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第六章:禁忌の島とパンゲア王国復興計画
第一〇五話:蒼空のベロチュウ
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『あきらめたらそこで試合終了だわ! アイン』
俺の体内に引きこもり中の精霊が言った。
てめぇのネタに付き合っている気分じゃねェ!
触手の生えたロボは、俺のライサと、俺のエロリィを捕えて飛んで行った。
もう、ゴマ粒くらいの大きさじゃねぇか!
「ああん、天成君、女の子は好きな男の子に追いかけて欲しい物なのよ。どうしたのかしら、うふ。アナタは追いかけないの?(ダメよ、これはチャンスかもしれないのよ…… 天成君を私だけのものにする。ううん、ダメ。大人の女として、教師としてそれはダメなの、ああん、ダメよ。しっかりして天成君。いいのよ、行ってもいいの…… 先生を置いてきぼりにしても、ああん)」
ダダ漏れする内面描写と言葉がグチャグチャでコミュニケーション困難な池内真央先生。
しかし、その言葉と内面描写は俺を叱咤しているのだということは辛うじて分かった。
だが、どーすればいい。
「アイン、いいのか? 追わなくて」
エメラルドグリーンの髪をサラサラと風に乗せながらエルフの千葉が言った。
すゲェ気楽な感じで言うんだが。
「あっさり、言うなよ。飛んでんだぞ!」
「飛べばいいだろう。飛べないのか?」
「ん? 俺がか……」
「そうだが」
俺は腕を組んで考えた。記憶を掘り返す。
まてよ、俺は確か衛星軌道上にあるパンゲア城を動かしたよな。
重力を操作してだ……
正確には俺じゃなくて、サラームだが。
あれ?
重力を操れるということは……
俺はもしかして、飛べるのか?
『サラーム』
『なに?』
『俺って飛べるの?』
『アインが信じてくれたら、アナタは空だって飛べるし、湖の水だって飲み干せるわ』
胸を張ったドヤ顔の精霊様が脳裏に浮かぶ。
『飛べ! サラーム! アイツを追え!』
『わかったわ!』
脳内で叫んだ瞬間、凄まじい加速が俺を襲った。
自分が砲弾になって、発射されたような感じだ。
凄まじいGにブラックアウトした。
次の瞬間脳天に凄まじい衝撃があった。
頭蓋骨が粉砕され、脳漿をまき散らしたかと思うほどの衝撃だ。
「あがぁぁぁ!! いえてぇぇ!! なんだ!!」
『あ、この島の結界にぶつかったみたい。結構低いわね』
「てめぇ~ サラァァァァムゥゥ~」
頭が砕けてないか確認する俺。
一応なんともなっていないが……
くそ、まだ痛てぇ。
エロリィがぶち抜いた結界ってぶつかるとこんなに痛いのか。
『アインが急いでいると思ったらから、一気に秒速7.9キロメートルで飛んだのに!』
『それは、第一宇宙速度じゃねぇかぁ! 俺を人工衛星にする気かぁぁ!』
『でも、追いついたわ!』
『あ、マジだ』
確かにいた。
視界内に触手ロボがいた。
聞き覚えのある声まで聞こえる。
「てめぇぇぇ!! ぶち殺すぞぉ! このクソ野郎がぁぁ! 死ねぇ! 殺す!! あああ、変なとこ突っ込むなぁ~」
緋色の髪を振り乱し、ライサが触手相手にもがいていた。
小麦色の肌に滑るようなどす黒い光を放った触手が這いまわっている。
「もうね、アホウなの? バカなの? 死にたいの? いやぁ、あああ、そこはアイン以外ダメな場所なのよぉ!」
金髪インテールが風の中を舞う。その細く小さく可憐な肢体が触手でグルグル巻きになっている。
エローエがめくれあがり、真っ白い肌が、黒い触手と対比をなしていた。
俺の婚約者、ライサとエロリィが触手ロボの触手責めに遭っていた。
叫びも聞こえるし、ウネウネと動く触手の様子が分かる。
つまり、それくらい接近したということだ。
「今、助ける! 疾風斬!」
俺の叫びとともに、空を切り裂き風の刃が吹っ飛ぶ。
触手の根元を切断してやる。
キュイン――
触手ロボが旋回して、俺の魔法をかわしやがった。
昭和の匂いのするデザインのくせに、何だその機動性は?
モノアイっぽい物がついた頭がこっちを向いた。
そして、加速して逃げていく。
『逃がすな! サラーム!』
『分かっているわ!』
俺も加速する。風を切って蒼空を突っ切る。
空気の層が俺の周囲にできているのだろうか。
強烈な風圧は感じないが、風の流れは十分に感じていた。
「アイン! アインなのよ! もうね、私を助けに来たのよ!」
「あはッ、アイン。助けに来たんだ。殺そう! 一緒にコイツぶち殺そう」
ふたりが俺に気付いた。
バタバタと暴れて触手から逃れようとする。
しかし、ウネウネと動く触手がそれを許さない。
ライサのパワーも、ヌルヌルした触手では滑ってどうにもならんみたいだ。
「アインが来たから、遠慮しないのよ!」
エロリィの金髪ツインテールが風の中を流れ、黄金の光をまき散らす。
ピンク色の唇が小さく開いたのが見えた。
「らめぇ~、らめって言っているのぉ、ガツガツしないでぇ~ そんなに奥にドピュドピュ、一気に―― もが、モガもがぁぁぁ!!」
禁呪を唱えようとしたエロリィの口に触手が突っ込まれた。
ウネウネと黒い触手が、俺の婚約者の体内に侵入してやがる!!
くそがぁぁ!! 頭と股間に血液が流れ込む。
「てめぇ、殺すぞ! 全力だ!『サラーム! いくぞ!』」
『いいわ! アイン、殺してやるわ…… でも、あれロボットだから……」
『細かいことを気にするなぁぁ!』
俺は一気に七つの魔力回路を回転させる。通常運航は止めだ。
一気にぶち殺してやる!
尾てい骨から脳天に突き抜けるような力の奔流が流れ出し、全身を駆け巡る。
俺は無敵なり。無敗だ。最強だ。精霊マスタ―・アインザム・ダートリンクに敗北の二文字は無い。
「この、大宇宙超絶スーパ大皇帝になり、全宇宙を支配すべき俺ぇぇ!! いいか! 俺の女に手を出す奴は殺す! ぶち殺す! 破壊する! 一切の慈悲は無い!」
凄まじい万能感。脳内麻薬物質がダダ漏れになって耳から流れドピュドピュと吹き出しそうなくらい気持ちいい。
いいねぇ!
「俺最強感」が脳内でお祭り状態である。
相手が超スローモーションに見える。
なんだ? すぐに追いついたぞ。ひゃはぁぁぁ!!
触手を引きちぎった。魔法を使うまでもない。ブチブチと肉の繊維が切れていく。
トイレットペーパーを引きちぎるより簡単だ。
ライサとエロリィを助け出す。
エロリィの口に食い込んだ、薄汚い触手を引っ張り出した。
彼女たちを左右に抱きかかえ、一回離脱だ。
止めを刺すのは、これからだ。ひゃっはぁぁ!!
「「アイン!」」
ふたりがハモって俺の名を呼ぶ。ああ、気持ちいい。
「もう大丈夫だ! お前たちの良人となる、大宇宙超絶最強の精霊マスターが来たのだぁぁ!アイザム・ダートリンクは無敵なり! 超無敵だ! 敗北の二文字はない!」
密着したふたりの体温が更に俺のテンションを上げていく。気持ちいい。なんか、いい匂いだし。
「あはッ、やっぱ私のアインは最強だよね!」
ライサがそう言ってギュッと俺の首に手を回してきた。当然だ。俺は最強だ。そして、ギュッとされると気持ちいい。
ルビー色の潤んだ瞳が俺をジッと見るつめる。完全に、俺様にガチ惚れだ。
「もうね、アインが助けてくれなかったら、私の純潔が汚されていたのよぉ! もっとギュッとしてほしいのよぉ」
金髪ツインテールが風に舞う。北欧の妖精のような可憐な姿。エロリィが小さな体で俺にしがみ付く。
俺もギュッと抱きかかえてやる。柔らかで小さく細い身体。パタパタと「エローエ」がはためく。
吸い込まれそうな神秘的な碧い瞳に俺が映っている。
俺は風をまとい、宙を舞う。美しい許嫁ふたりを抱きかえてだ。
クソ触手ロボは、なにが起きたか分からないと言った感じで、空中で呆然としていた。
まあ、呆然となる機能があればだが。とにかく、次になにをなすべきか、分からん様子だった。
「もうね、アインに抱かれていると我慢できなくなるのよ! チュウして、チュウがいいのぉ」
「あはッ、私も! ねえぇアイン、チュウしたい。いいよね? チュウしても」
「OKだ!」
エロリィとライサが俺に唇を合わせてきた。
ふたりのベロが、ニュルンと俺の口の中に侵入。
前歯をこじ開け、俺の舌に絡んでくる。
ああ、この体温の高さ―― ウネウネと絡みつくベロの使い方…… エロリィだ。
相変わらずのテクニックだ。
ベロが俺の口内蹂躙するかのように動く。俺のベロに絡むとうよいり、締め付けるという感じのパワー。
このパワフルなベロチュウは―― ライサだ。
三人ベロがクネクネと絡み合うのだ。
空中飛行しながらのベロチュウだった。
突き抜けるような蒼空の中、ただお互いの舌を絡め、唾液を混じりあわせ、口を吸いあうのだった。
『なんか、くるわよ』
『ああ――』
サラームが、淡々と脳内で俺に言う。
俺も視界にそれを捉えているのだ。
どごぉぉぉーん!!
頭から突っ込んできた触手ロボ(今は触手なし)に蹴りを入れた。
ベロチュウしたままた。そんなに思いきり蹴飛ばさなかったせいだろうか。
頭が吹っ飛んだだけで、まだ飛んでいた。
『たかがメインカメラがやられただけだ、ってことね――』
首チョンパされたロボを見て、予想通りのセリフを吐くサラーム。
しかし、メインカメラやられるというのは結構大ダメージではないか?
俺はチュポンと唇を離した。
ライサのバラのような色をした唇から、銀色の糸がスッと伸びていく。
エロリィのサクランボのような唇から、銀色の糸がスッと伸びていく。
同時にその糸が、かき消える様に風の中に溶けていった。
フラフラと不安定な状態でとりあえず飛んでいる触手ロボ。
ガクンと落ちていく。
やはりダメージが大きかったのか?
「アイン! アイツ逃げやがった!」
ライサが最初に気付いた。
落ちたと見せかけ、背中に背負っていたロケットみたいなのを噴射した。
パワーダイブだ。
降下して一気に逃走したんだ。
「逃がすかぁ!!」
ギュンと俺も加速する。
左右に抱き抱えた許嫁の長い髪が、後方に流れていく。
ライサの緋色の髪。
エロリィの金髪ツインテール。
そして、俺の黒と銀でシンメトリックに分かれた髪も風の中を舞う。
逃がす気はない。
叩き落してやる。
『いまなら、どんな攻撃だってできるわ。この地上全てを焦土にするパワーがあるわ』
精霊なんだか、それ以外の邪悪なにかなのか、分からんセリフ。
それで、俺は我に返った。
気分はハイテンションだが、ちょっとだけ考える余裕ができた。
さすがに、魔力回路フル回転に慣れてきたのか?
魔力回路から流れ出す膨大な魔力がサラームに供給されている。
そして、今の位置関係。ここで強烈な魔法をぶっ放せば、この島ごと吹っ飛びかねない。
そんなことしたら……
俺の脳裏にメガネで黒髪のお姉様の姿が浮かぶ。当然、おおきなおっぱいもだ。俺専用の俺だけのおっぱい。
『どうしたのよ! 魔力回路の出力が落ちたわ』
俺は魔力の出力を通常状態に戻す。
魔力回路の回転は一個で十分だった。
それでも、エロリィとライサを抱え、空を飛んで攻撃できる。
十分だ。
『アイン、どういうつもりよ?』
『この位置関係でフルパワーの魔法攻撃かましたら、大惨事になるだろうが』
『もう、面白くないわ! せっかく派手な攻撃が出来ると思ったのに』
ブツブツ文句をいう精霊。いいか、攻撃とは相手を倒すことが目的で、大惨事を引き起こすためにやるんじゃないんだぞ。
まあ、この精霊に今さら言っても仕方ないが。
『疾風斬!』
魔力出来た風の刃が吹っ飛ぶ。
命中。
鉄板のような、部品のようなものが切断され吹っ飛ぶ。
触手ロボだったものは、その機能を完全に失い。
石つぶてのように、落下していく。
「やったか」
「さすがなのよ! もうね、アインは最強なのよ」
「あはッ! 私が認めた男だらね。これくらい普通だよね」
再びギュッとしがみ付く、エロリィとライサ。
俺たちは空中にホバリングした。
その残骸が落ちていく先を見やった俺。
「あれ…… なんだあれ?」
俺の視力がそれを捉えた。
全力稼動していた魔力の残滓なのか、遠くまでよく見える。
それは、このイオォールの中央にある山の頂だった。
人工物だ。自然のものじゃない。
「あ、なんだあれ? 砦か?」
「もうね、なにか尖った城?」
ライサとエロリィもそれを見やった。
ふたりには何か分からんようだった。
しかし、俺はそれに似た物を知っている。
「ピラミッドか…… なんで」
山頂には、そう呼ぶしかない構造物が存在していた。
俺の体内に引きこもり中の精霊が言った。
てめぇのネタに付き合っている気分じゃねェ!
触手の生えたロボは、俺のライサと、俺のエロリィを捕えて飛んで行った。
もう、ゴマ粒くらいの大きさじゃねぇか!
「ああん、天成君、女の子は好きな男の子に追いかけて欲しい物なのよ。どうしたのかしら、うふ。アナタは追いかけないの?(ダメよ、これはチャンスかもしれないのよ…… 天成君を私だけのものにする。ううん、ダメ。大人の女として、教師としてそれはダメなの、ああん、ダメよ。しっかりして天成君。いいのよ、行ってもいいの…… 先生を置いてきぼりにしても、ああん)」
ダダ漏れする内面描写と言葉がグチャグチャでコミュニケーション困難な池内真央先生。
しかし、その言葉と内面描写は俺を叱咤しているのだということは辛うじて分かった。
だが、どーすればいい。
「アイン、いいのか? 追わなくて」
エメラルドグリーンの髪をサラサラと風に乗せながらエルフの千葉が言った。
すゲェ気楽な感じで言うんだが。
「あっさり、言うなよ。飛んでんだぞ!」
「飛べばいいだろう。飛べないのか?」
「ん? 俺がか……」
「そうだが」
俺は腕を組んで考えた。記憶を掘り返す。
まてよ、俺は確か衛星軌道上にあるパンゲア城を動かしたよな。
重力を操作してだ……
正確には俺じゃなくて、サラームだが。
あれ?
重力を操れるということは……
俺はもしかして、飛べるのか?
『サラーム』
『なに?』
『俺って飛べるの?』
『アインが信じてくれたら、アナタは空だって飛べるし、湖の水だって飲み干せるわ』
胸を張ったドヤ顔の精霊様が脳裏に浮かぶ。
『飛べ! サラーム! アイツを追え!』
『わかったわ!』
脳内で叫んだ瞬間、凄まじい加速が俺を襲った。
自分が砲弾になって、発射されたような感じだ。
凄まじいGにブラックアウトした。
次の瞬間脳天に凄まじい衝撃があった。
頭蓋骨が粉砕され、脳漿をまき散らしたかと思うほどの衝撃だ。
「あがぁぁぁ!! いえてぇぇ!! なんだ!!」
『あ、この島の結界にぶつかったみたい。結構低いわね』
「てめぇ~ サラァァァァムゥゥ~」
頭が砕けてないか確認する俺。
一応なんともなっていないが……
くそ、まだ痛てぇ。
エロリィがぶち抜いた結界ってぶつかるとこんなに痛いのか。
『アインが急いでいると思ったらから、一気に秒速7.9キロメートルで飛んだのに!』
『それは、第一宇宙速度じゃねぇかぁ! 俺を人工衛星にする気かぁぁ!』
『でも、追いついたわ!』
『あ、マジだ』
確かにいた。
視界内に触手ロボがいた。
聞き覚えのある声まで聞こえる。
「てめぇぇぇ!! ぶち殺すぞぉ! このクソ野郎がぁぁ! 死ねぇ! 殺す!! あああ、変なとこ突っ込むなぁ~」
緋色の髪を振り乱し、ライサが触手相手にもがいていた。
小麦色の肌に滑るようなどす黒い光を放った触手が這いまわっている。
「もうね、アホウなの? バカなの? 死にたいの? いやぁ、あああ、そこはアイン以外ダメな場所なのよぉ!」
金髪インテールが風の中を舞う。その細く小さく可憐な肢体が触手でグルグル巻きになっている。
エローエがめくれあがり、真っ白い肌が、黒い触手と対比をなしていた。
俺の婚約者、ライサとエロリィが触手ロボの触手責めに遭っていた。
叫びも聞こえるし、ウネウネと動く触手の様子が分かる。
つまり、それくらい接近したということだ。
「今、助ける! 疾風斬!」
俺の叫びとともに、空を切り裂き風の刃が吹っ飛ぶ。
触手の根元を切断してやる。
キュイン――
触手ロボが旋回して、俺の魔法をかわしやがった。
昭和の匂いのするデザインのくせに、何だその機動性は?
モノアイっぽい物がついた頭がこっちを向いた。
そして、加速して逃げていく。
『逃がすな! サラーム!』
『分かっているわ!』
俺も加速する。風を切って蒼空を突っ切る。
空気の層が俺の周囲にできているのだろうか。
強烈な風圧は感じないが、風の流れは十分に感じていた。
「アイン! アインなのよ! もうね、私を助けに来たのよ!」
「あはッ、アイン。助けに来たんだ。殺そう! 一緒にコイツぶち殺そう」
ふたりが俺に気付いた。
バタバタと暴れて触手から逃れようとする。
しかし、ウネウネと動く触手がそれを許さない。
ライサのパワーも、ヌルヌルした触手では滑ってどうにもならんみたいだ。
「アインが来たから、遠慮しないのよ!」
エロリィの金髪ツインテールが風の中を流れ、黄金の光をまき散らす。
ピンク色の唇が小さく開いたのが見えた。
「らめぇ~、らめって言っているのぉ、ガツガツしないでぇ~ そんなに奥にドピュドピュ、一気に―― もが、モガもがぁぁぁ!!」
禁呪を唱えようとしたエロリィの口に触手が突っ込まれた。
ウネウネと黒い触手が、俺の婚約者の体内に侵入してやがる!!
くそがぁぁ!! 頭と股間に血液が流れ込む。
「てめぇ、殺すぞ! 全力だ!『サラーム! いくぞ!』」
『いいわ! アイン、殺してやるわ…… でも、あれロボットだから……」
『細かいことを気にするなぁぁ!』
俺は一気に七つの魔力回路を回転させる。通常運航は止めだ。
一気にぶち殺してやる!
尾てい骨から脳天に突き抜けるような力の奔流が流れ出し、全身を駆け巡る。
俺は無敵なり。無敗だ。最強だ。精霊マスタ―・アインザム・ダートリンクに敗北の二文字は無い。
「この、大宇宙超絶スーパ大皇帝になり、全宇宙を支配すべき俺ぇぇ!! いいか! 俺の女に手を出す奴は殺す! ぶち殺す! 破壊する! 一切の慈悲は無い!」
凄まじい万能感。脳内麻薬物質がダダ漏れになって耳から流れドピュドピュと吹き出しそうなくらい気持ちいい。
いいねぇ!
「俺最強感」が脳内でお祭り状態である。
相手が超スローモーションに見える。
なんだ? すぐに追いついたぞ。ひゃはぁぁぁ!!
触手を引きちぎった。魔法を使うまでもない。ブチブチと肉の繊維が切れていく。
トイレットペーパーを引きちぎるより簡単だ。
ライサとエロリィを助け出す。
エロリィの口に食い込んだ、薄汚い触手を引っ張り出した。
彼女たちを左右に抱きかかえ、一回離脱だ。
止めを刺すのは、これからだ。ひゃっはぁぁ!!
「「アイン!」」
ふたりがハモって俺の名を呼ぶ。ああ、気持ちいい。
「もう大丈夫だ! お前たちの良人となる、大宇宙超絶最強の精霊マスターが来たのだぁぁ!アイザム・ダートリンクは無敵なり! 超無敵だ! 敗北の二文字はない!」
密着したふたりの体温が更に俺のテンションを上げていく。気持ちいい。なんか、いい匂いだし。
「あはッ、やっぱ私のアインは最強だよね!」
ライサがそう言ってギュッと俺の首に手を回してきた。当然だ。俺は最強だ。そして、ギュッとされると気持ちいい。
ルビー色の潤んだ瞳が俺をジッと見るつめる。完全に、俺様にガチ惚れだ。
「もうね、アインが助けてくれなかったら、私の純潔が汚されていたのよぉ! もっとギュッとしてほしいのよぉ」
金髪ツインテールが風に舞う。北欧の妖精のような可憐な姿。エロリィが小さな体で俺にしがみ付く。
俺もギュッと抱きかかえてやる。柔らかで小さく細い身体。パタパタと「エローエ」がはためく。
吸い込まれそうな神秘的な碧い瞳に俺が映っている。
俺は風をまとい、宙を舞う。美しい許嫁ふたりを抱きかえてだ。
クソ触手ロボは、なにが起きたか分からないと言った感じで、空中で呆然としていた。
まあ、呆然となる機能があればだが。とにかく、次になにをなすべきか、分からん様子だった。
「もうね、アインに抱かれていると我慢できなくなるのよ! チュウして、チュウがいいのぉ」
「あはッ、私も! ねえぇアイン、チュウしたい。いいよね? チュウしても」
「OKだ!」
エロリィとライサが俺に唇を合わせてきた。
ふたりのベロが、ニュルンと俺の口の中に侵入。
前歯をこじ開け、俺の舌に絡んでくる。
ああ、この体温の高さ―― ウネウネと絡みつくベロの使い方…… エロリィだ。
相変わらずのテクニックだ。
ベロが俺の口内蹂躙するかのように動く。俺のベロに絡むとうよいり、締め付けるという感じのパワー。
このパワフルなベロチュウは―― ライサだ。
三人ベロがクネクネと絡み合うのだ。
空中飛行しながらのベロチュウだった。
突き抜けるような蒼空の中、ただお互いの舌を絡め、唾液を混じりあわせ、口を吸いあうのだった。
『なんか、くるわよ』
『ああ――』
サラームが、淡々と脳内で俺に言う。
俺も視界にそれを捉えているのだ。
どごぉぉぉーん!!
頭から突っ込んできた触手ロボ(今は触手なし)に蹴りを入れた。
ベロチュウしたままた。そんなに思いきり蹴飛ばさなかったせいだろうか。
頭が吹っ飛んだだけで、まだ飛んでいた。
『たかがメインカメラがやられただけだ、ってことね――』
首チョンパされたロボを見て、予想通りのセリフを吐くサラーム。
しかし、メインカメラやられるというのは結構大ダメージではないか?
俺はチュポンと唇を離した。
ライサのバラのような色をした唇から、銀色の糸がスッと伸びていく。
エロリィのサクランボのような唇から、銀色の糸がスッと伸びていく。
同時にその糸が、かき消える様に風の中に溶けていった。
フラフラと不安定な状態でとりあえず飛んでいる触手ロボ。
ガクンと落ちていく。
やはりダメージが大きかったのか?
「アイン! アイツ逃げやがった!」
ライサが最初に気付いた。
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パワーダイブだ。
降下して一気に逃走したんだ。
「逃がすかぁ!!」
ギュンと俺も加速する。
左右に抱き抱えた許嫁の長い髪が、後方に流れていく。
ライサの緋色の髪。
エロリィの金髪ツインテール。
そして、俺の黒と銀でシンメトリックに分かれた髪も風の中を舞う。
逃がす気はない。
叩き落してやる。
『いまなら、どんな攻撃だってできるわ。この地上全てを焦土にするパワーがあるわ』
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それで、俺は我に返った。
気分はハイテンションだが、ちょっとだけ考える余裕ができた。
さすがに、魔力回路フル回転に慣れてきたのか?
魔力回路から流れ出す膨大な魔力がサラームに供給されている。
そして、今の位置関係。ここで強烈な魔法をぶっ放せば、この島ごと吹っ飛びかねない。
そんなことしたら……
俺の脳裏にメガネで黒髪のお姉様の姿が浮かぶ。当然、おおきなおっぱいもだ。俺専用の俺だけのおっぱい。
『どうしたのよ! 魔力回路の出力が落ちたわ』
俺は魔力の出力を通常状態に戻す。
魔力回路の回転は一個で十分だった。
それでも、エロリィとライサを抱え、空を飛んで攻撃できる。
十分だ。
『アイン、どういうつもりよ?』
『この位置関係でフルパワーの魔法攻撃かましたら、大惨事になるだろうが』
『もう、面白くないわ! せっかく派手な攻撃が出来ると思ったのに』
ブツブツ文句をいう精霊。いいか、攻撃とは相手を倒すことが目的で、大惨事を引き起こすためにやるんじゃないんだぞ。
まあ、この精霊に今さら言っても仕方ないが。
『疾風斬!』
魔力出来た風の刃が吹っ飛ぶ。
命中。
鉄板のような、部品のようなものが切断され吹っ飛ぶ。
触手ロボだったものは、その機能を完全に失い。
石つぶてのように、落下していく。
「やったか」
「さすがなのよ! もうね、アインは最強なのよ」
「あはッ! 私が認めた男だらね。これくらい普通だよね」
再びギュッとしがみ付く、エロリィとライサ。
俺たちは空中にホバリングした。
その残骸が落ちていく先を見やった俺。
「あれ…… なんだあれ?」
俺の視力がそれを捉えた。
全力稼動していた魔力の残滓なのか、遠くまでよく見える。
それは、このイオォールの中央にある山の頂だった。
人工物だ。自然のものじゃない。
「あ、なんだあれ? 砦か?」
「もうね、なにか尖った城?」
ライサとエロリィもそれを見やった。
ふたりには何か分からんようだった。
しかし、俺はそれに似た物を知っている。
「ピラミッドか…… なんで」
山頂には、そう呼ぶしかない構造物が存在していた。
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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
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転生王子の異世界無双
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幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
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サイダーボウイ
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アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
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世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
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世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
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