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その24:真紅の髪が宙を舞った
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ゲイレッツ将軍が娼婦たちと情事を行っている最中だった。
司令部近くの数か所で爆発が起きた。
さすがに、警護の厳重な司令部そのものでは爆発は起きていない。
一つ一つの爆発自体はそれほど大規模なものではない。
いくつかの天幕が吹き飛び、爆煙を上げる。
爆発により起きた炎がもうもうとした煙をまき上げていた。
ただ、連続する爆発が夜気をビリビリと震わせる。
夜の浜風の中に黒色火薬独特の硫黄臭が流れ込んでいく。
「くそ! 敵襲か! いきなり!」
兵が叫ぶ。爆発により起きた炎が夜天に伸びる。
運悪く衣服が炎に包まれた者が地に転がりっていた。
仲間たちが必死にそれを麻布で叩いて消そうとする。
「くそ! 海が近いのに水がねぇのかッ!」
すでに街道は、カダリックを中心とする都市国家同盟軍により長期にわたり抑えられていた。
交易を中心とした豊潤な資金は、戦争のプロである傭兵をかき集め、攻略目標であるルイビ周辺を包囲している。
ルイビを中心とし、その交通路はほぼ遮断されている。
少数部隊であったとしても、都市国家同盟の包囲網の中に入り込むの困難なはずであった。
海沿いのルイビの都市周辺や、街道などでは、小規模な戦闘、小競り合いもあったが。
実際、司令部周辺の高台は戦闘とは全く無縁の状況が続いていた。
都市国家同盟とすれば、港湾都市であるルイビの都市インフラを破壊することなく陥落させたいという思惑があった。
戦争にとて、ただ勝てばいいのではないそこには戦後の損得勘定がある。
その意味で都市国家同盟にとっては、この戦争はビジネスであり、戦費は投資だった。
しかし、それは机の上で戦争を俯瞰している者の考えであり、戦場にいる男たちに共有されたものではなかった。
長引く包囲に、軍規の弛緩、士気の低下を訴える意見もあった。
しかし、時間をかけててでも無傷な熟した果実を都市国家同盟は欲した。
ルイビ包囲戦は長期化していたのだ――
そして、現実に指摘された軍規の弛緩、士気の低下、厭戦気分は発生してた。
有利であるはずの都市国家同盟軍。特に正規軍の中にその傾向が強かった。
◇◇◇◇◇◇
「火薬玉が爆発7発。被害は軽微。負傷者が15名――」
都市同盟軍・正規軍の下士官が、士官に報告する。
爆発による死亡者はいない。
少なくとも今は呼吸の止まった者がいないということだ。数日後のことは分からないが――
「敵が決死の少数部隊を送り込んできたのか? 正気じゃないぜ――」
士官は地面に唾を吐くとそう言った。
彼の考える「戦争のルール」から大きく逸脱したものだ。
(絶対に生きて帰れないし、帰すつもりもない)
士官は闇の中でも浮かび上がるような強い視線をもって下士官を見つめる。
今回の事態が彼の責任ではないのは分かっているが、不機嫌さが顔に出てしまう。
包囲戦闘が長引きすぎていることは、士官の心にも少なからぬ影響を与えていた。
「司令部への報告は?」
「被害軽微―― 敵兵は逃走。捜索中だ」
「了解です」
士官は自分の投げやりな命令を受け、走っていく下士官を見つめて思う。
(病的な女好きだが、無能じゃない。だからこそ、始末にも悪い)
おそらく今頃は、娼婦たちとお楽しみの最中であろう。
細かい報告をしても無駄であると士官は判断した。
暗殺者を送り込むことまでやっていくるが、いっそ将軍が暗殺されて、代わりの将軍が来た方がいいかもしれないとも思う。
正規の軍人としては決して口には出来ない思いだ。
確かに将軍は、都市国家中枢の思惑通りに、今のところ作戦を遂行させている。
ルイビ包囲までの手際は見事までとまではいかないが、十分に及第点だ。
自軍の被害も少ない。
傭兵たちは「野戦私掠軍」となっている。
主な街道沿いを警戒さ、敵輜重部隊を発見次第襲撃するように命じている。
略奪した物資は気前よく、襲撃した傭兵隊たちの物となる。全てがだ。
彼らは、報告さえすればいい。
傭兵の使い方も悪くない。
おかけで、彼らに支払う給与もそれほど多くなっていない。
(ズルズルやってないで、とっとと突入して片を付ければいい――)
戦争の作戦方針は、将軍が決定したものではないが、士官のその思いは将軍に向けられる。
彼もこの長引く包囲戦に嫌気が差すひとりであった。
◇◇◇◇◇◇
豪気なのか、病的な女好きなのか判断に困るところだった。
ゲイレッツ将軍は報告を聞くと「最低一人は生きて捕らえろ」と命令を繰り返した。
そのとき、彼はアバロウニに対し強制イマラチオをさせ、自分の物をグイグイと彼の喉の奥まで送りこんでいたのだ。
アバロウニは焼けるような熱さを喉に感じていた。
残りにふたりの娼婦は、将軍に魅惑的な身体を絡め、たるんだ身体の乳首に吸いついていた。
真っ赤な舌が、薄明かりの中でヌメヌメと肌の上を這う。
「どうだぁ、ワシの肉槍の味は? 戦場の槍に負けぬほど使いこまれておるぞ――」
ゲイレッツ将軍は丁度、アバロウニの真紅の髪を鷲づかみして、グイグイと腰の抽送を繰り返す。
口と喉を押し広げ、初老の男とは思えぬ硬さのモノが、喉粘膜をこすり上げていく。
「ベロの動きが留守になっておるのではないか?」
「あふぅぅぅぅ~」
アバロウニは、目から涙がこぼれそうになる。呼吸が苦しいからだった。
辛うじて鼻から呼吸する。オスの生臭い空気が肺の中に流れ込んでくる。
それが、身体の芯、奥底に沈み、突き刺さっている硬い棘(とげ)がうずくのだ。
痛みを伴った疼(うず)きだった。
その棘(とげ)が、アバロウニの心を蝕(むしば)むように深く侵入してくるようだった。
(これは、仕事―― ボクが自由になるための……)
将軍の巨大なモノを口に咥え、
肉の奥から湧き上がってくる狂いそうになる物――
歓喜――
恐怖――
疼き――
快楽――
痛み――
訳の分からない言葉にするのが難しい心持ちと身体感覚。
いっそ、それに身を任せてしまえば、楽になるのかもしれない。
いっそ身体を貫かれ、分けが分からなくなってしまえばと思う。
そのときの、自分という意識が消えてしまう快楽の波の中にいた方が良かった。
一瞬ではあるが、肉体と心の乖離すら意識できなくなってしまうからだ。
自分が「もう女であってもいい」とすら思いすら浮かぶ。
ただ、快楽の波が消え、静寂が訪れれば、それ以上の苦しみが待っている。
「ああああ、入れて…… 入れてください……」
アバロウニは、ヌルリと将軍のモノを吐き出すとそう言った。
「ほう―― 舐めていて、俺のモノが欲しくなったか……」
将軍の言葉が遠くに聞こえる。それを否定したい。
苦しいのだ。男のそれを入れられている間だけは楽になれる。
身体の中、心の奥に沈んだ、硬い棘の痛みが消える。
「尻を突き上げろ、三人並べ―― 四つん這いになって、尻を上げろ。まずは、おねだりしたアバロウニからだな」
アバロウニを真ん中に、娼婦が手足を突き、獣のようなポーズをとる。
尻を突きあげたアバロウニの後ろから一気に、将軍のモノが突き刺さった。
一瞬で、もう子を作ることの出来ない子宮に当たる。
「あうぅぅぅーー!! あがはぁぁ!!」
その衝撃と、腹の奥に生じた女の肉が生み出す快楽がアバロウニに声を上げさせる。
「ふふ、いい声だ。どうだ? お前たちは指だ――」
そう言って将軍は隣で尻を突きあげた娼婦に指を突きたてる。
ひとりの娼婦は少女といってもいい、幼い肢体をねじらせ、快楽中で嬌声を上げていた。
激しい腰の抽送が湿った音を響かせる。
グチュ、グチョという音がリズミカルに響く。
アバロウニの肉と将軍の肉の交合がその音を生み出し、オスとメスの体液が周囲に流れ出していた。
「あふぁぁああああああ――」
アバロウニは頭が真っ白になるメスアクメ絶頂に襲われる。
彼の心とは別に、肉体は歓喜の快楽情報を脳に送り続けるのだ。
目がかすみ、身体全体が蕩けそうになってしまう。
(し、しご…… と……)
彼の娼婦としての心の城壁が突き破られ、全身が快楽に震えていく。
ガタリ――
「ん?」
将軍は腰を動かしながらも音のした方を見た。
ドアだった。ドアがゆっくりと開いたのだ。
そして背中を見せた人影、その背からは長く弧を描く刀が飛び出てた。
いや、実際には肩口から切り込まれ、それが腹で止まっていたのだ。
その男がゆっくりと糸が切れた人形のように崩れ落ちる。
ドンと床を鳴らし、もはや骸となった肉をその部屋の中に晒した。
大気の色が変わった。
濃厚な血の匂いが、男女の交合の出す色を上書きしていく。
「きゃぁぁぁああああ!!」
「いやぁぁぁぁ!!」
将軍に指で愛撫を受けていた娼婦が叫んだ。
アバロウニは、快楽に溺れ、ベッドに突っ伏していた顔をゆっくりあげた。
その大きな瞳はまだ焦点が合わず、ただ、異様な気配だけを感じていた。
現実感を喪失した快楽が薄れていくにつれ、目の間のモノが見えてくる――
真紅の濡れた宝石のような瞳が、ゆっくりと対象物に向けられていく。
すでに、息もせず鼓動も止まり、人間であったものがそこに転がっていた。
「あ…… お、おじさん……」
アバロウニは喉の奥から辛うじて言葉を絞り出した。
それは、彼と一緒にこの司令部にやってきた、傭兵団の男であった。
海を初めて見て驚くアバロウニに「海だよ。アバちゃん」と教えてくれた男だった。
人の良さそうな、傭兵としてはすでに年齢の峠を越えた男だ。
その彼が完全に死んでいた。
「敵だ! バカが!! なんで司令部に!!」
声が響く。味方の兵ともつれ合うようにして、人間の塊が部屋の中に転がり込んできた。
敵はひとり。味方は5人以上いて、手足を押さえ、武器も抑え込まれていた。
「殺すな! 生け捕りだ! 生け捕りにしろ!」
将軍はまだいきり立っていた肉槍を、アバロウニの身体から引き抜き、立ちあがった。
すでに男は手足を押さえつけられ、身動きができなくなっている。
それも、もぞもぞと頭を動かす。
何か紐のようなモノを口に咥えていた。
そして、床から全裸の将軍を見あげ、ニィィと笑った。
彼は口でその紐を引いた。
瞬間――
爆発が起きた。
火薬の爆発で、大気が兇悪な衝撃波となり、兵士が粉々となる。
身体に爆薬を仕込み、口で紐を引いて発火させたのだ。
目の前の光景がそのまま砕け散るような衝撃――
爆風の中、アバロウニの真紅の髪が激しく宙に舞った。
司令部近くの数か所で爆発が起きた。
さすがに、警護の厳重な司令部そのものでは爆発は起きていない。
一つ一つの爆発自体はそれほど大規模なものではない。
いくつかの天幕が吹き飛び、爆煙を上げる。
爆発により起きた炎がもうもうとした煙をまき上げていた。
ただ、連続する爆発が夜気をビリビリと震わせる。
夜の浜風の中に黒色火薬独特の硫黄臭が流れ込んでいく。
「くそ! 敵襲か! いきなり!」
兵が叫ぶ。爆発により起きた炎が夜天に伸びる。
運悪く衣服が炎に包まれた者が地に転がりっていた。
仲間たちが必死にそれを麻布で叩いて消そうとする。
「くそ! 海が近いのに水がねぇのかッ!」
すでに街道は、カダリックを中心とする都市国家同盟軍により長期にわたり抑えられていた。
交易を中心とした豊潤な資金は、戦争のプロである傭兵をかき集め、攻略目標であるルイビ周辺を包囲している。
ルイビを中心とし、その交通路はほぼ遮断されている。
少数部隊であったとしても、都市国家同盟の包囲網の中に入り込むの困難なはずであった。
海沿いのルイビの都市周辺や、街道などでは、小規模な戦闘、小競り合いもあったが。
実際、司令部周辺の高台は戦闘とは全く無縁の状況が続いていた。
都市国家同盟とすれば、港湾都市であるルイビの都市インフラを破壊することなく陥落させたいという思惑があった。
戦争にとて、ただ勝てばいいのではないそこには戦後の損得勘定がある。
その意味で都市国家同盟にとっては、この戦争はビジネスであり、戦費は投資だった。
しかし、それは机の上で戦争を俯瞰している者の考えであり、戦場にいる男たちに共有されたものではなかった。
長引く包囲に、軍規の弛緩、士気の低下を訴える意見もあった。
しかし、時間をかけててでも無傷な熟した果実を都市国家同盟は欲した。
ルイビ包囲戦は長期化していたのだ――
そして、現実に指摘された軍規の弛緩、士気の低下、厭戦気分は発生してた。
有利であるはずの都市国家同盟軍。特に正規軍の中にその傾向が強かった。
◇◇◇◇◇◇
「火薬玉が爆発7発。被害は軽微。負傷者が15名――」
都市同盟軍・正規軍の下士官が、士官に報告する。
爆発による死亡者はいない。
少なくとも今は呼吸の止まった者がいないということだ。数日後のことは分からないが――
「敵が決死の少数部隊を送り込んできたのか? 正気じゃないぜ――」
士官は地面に唾を吐くとそう言った。
彼の考える「戦争のルール」から大きく逸脱したものだ。
(絶対に生きて帰れないし、帰すつもりもない)
士官は闇の中でも浮かび上がるような強い視線をもって下士官を見つめる。
今回の事態が彼の責任ではないのは分かっているが、不機嫌さが顔に出てしまう。
包囲戦闘が長引きすぎていることは、士官の心にも少なからぬ影響を与えていた。
「司令部への報告は?」
「被害軽微―― 敵兵は逃走。捜索中だ」
「了解です」
士官は自分の投げやりな命令を受け、走っていく下士官を見つめて思う。
(病的な女好きだが、無能じゃない。だからこそ、始末にも悪い)
おそらく今頃は、娼婦たちとお楽しみの最中であろう。
細かい報告をしても無駄であると士官は判断した。
暗殺者を送り込むことまでやっていくるが、いっそ将軍が暗殺されて、代わりの将軍が来た方がいいかもしれないとも思う。
正規の軍人としては決して口には出来ない思いだ。
確かに将軍は、都市国家中枢の思惑通りに、今のところ作戦を遂行させている。
ルイビ包囲までの手際は見事までとまではいかないが、十分に及第点だ。
自軍の被害も少ない。
傭兵たちは「野戦私掠軍」となっている。
主な街道沿いを警戒さ、敵輜重部隊を発見次第襲撃するように命じている。
略奪した物資は気前よく、襲撃した傭兵隊たちの物となる。全てがだ。
彼らは、報告さえすればいい。
傭兵の使い方も悪くない。
おかけで、彼らに支払う給与もそれほど多くなっていない。
(ズルズルやってないで、とっとと突入して片を付ければいい――)
戦争の作戦方針は、将軍が決定したものではないが、士官のその思いは将軍に向けられる。
彼もこの長引く包囲戦に嫌気が差すひとりであった。
◇◇◇◇◇◇
豪気なのか、病的な女好きなのか判断に困るところだった。
ゲイレッツ将軍は報告を聞くと「最低一人は生きて捕らえろ」と命令を繰り返した。
そのとき、彼はアバロウニに対し強制イマラチオをさせ、自分の物をグイグイと彼の喉の奥まで送りこんでいたのだ。
アバロウニは焼けるような熱さを喉に感じていた。
残りにふたりの娼婦は、将軍に魅惑的な身体を絡め、たるんだ身体の乳首に吸いついていた。
真っ赤な舌が、薄明かりの中でヌメヌメと肌の上を這う。
「どうだぁ、ワシの肉槍の味は? 戦場の槍に負けぬほど使いこまれておるぞ――」
ゲイレッツ将軍は丁度、アバロウニの真紅の髪を鷲づかみして、グイグイと腰の抽送を繰り返す。
口と喉を押し広げ、初老の男とは思えぬ硬さのモノが、喉粘膜をこすり上げていく。
「ベロの動きが留守になっておるのではないか?」
「あふぅぅぅぅ~」
アバロウニは、目から涙がこぼれそうになる。呼吸が苦しいからだった。
辛うじて鼻から呼吸する。オスの生臭い空気が肺の中に流れ込んでくる。
それが、身体の芯、奥底に沈み、突き刺さっている硬い棘(とげ)がうずくのだ。
痛みを伴った疼(うず)きだった。
その棘(とげ)が、アバロウニの心を蝕(むしば)むように深く侵入してくるようだった。
(これは、仕事―― ボクが自由になるための……)
将軍の巨大なモノを口に咥え、
肉の奥から湧き上がってくる狂いそうになる物――
歓喜――
恐怖――
疼き――
快楽――
痛み――
訳の分からない言葉にするのが難しい心持ちと身体感覚。
いっそ、それに身を任せてしまえば、楽になるのかもしれない。
いっそ身体を貫かれ、分けが分からなくなってしまえばと思う。
そのときの、自分という意識が消えてしまう快楽の波の中にいた方が良かった。
一瞬ではあるが、肉体と心の乖離すら意識できなくなってしまうからだ。
自分が「もう女であってもいい」とすら思いすら浮かぶ。
ただ、快楽の波が消え、静寂が訪れれば、それ以上の苦しみが待っている。
「ああああ、入れて…… 入れてください……」
アバロウニは、ヌルリと将軍のモノを吐き出すとそう言った。
「ほう―― 舐めていて、俺のモノが欲しくなったか……」
将軍の言葉が遠くに聞こえる。それを否定したい。
苦しいのだ。男のそれを入れられている間だけは楽になれる。
身体の中、心の奥に沈んだ、硬い棘の痛みが消える。
「尻を突き上げろ、三人並べ―― 四つん這いになって、尻を上げろ。まずは、おねだりしたアバロウニからだな」
アバロウニを真ん中に、娼婦が手足を突き、獣のようなポーズをとる。
尻を突きあげたアバロウニの後ろから一気に、将軍のモノが突き刺さった。
一瞬で、もう子を作ることの出来ない子宮に当たる。
「あうぅぅぅーー!! あがはぁぁ!!」
その衝撃と、腹の奥に生じた女の肉が生み出す快楽がアバロウニに声を上げさせる。
「ふふ、いい声だ。どうだ? お前たちは指だ――」
そう言って将軍は隣で尻を突きあげた娼婦に指を突きたてる。
ひとりの娼婦は少女といってもいい、幼い肢体をねじらせ、快楽中で嬌声を上げていた。
激しい腰の抽送が湿った音を響かせる。
グチュ、グチョという音がリズミカルに響く。
アバロウニの肉と将軍の肉の交合がその音を生み出し、オスとメスの体液が周囲に流れ出していた。
「あふぁぁああああああ――」
アバロウニは頭が真っ白になるメスアクメ絶頂に襲われる。
彼の心とは別に、肉体は歓喜の快楽情報を脳に送り続けるのだ。
目がかすみ、身体全体が蕩けそうになってしまう。
(し、しご…… と……)
彼の娼婦としての心の城壁が突き破られ、全身が快楽に震えていく。
ガタリ――
「ん?」
将軍は腰を動かしながらも音のした方を見た。
ドアだった。ドアがゆっくりと開いたのだ。
そして背中を見せた人影、その背からは長く弧を描く刀が飛び出てた。
いや、実際には肩口から切り込まれ、それが腹で止まっていたのだ。
その男がゆっくりと糸が切れた人形のように崩れ落ちる。
ドンと床を鳴らし、もはや骸となった肉をその部屋の中に晒した。
大気の色が変わった。
濃厚な血の匂いが、男女の交合の出す色を上書きしていく。
「きゃぁぁぁああああ!!」
「いやぁぁぁぁ!!」
将軍に指で愛撫を受けていた娼婦が叫んだ。
アバロウニは、快楽に溺れ、ベッドに突っ伏していた顔をゆっくりあげた。
その大きな瞳はまだ焦点が合わず、ただ、異様な気配だけを感じていた。
現実感を喪失した快楽が薄れていくにつれ、目の間のモノが見えてくる――
真紅の濡れた宝石のような瞳が、ゆっくりと対象物に向けられていく。
すでに、息もせず鼓動も止まり、人間であったものがそこに転がっていた。
「あ…… お、おじさん……」
アバロウニは喉の奥から辛うじて言葉を絞り出した。
それは、彼と一緒にこの司令部にやってきた、傭兵団の男であった。
海を初めて見て驚くアバロウニに「海だよ。アバちゃん」と教えてくれた男だった。
人の良さそうな、傭兵としてはすでに年齢の峠を越えた男だ。
その彼が完全に死んでいた。
「敵だ! バカが!! なんで司令部に!!」
声が響く。味方の兵ともつれ合うようにして、人間の塊が部屋の中に転がり込んできた。
敵はひとり。味方は5人以上いて、手足を押さえ、武器も抑え込まれていた。
「殺すな! 生け捕りだ! 生け捕りにしろ!」
将軍はまだいきり立っていた肉槍を、アバロウニの身体から引き抜き、立ちあがった。
すでに男は手足を押さえつけられ、身動きができなくなっている。
それも、もぞもぞと頭を動かす。
何か紐のようなモノを口に咥えていた。
そして、床から全裸の将軍を見あげ、ニィィと笑った。
彼は口でその紐を引いた。
瞬間――
爆発が起きた。
火薬の爆発で、大気が兇悪な衝撃波となり、兵士が粉々となる。
身体に爆薬を仕込み、口で紐を引いて発火させたのだ。
目の前の光景がそのまま砕け散るような衝撃――
爆風の中、アバロウニの真紅の髪が激しく宙に舞った。
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