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18.地下格闘場参戦へ

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「とにかくだ。私の従妹に必殺技を伝授して欲しい」と、毅然とした態度で晶が言った。 

「いゃあ~ その格闘技というか武道を舐めきった言葉、惚れ惚れしますわ~」

 論さんの方は、相変わらず適当というか、ヘラヘラしている。
 ただ、ボクを一回転させた技術―― 
 漫画やアニメでしかありえないようなことをして見せたことは事実であって「この人は本物か」とボクは思った。
 まるで重力を自在に操っているような感じだった。
 実際にはそんなことはありえないのだけど。

「お前にはいろいろ借りがあったはず。度し難いことだ」

「動体のデータ解析については、そっちも論文できたし、Win-Winでしょ」

「うむ、そうかもしれぬが……」

 晶の脳内データベースがカリカリと動いているような感じだった。

「いや、それだけではないな――」

「え?」

「麻雀の清算をしていなかったはずだ。確か手持ちがないとかで……」

「え? そんなことあったっけ?」

「度し難い。私が嘘をいうとでも? もしくは記憶違いであるとでも? その両方ともあり得ない」

 それにはボクも賛同する。
 晶は人格はぶっ壊れているが、空気を読むことを拒絶するほどに嘘をつかない。
 記憶違いとかはもっとあり得ない。

「うーん。そうかぁ。別にいいんだけどさぁ―― でもさぁ、なんかなぁ……」

「なんかとは?」

「お願いします。ボクは強くなりたいんです」

「えー、なんで? なんで女子高生が強くなりたいの? もっと楽しいことあるでしょう。なんからおじさんが教えても……」

「いいです! 必殺技だけ教えてください」

「ん~ 教えるときさぁ、身体触っちゃうかもしれないよ。指導のために」

「セクハラとか言いません」

「ん、そうかぁ。ならいいかなぁ――」

 論さんはぽりぽりと頭をかいて「まあ、いいっか」と小さく呟いた。

「んじゃ、道場生が来る前か、帰ったあとに教えてあげるよ。なんか面白そうではあるし」

 そして、ボクは論さんのところで、必殺技の手ほどきを受けることになった。


        ◇◇◇◇◇◇

「トライアウトトーナメント?」

 ボクは、カタコンペ地下格闘技閲覧アプリの問い合わせ先から辿って、元締めプロモーターの秩父賀美礼《ちちぶがみれい》さんにたどり着いた。
 スマホで彼女と話すことが出来た。
 そこで、ボクは言われた。

「そう、晶ちゃん。女の子になったんだって。すごいわね。最新の科学は――」

「はい」

 それは、凄いことなのだけど、秩父賀さんは軽くスルーした。
 とくに「どういうこと?」とか、聞いてこなかった。
 この人は面白ければそれでいいのかもしれない。

「で、トライアウトトーナメントっていったい?」

「カタコンペに参加できる女子格闘家の選抜トーナメントよ」

「選抜トーナメント……」

「ここで勝ち進んで優勝すれば、正式な登録戦士になれるの」

「そうすれば、先生と戦えるんですか?」

「うふふ、いずれは、報ちゃんが負けなければ、いずれは戦えるわ」

 ボクは行くしかなかった。
 トライアウトトーナメントの参加したいことを秩父賀さんに伝えた。
 答えは当然「YES」だった。
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