我が忠義を、あなたに ー 命の恩人が前世で読んだ漫画で厄災の使者として討伐されるキャラクターみたいなので、彼の悲惨な運命を回避したい ー

Leon

文字の大きさ
上 下
5 / 16

第5話 それぞれの真意は

しおりを挟む
 こんど伶莉れいりさまに寝かされたところは、からだが沈みこむくらいふかふかしていた。
 背中がやわらかくてあたたかくって、触れてるところから幸せになる。
 ただ寝ているだけで心地いい。ごろごろところがって幸せをあじわう。

「そんなに綿布団が気に入ったか」

「うん! だってこんなふかふかなところで寝たことないよ」

「ノノが気に入ったのなら良かった。だが、少々妬けるな」

「うん?」

 伶莉さまの顔がだんだんと近づいてきて大きくなる。
 はずかしくなって目を閉じた。
 またくちびるを、吸われる。

「ん……!」

 くちびるだけじゃなくって伶莉さまの体も、かぶさってくる。
 背中はふかふか、上は伶莉さまにはさまれて、しあわせすぎるよ……!
 ふかふかの上にねころがって落ちついてきてたのに、また体がきゅんときてふるふるっとそれを流した。

「調子はどうだ?」

「ふかふか……」

 だって背中がすっごい気持ちよくってそれしか考えらんない。

 それしか、でもない。
 伶莉さまと重なると、まだ兄から飲まされたものが効いてるのが、うずうずとして分かる。
 まだ、あつい──

「調子はいいと受け取っておく」

 伶莉さまがゆっくりとわたしの髪をく。
 まだ濡れてておもたい髪の間に指を通されるのがくすぐったい。
 とんとんと肩をたたいてくれるのも、おちつくようでおちつかなかったりもする。

 そしたら、襦袢じゅばんの足のあいだを割られてびっくりする。
 薄目をあけてみる。伶莉さまのお顔立ちに美しいだけじゃなく熱がこもっているのにどきどきとして、また閉じた。

「はっ」

 さっきも触れられた敏感なところを伶莉さまにまた指でなぞられ、思わず腰をひく。
 ふかふかな綿布団にすこしおしりが沈むけど、それでもぜんぜん伶莉さまからは逃げられない。
 いちど伶莉さまにほぐされたところは、すぐにずぶずぶとその指を受け入れてしまう。

「伶莉さま……っ」

「そのままでいい」

 そのままじゃなくて、胸のあいだも広げられてその先も吸いだされる。
 伶莉さまに愛でられたところはすぐにさっきのことを思いだしたように敏感に感じてしまう。

「ん……はぁ、伶莉さまぁ、からだ、変、です、っ」

「慣れないかもしれないが、大丈夫だ。ノノにおかしいところはない」

「わたし、わたし……、おかしくないです、か?」

「ああ」

 さすさすと肩から二の腕までをなでられるとちょっと安心する。
 でも熱いのはどうしようもなくて、ほぐされたわたしのなかはぐしょぐしょに溶けていた。
 
「少し痛いかもしれないが、少しだけだからこらえて欲しい。我の愛するノノと一つになりたい」

「……はい」

 ちょっと不安を感じたけど、いやとは言えなかった。
 伶莉さまの体に腕まわしてると、すこしだけ落ち着いた。

 すると足のあいだに、指よりもっと熱くて大きいものが添えられる。
 ずぶずぶと、入ってくる──

 伶莉さまと一つになってく感覚が持てて、入ってくるぶんまでは我慢できた。
 だけど全部入りきってもそこで止まって、痛みが抜けない。

 こらえるけどこらえきれなくって、伶莉さまにうったえてしまう。
 まだ我慢できたけど、伶莉さまには聞きたくって、うったえてしまう。

「ぃたい、いたいです、伶莉さま……!」

「すまない。少し痛みが安らぐから、ゆっくり体の力を抜いて欲しい」

 体の痛みだけだったらまだもうすこし、我慢できた。
 けど、痛いのはそれだけのせいじゃない──

「伶莉さまもわたしのこと痛くしたい? とろいから? 頭悪いから? ううん、痛くしたいならいいんです。けど」

(痛いのは慣れてるもんね)

 お兄ちゃんたちと一緒だし、それよりはいいかもしれない。
 あきらめがつくと気が抜けて、すこし痛いのが楽になる。

「大事なノノにはできるだけ痛くないようにしたかった。我の手違いだ。すまない、すぐ痛みが和らぐようにする」

「ううん、いいんで」

 答えきる間もなく口をふさがれた。
 舌をいれられることにだってびくっとしてしまう。
 けど、舌どうしを絡ませられると胸がぽうっとしてくる。
 伶莉さまとわたしの口のなかが混ざりあうと、舌の気持ちいいので繋がってるところもすこし気持ちよく感じてくる、ような気がした。

 口づけられながら、小さい子がしてもらうみたいに頭なでられる。
 ゆっくりゆっくりなでられると気持ちよくって、痛いのがすこしずつ気にならなくなる。

(伶莉さまは、兄たちとはちがう……)

 口のまわりべたべたするくらいいっぱいすると、痛いのはこらえきれるくらいになった。
 それより、かすかに伶莉さまが動くときに感じるつんとした気持ちよさに甘い期待がこみあげてくる──

 けど唇がはなれて、すこしさびしくなってそのあとにつたう銀色の線を見上げてしまう。

「大丈夫か? ノノ」

 大丈夫じゃない気もするし、もう少し感じてみたい気もしてしまう。
 でもどっちの返事も、していいものなのかなって迷う。

「伶莉さま、どうすればいい?」

「ノノはそのままでいい。また痛みが酷かったら教えてくれ」

(また口くっつけて欲しいな……)

 そんなふうにぽーっと見あげてたら、また伶莉さまの唇が降ってきて重なる。
 唇だけじゃなくって、わたしのなかの伶莉さま自身もゆっくり小さく動きだす。

「あ……う……んふっ……ん、ん……!」

 伶莉さまに広げられてると、まだ少し痛む。
 でも違和感より、つながってるしあわせのほうがずっと大きい。

「善くなったようだな。誠に可愛らしい」

 口つなぎ頭なでられる。
 おちつくのに、でもなかの伶莉さまを感じさせられてどうしようもない気持ちがあふれてくる。
 お湯の池とちがって部屋中静かで、伶莉さまのうごきが速くなるにつれてはずかしい音も耳に流れてくる……!

「ん……! は……っ、あ、あぁ……ん……そこ、へん……!」

「おかしくしている。もっと乱れたノノを見せてくれ」

 どうすればよいのかわかんなくって、それはわかんない。
 でも伶莉さまは今のままでいいんだってことだけ分かって、それでほっとする。
 確かめるように、腕まわしなおした。
 伶莉さまの背中広くて、なかなか手は合わさらない。

「ん、ぁ、あぁ、はい……!」

 伶莉さまがわたしのなかにいるのが、こすれる感覚でも耳にながれこんでくる水音でもわかってしまう。
 おかしいのがわたしだけじゃなくって、伶莉さまの息も乱れてるのがきこえてくる。
 それも一緒なのが、きもちいい──

「ノノ……ッ! 夢中になってしまっているが、平気か」

「ううん、もうへいき。……や、ん……ぁっ……ね、伶莉さまぁ」

「なんだ?」

「名前、呼んでくれるのうれしくて……ん、ぁ……ん……ん、んぅ……」

 お前とかそれとかじゃなくて、ノノって呼んでもらえるのがうれしい。
 それも伶莉さまの雄々しい声で呼ばれると、耳からだってきゅんきゅんしてくるしくなっちゃう。

「ノノ……ぐ……! ノノ、ノノ」

「あぅ……ん、んん……! ん、伶莉さま、んん、んんぅ……!」

 引き抜かれたり奥まで満たされたりって、怜悧さまとの繋がりはめまぐるしく変わる。
 一つじゃないから触れ合う感覚があるのに、でもこすれあうともっと一つになってるように感じる。

 しあわせで目からなみだがこぼれてきた。
 唇がはなれてさびしくなって見あげる。
 そしたら急に目尻のなみだをなめとられてびっくりする。

「やぁ……ん……やんっ!」

 怜悧さまの動きがしだいに速くなって体がくがくってなる。
 けど背中がふかふかにはねかえされて、体じゅう怜悧さまと一つになってしあわせがあふれてくる。
 しあわせすぎて、おかしくなる──

「や、あ、あ、伶莉さま、おかしくなる、おかしくなっちゃうよ、あっ、あっ!」

「そのまま身を任せろ。ノノ、く……いけ」

「あ、う……あ、ああ、や」

 体じゅうにしあわせがどっとあふれる──
 伶莉さまにつながりをほどかれる。
 ちいさなうめき声。おへその下にお湯より熱いものがかけられるのを、感じた。

 熱が抜けると、兄に飲まされてから体おかしかったのも治ってた。


  * * *


 お嫁さんになったわたしは、なにもない日に伶莉さまとごろごろしてた!
 人の姿をとると疲れるのか、伶莉さまはよく前みたいなキツネ姿で寝ている。今もね。

「もふもふ気持ちいいー!」

 ぎゅうーと抱きしめると、ふさふさの毛が肌をなでる。
 手入れのゆきとどいたキツネっ毛は、服の上からだって肌に直接あたるところだってきもちいい。
 すりすりってしあわせを味わう。

「襲うぞ」

 伶莉さまが不機嫌そうにふりむく。
 ほんとはキツネ姿だって人の言葉もしゃべれるんだよ伶莉さま。

「いいよ」

「ん?」

 顔近づけてくるからもう一回言う。

「おそってもいいよ。怜悧さまにおそわれるのはしあわせだから」

 そう言って目とじて、自分のくちびるをつんと人差し指でついた。

「ここ。おそって?」

 怜悧さまはぎゅうって抱きしめてても器用にくるんと体をわたし側に返す。
 怜悧さまがひっくり返るときにもふもふの毛がこすれるのだって、とっても気持ちいい……!
 向かい合うとくちびるをつん、と怜悧さまのくちびるで突かれた。

 うん。しあわせだねっ!

「今日は霧も出てないし呼吸法の修練には丁度い。起きるぞ」

「ねむいよ……」

「愛するノノが山を飛び降りても気圧差に耐えられる程度の呼吸法を覚えてくれないと、我も下界に降りられん。ノノは離せないからな」

 そういってやり返すみたいに体抱かれるから、どきりとしてしまう。すこし目が覚めた。
 怜悧さまはすかさずわたしの体を起こしてくる。

「もう! ばか! 大好き!」

 そしたらまた、うるさくした口をふさがれた。
 静かにゆっくりと、重ねられていた。

 (終)
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

悪役令息の三下取り巻きに転生したけれど、チートがすごすぎて三下になりきれませんでした

あいま
ファンタジー
悪役令息の取り巻き三下モブに転生した俺、ドコニ・デモイル。10歳。 貴族という序列に厳しい世界で公爵家の令息であるモラハ・ラスゴイの側近選別と噂される公爵家主催のパーティーへ強制的に行く羽目になった。 そこでモラハ・ラスゴイに殴られ、前世の記憶と女神さまから言われた言葉を思い出す。 この世界は前世で知ったくそ小説「貴族学園らぶみーどぅー」という学園を舞台にした剣と魔法の世界であることがわかった。 しかも、モラハ・ラスゴイが成長し学園に入学した暁には、もれなく主人公へ行った悪事がばれて死ぬ運命にある。 さらには、モラハ・ラスゴイと俺は一心同体で、命が繋がる呪いがオプションとしてついている。なぜなら女神様は貴腐人らしく女同士、男同士の恋の発展を望んでいるらしい。女神様は神なのにこの世界を崩壊させるつもりなのだろうか? とにかく、モラハが死ぬということは、命が繋がる呪いにかかっている俺も当然死ぬということだ。 学園には並々ならぬ執着を見せるモラハが危険に満ち溢れた学園に通わないという選択肢はない。 仕方がなく俺は、モラハ・ラスゴイの根性を叩きなおしながら、時には、殺気を向けてくるメイドを懐柔し、時には、命を狙ってくる自称美少女暗殺者を撃退し、時には、魔物を一掃して魔王を返り討ちにしたりと、女神さまかもらった微妙な恩恵ジョブ変更チート無限を使い、なんとかモラハ・ラスゴイを更生させて生き残ろうとする物語である。 ーーーーー お読みくださりありがとうございます<(_ _)>

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...