大江戸・淫ら鬼喰らい師 -さね吸い祓い奇譚-

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1.淫ら鬼喰らい師「鬼狂」 美麗の童女のおさね吸い

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 刻は暁九つ、深夜。昼と夜を六等分した江戸の時間。
 暁九つはまさに真夜中という時間だ。
 江戸の町は静謐な闇の中に沈みこんでいた。

 日本橋にある江戸屈指の紙商問屋の商家。
 その娘がねやで悶え、喘ぎ声を上げている。
 歳は十六、おぼこ(処女)であった。

「あ、ぁ、あ~ あふぅぅ、お、おさねがぁぁ、あひゃぁぁ、もっとぉぉ、もっと激してくださいませぇぇ~」

 嫁入り前の娘が、女の快楽を求め、身体をうねらせていた。
 乱れた着物。
 開いた胸のからは、目に鮮やかな白い乳房が見えた。
 仄かで、ゆれる行燈の光の中でもその白さが際立っている。

「あ、あ、あ、あ、あふゅぅぅ~ そ、それがぁぁ、あ、あぁ、ああ、おさねが痺れるのですぅぅ~」

 着物の裾から白い脚が艶めかしく動き、股を開いていた。
 そして、腰をくねらせ、「挺孔さね」。
 つまり、陰核、女芯への激しい愛撫を求めていた。

 その光景を不栗万之介が見つめていた。
 覗きではない。同じ閨の中、間近で見ているのだ。
 それは、彼の仕事でもあったからだ。

 乱れ狂う娘の股間には、彼の雇い主の頭があった。
 黒く艶のあるおろし髪が揺れる。
 ピチャピチャと彼女が、娘のおさねをねぶり、口吸いしているのだった。

 姫戸先ひめとさきとも言われる女の快楽を生み出す小さな真珠のような突起。
 薄い真根長さねなががめくれあがり、淫液が布団の上にとめどなく流れ出しているのだった。

 娘のおさねを吸っているのは、一見、童女のような存在だった。
 すっと、股間から顔を上げ、娘の乱れ具合を確認する。
 冷たい氷のような眼差しだ。

 美麗な童女――
 淡雪すら凌ぐのではと思わせる白い肌。
 黒く長いおろし髪。
 血のような朱色した唇には、娘の淫液の残滓がテラテラと光っていた。

(こ、これが…… お、おさね吸い祓い――)

 十八歳の浪人・不栗万之介は己が逸物が下帯を突き抜けんばかりに硬くなっているのを感じていた。

「あ、ぁ、あ~ あふぅぅ―― あ、あ、あ、あ、あ、あはぁ~」

 再び、おさねへの口吸いが再開される。
 激しく頭を振り、結っていない湯上りのような髪が大きく乱れる。

 その光景は、無垢(童貞)であり、絵師・戯作家を目指す万之介にとっては夢のようものだ。

(筆と紙があれば…… 今ここで描きたいが―― むぅぅぅ)

 さらに、本音をいえば、股間の金まらと化したものを握ってしごきたかった。

 しかし、これは仕事なのだ。
 それは出来ない。
 今、娘のおさねを舐めている童女のような存在を彼は見やる。
 その見えない口元では、舌がどのような動きをしているのか?
 万之介はそれを思い、己の逸物を更に硬くしていく。
 
 鬼狂ききょう――
 そのように名乗る女であった。
 
 鬼に憑かれた娘から鬼を祓う――

 この目の前で行われている淫らな行為が「祓い」であるという。
 鬼に憑かれ、肉の奥より溢れる淫気が娘を狂わせる。
 日々男を求め狂乱し、それが叶わぬとなると、指人形(二本指)で己が女陰を貪るのだ。
 淫道からは、上水(うわみず)、淫水をたれ流し、一切なにも口にせず、ただただ磯弄り(自慰)を止めぬだった。

 祈祷師、修験者、医者――
 まったく手に負えぬものであった。

 そして、日に日に娘の腹は大きくなる。
 孕み腹だった。
 理外だ。その孕む早さがあり得ないものであったのだ。

 鬼が憑いたのだ。
 鬼――
 淫鬼とよばれる存在がその身に宿っている。

 これを祓える者は『鬼喰らい師』である鬼狂だけだった。
 
 おさねに対する口唇口悦(こうしんこうえつ)。
 女同士の淫蕩な儀式が、娘の身に潜む「鬼」を祓う呪法であったのだ。

「あががががああああああああ―― あはゃはぁぁああああああ――」

 娘が甲高いよがり声をあげ、吊り上げられた若鮎のように跳ねる。

「くるぞ…… 淫鬼――」

 鬼狂が股から顔を上げ、すっと立ち上がる。

 美麗な童女の顔立ち。
 しかし、身に纏った雰囲気は決して彼女を見たままの齢には感じさせないであろう。
 怖気立つほどの、美しい童女だ。

 すっと、鬼狂は布団の上から離れ、後ろにそのまま下がった。

「はぁ、はぁ、はぁ、ハァ――― ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア、ア、ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ま゛ぁぁぁ~」

 白い脚を広げ、女陰が丸見えとなる。

 春画でしか見たことない。ヌラヌラと濡れた女の部分に万之介の目が釘付けになった。

 くぱぁ――

 生き貝(いきがい)のような真根長(さねなが)を白い二本の指で開いた。
 ヌルリとした淫液が、たらたらと、淫道より流れ出していた。

(いや、違うのでは―― 淫液ではないのでは…… な、なんだッ)

 万之介は息を飲んだ。ドロドロとした液に包まれ、ニュルと淫道から真っ黒な腕が生えたのだ。
 黒い腕だ。人の腕のようではあるが、細くそして長い。
 筋張った、長い腕がニュルリと股間から生え、そして白い太ももを叩いていた。

 悪夢のような光景だった。
 万之介はそこで、地蔵のように固まるしかなかった。

(物の怪―― こ、これが「鬼?」)

「ゴロズ ワガミ ヒギズリ ダズ モノ ゴロズ」

 泥をこねたような声が頭の中に響いた。

「あああああああああ―― き、鬼狂様ぁぁぁ!」
「落ち着くのじゃ、万之介」

 鬼狂は笑みを浮かべていた。喜悦の笑み。
 その鬼を見つめる目が淫蕩な光を宿し、口角をキュッと上げていた。

 この童女に見える鬼狂もまた、「怪異」「異形」の世界の住人に近いのだ。
 そのことを、万之介は今さらながらに思い知る。

「ぱぎゃぁぁあぁぁぁぁぁ!!」

 その鬼が、水が弾けるような音ともに、叫びをあげた。
 倶風のような物が、鬼狂に向かってすっ飛んできたのだ。
 娘が今、その股間の淫道から産みだしたモノであった。

 細いが鉄のムチを思わせる黒い腕がしなり、鬼狂を向かって唸りを上げた。

 ぽん――

 まるで、飛んできた真綿を捕えたのような音。
 童女のような細く白い腕が、黒い鞭のような「淫鬼」の腕を握っていた。

「ほう…… 活きがよいのぉ」
「ゴロズゥゥゥ ゴロズゥゥゥ」

 肉が裂け、骨が折れる音。
 万之介が道場でなんどか耳にしたことのある音に似ていた。

 鬼狂は握った腕を引きちぎっていた。無造作にだった。

「ガガガガガガガ――」

 引きちぎった腕を握ったまま、鬼狂が跳んだ。
 鬼の喉元めがけてだ。喉笛を鬼狂の咢が捉え、そのまま、引きずり倒す。
 喉元に喰らいついたまま、鬼狂は淫鬼を組み伏せてしまったのだ。
 
 ゾブ――

 牙が肉に突き刺さる音。肉が貫かれる音だった。
 
 ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ――
 めぎゃ、めぎゃ、めぎゃ、めぎゃ――

 食っていた。
 鬼狂がその黒い怪異を喰らっていたのだった。
 
 人型をした黒い異形だった。
 身の丈は六尺〔一八〇センチ)以上はあるだろう。それを鬼狂は畳の上に抑え込み、馬乗りとなって、ガツガツと喰らっていた。
 
「はははは、旨いのぉぉぉ、旨いのぉぉぉ、『淫鬼』たまらぬ味じゃ――」

 ゾブゾブとその内臓まで喰らっていく凄まじい光景だった。
 悪夢――
 いや、万之介にとって、それはある種の「美」であった。
 童女に食われる「鬼」「怪異」。その淫靡さは、彼の魂を震わせていた。

(筆を、筆をとりたい――)

 この光景を目に焼き付け、それを紙の上で形にしたい。
 その思いで、彼は、どす黒い血にまみれた鬼狂を見つめていた。
 彼の逸物は硬く立ちあがり、下帯を突き抜けんが勢いを見せいた。
 わずかな刺激で、それは精汁を吐き出すだろう。
 もし、ここで、イクことがあればあり得ない程の快感を得られるのではないかと思った。

「おい、気をやるな―― オヌシの仕事は残っておるのじゃぞ」

 淫鬼をほとんど喰らい尽くした、鬼狂が万之介を見やった。
 
 そうであった、まだ万之介の仕事は終わっていない。
 彼は、自分の雇い主が、鬼を喰らい尽くすのを、逸物を硬く立てながら見つめ続けていたのだった。

        ◇◇◇◇◇◇

「さあ、ワラワのおさねを吸うのじゃ―― たっぷりとな…… 精汁はワラワの許しなく出すな」
 
 鬼狂と万之介は着物を脱ぎ、肌をさらしていた。
 気を失った商家の娘は、今は穏やかな寝息を立てていた。

「閨には結界を張ってある。ワラワが解かぬかぎり、声すら外に漏れぬ。ゆえに、良き声で鳴くのじゃな。万之介よ――」

 妖艶な笑みを浮かべる鬼狂は、万之介の頭の上で股を開いていた。
 畳の上に仰向けで転がる万之介の頭の上に、鬼狂の股があったのだ。
 そして、鬼狂の妖艶で美麗な顔の前にはいきり立つ万之介の逸物があった。
 
 ほの暗い明りの中――
 鬼狂の下の口が淫靡に、万之介の口吸いを求めているかのようだった。

 それは「二つ巴」呼ばれる男女の交合の形であった。
 
「ほぉぉ、中々のマラよのぉぉ。無垢であると――」

 天井に向け、立ちあがった万之介の逸物は立派なものだった。
 ただ、それは皮を被ったものであった。
 それに鬼狂は愛おしそうに舌を這わせて、その皮を剥いていく。

「あ、ああああああああ―― 鬼狂様ぁぁ…… あはぁぁあ」

 万之介は思わず声を上げていた。鬼狂の舌の這った場所は焼けつくような快感をほじくり返しているのだ。

「なるほど、薄桃色よ。女の淫液に焼けとぬ色をしておるわ。ふふ、良い声で鳴くのぉ」

 鬼狂は再び、万之介の逸物を口に咥え、舌先を鈴割れの中に挿し込むのだった。
 気が狂いそうなほどの快感が万之介を襲う。

 憧れた女のおさねを前にして、なにも出来ず快楽に焼かれ震えていた。

「なにをしておるのじゃ、オヌシが、おさねを吸わねば、どうにもならぬ」
「は、はい――」

 夢にまでみた。女のおさねであった。
 それを思う存分、舐り、口吸いしていいというのだ。
 そして、それが万之介の仕事なのだ。

 彼は下を伸ばし、鬼狂の幼さを見せるような肉をかき分ける。
 そして、おさねを吸った。舌でなめる。ペロペロと舐めるのだった。

「お、お、お、お~ よいのぉぉ、よいぞぉ。あ、あ、あああああ~ あはぁああ、いいのじゃ。無垢の男の舌じゃ――」
 
 白い肌がうねり、万之介の舌の動きに合わせ踊るかのようであった。
 ドロドロした淫液、女の快楽の生み出す汁が万之介の口に流れ込む。
 まるで、唐天竺にも無いような、甘露のような味だった。
 万之介は一心不乱に、鬼狂のおさねを口吸いし続けた。

「あ、あ、あ、おおおおお、いいぞぉぉ、蕩けるぞぉぉ、ワラワの身の「淫鬼」が溶けておるわ―― あはぁぁ―― よいのじゃぁぁ、あ、あ、あ、あ」

 万之介のおさね吸いにより生じた快楽。
 それがこそが鬼狂が喰らった「淫鬼」を消化し、その身の中に吸収するためのものであった。
 そして、更なるモノが必要だった。

 無垢なる男の淫水――
 つまり精液だった。
 それを飲むことにより、淫鬼は消え、鬼狂の肉の中に溶け込むのである。

「どれ―― そろそろかよ。ふふ、可愛くいきり立っておるわ。愛いのじゃ」

 そう言うと、鬼狂は桜色の唇を開き、万之介の逸物を咥えた。
 ズルズルとそれを深く飲みこんでいく。
 そして、舌を這わせ、その味を堪能するのであった。

 十八で無垢の万之介には、たまらなかった。

「あうッ! あああ。あああああ――」

 熱をもったヌルリとしたものに、己が陽根が包み込まれたと思ったら根元まで一気にだった。
 小柄な童女のような鬼狂が、彼の八寸(約二四センチ)を超えるのでは無いかと思われるモノを飲み込んでいた。

「あ、あ、あああああ―― 鬼狂様ぁぁぁ、出るぅぅ! イク、気をやってしまいますぅぅ」

 万之介の陽根が震え、激しく精汁を吹きだしていた。

 鬼狂はそれを残らず飲んでいく。

(よいな…… この男の精汁―― なかなかいい。鉄蔵めが、良い男を引き合わせてくれたものよ)

 鬼狂の中に放たれた、万之介の精汁、淫水が、鬼狂の身体の穢れを落すかのようだった。
 淫鬼が完全に溶けていくのを鬼狂は快楽の中で感じていた。

 これが、淫ら鬼喰い師、鬼狂と万之介の最初の祓いであった。
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