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3.百合妊娠のスキル
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「神様?」
「はい、そうです」
わたしの部屋に現れた神様は、なにか神様らしくはなかった。
でも、いきなり人の部屋に出現できるというのは、少なくとも通常の人ではない。
ここは乙女ゲームの世界だし、そのような神がいるのかもしれない。
「本当に神様なら、なんでわたしは悪役令嬢なんですか!?」
「本当にすまない。ヒューマンエラーならぬゴッドエラーです」
「それは、バグ? 不具合?」
「いえいえいえ、仕様的な、なんといいますか、網羅テスト漏れといいますか――」
まるで、クライアントに責められたSEのように言い訳する。
本当に神なのだろうか。
「神です。その証拠にほら、あなたに対する他のキャラの好感度もみれます!」
空間にオレンジに光るウィンドが現れた。
キャラ名と「好感度」が一覧になっている。
元のゲームではそんな画面はなかった。
好感度は会話のやりとりで判断するしかなかったのだ。
でも――
「ひ、低いわね……」
悲惨なほどに低い。
わたしの好感度はFラン大の偏差値どころの話じゃない。
王子がリストの先頭にあったけど、好感度が「15/100」となっている。
どうみても、あと一週間で挽回できる数値じゃない。
それでも、他のキャラに比べればマシな感じだった。
「ソートしてみますね。好感度が高い順に」
神様がそういうと、リストが並び代わった。
「え? なに? なんで?」
「今のところ、一番好感度が高いのはヒロインのアリーサですね――」
驚くしかない。
あれだけ徹底的にいじめぬいた相手が一番、わたしへの好感度が高いなんて……
「あ、別に彼女の性癖のせいではないです。健全な世界ですからここは!」
誰もそんなことを言っていないのに説明する神様。
「なんで、こんなに高いの?」
「ヒロイン、むっちゃ優しいから、いじめられても相手を思いやるから。もう性格がマザーテレサレベル?」
「しらん! 誰それ」
「まあ、いいです。とにかく良い娘で、虐めを受けている相手ですら『なにか理由があるのかしら?』、『ああ、わたしがいけないのかしら』と考えがちになる乙女なんです」
「だから、好感度が下がりにくい?」
「そうです」
しかし、いくら好感度がそこそこ残っていても、相手は女の子でヒロインだ。
王子に恋して、王子と結ばれるルートを突き進む存在だ。
わたしに何をどうすれんばいいというのだろう?
「お詫びのしるしとして、あなたにチートなスキルを与えます」
「チートなスキルって?」
「はい『百合妊娠』のスキルです」
さっき、神はこの世界を「健全」と言ったような気がしたけど幻聴だったのだろうか?
わたしはめまいがしてきた。
「はい、そうです」
わたしの部屋に現れた神様は、なにか神様らしくはなかった。
でも、いきなり人の部屋に出現できるというのは、少なくとも通常の人ではない。
ここは乙女ゲームの世界だし、そのような神がいるのかもしれない。
「本当に神様なら、なんでわたしは悪役令嬢なんですか!?」
「本当にすまない。ヒューマンエラーならぬゴッドエラーです」
「それは、バグ? 不具合?」
「いえいえいえ、仕様的な、なんといいますか、網羅テスト漏れといいますか――」
まるで、クライアントに責められたSEのように言い訳する。
本当に神なのだろうか。
「神です。その証拠にほら、あなたに対する他のキャラの好感度もみれます!」
空間にオレンジに光るウィンドが現れた。
キャラ名と「好感度」が一覧になっている。
元のゲームではそんな画面はなかった。
好感度は会話のやりとりで判断するしかなかったのだ。
でも――
「ひ、低いわね……」
悲惨なほどに低い。
わたしの好感度はFラン大の偏差値どころの話じゃない。
王子がリストの先頭にあったけど、好感度が「15/100」となっている。
どうみても、あと一週間で挽回できる数値じゃない。
それでも、他のキャラに比べればマシな感じだった。
「ソートしてみますね。好感度が高い順に」
神様がそういうと、リストが並び代わった。
「え? なに? なんで?」
「今のところ、一番好感度が高いのはヒロインのアリーサですね――」
驚くしかない。
あれだけ徹底的にいじめぬいた相手が一番、わたしへの好感度が高いなんて……
「あ、別に彼女の性癖のせいではないです。健全な世界ですからここは!」
誰もそんなことを言っていないのに説明する神様。
「なんで、こんなに高いの?」
「ヒロイン、むっちゃ優しいから、いじめられても相手を思いやるから。もう性格がマザーテレサレベル?」
「しらん! 誰それ」
「まあ、いいです。とにかく良い娘で、虐めを受けている相手ですら『なにか理由があるのかしら?』、『ああ、わたしがいけないのかしら』と考えがちになる乙女なんです」
「だから、好感度が下がりにくい?」
「そうです」
しかし、いくら好感度がそこそこ残っていても、相手は女の子でヒロインだ。
王子に恋して、王子と結ばれるルートを突き進む存在だ。
わたしに何をどうすれんばいいというのだろう?
「お詫びのしるしとして、あなたにチートなスキルを与えます」
「チートなスキルって?」
「はい『百合妊娠』のスキルです」
さっき、神はこの世界を「健全」と言ったような気がしたけど幻聴だったのだろうか?
わたしはめまいがしてきた。
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