」
じいちゃんの診療所に来る患者さんたちは、まるで自分の孫を見てるように僕に接してくる。
ここは、とてもいいところだ。
もちろん、ヘタをしたら村八分、全員に背中を向けられることもあるのかもしれないけど、今のところ僕はそんな目に遭ってない。それどころか、優しく、温かく迎え入れられている。
(この先……か)
今はこの居心地の良さに甘えてたらいいと思うけど、そのうち、進路も合わせて、しっかり考えたほうがいいんだろう。
それによっては来年受験も考えなくちゃいけない。受験をする気なら、夏休みにオープンキャンパスとか参加しておいたほうがいい。十六、高2の夏は、そういった進路をボンヤリとでも決めておくべき時期。
そんなことを思いながら海を見つめ、脇に置いておいたペットボトルを手に取る。暑さのせいで、ビッシリと水滴をつけたペットボトル。キュッとひねって口をつけ――
「――――っ! ゲホッ、ケホケホッ。こ、これっ!」
むせながら、ペットボトルを見る。
喉を焼くような炭酸。透明の透き通ったボトル。サイダーだ。
予想してなかった味。余計に喉が痛い。
「大里くんっ!?」
「ご、ゴメン! ケホッ、ま、間違えた!」
むせながら視線を落とせば、自分の左に自分の青いボトル。石の階段に、丸く水滴のシミを作って立ってる。僕が手にしたのは、山野との間にあった、山野のサイダー。それも。
(間接キスじゃん!)
ペットボトルのキャップは開いていた。中身だって、僕が一口飲んだぐらいじゃない減り方してる。
「新しいの、買ってくる!」
勢いよく階段を駆け下りる。
いくらなんでも。いくらなんでも、その先を山野に飲ませるわけにはいかない。だからって、僕のをどうぞもできない。僕のだって、途中まで飲みかけてる。
(なにやってんだよ、僕は!)
これじゃあまるで、健太の言ってた「なんとかペチーノでウッカリ間接キス」と同じじゃないか! あっちは、「それ、美味しいの?」「飲んでみる?」みたいなやり取りして、ウッカリ展開らしいけど。間違えて飲むのも、充分ウッカリ展開。
ってかこれ、新しいのを買ったとして、どんな顔して戻ればいいんだ?
――ヤッタネ、アオハルゥ!
健太の声が、抱える頭の中で囃し立ててきた。
優しい呼びかけ。同時に、ユサユサと身体が揺れた。
「――ンっ」
「こんなところで寝てると、風邪引くよ。ホラ」
寝てる? こんなところ?
その言葉に、意識が一気に戻って来る。けど。
「あれ? やま……の?」
どうして山野が? 草? 木? 境内?
ここは? 今は? どうしてこんなところで寝てたんだ、僕は?
開いた瞼。流れ込んできた情報に理解が追いつかない。いや、高速で一気に稼働した脳みそが、眠る前の情報と視覚がもたらした情報を照合していく。
今日は土曜日。家を出たところで絵を描きに出かけようとしてた山野に会って。彼女につき合って、神社に来た。そこで絵を描いてる彼女を見てるうちに、寝てしまってた。
「ご、ゴメン」
身を起こし、何がゴメンか知らないけど、とりあえず謝っておく。
「いいけど。でもやっぱり退屈だったよね。つき合わせてゴメンナサイ」
山野まで謝りだした。
「いや、悪いのはこっちだって」
勝手についてきたくせに、「退屈!」を体現するように寝てしまったのだから。
「それより。絵は描けたの?」
話題を変える。
「うん」
「見せてよ」
「ダーメ。これは見せられないの」
閉じたスケッチブックを、身をひねって僕から守る。
「もう、帰る?」
「そうだね。でも、う~ん……」
境内から立ち上がり、何歩か歩くんだけど。
「ゴメン、ちょっと休憩していい?」
ペションと神社の階段で、座り込んでしまった。
なんだろう。
目は覚めたし、頭も覚めたんだけど、身体が伴ってない。真っ直ぐ歩いてるつもりなのに、視界がグワグワ揺れる。普通の地面を歩くだけなら、そのうち身体も追いついてくるんだろうけど、長い階段、やや急ともなると、ちょっと不安。
「わかった。しばらく座ってようか」
座り込んだ僕のとなり、山野も階段に腰掛ける。
「ゴメン。そうしてくれると助かる」
「先行ってるよ」は寂しいし、「頑張って降りよう」は辛い。
「しばらく座ってようか」の優しさが、じんわり染みてくる。
「――ここ、いい景色だよね」
並んで座る山野。彼女が、目の前に広がる海を見て言った。
「そうだね。いい景色だ」
階段の両脇、濃い木々の緑に縁取られた仁木島の海。「いい景色」以外の表現方法が見つからない。
「ねえ。ちょっとだけ描いていってもいい?」
言いながら、ペラリとスケッチブックを開いた山野。その手にはすでに鉛筆がスタンバってる。
「いいけど。ホント、絵を描くの、好きだな」
「うん。大好き」
さっそく、サラサラと薄く輪郭を描き始めた。
「こういうね、ちょっと描くのが大変そうな構造物って、燃えるんだあ」
「構造物?」
隣からちょっと覗き見すると、描き始めてたのは海じゃなく、神社の入口の鳥居と、そこから続く階段だった。
「景色ももちろん好きなんだけど、こういう難しそうなものって、やりがいあるんだよね。なんていうのかな。『どや、お前にワシが描けるんか? おぉん?』みたいに、挑戦状叩きつけられてるみたいで」
なんか、ガラの悪い階段だな。
「じゃあさ、新島にかかる大橋なんてのは……」
「大好物!」
そ、そうなのか。
仁木島湾の南西にある大きな島、新島。そこにかかる真っ赤な大橋。背景となる海と空の青さと木々の緑がとてもキレイなんだけど。絵の描けない僕にしてみれば、「ウゲゲ」の対象物。絶対描きたくなんてない。描くとしたら、印象派の絵みたいにモワッとフワッとさせて誤魔化したい。
「絵を描くの、ホントに好きなんだな」
「そうだね、好きだよ」
描きながら山野が答える。
「わたしね、この仁木島が大好きなんだ。だから、自分の目で見たものを、自分の手で残す。残したいの」
「それって。将来、この町を出る時の思い出にするとか?」
大好きな故郷だから、どこに行っても持っていたい――みたいな。
「そうだね。そういうつもりで描いてるのかな」
ほんの一瞬。「そうだね」の後で、山野の手が止まった。
「わたし、どこに行っても仁木島といっしょにいたいって思ってるのかな」
山野の視線が、真っ直ぐ海に注がれる。
「大里くんは? 大里くんは、仁木島のこと、好き?」
え?
「高校卒業したら、この町を出ていきたいとか思ってる?」
どう……なんだろう。
この町を出たいのか。それともここにいたいのか。
「将来はわからないけど……。でもここは、嫌いじゃないよ」
「好き」と断言するには、まだなにかが足りない気がして、「嫌いじゃない」と表現した。
「そっか」
そこまで話して、また絵に取り掛かる山野。
仁木島が好きかどうか。
少なくとも、東京よりは好きだと思う。
高校の校舎とか、新島大橋みたいな構造物はあるけど、大きなビルもなければ、電車なんかも走ってない、のどかな田舎の海辺。
高校だって、再来年には廃校になる。小中高合わせた生徒数より、ウチの診療所を訪れる高齢の患者さんのが多い現状。コンビニ代わりのような美浜屋しかお店はないし、観光ったって、逢生ン家しか宿泊施設はない。誘致された工場、会社などなく、かろうじて、養殖された鯛、水揚げされた魚などの加工を担う水産工場とか、山にあるみかん農園ぐらいしか産業がない。
けど。
(ここに来て、救われたのも事実なんだよな)
中学受験の失敗。進学した公立中学でのイジメ。引きこもり。
あっちでは、少し成績がいいと「生意気だ」となじられ、成績を落とせば、「兄貴と違って出来損ない」とせせら笑われた。
だけど、この仁木島では違った。
東京から逃げてきたこと。「東京モンが」とイジメられる不安は、山野や健太たちの笑顔で一瞬で吹き飛んだ。それどころか、健太には「男子が増えた」と両手を上げて歓迎された。
勉強をしてても「ガリ勉」と言われなかった。それどころか、「お前、スゲえな」で、「よかったら、勉強教えてくれよ」で、その目に蔑みも苛立ちもなかった。
「大きゅうなったなあ」「アメちゃん、食べるか?」「陽くんは、ええ子やなあ」
じいちゃんの診療所に来る患者さんたちは、まるで自分の孫を見てるように僕に接してくる。
ここは、とてもいいところだ。
もちろん、ヘタをしたら村八分、全員に背中を向けられることもあるのかもしれないけど、今のところ僕はそんな目に遭ってない。それどころか、優しく、温かく迎え入れられている。
(この先……か)
今はこの居心地の良さに甘えてたらいいと思うけど、そのうち、進路も合わせて、しっかり考えたほうがいいんだろう。
それによっては来年受験も考えなくちゃいけない。受験をする気なら、夏休みにオープンキャンパスとか参加しておいたほうがいい。十六、高2の夏は、そういった進路をボンヤリとでも決めておくべき時期。
そんなことを思いながら海を見つめ、脇に置いておいたペットボトルを手に取る。暑さのせいで、ビッシリと水滴をつけたペットボトル。キュッとひねって口をつけ――
「――――っ! ゲホッ、ケホケホッ。こ、これっ!」
むせながら、ペットボトルを見る。
喉を焼くような炭酸。透明の透き通ったボトル。サイダーだ。
予想してなかった味。余計に喉が痛い。
「大里くんっ!?」
「ご、ゴメン! ケホッ、ま、間違えた!」
むせながら視線を落とせば、自分の左に自分の青いボトル。石の階段に、丸く水滴のシミを作って立ってる。僕が手にしたのは、山野との間にあった、山野のサイダー。それも。
(間接キスじゃん!)
ペットボトルのキャップは開いていた。中身だって、僕が一口飲んだぐらいじゃない減り方してる。
「新しいの、買ってくる!」
勢いよく階段を駆け下りる。
いくらなんでも。いくらなんでも、その先を山野に飲ませるわけにはいかない。だからって、僕のをどうぞもできない。僕のだって、途中まで飲みかけてる。
(なにやってんだよ、僕は!)
これじゃあまるで、健太の言ってた「なんとかペチーノでウッカリ間接キス」と同じじゃないか! あっちは、「それ、美味しいの?」「飲んでみる?」みたいなやり取りして、ウッカリ展開らしいけど。間違えて飲むのも、充分ウッカリ展開。
ってかこれ、新しいのを買ったとして、どんな顔して戻ればいいんだ?
――ヤッタネ、アオハルゥ!
健太の声が、抱える頭の中で囃し立ててきた。
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