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24話:奴隷繁殖牧場
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「廃墟だな…… ここがイヌディスかい?」
ミーナコロシチャルの声が廃墟に響く。
イヌディス到着した彼女とミルフィーナ、シコルノガスキーだった。
「このまま、竜車でいって警戒されないでしょうか?」
小首をかしげる可愛らしい仕草。
ミルフィーナだ。
「多分、大丈夫だと思います」
イヌ耳の少年が言った。ミルフィーナの膝の上に座っているのだが、なぜか尻に当たりを気にしてモゾモゾしている。
「なにかが、お尻に当たって……」
「気のせいです」
ミルフィーナが、その少年を真紅の瞳でジッと見つめて断言した。
イヌ耳少年は黙った。
「今にも、モヒカンでガチムチで、肩パット当てた集団ができそうですな」
シコルノガスキーが立ち上がり、掌を目の上にあてる。
股間の朝顔の蕾が風を切っている。エレクチオンしっぱなしだ。
当然全裸。異世界に来てからという物、一切の服を身に着けていない。
彼は「裸がユニフォーム」という状態であった。
「そいつは、陳腐な例えだぜ――」
「お姉さま、なぜそのようなことを」
「ふふん、さぁな」
シコルノガスキーのたとえ話を「陳腐」と切ってすてる姉。
エルフの超絶美少女にして、最強喧嘩ヤクザが転生した存在。
そして、濃厚なヲタクでもあった。
その点において、弟として転生した男子高校生・増田部瞬は共通部分があった。
しかし、廃墟を見て「今にも、モヒカンでガチムチで、肩パット当てた集団ができそうですな」という感想はあまりにも陳腐といえただろう。
ヲタクは身内にに厳しいのだった。
それが、ミーナコロシチャルだった。
「おおおお!! ポチルオォォ!! ポチルオじゃないかぁ!」
廃墟となった街、残骸の陰から、よろよろと萎びたジジイが出てきた。
「おじいちゃん! おじいちゃん!」
ぴょんと竜車を飛び下りる。
ダーッと駆けていくイヌ耳少年。ここで初めて名前がポチルオであることが分かった。
確かに犬らしく「ポチ」の文字が入っていた。
ポチルオはじいさんの背後に回ると、尻の匂いを嗅ぐ。
じいさんは尻を突きだしていた。
「ああああ! おじいちゃんだ。おじいちゃんの肛門腺の匂いだ!」
じいさんは、自分のケツに鼻先を潜り込ませている孫を、くるっとまわって抱きかかえた。
ポチルオをひょいと持ち上げると、その尻に自分の顔面を埋めた。
クンクンと匂いを嗅ぐ、「はぁはぁ」とイヌ耳少年が呼気を荒くしている。
ジジイにケツの匂いをかがれて嬉しそうに喘いでいるのだった。
絵的には「お巡りさんこのジジイ変態です!」と言うべき光景だ。
「ぬぅ……」
ミーナコロシチャルは息を飲んでいた。
そして、碧い瞳を、少しは物を知っていそうなミルフィーナに向けた。
「ミルフィ」
「なんですか?」
「獣人ってのはこうなのかい?」
「さあ? ボクもよく知りません」
「イヌはあいさつするとき、尻の匂いを嗅ぎますからな。それにより、相手を判別するのです。おそらく、彼らたちはイヌ型の獣人。イヌの習性を色濃くのこしているのではないかと――」
シコルノガスキーが言った。
意外に、物を知っていた。伊達に、素っ裸でエルフの子宮に転移して、出産されたわけではなかった。
「わーい! 帰ってきた」
「本当だ!」
「おばぁちゃん、おばあちゃんだぁ!」
「あああ、無事だったんだねェ……」
瓦礫の陰から、ワラワラとイヌ獣人の老人が出てきた。
じいさんとばあぁさんばかりだった。
そして、竜車から飛び降りた獣人の子どもたちが、それぞれの家族のケツ穴を匂いを嗅ぐ。
「再会の感動的な光景ですね。ミーナ様」
全く感情の困らないボーカロイドが話していると錯覚するかのような声。
ミルフィーナだ。
「人と獣人―― 違いがあって当然だろうよ」
彼女も人ではなくエルフなのであるが、それはとりあえず置いておく。
人間の常識では、変態行為である。
しかし、尻の匂いを嗅ぐという行為は、イヌであれば普通に挨拶だ。
イヌ耳の獣人が、そのような挨拶の習慣を残していてもおかしくは無かった。
「ありがとうございます…… 私たちの孫たちを……」
イヌ耳少年のじいさんが前に出て礼をいった。
「お礼に、私のお腹をナデナデする権利を」
そう言うとイヌ獣人のじいさんがゴロンと腹を見せて転がった。
薄汚れた服をはだけて、貧弱な体を晒した。アバラが浮いている。
「さあ! 思う存分、撫でてくだされ!!」
腕をバタバタさせている。こっちを誘っているようだった。
「シコルノガスキー」
「なんでしょうお姉さま?」
「撫でててやれ――」
「なんですと!! ジジイの腹を撫ですとぉぉ! お姉さま!」
「恩義を感じて、礼を尽くしているんだ。恥をかかせるもんじゃねェ」
素っ裸の男子高校生にしか見えない、ミーナコロシチャルの弟であるシコルノガスキー。
彼は泣きながら、イヌ獣人のジジイの腹を撫でた。
「それでも勃ったままかよ――」
「もう、こうなったら、お姉様のことをさすっていると思っています! あああああ、お姉さまぁぁ」
「あああああ、気持ちいいのじゃぁ。この全裸の人間のナデナデがぁぁぁ、らめなのじゃ~ 頭が真っ白になってしまうのじゃぁ」
股の間から尻尾を出してパタパタと振る。
客観的に見て地獄絵図であった。
しかし、それは人としての常識、日常の軛にとらわれた見方であろう。
ジジイは満足して、体をビクンビクンと痙攣させた。
◇◇◇◇◇◇
「エルフの国に帰りたいということですな……」
「ああ、そこの戻らなきゃならねぇ」
天井の低い粗末な小屋。
それが、獣人の家だった。
竪穴式住居以下。昭和の小学生が作った秘密基地レベルの小屋である。
食事が出されたが、雑穀混じりの薄い粥だった。
ミーナコロシチャルはそれでも文句を言わず、口にする。
シコルノガスキー、ミルフィーナも同じであった。
「エルフの国はここより、大分北にありますな……」
そういうとじいさんは、一本の枝を拾って地面に絵を描きはじめた。
家の中であるがゴザを引いてあるだけで、土がむき出しなのだ。
「なんだ? この左右のビラビラみたいなのは?」
「右がアバシリン大陸。私たちのイヌディスはこの南端にあります。右がヒダリビラ大陸です」
その地図は、三日月形の大陸が向き合い、真ん中に中くらいの大陸を挟み。北の果てに小さな島のような物が書かれていた。
左右のビラビラみたいな大陸がその小さな島を挟み込んでいるようだった。
http://image.alphapolis.co.jp/story_image/42069/583c801d-67f4-4e7c-9ddf-31deac113c66.jpeg
「エルフの国はここですな。北の果てのこの島です」
「ふふふん、この世界に生まれて7年間―― 初めて、世界ってものを知ったかよ」
「北から南までです。凄い距離です」
ミルフィーナが淡々と言った。
「船があるんじゃねぇのかい?」
「あるにはあるのですが…… 大きな船は、ゲドゥポリスのライジング・ドラゴン様が、押さえているのです」
「そうかい」
要は、力づくという話である。
分かりやすい。
ミーナコロシチャルはその口に獰猛な笑みを浮かべていた。
ゲドゥポリスへ行って、そのライジング・ドラゴンをぶちのめせばいい。
「しかし! ここにはなぜ、ジジイとババァしかいないのですか!」
「ああああ、この年寄りの、枯れた肉体に体に火をつけて、どうなさるつもりじゃぁ~ ああああ~ もう、閉経して20年…… こんなになるなんて」
土間では、シコルノガスキーがひっくり返っているババァの獣人の腹を撫でていた。
しわしわのボディをビクンビクンさせてて、獣人のばあさんが激しい反応をしていた。
長く垂れ下がった乳がベローンと飛び出し、クルクルとシコルノガスキーの腕に巻きつく
彼の腹なで技術は、獣人のじいさん、ばあさんの間で評判になっていたのだった。
「ライジング・ドラゴン…… 聞いたことがあります」
指を顎に当て、考え込むミルフィーナ。
「知っているのかい?」
「ん~確か、代紋(エンブム)ランキング4位だったと記憶しています」
「ほう…… それは、つえぇってことかい?」
「そうです。強いです」
「いいねぇ」
「お姉さま、お姉様のお腹をナデナデしたいのであります! さもなくば、母親! 子どもたちの母親を呼んできてほしいのであります!」
シコルノガスキーが絶叫する。ジジイとババアの腹を撫ですぎて、精神的にはそろそろ限界に近かった。
さらに、その身体には、獣人ババァの伸びきった乳房がグルグルと巻きついていた。
さすがのシコルノガスキー。
元高校生、増田部瞬であってもそれは、厳しい状況だった。
「ぬぅ、弟の角度がゆるくなってやがる」
エレクチオンの角度は確かにゆるくなっている。
滅多にあることではなかった。
45度以下は、彼の不死身特性が機能しなくなる可能性があった。
だからといって、どうでもいい話ではあったが。
「お母さん…… お父さん……」
その場にいた、イヌ耳少年が嗚咽を堪える様に声を漏らしていた。
「ん? どうしたんだい?」
ミナーコロシチャルが碧い瞳をイヌ耳少年に向けた。
「この子たちの両親は、奴隷繁殖牧場に連れて行かれております」
じいさんが、代わって答えた。
「奴隷繁殖牧場だと?」
「このイヌディスに住んでいた、我ら獣人族は、ゲドゥポリスから来た、奴隷商人に狩られたのです。老人は放置されましたが、それ以外は根こそぎ、奴隷繁殖牧場に――」
「そいつは、どこにあるんだい?」
「ここ、イヌディスです。ここに牧場を作り、ある程度育った獣人をゲドゥポリスに出荷しているのです」
「ほう…… その話、もっと詳しく聞かせてもらおうじゃないか」
ミーナコロシチャルは言った。
その美しい相貌から、凶暴な喧嘩ヤクザの本性が透けてみえるようであった。
【後書き】
■参考文献
犬はあなたをこう見ている: 最新の動物行動学でわかる犬の心理 (河出文庫) ジョン ブラッドショー
犬の行動学 (中公文庫) エーベルハルト トルムラー
ミーナコロシチャルの声が廃墟に響く。
イヌディス到着した彼女とミルフィーナ、シコルノガスキーだった。
「このまま、竜車でいって警戒されないでしょうか?」
小首をかしげる可愛らしい仕草。
ミルフィーナだ。
「多分、大丈夫だと思います」
イヌ耳の少年が言った。ミルフィーナの膝の上に座っているのだが、なぜか尻に当たりを気にしてモゾモゾしている。
「なにかが、お尻に当たって……」
「気のせいです」
ミルフィーナが、その少年を真紅の瞳でジッと見つめて断言した。
イヌ耳少年は黙った。
「今にも、モヒカンでガチムチで、肩パット当てた集団ができそうですな」
シコルノガスキーが立ち上がり、掌を目の上にあてる。
股間の朝顔の蕾が風を切っている。エレクチオンしっぱなしだ。
当然全裸。異世界に来てからという物、一切の服を身に着けていない。
彼は「裸がユニフォーム」という状態であった。
「そいつは、陳腐な例えだぜ――」
「お姉さま、なぜそのようなことを」
「ふふん、さぁな」
シコルノガスキーのたとえ話を「陳腐」と切ってすてる姉。
エルフの超絶美少女にして、最強喧嘩ヤクザが転生した存在。
そして、濃厚なヲタクでもあった。
その点において、弟として転生した男子高校生・増田部瞬は共通部分があった。
しかし、廃墟を見て「今にも、モヒカンでガチムチで、肩パット当てた集団ができそうですな」という感想はあまりにも陳腐といえただろう。
ヲタクは身内にに厳しいのだった。
それが、ミーナコロシチャルだった。
「おおおお!! ポチルオォォ!! ポチルオじゃないかぁ!」
廃墟となった街、残骸の陰から、よろよろと萎びたジジイが出てきた。
「おじいちゃん! おじいちゃん!」
ぴょんと竜車を飛び下りる。
ダーッと駆けていくイヌ耳少年。ここで初めて名前がポチルオであることが分かった。
確かに犬らしく「ポチ」の文字が入っていた。
ポチルオはじいさんの背後に回ると、尻の匂いを嗅ぐ。
じいさんは尻を突きだしていた。
「ああああ! おじいちゃんだ。おじいちゃんの肛門腺の匂いだ!」
じいさんは、自分のケツに鼻先を潜り込ませている孫を、くるっとまわって抱きかかえた。
ポチルオをひょいと持ち上げると、その尻に自分の顔面を埋めた。
クンクンと匂いを嗅ぐ、「はぁはぁ」とイヌ耳少年が呼気を荒くしている。
ジジイにケツの匂いをかがれて嬉しそうに喘いでいるのだった。
絵的には「お巡りさんこのジジイ変態です!」と言うべき光景だ。
「ぬぅ……」
ミーナコロシチャルは息を飲んでいた。
そして、碧い瞳を、少しは物を知っていそうなミルフィーナに向けた。
「ミルフィ」
「なんですか?」
「獣人ってのはこうなのかい?」
「さあ? ボクもよく知りません」
「イヌはあいさつするとき、尻の匂いを嗅ぎますからな。それにより、相手を判別するのです。おそらく、彼らたちはイヌ型の獣人。イヌの習性を色濃くのこしているのではないかと――」
シコルノガスキーが言った。
意外に、物を知っていた。伊達に、素っ裸でエルフの子宮に転移して、出産されたわけではなかった。
「わーい! 帰ってきた」
「本当だ!」
「おばぁちゃん、おばあちゃんだぁ!」
「あああ、無事だったんだねェ……」
瓦礫の陰から、ワラワラとイヌ獣人の老人が出てきた。
じいさんとばあぁさんばかりだった。
そして、竜車から飛び降りた獣人の子どもたちが、それぞれの家族のケツ穴を匂いを嗅ぐ。
「再会の感動的な光景ですね。ミーナ様」
全く感情の困らないボーカロイドが話していると錯覚するかのような声。
ミルフィーナだ。
「人と獣人―― 違いがあって当然だろうよ」
彼女も人ではなくエルフなのであるが、それはとりあえず置いておく。
人間の常識では、変態行為である。
しかし、尻の匂いを嗅ぐという行為は、イヌであれば普通に挨拶だ。
イヌ耳の獣人が、そのような挨拶の習慣を残していてもおかしくは無かった。
「ありがとうございます…… 私たちの孫たちを……」
イヌ耳少年のじいさんが前に出て礼をいった。
「お礼に、私のお腹をナデナデする権利を」
そう言うとイヌ獣人のじいさんがゴロンと腹を見せて転がった。
薄汚れた服をはだけて、貧弱な体を晒した。アバラが浮いている。
「さあ! 思う存分、撫でてくだされ!!」
腕をバタバタさせている。こっちを誘っているようだった。
「シコルノガスキー」
「なんでしょうお姉さま?」
「撫でててやれ――」
「なんですと!! ジジイの腹を撫ですとぉぉ! お姉さま!」
「恩義を感じて、礼を尽くしているんだ。恥をかかせるもんじゃねェ」
素っ裸の男子高校生にしか見えない、ミーナコロシチャルの弟であるシコルノガスキー。
彼は泣きながら、イヌ獣人のジジイの腹を撫でた。
「それでも勃ったままかよ――」
「もう、こうなったら、お姉様のことをさすっていると思っています! あああああ、お姉さまぁぁ」
「あああああ、気持ちいいのじゃぁ。この全裸の人間のナデナデがぁぁぁ、らめなのじゃ~ 頭が真っ白になってしまうのじゃぁ」
股の間から尻尾を出してパタパタと振る。
客観的に見て地獄絵図であった。
しかし、それは人としての常識、日常の軛にとらわれた見方であろう。
ジジイは満足して、体をビクンビクンと痙攣させた。
◇◇◇◇◇◇
「エルフの国に帰りたいということですな……」
「ああ、そこの戻らなきゃならねぇ」
天井の低い粗末な小屋。
それが、獣人の家だった。
竪穴式住居以下。昭和の小学生が作った秘密基地レベルの小屋である。
食事が出されたが、雑穀混じりの薄い粥だった。
ミーナコロシチャルはそれでも文句を言わず、口にする。
シコルノガスキー、ミルフィーナも同じであった。
「エルフの国はここより、大分北にありますな……」
そういうとじいさんは、一本の枝を拾って地面に絵を描きはじめた。
家の中であるがゴザを引いてあるだけで、土がむき出しなのだ。
「なんだ? この左右のビラビラみたいなのは?」
「右がアバシリン大陸。私たちのイヌディスはこの南端にあります。右がヒダリビラ大陸です」
その地図は、三日月形の大陸が向き合い、真ん中に中くらいの大陸を挟み。北の果てに小さな島のような物が書かれていた。
左右のビラビラみたいな大陸がその小さな島を挟み込んでいるようだった。
http://image.alphapolis.co.jp/story_image/42069/583c801d-67f4-4e7c-9ddf-31deac113c66.jpeg
「エルフの国はここですな。北の果てのこの島です」
「ふふふん、この世界に生まれて7年間―― 初めて、世界ってものを知ったかよ」
「北から南までです。凄い距離です」
ミルフィーナが淡々と言った。
「船があるんじゃねぇのかい?」
「あるにはあるのですが…… 大きな船は、ゲドゥポリスのライジング・ドラゴン様が、押さえているのです」
「そうかい」
要は、力づくという話である。
分かりやすい。
ミーナコロシチャルはその口に獰猛な笑みを浮かべていた。
ゲドゥポリスへ行って、そのライジング・ドラゴンをぶちのめせばいい。
「しかし! ここにはなぜ、ジジイとババァしかいないのですか!」
「ああああ、この年寄りの、枯れた肉体に体に火をつけて、どうなさるつもりじゃぁ~ ああああ~ もう、閉経して20年…… こんなになるなんて」
土間では、シコルノガスキーがひっくり返っているババァの獣人の腹を撫でていた。
しわしわのボディをビクンビクンさせてて、獣人のばあさんが激しい反応をしていた。
長く垂れ下がった乳がベローンと飛び出し、クルクルとシコルノガスキーの腕に巻きつく
彼の腹なで技術は、獣人のじいさん、ばあさんの間で評判になっていたのだった。
「ライジング・ドラゴン…… 聞いたことがあります」
指を顎に当て、考え込むミルフィーナ。
「知っているのかい?」
「ん~確か、代紋(エンブム)ランキング4位だったと記憶しています」
「ほう…… それは、つえぇってことかい?」
「そうです。強いです」
「いいねぇ」
「お姉さま、お姉様のお腹をナデナデしたいのであります! さもなくば、母親! 子どもたちの母親を呼んできてほしいのであります!」
シコルノガスキーが絶叫する。ジジイとババアの腹を撫ですぎて、精神的にはそろそろ限界に近かった。
さらに、その身体には、獣人ババァの伸びきった乳房がグルグルと巻きついていた。
さすがのシコルノガスキー。
元高校生、増田部瞬であってもそれは、厳しい状況だった。
「ぬぅ、弟の角度がゆるくなってやがる」
エレクチオンの角度は確かにゆるくなっている。
滅多にあることではなかった。
45度以下は、彼の不死身特性が機能しなくなる可能性があった。
だからといって、どうでもいい話ではあったが。
「お母さん…… お父さん……」
その場にいた、イヌ耳少年が嗚咽を堪える様に声を漏らしていた。
「ん? どうしたんだい?」
ミナーコロシチャルが碧い瞳をイヌ耳少年に向けた。
「この子たちの両親は、奴隷繁殖牧場に連れて行かれております」
じいさんが、代わって答えた。
「奴隷繁殖牧場だと?」
「このイヌディスに住んでいた、我ら獣人族は、ゲドゥポリスから来た、奴隷商人に狩られたのです。老人は放置されましたが、それ以外は根こそぎ、奴隷繁殖牧場に――」
「そいつは、どこにあるんだい?」
「ここ、イヌディスです。ここに牧場を作り、ある程度育った獣人をゲドゥポリスに出荷しているのです」
「ほう…… その話、もっと詳しく聞かせてもらおうじゃないか」
ミーナコロシチャルは言った。
その美しい相貌から、凶暴な喧嘩ヤクザの本性が透けてみえるようであった。
【後書き】
■参考文献
犬はあなたをこう見ている: 最新の動物行動学でわかる犬の心理 (河出文庫) ジョン ブラッドショー
犬の行動学 (中公文庫) エーベルハルト トルムラー
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