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21.仕舞い
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「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
万之介は何度も何度も精を放っていた。
万之介は鬼狂を抱いた。
陽根は、鬼狂の肉裂に挿入され、湿った音を立てる。
(あ、何度…… 何度放っても、あああああ)
腰が止まらない。
己が剛直が衰えることを知らず、幼い肢体を貫いていた。
「ふふ、際限ないのぉ。それほどまでに、良いか? あうッ」
先端が深いところに刺さる。
鬼狂も、悦楽の声を上げた。
ふたりは何度も交わり、溶け合うほどに一体となっていた。
◇◇◇◇◇◇
静寂の中にあった。
深夜――
万之介がその動きをとめたのは深夜になってからだった。
「中々の男よ……」
鬼狂は隣で寝る万之介の頭を撫でた。
小さく唇が動いた「さらば」と言ったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
万之介は、どこか遠くに衣擦れの音を聞いた気がした。
自分が起きているのか、寝ているのか、そのことを考えることすらできない朦朧とした中であった。
気だるく、全身が甘く痺れ、動くことができなかった。
気配が動く。
鬼狂だ。
鬼狂が出て行こうとしている。
それが分る。
分るが、どうにもできなかった。
夢なのか現実なのかもわからない。
ただ、行かないでくれと願うしかなかった。
鬼狂を止めなくては――
と、思う。
思うが、指一本動かすことができなかった。
気配が消えた。
万之介の部屋から鬼狂の気配が消えていた。
甘い香りだけを残し、鬼狂はいなくなっていた。
◇◇◇◇◇◇
夜光が川辺を照らす。
川が黒く不気味に光っていた。
まるで、重さを感じさせない歩みで鬼狂は歩を進めた。
ふわりと風が吹き、鬼狂の髪を舞わせる。
「法越――」
鬼狂は月明りを背後にする影に向かって言った。
黒い影は七人を数えた。
「どうやら、ここらでけりをつける必要があるようですね」
「そのようじゃの」
法越と呼ばれた影の前にすっと他の影が立った。
六人の影――
「反魂の術で、どれほどの者を蘇らせた」
「武蔵坊弁慶」
「源為朝」
「塚原卜伝」
「足利義輝」
「佐々木小次郎」
「宮本武蔵――」
影となった六人が名乗った。
鬼狂の唇が釣りあがり、笑みの形となる。
妖艶であり、狂気を帯びた笑みだった。
「なかなか豪の者をそろえたではないか……」
「これで、貴女を手に入れれば完璧でしょう」
「それは、無理じゃな」
「無理ですか」
「法越よ、ここらで仕舞いじゃ」
鬼狂は宙に身を躍らせた。
「応ッ!」
六つの影が同時に動く。
黒い影が交差する。何度も、何度も――
血の匂いがあたりに満ちてきた。
「何度でも殺す! 法越よ、何度でもだ!」
鬼狂の叫びが月明りの下に響いた。
――完――
万之介は何度も何度も精を放っていた。
万之介は鬼狂を抱いた。
陽根は、鬼狂の肉裂に挿入され、湿った音を立てる。
(あ、何度…… 何度放っても、あああああ)
腰が止まらない。
己が剛直が衰えることを知らず、幼い肢体を貫いていた。
「ふふ、際限ないのぉ。それほどまでに、良いか? あうッ」
先端が深いところに刺さる。
鬼狂も、悦楽の声を上げた。
ふたりは何度も交わり、溶け合うほどに一体となっていた。
◇◇◇◇◇◇
静寂の中にあった。
深夜――
万之介がその動きをとめたのは深夜になってからだった。
「中々の男よ……」
鬼狂は隣で寝る万之介の頭を撫でた。
小さく唇が動いた「さらば」と言ったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
万之介は、どこか遠くに衣擦れの音を聞いた気がした。
自分が起きているのか、寝ているのか、そのことを考えることすらできない朦朧とした中であった。
気だるく、全身が甘く痺れ、動くことができなかった。
気配が動く。
鬼狂だ。
鬼狂が出て行こうとしている。
それが分る。
分るが、どうにもできなかった。
夢なのか現実なのかもわからない。
ただ、行かないでくれと願うしかなかった。
鬼狂を止めなくては――
と、思う。
思うが、指一本動かすことができなかった。
気配が消えた。
万之介の部屋から鬼狂の気配が消えていた。
甘い香りだけを残し、鬼狂はいなくなっていた。
◇◇◇◇◇◇
夜光が川辺を照らす。
川が黒く不気味に光っていた。
まるで、重さを感じさせない歩みで鬼狂は歩を進めた。
ふわりと風が吹き、鬼狂の髪を舞わせる。
「法越――」
鬼狂は月明りを背後にする影に向かって言った。
黒い影は七人を数えた。
「どうやら、ここらでけりをつける必要があるようですね」
「そのようじゃの」
法越と呼ばれた影の前にすっと他の影が立った。
六人の影――
「反魂の術で、どれほどの者を蘇らせた」
「武蔵坊弁慶」
「源為朝」
「塚原卜伝」
「足利義輝」
「佐々木小次郎」
「宮本武蔵――」
影となった六人が名乗った。
鬼狂の唇が釣りあがり、笑みの形となる。
妖艶であり、狂気を帯びた笑みだった。
「なかなか豪の者をそろえたではないか……」
「これで、貴女を手に入れれば完璧でしょう」
「それは、無理じゃな」
「無理ですか」
「法越よ、ここらで仕舞いじゃ」
鬼狂は宙に身を躍らせた。
「応ッ!」
六つの影が同時に動く。
黒い影が交差する。何度も、何度も――
血の匂いがあたりに満ちてきた。
「何度でも殺す! 法越よ、何度でもだ!」
鬼狂の叫びが月明りの下に響いた。
――完――
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