素手ゴロエルフ! 最強喧嘩師が異世界に転生したら最強の超絶美少女エルフになった

中七七三

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18話:エレクチオンしている間は不死身

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「よう、ミルフィー」

「なんですか? ミーナ様」

 メイド長のハイテイロンが部屋から去った。
 ミーナコロシチャルは、護衛メイドであるミルフィーナに言葉をかけた。

「母乳噴出魔法だよ」

「母乳噴出魔法ですか?」

「ああ、そうだぜ」

「ダメですよ。儀式に使う母乳は魔法で作らないって戒律があるそうじゃないですか。姐さんがうんと言いません」

 ミルフィーナがルビー色の瞳でミーナコロシチャルを見つめた。
 それは、幻想的で美しい2ショットであった。

「思い違いをしてるんじゃねぇのかい?」

「はい?」

「母乳噴出魔法をお袋が使うとは思えねェ。そうじゃねよ」

「あ、分かりました。ボクですね。ボクの母乳を――」

「もっと、ありえねぇ。シコルノガスキ-の内臓が腐る」

「酷いです。ミーナ様。だいたい、シコルノガスキー様の内臓が腐るとかあり得ないです」

 ミルフィーナ。
 元代紋(エンブレム)ランカーの少女。
 美しい顔と奇跡の母乳力を持つ。
 両腕を失っており、いつも無表情な顔をしている。
「ドラグ・ブレス」という50万度の熱線を吐く。

「オメェさんの母乳じゃねぇ、俺だよ。俺の母乳だ」

 ミーナコロシチャルは自分の胸に指を這わせながら言った。
 指の先に乳首があたる。軽く触れるだけで、痺れるような快感がそこに生じる。
 まだ二次性徴前の胸である。しかし、その緩やかなラインはある種の美しさの極致であった。

「ミーナ様の母乳……。勢いがありすぎて、シコルノガスキ-様が死んじゃいますよ」

「それは、俺が制御する」

 ミーナコロシチャルは言った。
 この世界の魔法は、魔法構文から作られている。
 そして、その構文が公開されている魔法は、その改造が可能であった。
 ミルフィーナは、魔法に対しその知識を持っていた。

「でも、母乳元気玉は、あの魔法じゃ再現できないです。ボクじゃそこまで改造できないです」

「ふふん、そこまで期待しちゃいねぇ―― とにかく1年分の母乳を短時間で生成させる。その改造だけでいい」

「そ、そんなことしたら、ミーナ様の身体が……」

「俺を甘くみるんじゃねぇよ。ミルフィ」

 ミーナコロシチャルは、口をVの字に釣り上げ言った。
 刃を含んが言葉だった。

「分かりました。じゃあ、『母乳噴出魔法』をボクが改造します」

 コクリと頷き、ミルフィーナは言ったのであった。

        ◇◇◇◇◇◇

「シコルノガスキ-、オ〇ニー中だったかよ――」
 
 ミーナコロシチャルとミルフィーナが、シコルノガスキーの部屋に行ったときだった。
 彼女の弟、シコルノガスキ-は絶賛まさにシコっていた。
 しかも食事をしながらだった。
 メイドエルフが、口の中で咀嚼した唾液混じりの離乳食を口にしながらの右手ピストンであった。
 しかも素っ裸だった。
 
(たまらねぇな…… この弟……)

 ピンと立ち上がった朝顔のつぼみの様な器官を見つめて、ミーナコロシチャルは思う。
 以前であれば、男のそのような物には嫌悪感しか感じなかった。

 しかしである――

 最強喧嘩ヤクザ、人間極道兵器と言われた彼も、今は女だった。
 エルフの、女の身体となったのだ。
 そして知った。
 女の身体が生み出す快楽だった。
 自分で色々いじりまわすことで、その快楽の深さを知った。
 脳が痺れるようであった。溶けるようであった。
 それからだった。
 男の裸に対しそれほどの嫌悪感を感じなくなっていた。
 
(俺はホモじゃねェ…… むしろ百合…… たまらぬな)

 その思いがあった。
 男の身体に嫌悪感を感じなくなったとはいえ、まだ女の身体の方に興味があったのだ。
 その精神性、肉体との整合性を考えた場合、むしろ百合であると言うべきであった。

 シコルノガスキーが顔を上げた。
 にぃぃっ――とその顔に、1歳児とは思えない笑みを浮かべた。
 というか、全身が日本人の男子高校生にしか見えない。

「お、おねぇ様ぁぁぁぁ!! 僕を、僕を可愛がってくださーい!」

 一気に間合いを潰す。
 突っ込んできた。
 素っ裸で、朝顔のつぼみをとがらせたままだ。

「憤(ふん)ッ!」

 ミーナコロシチャルが踏み込むと同時に右拳を固めた。
 唸りを上げる拳。空気がプラズマ化し、バチバチと弾けた。
 彼女の拳が縦の弧を描く。

 ボディアッパーだった。
 唸りを上げた姉の拳。
 それが、弟のドテッパラに食い込んでいた。
 プランク時間の中でその組織を破壊。
 タンパク質、カルシウムが一瞬で素粒子レベルまで分解される。
 高濃度の魔力エネルギーが、その素粒子までもグルオンスープと化し、プレーン宇宙の彼方まで吹き飛ばす。
 モノドロミー変換されたグルオンスープが多層次元を突き抜けた。

「ひぎぃぃぃぃ!! おえねぇさまぁぁぁぁあああああああああ!!」

 叫ぶ弟。
 腹に開いた大きな穴。
 そのまま、天井に叩きつけられた。
 天井にめり込むシコルノガスキー。
 そして、落ちてきた。
 ベチャっと音がして血飛沫が舞う。

「いきなり、間合いに入るんじゃねェ。シコルノガスキー」

 最強喧嘩ヤクザであった超絶美少女エルフ。
 ミーナコロシチャルは、本能的に間合いに入った者は殴ることにしていた。
 しかしだ――

「ああああ!! お姉さまのパンチは、僕にとってご褒美ぃぃぃぃ~!!」

 立ち上がる。
 腹に空いた穴は、すでに埋まっていた。
 
「ふふん、俺の突きを喰らって、立ち上がるかよ――」

 ミーナコロシチャルはその口元に笑み浮かべ言った。
 その声音には弟に対する感心の色が滲んでいた。

「エレクチオンしている間は、シコスルノガスキー様は硬いです」

 ミルフィーナが言った。
 シコルノガスキーは代紋ランカーではない。
 しかし、エレクチオンしている間は、全ての攻撃のダメージが無かったことになるスキルを持っていた。
 いや、正確にはダメージを快感に変換するようなスキルだ。
 それは、因果律をも操るスキルであった。

「よう、シコルノガスキー」

「はぁはぁはぁ、お、お姉さま…… お姉さまと禁断の愛ぃぃぃ~ むほほほっほほぃぃ!!!」

 目を血走らせ、素っ裸のままで構えるシコルノガスキー。
 前世の名は増田部瞬(ますたべ しゅん)。やや性欲が過剰な平凡な高校生であった。

「落ち着くんだ、シコルノガスキー、ご褒美はこれからだぜ」

「…… ご褒美ですか?」

 姉の言葉を聞き、シコルのスキーは我にかえった。
 美しいエルフの姉。
 その存在にシコルノガスキーは慣れないのだった。
 見るたびに理性が吹っ飛ぶ。
 いつか、この姉を孕ませたいと思うくらいだった。

「ああ、俺の母乳だ―― 今から俺がお前に母乳をかけてやる」

「な、なんですとぉぉぉぉ!!」

 歓喜の声が響いた。

 エルフの姉――
 人間の弟――

 それは、禁断で甘美な時間を告げるチャイムのようなものであった。
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