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3話:永遠に初めての情景

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 ひびきは、小学二年生のときに、自分で気持ちよくなる方法に気付いた。
 母親が持って帰って、置いてあった『大人の漫画』を読んでて知った。

 偶然だった。
 
 ただ「大人の読む本を読むのはいけないこと」だと思った。
 だから、この方法を母親に教えてあげようとは思わなかった。

 クラスの仲のいい女子にこっそり教えてあげたら。
 その子に「それ、ダメなんだよ」と言われた。
 今はどうなんだろう『その方法』を知っているのか、やっているのか?
 
 響はその思いを切り替え過去の背徳の情景の中に心を沈めていく。

        ◇◇◇◇◇◇

『どう? お豆さんみたいでしょ?』

『……』

『ふふ、女の子の気持ちよくなるスイッチなの』

 響の言葉に、男の子は答えなかった。そう思う。確か。

 ただ真っ赤になって、響の気持ちのいい場所を触っていた。
 男の子の股間のものは、可愛くたくましく、ピンクの先を上に向けていた。

『本当は名前、知ってるでしょ?』
『え?』

 知っていて口にできなかったのか、本当に知らなかったのか。
 それは響には分からない。でも、沈黙という答えは決し悪くはない。

『六年生の響』は『そこ』で気持ちよくなるすべをずっと前から知っていた。

 それが早かったのが、遅いのか『今の響』でも分からないし、興味もない。
 ただ、今も気持ちがいい。痺れる程にいい――

 そして、その行為の名前を『小学六年生の響』はすでに知っていた。
 それを知った時は『なんでもっと早く分からなかったんだろう』と思った。
 ずるいとも思った。

『ね、ここ、プリッと出ていッ…… あ、そこ、そう…… あはぁうぅ~』 

 女性の性感受容神経の集まる器官の上で小学生男子の指が動く。

『い、手首が痛いよ、志木城さん。そんな放して』

『あふっ…… あ、ごめん』

 小学校高学年時代。
 男女の体格差が唯一逆転する時代。
 小学六年生の響は、あまりにも強く男の子の手首を握りすぎていた。

『これ? なの…… ここ?』
『そッ…… あふ、あ、あ、あ、あ――』
『気持ちいいの?』
『うん、すごく―― あっ、いい、すごい……』

 響は自分より小柄な、男の子の両肩に手をやっていた。
 そうしないと膝から崩れ落ちそうだった。
 
 普段自分で触るより、ずっとたどたどしくおっかなびっくりな触り方。
 でも――
 それが凄く気持ちよかった。
 
(あっ…… 自分でやるのと…… 違う…… あ、でも……、もっと……)

 五年生の男の子は響の股間を触る。
 そして残った手が響の胸の伸びた。
 指が薄いワンピースの上から触れる。

『ねえ、女の子のおっぱいそんなに、興味あるの? あ、あ、あ―― 必死すぎ』

『うん、柔らかい。すごく。いい匂いも……』

 男の子がごくりと息を飲んだ。
 今、考えてみれば、触り方は、本当に『子ども』っぽくて、でも、それが良かったのかもしれない。
 ただ、記憶は快楽に変換されるためだけに再生される。
 時間を超え『今の響』の脳すら蕩かせるためだけに。

 小学生のふたりの「初めて」は永遠に繰り返され再生される。

『あふぅ…… ねえ? どう? キス、キスしようか?』

『あ、キス…… …… いいの?』

『いいよ。初めてのキス。いいよ、○○君なら――』

 そんな春宵しゅんしょうなことを『六年生の響』は言ったのだろうか。

 言ったのかもしれない。

 言ってないかもしれない。

 どちらでもいい。

 そもそも、それはが、響の初めてだったのだろうか――

『今の響』とって道具たる追憶にそこまでの意味は必要なかったかもしれない。

 ただ、ふたりは唇を合わせる。

(うん、そう…… それでいいの――)

 小学生の男の子、幼い舌が響の下に自然に絡み合ったのかもしれない――
 どうだったろうか? そこまではしていなかったかも……

『今の響』は思う。

 道具としての追憶の中だけに存在する、ふたりの唇が離れた。
 ふたりにとっては、永遠に「初めてのキス」が終わる。

『あぅぅ、たまらないよぉ、もう、あ、あ、あ―― お願い。志木城さん』

『ふふ、なに?』

『ボクのを―― 触ってよ。だって、このままじゃ』

『ふふ、なんか、可愛いね。そんなに…… あ、あ、あ』

 男の子のそれは、まだ元気よく跳ね上がっている。
 響が無理やり向いた皮の中をむき出しにして、ピンクの先端を上に向けていた。
 なにか、可愛いと―― そんなことを思ったのかもしれない。 
 
 薄いワンピースの布を通して男の子の手の熱を胸の先で感じた。
 すでにそこは痺れるような快感を生んでいた。

 響は感じた。それもとても気持ちいいことだから。
 いつもは、自分では胸も触りながらやっている。
 そのときも『今も』だった。

『ねえ、お願いだよぉ~』

『あふぁぁぁ、出したいの? なにを?』
『え、あ…… あの……」
『ふふ、精子でしょ。白いおしっこよね、あ、あふぅ…』

 男の子が気持ちよくなると、おしっこではなく『精液』がでる。
 そんなことは、響は学校で教わる前に知っていた。
 でも、まだ本物精液を見たことは無かった。
 
『ねえ、触るだけでいいの?』

『え?』

『ふふ、これ可愛いし、できると思う』

『出来るって、志木城さん?』

『ねえ、これ、舐めてあげようか?』

『え!?――』

 ただでさえ、大きくくりっとした目を男の子は見開いた。

 響はそう言ったのだと、響は思った。 

 そして響はしゃがむ。顔を近づけた。小学生も男の匂いだったと思う。

 そして――

 放課後、ふたりの肉の奏でる音だけが、防音の部屋の中に響いていた。
 
 子どもの肉の産む幼い情欲の旋律が、いつまでも響く。
  
 なんども繰り返される、永遠に初めての情景――

 響の中には、背徳の彩に満ちた、子どもの時間が封じ込めらてていた。
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