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1.闇の底のオナホデュエル

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 秋の陽が沈み、闇が訪れる。
 ほんの一月前までの、茹だるような暑さが嘘のようであった。
 
 街灯も少ない薄暗い道をひとりの男が歩いていた。
 ぼんやりした明りに浮き上がる顔は、肉の内から湧き上がるような笑みを押さえこもうとするものだった。
 唇からは獰猛な牙のような八重歯が見えそうであった。

 すでに、ポケットに手をいれ、オチンポを弄っている。

 30分――
 ずっとオチンポを弄り続けて歩いていた。

 オチンポを形成する海綿体には海綿体動脈より大量の血液が流れ込む。
 人体の中で、カルシウムの骨を持たぬ、流体骨格として進化したオチンポがその硬度を増していた。
 ズボンの中で、ギチギチと音を立て、今にもファスナーをブチやぶり、突き出そうな程に滾っていた。

 この瞬間――
 いつどのようなシチュエーションであってもオチンポを露出することは可能だった。

 沈虎火 大臓ちんこか たいぞう――
 182センチ、体重104キログラム。
 その男の名と、サイズだった。

 太い首に、精悍な相貌を乗せた男だった。
 肌寒くなった秋の夜にもかかわらず、半そでのシャツとジーンズという姿。
 肩には使いこんだナップザックを背負っていた。

 そのジーンズの前が大きく膨らんでいた。尋常なふくらみではない。
 最大時には30センチを超える大臓のオチンポのせいであった。 

 どこからどう見ても、真っ当なサラリーマンや、公務員には見えない。
 かとって、裏社会で生きている人間の持つ独特の雰囲気もない。
 では、何者かというとその正体はつきかねた。
 
 大臓は両手をジーンズのポケットに突っ込んだまま、歩を進める。
 その先は階段になっており、地元の神社があるだけだった。

 大臓は境内に続く階段を上っていく。弱々しい光を放つ電灯が、闇の底を微かに明るくしていた。

 神社の境内――
 木に囲まれた本来であれば神聖な場所。
 夜光と頼りない光を放つ電灯が、その空間を照らしていた。

 大臓はオチンポを握る手にグッと力を込める。
 固い鉄にゴムを捲いたかのよう己のオチンポの感触が頼もしかった。 

(硬さは十分か――)

「おい、いいんだぜ? 出てきなよ」

 大臓の重く響く声が夜気の中に流れていく。
 木々の合間に夜の風が流れていく。木々の枝が揺れる。
 そのタイミングで、スッと木の影から姿を現した者がいた。
 
 大臓はその方向を見やり獰猛な笑みを浮かべる。

(ふふん、闇討ちかい?)

 そう思う。身に覚えがありすぎた。

 弱々しい灯りの届く範囲にその者は歩を進めてきた。
 中肉中背の特徴らしい特徴の無い男だ。
 ただ、縁の黒いメガネをかけているようであった。

「オナホデュエリスト・沈虎火 大臓だな」
「ああ、そうだ」
「俺は典雅 判々ノ介てんが ぱんぱんのすけ。オナホ清新会館の者だ――」
「ほう…… 昼間の研究所の男かい?」
「ああ」
 
 短いやり取りの中で名乗りを上げた。
 ふたりともオナホデュエリストだった。

 オナホデュエリスト――
 それは、オナホとオチンポによる戦いを糧とする男たちのことだ。
 お互いのオチンポに、オナホを挿し込み、先にイカせた方が勝ちというシンプルな戦いだ。

 オナホは、貫通式、被貫通式どちらでも構わない。
 オナホは、右、左のとちらかの腕でしか使ってはいけない。
 ローション使用量は300ミリリットルを上限とする。
 オナホ以外の直接肉体の接触は厳禁。
 
 貫通式の場合、その指が先っちょに触れても反則負けとなる。

「昼間の研究所破りの仕返しかい? ひとりじゃないんだろ」

 大臓は周囲に気を巡らせる。木の影から何人かの人間が姿を現した。
 人数は判々ノ介以外に三人。ひとり妙に背の低い者がいた。
 ただ、闇がその姿を包み、表情まで判別することはできない。

 大臓に対しニコヤカな表情など見せてはいないのは確実ではあったが。

「まあ、良いぜ―― 何人で来ようが、同じことだ」

 野太い肉食獣のような笑み。
 牙のような犬歯を見せ、大臓は言った。

 今、この国では空前のオナホデュエルブームに湧き立っている。
 独自のオナホを研究する企業、研究所が乱立している。
 そして、そのオナホの優秀性を競うために、始められたのがオナホデュエルであった。
 
 各企業は優秀なデュエリストを抱え、大小様々な大会が開催されている。

 その中で、沈虎火大臓は、どこにも属さぬフリーのオナホデュエリストだった。
 最強のオチンポと、最強のオナホを持つ男のひとりであった。
 そして、全国のオナホ企業、オナホ研究所破りをし放浪を続けけている。
 餓えた狼のようなオチンポの持ち主だった。

 大臓は、ジーンズのファスナーを下し、一気にオチンポを露出させた。
 ほの暗い闇の底に、巨大なオチンポが現れた。
  
 大臓を闇討ちに来たオナホ清新会館の者たちの息を飲む音が聞こえる。

 それは、いきり立った獰猛な逸物だった。
 全長三〇センチを超えるオチンポ。浮き上がった血管が大きく脈動している。

 それは、オチンポといいうのは余りにも大きすぎた。大きくぶ厚く重くそして使いこみ過ぎていた それは正に鉄塊だった――

「まずは、好きなだけやらせてやる。いいぜ、五分間やるよ―― 俺のオチンポを好きなだけオナホで弄ってみな――」

 夜天に向けそそり立つオチンポを向け、大臓は無造作に言い放った。
 ヌラヌラとした月明かりの中、大臓のオチンポの先っちょが黒く浮き上がってきているかのようだった。

「けひゃぁぁぁ!!!」

 魂を根こそぎ絞り出したような叫びをあげ、判々ノ介が突っ込んで行った。
 すでに、その右手にはピンク色のオナホが握られていた。
 振り下ろした右手のオナホが的確に、大臓のオチンポを捕えた。
 すでに大量のローションが塗り込まれていたのだろう。
 オナホはズブズブと、大臓のオチンポを飲みこんで言った。
 それは非貫通式のオナホであった。

「ほう―― スパイラルタイプかい?」

 スパイラルタイプとは、オナホ内部に複雑な溝が形成されたものだ。
 スタンダードなオナホといっていい。ただ、その構造の設計次第では恐るべき威力を発揮する。
 
「新設計の高弾力素材、しかも二重構造だ。どうだい? 気持ちいだろう?」

 男は激しく右手を動かす。ただ全長三〇センチを誇る大臓のオチンポ全てを包み込むことはできなかった。
 しかし、性感神経の集中する亀頭部分に対する刺激は十分なはずである。
 判々ノ介は、右手でオナホを握り締めオナホを操る。
 巧みにオナホの内部スパイラルが性感神経を刺激する場所を狙ってきていた。
 激しく、右手がポンプアクションを繰り返す。
 まるで、無限とも思える時間が経過していくようであった。

        ◇◇◇◇◇◇
 
「もう、三分はたったぜ? まあまあ、気持ちは良いが…… イクほどじゃねぇな」

 オナホに包まれたオチンポを隆々と勃せ、大臓は重く静かに言った。
 まるで、呼吸が乱れていなかった。

「く、強がりを!!」
 
 荒々しい呼気と共に、判々ノ介の右手が激しく動く。
 
 決して、判々ノ介のオナホが弱いわけではなかった。
 判々ノ介の右手の動き、攻撃も決してド素人のものではない。

 その攻撃的な人工のヒダヒダは、大臓のオチンポを激しく刺激する。
 先端の子宮を模したバキューム機能が、尿道に吸いつく。
 まるで「精液を欲しいのぉぉ。あああ、精液で中をパンパンにしてぇぇ♡」と訴えるようであった。
 さらに、大臓のオチンポの裏筋を硬質なイボイボが絡みつくように撫でまわす。

 しかし、大臓のオチンポはパンパンの硬さを維持したまま、先走り汁すら零すことが無かった。
 ただ、その肉の上を溢れだしたローションが滑るように流れていくだけだった。

「さあ、五分だ―― 出しな。てめぇの、オチンポを――」
「ぬぅぅ……」
「いいぜ、オナホの攻めは続けていい」

 大臓の言葉が終わると同時に、判々ノ介がズボンを下ろした。
 そして下半身を丸出しとし、己のチンポを大臓に向け突きだした。
 全長は二〇センチはある。大臓ほどではないが日本人の平均からすればかなり大きい。
 そして、太さも十分だった。

 月明かりと電灯の明かりの中で、赤黒い亀頭が滑るように光っている。
 判々ノ介も覚悟ができていた。その海綿体には十分な血潮が流れ込んでいた。

「いいねぇ。なかなか、いいオチンポだぜ――」

 大臓は背負っていたナップザックから、無造作にそれを取りだした。
 それは、まさにピンク色をした怪物――
 オナホ界を震撼させた恐るべきオナホであった。

「ドルフィンスプラッシュ改―― 俺の友の魂のこもったオナホ」

 大臓の右手に握られたオナホはまるで、生き物ののように脈動しているかのようだった。
 しかし、それはあり得ない。
 オナホの中には、電動式などの手動以外の存在がある。
 しかし、オナホデュエルで使用できるのは、素手で動かせるオナホのみだった。

 素手――
 オナホ――
 オチンポ――
 ローション――

 これだけによる単純な戦いなのだ。

「いくぜ」

 大臓は「ドルフィンスプラッシュ改」を判々ノ介のオチンポに合わせた。
 ヌルリと先端が滑り込む。そして、一気に――

「あひゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー」
 
 勝負は三秒で終わった。
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