52 / 55
51.資金対策と飢饉対策
しおりを挟む
「先輩!」
「ん? なんだ」
「江戸時代のライブ中継をして、ユーチューバーになりましょう!」
はぁ――
俺は、ビニールバットがどこにあったかと、周囲を見た。
あった。
「アホウか! アホウか、オマエは本当のアホウなのか?」
俺は最高学府で准教を勤めるチビネガネの頭を細かく叩く。ビニールバットで。
ぽこぽこぽこと、気の抜けた音が響く。
「どーせ、誰も信じないのです! CGと言い張って、疑われても言い張って、炎上上等なのですよ」
「俺は嫌だ。めんどくせぇ」
とは言いつつも、wi-fiの利用はいろいろな可能性を開くかもしれない。
生配信は論外であるが。
「少なくとも、私が江戸時代を見ることができるのです。リアルタイムでアドバイスを送れるのです」
「確かにそれはありか……」
「ありありなのです!」
くいっと丸メガネを持ち上げ、京子が言い切る。自信たっぷりだ。
その自信は分かる。
まあ、エロボケ脳のチビネガネであるが、江戸時代に関する知識は大したものなのだ。
「wi-fiについては後で考える。それより、先にやらなきゃならんことが多すぎだ」
「確かにそうですね――」
と、一応思案げな感じで京子は言った。本当に思案しているのかどうかは知らんけど。
「まずは、江戸城の電化だろ。種痘の実施、蝦夷地探索、飢饉対策――、それに江戸、現代の流通というか経済的なwin-win関係をどう作るとか」
「問題は山積みですねぇ~」
「言われんでも分かってるんだよ」
根本的には、こっちの資金繰りの問題が大きい。
これも結局のところ、江戸時代、現代という時間を隔てた間の細々とした貿易の中でどーすんの?って問題に帰結してしまう。
それに、こっちが稼ぎすぎると、江戸時代で流通する貨幣量にも影響が出てしまう。
結局、江戸時代は田沼時代を例外として緊縮財政であって、市場規模に比べ流通貨幣量が少ないという問題がある。
儲けた金を現代にばかり持ってきてしまっては、江戸がやばくなる。
これは幕末に起きた金の流出で分ることだ。
でもって、江戸の小判を現代で換金が難しいので、現代での資金繰りも思うと通りにはできない。
古物商で一〇〇両を現金化した以外では、小判一枚、二枚という感じでちょびちょび換金している程度なのだ。
「結局は長崎貿易の拡大なのですね。わ…… 土岐先輩」
京子が『航さん』と言いそうになったので、ギッと睨んだ。
ビニールバットを持って。
言い直したのでバットから手を離す。
「簡単に言うな」
「簡単とは思っていないのです。しかし、現代の物を江戸時代の国内だけに供給しても限界あるのです」
「それは分ってる」
現代の物品を長崎貿易、つまり対オランダ、対清貿易で輸出するという方法はある。
実際に田沼時代は、長崎貿易が珍しく黒字になった時代だった。
「対外輸出は盛んにしたいけど、あまり目立つこともできんのだよ」
「確かに、田沼には政敵は多いですし、長崎貿易は扱い間違えると危険かもしれないのですが……」
「ま、それもいずれはやる気だけどな」
とにかく、京子との情報の刷り合わせ、ネット通販の商品発送を終わらせる。
こっちの仕事が一段落したら、また江戸時代に行く。
◇◇◇◇◇◇
「江戸城のエレキテルは順調ということですね」
「まずは問題はない。ここの『かんでら』よりずと明るいな」
俺は田沼の江戸屋敷に戻ってきた。
さすがに単一電池六本のカンデラ(キャンプ用)に比べたらよほど明るい。
「今のところ三部屋ですからね」
「うむ、仕事ことを考えるともう二部屋程は欲しいが、あまり遅くまで仕事させるのもまずかろうよ」
夜遅くまで仕事といっても、せいぜいが午後八時くらいな感じだ。
江戸時代の武士に長時間労働を強いて十八世紀の時点でブラックな職場を作り出す気もない。
小型発電機をそろえる予算の問題もある。
「己が器量を知り、お勤め如何にしても果たすべし。武士たる者の心得と思われますが――」
と、田沼意知が片手腕立て伏せをしながら言った。
なにをしているのか? この御曹司は?
なんか、肉体改造が一気に一年以上進んでいるような感じだ。
俺が見ない間に……
意次の息子・意知は自分の暗殺に備え、身体を鍛えまくっている。
「佐野、返り討ちにしてくれる…… ギギギギギ」
と、呪詛を吐きながら腕立てを続ける意知を無視して話を続ける。
「で、上様には」
「良いな―― エレキテルを使ったカラクリであると理解されておられる」
「ですか」
「明るいので、将棋に夜遅くまで没頭でき非常に良いと仰せられておる」
今の将軍・徳川家治は将棋マニアであり、政治は田沼意次に任せきりだ。
で、しばらくすると脚気になって死んでしまう。
史実ではだ。
ただ、今回は甘い味のついているビタミン剤で脚気の原因となるビタミン不足も回避できそうである。
「しかし―― 胡乱な物を上様や大奥に持ち込むのに反対している者もおる」
「っていうか、その人たちは田沼様のやること全部反対でしょう」
「で、あろうな――」
田沼意次は腕を組んで思案気にする。
「とにかく、江戸城はエレキテルで明るくなりましたし、菜種油より安く明るくできますし」
「うむ、倹約ということであれば、文句がでることはないであろうな」
江戸城の電化はひと段落。
となると次は――
「蝦夷地の探索開発、そして飢饉対策は早急に進めねばなるまいよ」
「そうですね。優先順位でいけば…… そうですね」
蝦夷地の開発には、冷害に強い稲の品種が必要だ。
冷害抵抗性の強い品種の種籾を買うことは現代なら可能だ。
リアカーに積載できる最大三五〇キロまで種籾を運び込んだとする。
米は三〇〇~四五〇倍になるので、一〇〇トン以上の米が捕れる。
トウモロコシ、ジャガイモなど米に代わる物も持ち込むことは出来る。
「しかし、蝦夷地の開発は直近の飢饉には間に合わないでしょうし、米の流通をなんとかすることが最優先でしょうね」
「であろうが――、それは中々難しいのぉ」
江戸時代の飢饉は確かに収穫量の不足という面もある。
けれども、それ以上に流通が上手くいっていないという部分も大きい。
特に餓死者の多かった東北地方に効率的に米を送り込めるかどうかが勝負になる。
「結局は金の力なのかなぁ~」
江戸時代では米は経済の中心であるけども、市場商品として流通する物でもある。
高く買うところ、高く売れるところに物が集まるのは自然なことだ。
端的にいってしまえば、需要と供給の市場の動きで物流も決まってしまう。
それを避けるのは、ある程度「管理経済」的なことも必要なのだけども、幕府が全国的にそれができるかというとちょっと無理である。
「土岐殿よ」
「はい、田沼様」
「飢饉の際に、被害の多かった藩は分るのか?」
「あ――、今は分りませんが、戻って調べれば」
「そうであるか……」
確かに、こういうときに現代とwi-fiで繋がっていれば話は早いのだ。
江戸―現代間の情報伝達のためにも、wi-fi設置も試みてみるべきか。
とにかく、今は早急に飢饉対策だ。
まず、これを何とかしないと田沼政権の土台が危うくなってしまう。
天災ですら為政者のせいにされる時代だ。
被害ゼロにはできないだろうけど、なんとかダメージを最小限にしないといけない。
現代の資金対策――
江戸時代の飢饉対策――
早急にこのふたつは解決しなければ行けない問題だ。
「ん? なんだ」
「江戸時代のライブ中継をして、ユーチューバーになりましょう!」
はぁ――
俺は、ビニールバットがどこにあったかと、周囲を見た。
あった。
「アホウか! アホウか、オマエは本当のアホウなのか?」
俺は最高学府で准教を勤めるチビネガネの頭を細かく叩く。ビニールバットで。
ぽこぽこぽこと、気の抜けた音が響く。
「どーせ、誰も信じないのです! CGと言い張って、疑われても言い張って、炎上上等なのですよ」
「俺は嫌だ。めんどくせぇ」
とは言いつつも、wi-fiの利用はいろいろな可能性を開くかもしれない。
生配信は論外であるが。
「少なくとも、私が江戸時代を見ることができるのです。リアルタイムでアドバイスを送れるのです」
「確かにそれはありか……」
「ありありなのです!」
くいっと丸メガネを持ち上げ、京子が言い切る。自信たっぷりだ。
その自信は分かる。
まあ、エロボケ脳のチビネガネであるが、江戸時代に関する知識は大したものなのだ。
「wi-fiについては後で考える。それより、先にやらなきゃならんことが多すぎだ」
「確かにそうですね――」
と、一応思案げな感じで京子は言った。本当に思案しているのかどうかは知らんけど。
「まずは、江戸城の電化だろ。種痘の実施、蝦夷地探索、飢饉対策――、それに江戸、現代の流通というか経済的なwin-win関係をどう作るとか」
「問題は山積みですねぇ~」
「言われんでも分かってるんだよ」
根本的には、こっちの資金繰りの問題が大きい。
これも結局のところ、江戸時代、現代という時間を隔てた間の細々とした貿易の中でどーすんの?って問題に帰結してしまう。
それに、こっちが稼ぎすぎると、江戸時代で流通する貨幣量にも影響が出てしまう。
結局、江戸時代は田沼時代を例外として緊縮財政であって、市場規模に比べ流通貨幣量が少ないという問題がある。
儲けた金を現代にばかり持ってきてしまっては、江戸がやばくなる。
これは幕末に起きた金の流出で分ることだ。
でもって、江戸の小判を現代で換金が難しいので、現代での資金繰りも思うと通りにはできない。
古物商で一〇〇両を現金化した以外では、小判一枚、二枚という感じでちょびちょび換金している程度なのだ。
「結局は長崎貿易の拡大なのですね。わ…… 土岐先輩」
京子が『航さん』と言いそうになったので、ギッと睨んだ。
ビニールバットを持って。
言い直したのでバットから手を離す。
「簡単に言うな」
「簡単とは思っていないのです。しかし、現代の物を江戸時代の国内だけに供給しても限界あるのです」
「それは分ってる」
現代の物品を長崎貿易、つまり対オランダ、対清貿易で輸出するという方法はある。
実際に田沼時代は、長崎貿易が珍しく黒字になった時代だった。
「対外輸出は盛んにしたいけど、あまり目立つこともできんのだよ」
「確かに、田沼には政敵は多いですし、長崎貿易は扱い間違えると危険かもしれないのですが……」
「ま、それもいずれはやる気だけどな」
とにかく、京子との情報の刷り合わせ、ネット通販の商品発送を終わらせる。
こっちの仕事が一段落したら、また江戸時代に行く。
◇◇◇◇◇◇
「江戸城のエレキテルは順調ということですね」
「まずは問題はない。ここの『かんでら』よりずと明るいな」
俺は田沼の江戸屋敷に戻ってきた。
さすがに単一電池六本のカンデラ(キャンプ用)に比べたらよほど明るい。
「今のところ三部屋ですからね」
「うむ、仕事ことを考えるともう二部屋程は欲しいが、あまり遅くまで仕事させるのもまずかろうよ」
夜遅くまで仕事といっても、せいぜいが午後八時くらいな感じだ。
江戸時代の武士に長時間労働を強いて十八世紀の時点でブラックな職場を作り出す気もない。
小型発電機をそろえる予算の問題もある。
「己が器量を知り、お勤め如何にしても果たすべし。武士たる者の心得と思われますが――」
と、田沼意知が片手腕立て伏せをしながら言った。
なにをしているのか? この御曹司は?
なんか、肉体改造が一気に一年以上進んでいるような感じだ。
俺が見ない間に……
意次の息子・意知は自分の暗殺に備え、身体を鍛えまくっている。
「佐野、返り討ちにしてくれる…… ギギギギギ」
と、呪詛を吐きながら腕立てを続ける意知を無視して話を続ける。
「で、上様には」
「良いな―― エレキテルを使ったカラクリであると理解されておられる」
「ですか」
「明るいので、将棋に夜遅くまで没頭でき非常に良いと仰せられておる」
今の将軍・徳川家治は将棋マニアであり、政治は田沼意次に任せきりだ。
で、しばらくすると脚気になって死んでしまう。
史実ではだ。
ただ、今回は甘い味のついているビタミン剤で脚気の原因となるビタミン不足も回避できそうである。
「しかし―― 胡乱な物を上様や大奥に持ち込むのに反対している者もおる」
「っていうか、その人たちは田沼様のやること全部反対でしょう」
「で、あろうな――」
田沼意次は腕を組んで思案気にする。
「とにかく、江戸城はエレキテルで明るくなりましたし、菜種油より安く明るくできますし」
「うむ、倹約ということであれば、文句がでることはないであろうな」
江戸城の電化はひと段落。
となると次は――
「蝦夷地の探索開発、そして飢饉対策は早急に進めねばなるまいよ」
「そうですね。優先順位でいけば…… そうですね」
蝦夷地の開発には、冷害に強い稲の品種が必要だ。
冷害抵抗性の強い品種の種籾を買うことは現代なら可能だ。
リアカーに積載できる最大三五〇キロまで種籾を運び込んだとする。
米は三〇〇~四五〇倍になるので、一〇〇トン以上の米が捕れる。
トウモロコシ、ジャガイモなど米に代わる物も持ち込むことは出来る。
「しかし、蝦夷地の開発は直近の飢饉には間に合わないでしょうし、米の流通をなんとかすることが最優先でしょうね」
「であろうが――、それは中々難しいのぉ」
江戸時代の飢饉は確かに収穫量の不足という面もある。
けれども、それ以上に流通が上手くいっていないという部分も大きい。
特に餓死者の多かった東北地方に効率的に米を送り込めるかどうかが勝負になる。
「結局は金の力なのかなぁ~」
江戸時代では米は経済の中心であるけども、市場商品として流通する物でもある。
高く買うところ、高く売れるところに物が集まるのは自然なことだ。
端的にいってしまえば、需要と供給の市場の動きで物流も決まってしまう。
それを避けるのは、ある程度「管理経済」的なことも必要なのだけども、幕府が全国的にそれができるかというとちょっと無理である。
「土岐殿よ」
「はい、田沼様」
「飢饉の際に、被害の多かった藩は分るのか?」
「あ――、今は分りませんが、戻って調べれば」
「そうであるか……」
確かに、こういうときに現代とwi-fiで繋がっていれば話は早いのだ。
江戸―現代間の情報伝達のためにも、wi-fi設置も試みてみるべきか。
とにかく、今は早急に飢饉対策だ。
まず、これを何とかしないと田沼政権の土台が危うくなってしまう。
天災ですら為政者のせいにされる時代だ。
被害ゼロにはできないだろうけど、なんとかダメージを最小限にしないといけない。
現代の資金対策――
江戸時代の飢饉対策――
早急にこのふたつは解決しなければ行けない問題だ。
0
お気に入りに追加
1,916
あなたにおすすめの小説
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。
あっちゅまん
ファンタジー
黙示録の最終戦争は実際に起きてしまった……そして、人類は一度滅亡した。
だが、もう一度世界は創生され、新しい魔法文明が栄えた世界となっていた。
ところが、そんな中、冷凍睡眠されていたオレはなんと蘇生されてしまったのだ。
オレを目覚めさせた超絶ボディの超科学の人工頭脳の超美女と、オレの飼っていた粘菌が超進化したメイドと、同じく飼っていたペットの超進化したフクロウの紳士と、コレクションのフィギュアが生命を宿した双子の女子高生アンドロイドとともに、魔力がないのに元の世界の科学力を使って、マンガ・アニメを蘇らせ、この世界でも流行させるために頑張る話。
そして、そのついでに、街をどんどん発展させて建国して、いつのまにか世界にめちゃくちゃ影響力のある存在になっていく物語です。
【黙示録戦争後に残された世界観及び設定集】も別にアップしています。
よければ参考にしてください。
理葬境
忍原富臣
ファンタジー
戦の時代、小国同士が争い陣地を広げていたような頃の物語――
大国を築いた国王は飢饉により多くの民を犠牲にした。納税を厳しくした結果、民たちは苦しみ死んでいった。一方、王城や城下町で暮らす人々にはきちんとした食料が分け与えられていた。
飢饉は収まらず、国王は大臣達に何か案を出すように命じる。そして、一人の大臣の案が採用され、数ヶ月、数年後には何とか持ち直すことが出来た――
この物語の始まりはここから……
ある日、国王は息子に自分の寿命が短いことを告げる。
国王が亡くなってから、町や村では「悪夢」という得体の知れないものが噂されるようになった。
大臣の一人、剛昌は急死する前の国王の異変に気が付き調査を進めていくが……。
これは理弔と呼ばれる村が出来るまでの物語……。
登場人物たちの過去からこの先に待ち受ける未来までを描いた儚き物語……。
そして、この物語の本質は登場人物たち全員が主人公となり「死者の為に紡ぐ物語」であるということ。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
夜に咲く花
増黒 豊
歴史・時代
2017年に書いたものの改稿版を掲載します。
幕末を駆け抜けた新撰組。
その十一番目の隊長、綾瀬久二郎の凄絶な人生を描く。
よく知られる新撰組の物語の中に、架空の設定を織り込み、彼らの生きた跡をより強く浮かび上がらせたい。
佐々さんちの三兄妹弟
蓮水千夜
恋愛
血の繋がらない兄と、半分血が繋がった弟って、どっちも選んじゃダメだろ──!
生まれてすぐに母を亡くしたくららは、両親の再婚で義理の兄ができ、その後すぐ腹違いの弟が生まれ、幼い頃は三人仲良く過ごしていた。
だが、成長した二人に告白され、最初は断ったもののその熱意に押され承諾してしまう。
しかし、未だに頭を悩ませられる日々が続いて──!?
一人称が「おれ」でボーイッシュな女の子が、血の繋がらない兄と半分血が繋がった弟と、葛藤しながらも絆を深めていく三兄妹弟(きょうだい)のラブコメです。
異世界国盗り物語 ~野望に燃えるエーリカは第六天魔皇になりて天下に武を布く~
ももちく
ファンタジー
天帝と教皇をトップに据えるテクロ大陸本土には4つの王国とその王国を護る4人の偉大なる魔法使いが存在した
創造主:Y.O.N.Nはこの世界のシステムの再構築を行おうとした
その過程において、テクロ大陸本土の西国にて冥皇が生まれる
冥皇の登場により、各国のパワーバランスが大きく崩れ、テクロ大陸は長い戦国時代へと入る
テクロ大陸が戦国時代に突入してから190年の月日が流れる
7つの聖痕のひとつである【暴食】を宿す剣王が若き戦士との戦いを経て、新しき世代に聖痕を譲り渡す
若き戦士は剣王の名を引き継ぎ、未だに終わりをしらない戦国乱世真っ只中のテクロ大陸へと殴り込みをかける
そこからさらに10年の月日が流れた
ホバート王国という島国のさらに辺境にあるオダーニの村から、ひとりの少女が世界に殴り込みをかけにいく
少女は|血濡れの女王《ブラッディ・エーリカ》の団を結成し、自分たちが世の中へ打って出る日を待ち続けていたのだ
その少女の名前はエーリカ=スミス
とある刀鍛冶の一人娘である
エーリカは分不相応と言われても仕方が無いほどのでっかい野望を抱いていた
エーリカの野望は『1国の主』となることであった
誰もが笑って暮らせる平和で豊かな国、そんな国を自分の手で興したいと望んでいた
エーリカは救国の士となるのか?
それとも国すら盗む大盗賊と呼ばれるようになるのか?
はたまた大帝国の祖となるのか?
エーリカは野望を成し遂げるその日まで、決して歩みを止めようとはしなかった……
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる