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47.ボクはまだギブアッ――
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「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
圧倒的な殺意。
尖鋭的な狂気。
闇よりもどす黒いオーラを全身から溢れ出させる百鬼先生。
ボクは、恐怖と歓喜がまぜこぜになったまま、つっかけていった。
ブォンと唸りを上げ、鉄槌のような一撃が顔を掠める。
ボクの髪が風圧で煽られて舞い上がった。
一撃で死を想起させる拳だった。
とても女性というか……
人間のものとは思えなかった。
男子と戦うことがフェア(生物的に)ではないと先生は言った。
でも、この先生に勝てる男などいるのだろうか?
地下闘技場チャンピオン・百鬼薙子――
その存在自体がすでにフェアではないのではないか。
性別なんか超えている。
いや、生物種すら超えているかもしれない。
トラやライオンのメス相手に人の戦闘力を比較する意味もない。
それほどまでに、百鬼先生は圧倒的だった。
それでも。
それでもボクは、先生の正面に立った。
愛があるから。
先生が好きだから。
この世で一番、この一瞬も、永遠も全て、先生が好きなのだ。
「ボクの女になれぇぇぇ」
ボクは突きを放つ。
無事な方の腕をあえて出さない。
指がへし折れ、捻じ曲がり、手首を粉砕骨折した腕を使う。
先生をボクの物にできるなら、腕一本なんて惜しくない。
「がはぁぁッ!!」
先生は避けることなく、ボクのパンチを顔面で受けた。
骨が飛び出た。
その骨が先生の頬の上を滑っていく。
赤い筋が真っ白な先生の肌の上に走った。
ボクの骨で傷つけた。
――ああ、先生に傷を負わせた――
その思いは、ある種の快美感に似たものをボクの脳内に迸らせる。
「ふふ、股間をびしょびしょにして戦うのね…… 御楯君」
「駄目ですか、先生」
「別に、私も濡れてきているから。ふふ」
言葉と同時に蹴りが吹っ飛んできた。
地の底から天に向かって突き抜ける蹴り。
仰け反る。
辛うじてかわした。
真空に焦げ目をつくるほどの速度と切れのある蹴りだった。
「がはぁぁぁ!!」
次の瞬間、ドンと脳天に衝撃が走った。
頭が真っ白になる。
何か――
この地下闘技場の天井の何かが落ちてきて当たったのか?
そんな風に思った。
「御楯君、油断しちゃ駄目。蹴り脚が戻ってくる場合もあるのよ」
薄れゆく意識のどこかで、先生の言葉をなんとか捉える。
蹴り上がった足が、振り下ろされ脳天を直撃したことをボクは理解した。
そこから先――
それは、一方的だった。
先生の突きが、下腹の子宮に突き刺さる。
「げほぉぉぉぉ!」
衝撃で浮き上がった卵巣に、抜き手が叩き込まれた。
(あ―― 排卵…… は、排卵してしまうかも)
女の急所への容赦ない攻撃が、襲い掛かる。
ボクは、下着の中に、卵子を噴出してしまうのではないかと思った。
(駄目だ…… この卵子は先生の卵子と受精させて…… TS百合妊娠で……)
ボクの脳裏に孕んでハラボテになった先生の姿が浮かぶ。
ボクの夢だ。そして、この瞬間は幻想であった。
「せ、先生…… な、百鬼先生…… す、好きです」
どごぉぉぉッ!
返事の代わりに強烈な衝撃が全身を貫いた。
殴られたのか?
蹴られたのか?
投げられたのか?
それすらも、ボクは分らなくなっていた。
どこか遠くで「仕合終了」告げるような声が響いたような気がした。
駄目だよ……
ボクはまだギブアッ――
ボクはそこで意識を失った。
圧倒的な殺意。
尖鋭的な狂気。
闇よりもどす黒いオーラを全身から溢れ出させる百鬼先生。
ボクは、恐怖と歓喜がまぜこぜになったまま、つっかけていった。
ブォンと唸りを上げ、鉄槌のような一撃が顔を掠める。
ボクの髪が風圧で煽られて舞い上がった。
一撃で死を想起させる拳だった。
とても女性というか……
人間のものとは思えなかった。
男子と戦うことがフェア(生物的に)ではないと先生は言った。
でも、この先生に勝てる男などいるのだろうか?
地下闘技場チャンピオン・百鬼薙子――
その存在自体がすでにフェアではないのではないか。
性別なんか超えている。
いや、生物種すら超えているかもしれない。
トラやライオンのメス相手に人の戦闘力を比較する意味もない。
それほどまでに、百鬼先生は圧倒的だった。
それでも。
それでもボクは、先生の正面に立った。
愛があるから。
先生が好きだから。
この世で一番、この一瞬も、永遠も全て、先生が好きなのだ。
「ボクの女になれぇぇぇ」
ボクは突きを放つ。
無事な方の腕をあえて出さない。
指がへし折れ、捻じ曲がり、手首を粉砕骨折した腕を使う。
先生をボクの物にできるなら、腕一本なんて惜しくない。
「がはぁぁッ!!」
先生は避けることなく、ボクのパンチを顔面で受けた。
骨が飛び出た。
その骨が先生の頬の上を滑っていく。
赤い筋が真っ白な先生の肌の上に走った。
ボクの骨で傷つけた。
――ああ、先生に傷を負わせた――
その思いは、ある種の快美感に似たものをボクの脳内に迸らせる。
「ふふ、股間をびしょびしょにして戦うのね…… 御楯君」
「駄目ですか、先生」
「別に、私も濡れてきているから。ふふ」
言葉と同時に蹴りが吹っ飛んできた。
地の底から天に向かって突き抜ける蹴り。
仰け反る。
辛うじてかわした。
真空に焦げ目をつくるほどの速度と切れのある蹴りだった。
「がはぁぁぁ!!」
次の瞬間、ドンと脳天に衝撃が走った。
頭が真っ白になる。
何か――
この地下闘技場の天井の何かが落ちてきて当たったのか?
そんな風に思った。
「御楯君、油断しちゃ駄目。蹴り脚が戻ってくる場合もあるのよ」
薄れゆく意識のどこかで、先生の言葉をなんとか捉える。
蹴り上がった足が、振り下ろされ脳天を直撃したことをボクは理解した。
そこから先――
それは、一方的だった。
先生の突きが、下腹の子宮に突き刺さる。
「げほぉぉぉぉ!」
衝撃で浮き上がった卵巣に、抜き手が叩き込まれた。
(あ―― 排卵…… は、排卵してしまうかも)
女の急所への容赦ない攻撃が、襲い掛かる。
ボクは、下着の中に、卵子を噴出してしまうのではないかと思った。
(駄目だ…… この卵子は先生の卵子と受精させて…… TS百合妊娠で……)
ボクの脳裏に孕んでハラボテになった先生の姿が浮かぶ。
ボクの夢だ。そして、この瞬間は幻想であった。
「せ、先生…… な、百鬼先生…… す、好きです」
どごぉぉぉッ!
返事の代わりに強烈な衝撃が全身を貫いた。
殴られたのか?
蹴られたのか?
投げられたのか?
それすらも、ボクは分らなくなっていた。
どこか遠くで「仕合終了」告げるような声が響いたような気がした。
駄目だよ……
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ボクはそこで意識を失った。
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