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プロローグ

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「きゃはははははは! 見てぇぇ! ウチを見てぇぇぇ! ああああはふぁぁぁぁ~♥」

 それは全裸あった。
 マッパ。
 裸。
 一糸纏わぬ姿であった。
 白磁を思わせる肌がうねる。

「見てる! 見てるからぁぁ! あ、そんな脚をぉぉ、開くなぁぁ!!」

 若い瑞々しい肢体が爆ぜるように動く。

「ああ、えぇぉぉ、すっごくえぇぇ、頭が真っ白になってくるねん。最高やぁぁぁ、旦那はん~♥」

 全裸で絶頂感を感じさせる叫びを上げ――
 上方言葉で。

 で、次々と敵を倒していく。

 女忍者くのいち・由良――

『脱げば脱ぐほど、強くなる。全裸が最強』という難儀な技を持つ女忍者だ。
 しかもだ――
 なし崩し的に由良の良人となった鎖々木究ささききわむは思う。

(俺が裸を見せつけられている限り由良は無敵だ――)

 躍動する若鮎のような肢体を見つめるのは、こっぱずかしい思いもある。
 しかし――
 全裸最強の由良でなければ、アイツは勝てぬ。
 
 幕末日本最強の男・天牙独尊――

 あの男が、幕府の権威を失墜させるために奪ったカツラを取り戻さねばならぬ。
 さもなければ、怒り狂ったぺるりは、黒船の大砲で江戸の街を焼き払うと言っているのだ。
 
(そんなことはさせない!)

 全裸の女忍者・由良を見つめ、鎖々木究は拳を硬く握り締めていた。

「素敵ぃぃぃ―― 素敵やぁぁぁ~」

 若く美しい肉体が艶かしく戦い続ける。
 白い肌が敵の返り血に染まっていく。
 その美しさに、いつの間にか、鎖々木究の目は奪われていた。

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