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6.浜辺でデート?
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わたしは、外に出ることができた。
その上、外出用のきれいな服ももらった。
「いいんですか?」って思わず聞いてしまう。
「いいに決まっているだろ! ああああ、いい! すごくいい!」
ドラゴン王太子のリューク様は、わたしのことをあらゆる角度から舐める様に見た。
まあ、実際にペロペロ舐められたわけじゃないけど。視線で舐めるという感じ。
「外は危険なモンスター、魔物がいるから気をつけるのだぞ!」
「リューク様がいるから、平気です」
「そっかぁ、そうだよなぁ! へへへへ、そうだよ。俺が一緒だもんなぁ。うひひひひ」
やけに浮き浮きした感じで、リューク様は言った。
◇◇◇◇◇◇
(なんでこんなに可愛いんだ! シャノーラ…… くそ、くそ、くそ! 悶え死にそうだぁぁぁ)
リュークは身のうちに生じる感情に名前をつけることもできず、ただ幸せだけが溢れてきた。
一緒に歩くというだけで、なぜに嬉しいのかも分らない。
だが、この瞬間、一瞬、一瞬を楽しもうと心に刻むのであった。
洞窟から海まではさほどの距離があるわけではない。
いくつかある出口のひとつからは、歩いて三〇分ほどだ。
「ああ、これが海…… きれい」
「ん、元の村からでも近いだろう。海を見たことないのか?」
「はい…… わたしは、村からあまり離れたことがないんです……」
「そうかぁ~ 初めてか」
「はい。初めてです」
◇◇◇◇◇◇
わたしは、どこまでも広がる青い海を見ていた。凄くキレイ……
こんなキレイな場所があるなんて知らなかった。
浜辺は砂ばかりで、どこからこんなに砂を盛ってきたんだろうと思う。
「あの…… 海に近づいてもいいですか?」
「ん、いいぞ。いい。ただ、足元には注意せねばな」
「じゃあ、すいません」
そう言ってわたしは手をのばす。
「え?」
「手を握っておいてください。キュッと握ってもらえれば、転ばないと思います」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
リューク様は顔を真っ赤にして絶叫した。
天地が震えるような絶叫で、わたしの体もビリビリ震えた。
「わっ! すいません、無礼でしたか! すいません!」
「違う! 違うのだ! いいのか? 手を繋いでいいのか?」
「え? はい。もし、リューク様がよろしければ…… なんですけど」
「いいに決まっているだろ! よし握るぞ。あああ、握ってやるからなぁぁ!」
で、わたしとリューク様は手をにぎった。
すごくリューク様の手は汗をかいていた。なんでだろう?
◇◇◇◇◇◇
(やべぇ、やばすぎる。いきなり手を繋ぐとか……)
リュークとシャノーラは波打ち際まで歩を進めた。
「キャ! 冷たい!」
「おおおおおお! 大丈夫か? 冷たいか? 火をおこして温まるか? 炎を吐くのは得意なのだ!」
「え…… 大丈夫です。ちょっとびっくりしただけですから」
「うむ、そうか……」
そんなときだった。
「おいおい、お熱いことだな」と、声がする。
「ん?」と、リュークが声の方を振り返った。
男が数人、ニヤニヤしながらリュークとシャノーラを見つめていた。
どうみても、知性や品性や民度に問題のありそうな「輩」であった。
「あっ、村の……」
「ああぁぁ~ シャノーラじゃないか。オマエ、生贄にされたはずなのに、こんなとこで男といちゃいちゃしてるのかよ!」
輩のひとりが言った。
どうやら、この連中はシャノーラのいた村の連中らしかった。
その上、外出用のきれいな服ももらった。
「いいんですか?」って思わず聞いてしまう。
「いいに決まっているだろ! ああああ、いい! すごくいい!」
ドラゴン王太子のリューク様は、わたしのことをあらゆる角度から舐める様に見た。
まあ、実際にペロペロ舐められたわけじゃないけど。視線で舐めるという感じ。
「外は危険なモンスター、魔物がいるから気をつけるのだぞ!」
「リューク様がいるから、平気です」
「そっかぁ、そうだよなぁ! へへへへ、そうだよ。俺が一緒だもんなぁ。うひひひひ」
やけに浮き浮きした感じで、リューク様は言った。
◇◇◇◇◇◇
(なんでこんなに可愛いんだ! シャノーラ…… くそ、くそ、くそ! 悶え死にそうだぁぁぁ)
リュークは身のうちに生じる感情に名前をつけることもできず、ただ幸せだけが溢れてきた。
一緒に歩くというだけで、なぜに嬉しいのかも分らない。
だが、この瞬間、一瞬、一瞬を楽しもうと心に刻むのであった。
洞窟から海まではさほどの距離があるわけではない。
いくつかある出口のひとつからは、歩いて三〇分ほどだ。
「ああ、これが海…… きれい」
「ん、元の村からでも近いだろう。海を見たことないのか?」
「はい…… わたしは、村からあまり離れたことがないんです……」
「そうかぁ~ 初めてか」
「はい。初めてです」
◇◇◇◇◇◇
わたしは、どこまでも広がる青い海を見ていた。凄くキレイ……
こんなキレイな場所があるなんて知らなかった。
浜辺は砂ばかりで、どこからこんなに砂を盛ってきたんだろうと思う。
「あの…… 海に近づいてもいいですか?」
「ん、いいぞ。いい。ただ、足元には注意せねばな」
「じゃあ、すいません」
そう言ってわたしは手をのばす。
「え?」
「手を握っておいてください。キュッと握ってもらえれば、転ばないと思います」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
リューク様は顔を真っ赤にして絶叫した。
天地が震えるような絶叫で、わたしの体もビリビリ震えた。
「わっ! すいません、無礼でしたか! すいません!」
「違う! 違うのだ! いいのか? 手を繋いでいいのか?」
「え? はい。もし、リューク様がよろしければ…… なんですけど」
「いいに決まっているだろ! よし握るぞ。あああ、握ってやるからなぁぁ!」
で、わたしとリューク様は手をにぎった。
すごくリューク様の手は汗をかいていた。なんでだろう?
◇◇◇◇◇◇
(やべぇ、やばすぎる。いきなり手を繋ぐとか……)
リュークとシャノーラは波打ち際まで歩を進めた。
「キャ! 冷たい!」
「おおおおおお! 大丈夫か? 冷たいか? 火をおこして温まるか? 炎を吐くのは得意なのだ!」
「え…… 大丈夫です。ちょっとびっくりしただけですから」
「うむ、そうか……」
そんなときだった。
「おいおい、お熱いことだな」と、声がする。
「ん?」と、リュークが声の方を振り返った。
男が数人、ニヤニヤしながらリュークとシャノーラを見つめていた。
どうみても、知性や品性や民度に問題のありそうな「輩」であった。
「あっ、村の……」
「ああぁぁ~ シャノーラじゃないか。オマエ、生贄にされたはずなのに、こんなとこで男といちゃいちゃしてるのかよ!」
輩のひとりが言った。
どうやら、この連中はシャノーラのいた村の連中らしかった。
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