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[断章]-2

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 何故逃げたのか?
 そう問うてみても答えなど見つからない。
 存在の「意味の場」変えることになんの得があるのか。
 この場が危険だ。危険であるし古く、既に捨てられた場所だ。
 そのことは、十分に分っているはずだろう。
 ウィルスに侵され、ゾンビ化した人が溢れた世界は、確実に――いや、それ以上に終末であるだろう。

 この世界は終わっているのだ。救いはない。ありはしない。

 この場にいる意味があるのか?
 生よりも遥かに死に近い世界。死が満ち満ちた世界。
 死があるからこそ、生を実感できる?
 それは、世迷いごと以外の何者でもない。
 生の定義も死の定義もできぬ者の戯言だ。

 死があるからこそ生に意味があるのか? 死のない生があってはいけないのか。
 全く持ってどうしようもないほどに無知蒙昧な理解だ。

 何度でも言う。
 世界は終わっている。そして、どうしようもない程に狂っている。
 そこでは生も死もなんら意味をなさない。
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