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12話:これから家に来て――
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進路指導室での激しい悠真とのセックス――
響はそのことについて、さほど後悔はしていなかった。
もうバレることはないだろうし、悠真が自分を避けるのであればそれはそれで構わなかった。
「先生と付き合いたい」か……
響は悠真の言葉を反芻していた。
高校生ともなれば「付き合う」という言葉が、完全なプラトニックであるものとは思えない。
自分と付き合うということは、ああいう自分も受け入れることだ。
駄目でよかったかもしれない――
一回だけなら過ちで済むだろう。
童貞高校生が持っている女性に対する憧れ、夢みたいなものを打ち砕いたかもしれない。
けれども、そんなものはいずれ破れてしまうものだ。
いずれにしても――
あの日以降、悠真は授業で目を向けても、すっと目を反らす。
決して響の方を見つめようとはしなかった。
特に未練もなった。
最初から、生徒と教師の恋愛など上手くいくはずがないのだと、響は思った。
◇◇◇◇◇◇
悠真の童貞を奪ってから一週間程たった後だった。
響は駅を降り自宅に向かった。自宅は、高校から二駅ほどのところにあった。かなり近いといえた。
一戸建ての家に母親とふたりで住んでいる。
仕事をしている母親の帰宅が後になることが普通だった。
「え、井東君」
悠真だった。
駅を降りると雑踏の中に、悠真がぽつんと立っていた。
そこだけ空間が切り取られていたかのように、悠真の存在が目に入る。
――彼の家は…… 駅は反対方向のはずじゃ……
と、響はおぼろげな記憶を掘り起こす。
「どうしたの? 井東君。先生に何か用があるのかしら?」
響は真正面から悠真を見て言った。
悠真は顔を下に向け、彼女から視線をそらしていた。
一週間前、セックスをしたときは「悠真君」と呼ばれていた。
それが今は「井東君」になっている。
悠真はそのことに、響との距離を感じていた。
セックスに対する憧れはあった。
正直、響先生とセックスしたいとは思っていた。
先生を思い浮かべて何度もオナニーした。
でも――
女の人があそこまで激しく乱れ、淫らに男を貪ることを知らなかった。
それとも、響先生が特別なのか?
一日に八回も射精したのは初めてだったし、自分の身体があんな風に感じてしまうことも初めて知った。
なぜか、それが少し怖くて、少し恥ずかしかった。
だから、先生とはしばらく目を合わせることもできなかった。
悠真はくいっと顔を上げ、先生を見つめる。
やや釣り目気味だが、美麗な双眸が悠真を見つめていた。
「せ、先生―― やっぱりボクは先生のことが好きなんだ」
悠真ははっきりと口にした。
「ん―― そう……」
響は少し、驚いた。
響の胸の少年の言葉が染み込んでいく。ゆっくりと。
あのような形で童貞を奪われ、限界を超える強制射精までさせた。
それなのに、この生徒は自分のことをまだ好きだといってくる。
過去、彼女がフル回転で欲望を露にしたセックスをして、ついきてくれた男性はいなかった。
小学六年生で処女を失い――自分から相手を犯した――それから、二桁を超える男と寝た。
自分には恋人もセフレさえ作る事は出来ないと思っていた。
だから、一夜限りの逢瀬を楽しむだけの生活を送っていたのだ。
「本気なの?」
「本気です」
響はふっと唇に笑みを浮かべる。
少年は顔をこわばらせ、じっとこっちを見ていた。
響はすっと歩を進め、悠真の耳元に唇を近づけた。
「いいわ。これから家に来て――」
響は潤んだ目で悠真を見つめるとそう言った。
響はそのことについて、さほど後悔はしていなかった。
もうバレることはないだろうし、悠真が自分を避けるのであればそれはそれで構わなかった。
「先生と付き合いたい」か……
響は悠真の言葉を反芻していた。
高校生ともなれば「付き合う」という言葉が、完全なプラトニックであるものとは思えない。
自分と付き合うということは、ああいう自分も受け入れることだ。
駄目でよかったかもしれない――
一回だけなら過ちで済むだろう。
童貞高校生が持っている女性に対する憧れ、夢みたいなものを打ち砕いたかもしれない。
けれども、そんなものはいずれ破れてしまうものだ。
いずれにしても――
あの日以降、悠真は授業で目を向けても、すっと目を反らす。
決して響の方を見つめようとはしなかった。
特に未練もなった。
最初から、生徒と教師の恋愛など上手くいくはずがないのだと、響は思った。
◇◇◇◇◇◇
悠真の童貞を奪ってから一週間程たった後だった。
響は駅を降り自宅に向かった。自宅は、高校から二駅ほどのところにあった。かなり近いといえた。
一戸建ての家に母親とふたりで住んでいる。
仕事をしている母親の帰宅が後になることが普通だった。
「え、井東君」
悠真だった。
駅を降りると雑踏の中に、悠真がぽつんと立っていた。
そこだけ空間が切り取られていたかのように、悠真の存在が目に入る。
――彼の家は…… 駅は反対方向のはずじゃ……
と、響はおぼろげな記憶を掘り起こす。
「どうしたの? 井東君。先生に何か用があるのかしら?」
響は真正面から悠真を見て言った。
悠真は顔を下に向け、彼女から視線をそらしていた。
一週間前、セックスをしたときは「悠真君」と呼ばれていた。
それが今は「井東君」になっている。
悠真はそのことに、響との距離を感じていた。
セックスに対する憧れはあった。
正直、響先生とセックスしたいとは思っていた。
先生を思い浮かべて何度もオナニーした。
でも――
女の人があそこまで激しく乱れ、淫らに男を貪ることを知らなかった。
それとも、響先生が特別なのか?
一日に八回も射精したのは初めてだったし、自分の身体があんな風に感じてしまうことも初めて知った。
なぜか、それが少し怖くて、少し恥ずかしかった。
だから、先生とはしばらく目を合わせることもできなかった。
悠真はくいっと顔を上げ、先生を見つめる。
やや釣り目気味だが、美麗な双眸が悠真を見つめていた。
「せ、先生―― やっぱりボクは先生のことが好きなんだ」
悠真ははっきりと口にした。
「ん―― そう……」
響は少し、驚いた。
響の胸の少年の言葉が染み込んでいく。ゆっくりと。
あのような形で童貞を奪われ、限界を超える強制射精までさせた。
それなのに、この生徒は自分のことをまだ好きだといってくる。
過去、彼女がフル回転で欲望を露にしたセックスをして、ついきてくれた男性はいなかった。
小学六年生で処女を失い――自分から相手を犯した――それから、二桁を超える男と寝た。
自分には恋人もセフレさえ作る事は出来ないと思っていた。
だから、一夜限りの逢瀬を楽しむだけの生活を送っていたのだ。
「本気なの?」
「本気です」
響はふっと唇に笑みを浮かべる。
少年は顔をこわばらせ、じっとこっちを見ていた。
響はすっと歩を進め、悠真の耳元に唇を近づけた。
「いいわ。これから家に来て――」
響は潤んだ目で悠真を見つめるとそう言った。
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