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2.辻政信子中佐の白刃突撃
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「少尉! 少尉! なにをやっているんですか!! なにを見ているんですか!」
クベンカ軍曹は強引に、若い指揮官であるスパイク少尉の肩を掴み揺さぶった。
双眼鏡を覗きこみ、ガクガクと震えだしたスパイク少尉はそれでも、身体を硬直させていた。
顔にはこの熱帯の気温が理由ではない冷たい汗が浮き上がっている。
スパイク少尉は、軍曹に対し返事をすることなく、双眼鏡に指を食いこませている。
2000メートル先の何かをジッと凝視している。いや、魅入られているのかもしなかった――
(何を見たんですか? 少尉!)
「少尉! 命令を!」
クベンカ軍曹がたまらず叫んでいた。必要以上に声を上げるのは危険なのは分かっている。
しかし、軍隊で指揮官が機能を喪失するのは危険以上。つまり致命的だ。
「あ、あ、あ、あ、あ……」
スパイク少尉は、震える手で、ゆっくりと双眼鏡を軍曹に渡した。油の切れた機械のような動作だった。
クベンカ軍曹は状況を確認すべく、視界を確保し、素早く双眼鏡で対象を捉えた。
「な…… なんだ……」
喉の奥から呻くような声が出ていた。まるで、自分の声ではないようだった。
現実感が一切喪失し、圧倒的な恐怖と悪夢と漆黒の絶望に染まった光景――
ただ、彼の網膜に映っているのは一人の女であるというのにだ。
レンズを通過した、視覚情報。
そこには、サムライソードを抜き、こちらに切っ先を向けている女がいた。
美しい女だった。まるで悪魔のようにだ――
冷たい刃にような愉悦を浮かべ、口が動いていた。
残りの日本兵も動き出していた。こちらに向け走ってきて者がいた。
そして、なにやら馬鹿でかい銃を取りだしている者もいる。
「ぎゃははははははははは!! 殺す!! 皆殺しだぁぁ!! 鬼畜米英! ん? アメリカ海兵隊? いいんんだよッ! 細かすぎるぞ! 主計中尉! 貴様の上官は自分であるッ!! 殺せ!! ひとりも残さず殺せぇぇ!! ひゃはははははは!!」
南海の蒼穹を貫き、絶海の孤島の空気をビリビリと振る云わせる哄笑――
そして、叫び声がアメリカ海兵隊の偵察隊に届いた。
20名の精鋭がそれだけで、動揺していた。いや震えあがりその場に固まる。
彼らは地獄と呼ばれた海兵隊の訓練を経て実戦を経験した精鋭だ。
陸軍(ドッグフェイス)なんぞとはわけが違う。
その海兵隊が、本能にダイレクトに突き刺さる根源的な恐怖感で、崩れ落ちていく。
意味の分からぬ日本語の絶叫がまるで、呪術のように彼らの精神を削っていく。
バシュ――ッ!!
水の詰まったズタ袋が引き裂かれ中身がブチ撒かれたような音。
そして、むせるような血の臭い―― 死を告知する臭い。
「小隊長!!」
スパイク少尉の頭蓋が木っ端みじんに吹き飛んでいた。
原型を留めず、脳漿をまき散らした。
(なんだ? なにが起きた!!)
数秒遅れ、砲声の音がクベンカ軍曹の耳朶を叩いた。
2000メートルの距離。音よりも速い弾丸が着弾し、スパイク少尉の頭を粉砕したことを彼は理解する。
(この距離でヘッドショットだと!?)
クベンカ軍曹は、その疑問を抑え込み命じる。
今や、彼がこの部隊の指揮官だ。
「撃て!! ジャップを撃て! 殺せ! 撃ちまくれ!!」
相変わらず、悪魔のような哄笑が響く中、海兵隊のスプリングフィールドライフルも反撃を始めた。
強い海風の中、長い髪をうねらせ、どす黒い哄笑を続けるジャップの女将校に向けてだった。
彼女は一直線にこっちに向かってきていたのだ。
ブンブンとサムライソードを振り回しながらだ。
(この距離では、ライフルじゃ無理だ――)
本来であれば、距離を詰めさせてから射撃を開始する。
全てがライフルマンである、海兵隊であれば常識的な話だ。
しかし、それでも――
歴戦の猛者、強者であるクベンカ軍曹をして、その存在に対し射撃をするしかなかった。
恐怖が引き金を引くことを強要するのだった。その存在の恐怖に引き金を引かされていた。
スプリングフィールドの銃声に混じり、異質で重い射撃音が響いた。
刹那――
鉄棒で粉砕されたスイカのように頭部を木っ端微塵される海兵隊員。
首のない肉塊が余剰エネルギーで後方に吹っ飛んで行った。
血と肉と脳漿をまき散らしながらだ。泥のようにゲロのように――
草むらがドロドロの血と肉と何かに染まっていく。死の残滓かもしれない。
(対戦車ライフルか――)
クベンカ軍曹はその射撃場所を探す。しかし、どこから射撃しているのか分からなかった。
視界にあったのは、ただ絶叫し、突撃してくる女将校だけだった。
刀を振り回し、突っ込んできている。凄まじい速度だった。
ライフル弾など、己に当たるわけがないとう確信をもったかのような突撃だった。
「ぎゃはははははは!! アメ公ぉぉぉ! 当たらねぇぞぉぉぉ!! アッ!! 当たったじゃぁかかか!! クソがぁぁぁ!! 肩に当たったぞぉぉぉ!! てめぇ、ぎひひひひぃぃ! ぶち殺してやる!!」
(うそだろう…… バカな……)
300メートル付近で、スプリングフィールド小銃の7.7ミリ弾が、ジャップの女将校に命中したのだ。
しかし、その突撃速度は止まらない。
人間の数倍の巨体である軍馬ですら、そんなことは出来はしないのだ。
距離はどんどん詰まる。日本の女将校の叫びはビリビリとクベンカ軍曹の身体に叩きつけられるようだった。
悪魔、鬼神、デビル、魔神、モンスター、デーモン、死神――
死と不吉を想起させる言葉が、クベンカ軍曹の脳裏でダンスを始めた。
クベンカ軍曹は下品な四文字言葉を吐くと「着剣! 着剣だ!」と生き残りの分隊員に命じた。
クベンカ軍曹は白兵戦を覚悟する。少なくとも残弾を残した状態で、着剣を――
唐突に彼の思考が遮断された。
爆発音と衝撃の中で、意識が途切れ、身体がボロキレのように吹っ飛んだ。
八九式銃擲弾筒の着弾だった。
日本兵の一人が回り込み、
被害半径10メートルの小型迫撃砲ともいえる、砲弾が草むらのど真ん中で爆発したのだ。
「がはぁぁ…… いったい……」
よろよろと起き上がるクベンカ軍曹。
無数の弾片が体に突き刺さり、血まみれだった。
それでも彼は生きていた。まだこの段階では――
彼は周囲を見た。分隊の生存者確認をした。まだ、戦える者が数名残っていた。
(なんだいったい? なんだいったい? なんだいったい?)
クベンカ軍曹は状況を未だに把握できず、退却を命じようとしたときだった。
しゃがみこんでいた彼の身体に、影が覆いかぶさった。日差しが遮られ、視界の明るさが変わった。
彼はゆっくりと顔を見あげた。そのときに、見える物はなにであるか、その確信を持ちながらだった。
「よう、アメ公こんにちは。そして、さよならだ。今から殺してやる。ぶち殺してやる。殲滅だ―― ぎゃはははははは!! 抵抗してみろ! このクソ、アングロサクソンがぁぁ!!」
それは流暢な、まるで故郷で聞く以上に自然で美しい英語だった。
「ちぃ!!」
反射的にクベンカ軍曹はナイフを持って突っ込んでいった。
ナイフ戦闘は、アメリカ海兵隊にとって、当たり前の技術だった。
風が空間を切り裂く音を追い抜き、軍刀が突き抜けていった。
クベンカ軍曹の頸部。
軍刀は、皮膚に食い込み切り裂き、筋肉を切断し、骨を断ち割っていた。
ヌルリとした血をまとい、振り抜かれる。風がそれに追いつき、血が飛び散った。
クベンカ軍曹の首がクルクルと宙を舞っていた。
彼はナイフを持った首なしの自分の肉体を空から見た。
それが、彼が最後に見た光景となった。
「殺せ!! 鬼畜米英を殺せぇぇぇ!! アングロサクソンを殲滅するのであるぅぅぅ!! ぎゃははははは!!」
「イギリス軍はいないであります。アメ公の海兵隊のみであります。中佐殿」
「ぬっ! アメ公だけだったな…… 中根主計中尉」
血まみれの斬殺死体に、蹴りをぶち込み、彼女は天空に挑むかのように咆哮した。
彼女の肩も銃創をにより血に染まっている。
中根主計中尉は「失礼します、中佐殿」といいながら、傷の処置をしていく。
流れていた血がそれで止まっていく。
「ぎゃはははは! 何発目だ? おい? 何発目の弾丸、破片、断片だぁぁ? ああ? アメ公は初めてか? ひゃははははは」
彼女の美しい肢体には、すでに5つの国の銃弾が埋まっていた。アメリカの銃弾が6か国目になったのだ。
「いいねぇ、戦争だぁぁあ!! 待ってろぉぉぉ、アメ公がぁぁ! そして、石井の妖怪ババァがぁぁ!」
そして、高らかなソロモンの空に響くのであった。
文弱の徒にしか見えぬ男。中根主計中尉はただ、それを心底迷惑そうに見つめるだけだった。
なぜ、自分がここにいるのか? 心底納得してない表情だった。
しかし、辻政信子中佐には関係なかった。今は彼のことなど眼中になかった。
彼女にとっては、戦争、戦闘、そして惰弱な味方をぶち殺すこと。
それこそが、生甲斐だったからだ。
1942年8月。
大日本皇国最兇の参謀兵器――
辻政信子中佐がガダルカナル島に上陸した。
クベンカ軍曹は強引に、若い指揮官であるスパイク少尉の肩を掴み揺さぶった。
双眼鏡を覗きこみ、ガクガクと震えだしたスパイク少尉はそれでも、身体を硬直させていた。
顔にはこの熱帯の気温が理由ではない冷たい汗が浮き上がっている。
スパイク少尉は、軍曹に対し返事をすることなく、双眼鏡に指を食いこませている。
2000メートル先の何かをジッと凝視している。いや、魅入られているのかもしなかった――
(何を見たんですか? 少尉!)
「少尉! 命令を!」
クベンカ軍曹がたまらず叫んでいた。必要以上に声を上げるのは危険なのは分かっている。
しかし、軍隊で指揮官が機能を喪失するのは危険以上。つまり致命的だ。
「あ、あ、あ、あ、あ……」
スパイク少尉は、震える手で、ゆっくりと双眼鏡を軍曹に渡した。油の切れた機械のような動作だった。
クベンカ軍曹は状況を確認すべく、視界を確保し、素早く双眼鏡で対象を捉えた。
「な…… なんだ……」
喉の奥から呻くような声が出ていた。まるで、自分の声ではないようだった。
現実感が一切喪失し、圧倒的な恐怖と悪夢と漆黒の絶望に染まった光景――
ただ、彼の網膜に映っているのは一人の女であるというのにだ。
レンズを通過した、視覚情報。
そこには、サムライソードを抜き、こちらに切っ先を向けている女がいた。
美しい女だった。まるで悪魔のようにだ――
冷たい刃にような愉悦を浮かべ、口が動いていた。
残りの日本兵も動き出していた。こちらに向け走ってきて者がいた。
そして、なにやら馬鹿でかい銃を取りだしている者もいる。
「ぎゃははははははははは!! 殺す!! 皆殺しだぁぁ!! 鬼畜米英! ん? アメリカ海兵隊? いいんんだよッ! 細かすぎるぞ! 主計中尉! 貴様の上官は自分であるッ!! 殺せ!! ひとりも残さず殺せぇぇ!! ひゃはははははは!!」
南海の蒼穹を貫き、絶海の孤島の空気をビリビリと振る云わせる哄笑――
そして、叫び声がアメリカ海兵隊の偵察隊に届いた。
20名の精鋭がそれだけで、動揺していた。いや震えあがりその場に固まる。
彼らは地獄と呼ばれた海兵隊の訓練を経て実戦を経験した精鋭だ。
陸軍(ドッグフェイス)なんぞとはわけが違う。
その海兵隊が、本能にダイレクトに突き刺さる根源的な恐怖感で、崩れ落ちていく。
意味の分からぬ日本語の絶叫がまるで、呪術のように彼らの精神を削っていく。
バシュ――ッ!!
水の詰まったズタ袋が引き裂かれ中身がブチ撒かれたような音。
そして、むせるような血の臭い―― 死を告知する臭い。
「小隊長!!」
スパイク少尉の頭蓋が木っ端みじんに吹き飛んでいた。
原型を留めず、脳漿をまき散らした。
(なんだ? なにが起きた!!)
数秒遅れ、砲声の音がクベンカ軍曹の耳朶を叩いた。
2000メートルの距離。音よりも速い弾丸が着弾し、スパイク少尉の頭を粉砕したことを彼は理解する。
(この距離でヘッドショットだと!?)
クベンカ軍曹は、その疑問を抑え込み命じる。
今や、彼がこの部隊の指揮官だ。
「撃て!! ジャップを撃て! 殺せ! 撃ちまくれ!!」
相変わらず、悪魔のような哄笑が響く中、海兵隊のスプリングフィールドライフルも反撃を始めた。
強い海風の中、長い髪をうねらせ、どす黒い哄笑を続けるジャップの女将校に向けてだった。
彼女は一直線にこっちに向かってきていたのだ。
ブンブンとサムライソードを振り回しながらだ。
(この距離では、ライフルじゃ無理だ――)
本来であれば、距離を詰めさせてから射撃を開始する。
全てがライフルマンである、海兵隊であれば常識的な話だ。
しかし、それでも――
歴戦の猛者、強者であるクベンカ軍曹をして、その存在に対し射撃をするしかなかった。
恐怖が引き金を引くことを強要するのだった。その存在の恐怖に引き金を引かされていた。
スプリングフィールドの銃声に混じり、異質で重い射撃音が響いた。
刹那――
鉄棒で粉砕されたスイカのように頭部を木っ端微塵される海兵隊員。
首のない肉塊が余剰エネルギーで後方に吹っ飛んで行った。
血と肉と脳漿をまき散らしながらだ。泥のようにゲロのように――
草むらがドロドロの血と肉と何かに染まっていく。死の残滓かもしれない。
(対戦車ライフルか――)
クベンカ軍曹はその射撃場所を探す。しかし、どこから射撃しているのか分からなかった。
視界にあったのは、ただ絶叫し、突撃してくる女将校だけだった。
刀を振り回し、突っ込んできている。凄まじい速度だった。
ライフル弾など、己に当たるわけがないとう確信をもったかのような突撃だった。
「ぎゃはははははは!! アメ公ぉぉぉ! 当たらねぇぞぉぉぉ!! アッ!! 当たったじゃぁかかか!! クソがぁぁぁ!! 肩に当たったぞぉぉぉ!! てめぇ、ぎひひひひぃぃ! ぶち殺してやる!!」
(うそだろう…… バカな……)
300メートル付近で、スプリングフィールド小銃の7.7ミリ弾が、ジャップの女将校に命中したのだ。
しかし、その突撃速度は止まらない。
人間の数倍の巨体である軍馬ですら、そんなことは出来はしないのだ。
距離はどんどん詰まる。日本の女将校の叫びはビリビリとクベンカ軍曹の身体に叩きつけられるようだった。
悪魔、鬼神、デビル、魔神、モンスター、デーモン、死神――
死と不吉を想起させる言葉が、クベンカ軍曹の脳裏でダンスを始めた。
クベンカ軍曹は下品な四文字言葉を吐くと「着剣! 着剣だ!」と生き残りの分隊員に命じた。
クベンカ軍曹は白兵戦を覚悟する。少なくとも残弾を残した状態で、着剣を――
唐突に彼の思考が遮断された。
爆発音と衝撃の中で、意識が途切れ、身体がボロキレのように吹っ飛んだ。
八九式銃擲弾筒の着弾だった。
日本兵の一人が回り込み、
被害半径10メートルの小型迫撃砲ともいえる、砲弾が草むらのど真ん中で爆発したのだ。
「がはぁぁ…… いったい……」
よろよろと起き上がるクベンカ軍曹。
無数の弾片が体に突き刺さり、血まみれだった。
それでも彼は生きていた。まだこの段階では――
彼は周囲を見た。分隊の生存者確認をした。まだ、戦える者が数名残っていた。
(なんだいったい? なんだいったい? なんだいったい?)
クベンカ軍曹は状況を未だに把握できず、退却を命じようとしたときだった。
しゃがみこんでいた彼の身体に、影が覆いかぶさった。日差しが遮られ、視界の明るさが変わった。
彼はゆっくりと顔を見あげた。そのときに、見える物はなにであるか、その確信を持ちながらだった。
「よう、アメ公こんにちは。そして、さよならだ。今から殺してやる。ぶち殺してやる。殲滅だ―― ぎゃはははははは!! 抵抗してみろ! このクソ、アングロサクソンがぁぁ!!」
それは流暢な、まるで故郷で聞く以上に自然で美しい英語だった。
「ちぃ!!」
反射的にクベンカ軍曹はナイフを持って突っ込んでいった。
ナイフ戦闘は、アメリカ海兵隊にとって、当たり前の技術だった。
風が空間を切り裂く音を追い抜き、軍刀が突き抜けていった。
クベンカ軍曹の頸部。
軍刀は、皮膚に食い込み切り裂き、筋肉を切断し、骨を断ち割っていた。
ヌルリとした血をまとい、振り抜かれる。風がそれに追いつき、血が飛び散った。
クベンカ軍曹の首がクルクルと宙を舞っていた。
彼はナイフを持った首なしの自分の肉体を空から見た。
それが、彼が最後に見た光景となった。
「殺せ!! 鬼畜米英を殺せぇぇぇ!! アングロサクソンを殲滅するのであるぅぅぅ!! ぎゃははははは!!」
「イギリス軍はいないであります。アメ公の海兵隊のみであります。中佐殿」
「ぬっ! アメ公だけだったな…… 中根主計中尉」
血まみれの斬殺死体に、蹴りをぶち込み、彼女は天空に挑むかのように咆哮した。
彼女の肩も銃創をにより血に染まっている。
中根主計中尉は「失礼します、中佐殿」といいながら、傷の処置をしていく。
流れていた血がそれで止まっていく。
「ぎゃはははは! 何発目だ? おい? 何発目の弾丸、破片、断片だぁぁ? ああ? アメ公は初めてか? ひゃははははは」
彼女の美しい肢体には、すでに5つの国の銃弾が埋まっていた。アメリカの銃弾が6か国目になったのだ。
「いいねぇ、戦争だぁぁあ!! 待ってろぉぉぉ、アメ公がぁぁ! そして、石井の妖怪ババァがぁぁ!」
そして、高らかなソロモンの空に響くのであった。
文弱の徒にしか見えぬ男。中根主計中尉はただ、それを心底迷惑そうに見つめるだけだった。
なぜ、自分がここにいるのか? 心底納得してない表情だった。
しかし、辻政信子中佐には関係なかった。今は彼のことなど眼中になかった。
彼女にとっては、戦争、戦闘、そして惰弱な味方をぶち殺すこと。
それこそが、生甲斐だったからだ。
1942年8月。
大日本皇国最兇の参謀兵器――
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