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39.マウントポジションから股間攻撃
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一瞬、意識が戻る。
ぶん殴られる。蹴られる。
ガードするけど、そのガードをぶち抜いて攻撃が当たる。
火脹れができるような攻撃だった。
そしてまた意識を失う。
ボクは断続的な意識の中でなんとか巨女の攻撃を凌いでいた。
いや、凌いでいたといえるのかな。
体中が焼け焦げたように痛かった。
(あれ――)
気がつく。
ボクはまた意識を失っていたようだった。
にぃぃ――っと笑う、巨女の顔を見上げていた。下から。顎の下が見えるような角度からだった。
マウント?
え? マウントをとられている?
ボクは意識を取り戻すと同時に、戦いの状況を認識する。
最悪だった。
ボクはマウントをとられていた。
巨女がボクにまたがり、暴風のようなパンチを繰り出していた。
ガードする。
ガードの上にパンチがガンガン当たる。
パンチの五発に一発はガードの腕をすり抜け、ボクの顔面を襲った。
口の中はドロドロの鉄の味で充満していた。血の味だった。
(右腕が…… 痺れてる……)
右腕が痛い。それに電流が流れ続けているような痺れもあった。
こっちの方が顔への打撃よりもヤバイことになりそうだった。
「うふふふ、お人形さんのような綺麗なお顔が真っ赤になっているわ―― アナタの血で」
勝ち誇ったように、巨女は言った。
まだまだ、これからだよ――
ボクはそう言おうとしたけど、口の中の血が喉に流れ込んできて、咽ただけだった。
◇◇◇◇◇◇
体重差が大きすぎる。
地下闘技場は無差別級だ。
普通の女子高生並の体格のボクと、男のプロレスラーに比肩しようかという体格の女が戦う。
そこに、一切の言い訳はない。
(先生だって、そんなに大きくないんだ)
ボクは思う。この地下闘技場の女帝――
百鬼薙子《なぎりなぎこ》先生だって、体格は普通(背は高いけど)の範囲内だ。
ボクは考える。
どうすればいい?
どうすればいい?
どうすればいい?
その間も、ガンガンと拳がガードとボクの顔面を叩く。
手打ちの拳とはいえ、そのパワーは半端じゃない。
(あッ……)
ボクは気づいた。
パンチが単調になっていた。
まるで、一定のリズムを刻むように叩き降ろされる。
そして、そのとき若干――
ほんの僅かだけど、腰が浮く。
(パンチに少しでも力をいれるためだ)
巨体が一瞬だけ浮く。
浮いた、そして沈んだ刹那――
僕は女の股間を攻撃した。
恥骨めがけ、掌を叩き込んだ。
衝撃が子宮に到達するようにだった。
「あぼぉッ!」
腰の上下運動がカウンターになった。
普通の格闘技なら反則だけど、地下闘技場ではなんの問題もない「技」だった。
「わぁぁぁぁ!」
ボクは叫んで、やっとのことでマウントから逃れた。
間合いを空ける。
息が切れる。
「なあ、止めた方がいいんじゃね? 勝てそうにないじゃん」
「ふむ、度し難いことであるが、それは可能性として有りえよう」
ボクのセコンドのついている師匠と晶姉が、元気付けるどころか「諦めたら」みたいな声をかける。
(セコンドならもう少し、戦いかをアドバイスしてもいいだろ……)
ボクは呼吸を整えながら、そう思うが、あのふたりに期待するのはボクの方が悪いのかもしれない。
「ふひゅ~ やってくれるね……」
巨女は子宮のあたりを手で撫でながら、ゆらりと闘気を放つ。
ボクは勝機がどこにあるのか、必死で考えるしかなかった。
ぶん殴られる。蹴られる。
ガードするけど、そのガードをぶち抜いて攻撃が当たる。
火脹れができるような攻撃だった。
そしてまた意識を失う。
ボクは断続的な意識の中でなんとか巨女の攻撃を凌いでいた。
いや、凌いでいたといえるのかな。
体中が焼け焦げたように痛かった。
(あれ――)
気がつく。
ボクはまた意識を失っていたようだった。
にぃぃ――っと笑う、巨女の顔を見上げていた。下から。顎の下が見えるような角度からだった。
マウント?
え? マウントをとられている?
ボクは意識を取り戻すと同時に、戦いの状況を認識する。
最悪だった。
ボクはマウントをとられていた。
巨女がボクにまたがり、暴風のようなパンチを繰り出していた。
ガードする。
ガードの上にパンチがガンガン当たる。
パンチの五発に一発はガードの腕をすり抜け、ボクの顔面を襲った。
口の中はドロドロの鉄の味で充満していた。血の味だった。
(右腕が…… 痺れてる……)
右腕が痛い。それに電流が流れ続けているような痺れもあった。
こっちの方が顔への打撃よりもヤバイことになりそうだった。
「うふふふ、お人形さんのような綺麗なお顔が真っ赤になっているわ―― アナタの血で」
勝ち誇ったように、巨女は言った。
まだまだ、これからだよ――
ボクはそう言おうとしたけど、口の中の血が喉に流れ込んできて、咽ただけだった。
◇◇◇◇◇◇
体重差が大きすぎる。
地下闘技場は無差別級だ。
普通の女子高生並の体格のボクと、男のプロレスラーに比肩しようかという体格の女が戦う。
そこに、一切の言い訳はない。
(先生だって、そんなに大きくないんだ)
ボクは思う。この地下闘技場の女帝――
百鬼薙子《なぎりなぎこ》先生だって、体格は普通(背は高いけど)の範囲内だ。
ボクは考える。
どうすればいい?
どうすればいい?
どうすればいい?
その間も、ガンガンと拳がガードとボクの顔面を叩く。
手打ちの拳とはいえ、そのパワーは半端じゃない。
(あッ……)
ボクは気づいた。
パンチが単調になっていた。
まるで、一定のリズムを刻むように叩き降ろされる。
そして、そのとき若干――
ほんの僅かだけど、腰が浮く。
(パンチに少しでも力をいれるためだ)
巨体が一瞬だけ浮く。
浮いた、そして沈んだ刹那――
僕は女の股間を攻撃した。
恥骨めがけ、掌を叩き込んだ。
衝撃が子宮に到達するようにだった。
「あぼぉッ!」
腰の上下運動がカウンターになった。
普通の格闘技なら反則だけど、地下闘技場ではなんの問題もない「技」だった。
「わぁぁぁぁ!」
ボクは叫んで、やっとのことでマウントから逃れた。
間合いを空ける。
息が切れる。
「なあ、止めた方がいいんじゃね? 勝てそうにないじゃん」
「ふむ、度し難いことであるが、それは可能性として有りえよう」
ボクのセコンドのついている師匠と晶姉が、元気付けるどころか「諦めたら」みたいな声をかける。
(セコンドならもう少し、戦いかをアドバイスしてもいいだろ……)
ボクは呼吸を整えながら、そう思うが、あのふたりに期待するのはボクの方が悪いのかもしれない。
「ふひゅ~ やってくれるね……」
巨女は子宮のあたりを手で撫でながら、ゆらりと闘気を放つ。
ボクは勝機がどこにあるのか、必死で考えるしかなかった。
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