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5.外に出たいんですけど
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「どうだ? 料理は」
「はい、とても美味しいです」
「では、俺が食べさせてやろう」
「は、はい……」
「では、アーんしろ」
「はい…… あ~ん」
わたしはアーンして、フォークに刺さったお肉を食べた。
もくもぐ―― ああ、美味しい。本当に美味しい、ほっぺが溶け落ちるような美味しさ……
美形の男の人は、ドラゴンの王太子でリュークと名乗った。
リュークはわたしを「絶対に食べない!」と言ったけど、本当かどうか分らない。
だから逆らわず、わたしは「アーン」してお肉を食べるのだった。美味しい。
わたしはトロリとした蜂蜜入りミルクを飲んだ。
「そのミルクは美味しいか?(うう、可愛い……)」
「はい、とっても」
ジッとわたしを見つめるリューク。
「あの……」
「ん、なんだ?」
「わたしは本当に食べられないんですよね」
「ああ、王太子の名にかけて嘘偽りない。シャノーラ嬢を食べることなどありえん!(ああ、別の意味で食べてしまいたいが)」
「じゃあ、なんでわたしはここに囚われているのですか?」
「ん?」
リュークはくるっと周囲を見た。
「ここは不快か? ベッドも人間用の最高のものを用意したはずだが…… 照明も太陽光と同じ魔力光を出しているし」
「ベッドは快適です。明るさもいいんですけど……」
「では、何が問題だ?」
リュークは心底意味が分らんという顔で訊いてきた。
「外へ行きたいんです」
「外! もしかして村に帰りたいのか! オマエを捨てた村に!」
「いえいえ、今更帰っても、わたしに居場所はありませんから」
「では、いいではないか! ここで食べて寝て、十分ではないのか?」
リュークは本気でそう言った。
◇◇◇◇◇◇
「セバスチャン! セバスチャンはどこだぁぁぁ!!」
リュークがドラゴンの咆哮を上げた。
言葉に灼熱の炎がこもっていそうだった。
「は、ここに!」
「セバスチャン、一緒に食事をしたぞ」
「それは、よろしゅうございました」
「しかし、大きな問題が、新たで大きな問題がでてきたのだ」
「ほほう、それは一体?」
「外に出たいと言っておるのだ。シャノーラ嬢は」
「では、出させてやればよろしいのでは? 元の村に帰るわけにもいきますまい」
「確かにそれは、言っておったのだが…… 外は危険であろう」
リュークは心底心配そうに言った。
「人間は弱い。その弱い人間を襲う『モンスター』がそこかしこにおるだろう」
自分がその「モンスター」の最たる者であることを忘れたかのようにリュークは言い募る。
「では、ここは一緒に出かけたらよろしいかと――」
「何? 一緒にだとぉぉ!」
それは考えても見なかったという感じ。
「その手があったかぁ!」という感じでリュークは言った。
「この近くの浜辺にでも散策すれば、人間の気も晴れるかと」
「おお!! なるほどぉぉ」
ということで、リュークはシャノーラ嬢を連れて出ることになった。
リュークは緊張でドキドキするのだが、なんでドキドキするのか、いまひとつよく分からなかった。
「はい、とても美味しいです」
「では、俺が食べさせてやろう」
「は、はい……」
「では、アーんしろ」
「はい…… あ~ん」
わたしはアーンして、フォークに刺さったお肉を食べた。
もくもぐ―― ああ、美味しい。本当に美味しい、ほっぺが溶け落ちるような美味しさ……
美形の男の人は、ドラゴンの王太子でリュークと名乗った。
リュークはわたしを「絶対に食べない!」と言ったけど、本当かどうか分らない。
だから逆らわず、わたしは「アーン」してお肉を食べるのだった。美味しい。
わたしはトロリとした蜂蜜入りミルクを飲んだ。
「そのミルクは美味しいか?(うう、可愛い……)」
「はい、とっても」
ジッとわたしを見つめるリューク。
「あの……」
「ん、なんだ?」
「わたしは本当に食べられないんですよね」
「ああ、王太子の名にかけて嘘偽りない。シャノーラ嬢を食べることなどありえん!(ああ、別の意味で食べてしまいたいが)」
「じゃあ、なんでわたしはここに囚われているのですか?」
「ん?」
リュークはくるっと周囲を見た。
「ここは不快か? ベッドも人間用の最高のものを用意したはずだが…… 照明も太陽光と同じ魔力光を出しているし」
「ベッドは快適です。明るさもいいんですけど……」
「では、何が問題だ?」
リュークは心底意味が分らんという顔で訊いてきた。
「外へ行きたいんです」
「外! もしかして村に帰りたいのか! オマエを捨てた村に!」
「いえいえ、今更帰っても、わたしに居場所はありませんから」
「では、いいではないか! ここで食べて寝て、十分ではないのか?」
リュークは本気でそう言った。
◇◇◇◇◇◇
「セバスチャン! セバスチャンはどこだぁぁぁ!!」
リュークがドラゴンの咆哮を上げた。
言葉に灼熱の炎がこもっていそうだった。
「は、ここに!」
「セバスチャン、一緒に食事をしたぞ」
「それは、よろしゅうございました」
「しかし、大きな問題が、新たで大きな問題がでてきたのだ」
「ほほう、それは一体?」
「外に出たいと言っておるのだ。シャノーラ嬢は」
「では、出させてやればよろしいのでは? 元の村に帰るわけにもいきますまい」
「確かにそれは、言っておったのだが…… 外は危険であろう」
リュークは心底心配そうに言った。
「人間は弱い。その弱い人間を襲う『モンスター』がそこかしこにおるだろう」
自分がその「モンスター」の最たる者であることを忘れたかのようにリュークは言い募る。
「では、ここは一緒に出かけたらよろしいかと――」
「何? 一緒にだとぉぉ!」
それは考えても見なかったという感じ。
「その手があったかぁ!」という感じでリュークは言った。
「この近くの浜辺にでも散策すれば、人間の気も晴れるかと」
「おお!! なるほどぉぉ」
ということで、リュークはシャノーラ嬢を連れて出ることになった。
リュークは緊張でドキドキするのだが、なんでドキドキするのか、いまひとつよく分からなかった。
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