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第六章:禁忌の島とパンゲア王国復興計画
第一〇四話:触手ロボ
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皮膚に火ぶくれが出来るような灼熱の空気。
そいつが、奔流となって叩きつけるように頬に当たる。
「きゃはははは!! 私の超禁呪の前には、全ての者は滅びるしかないのよぉぉ!」
凄まじい閃光と絶叫。
エロリィの放った超禁呪「空間破砕砲」のエネルギーの粒子が光の束となって吹っ飛んで行った。
標的は、昭和の匂いのするメカニカルなモンスター。
ロボットみたいなのだ。
当たる――
そう思った瞬間だった。
ぐにゃん――
そのような音をたてるかのように、エネルギーの奔流が軌道を変えた。つまりひん曲がったのだ。
そのまま突き進み、山の中腹に激突。山腹を丸く削って、中空に消えていく。
「もうね! なんなのよ! なんで曲がるのよ!」
ブルーの瞳を見開き驚きの顔を見せるエロリィ。
今までのエロリィの繰り出した攻撃の中でも最強かもしれない攻撃をあっさり回避した。
まずいな…… コイツ、強いかもしれん。
「畏れ多くもエロリィちゃんの神々しき禁呪のベクトルを変えたのか? 非ユークリッド空間への干渉…… おそらくは空間操作」
エルフの千葉が解説した。なんか難しいことを言いだしているが、どう表現しようと現実は変わらない。
「ああはぁん、魔力に干渉しているのよ、うふ。だから曲がってしまったの(ああん、でも丁度良く曲がっていると、すごく良いところに当たるものなの。まっすくな物よりも、先生は微妙に曲がっている方が好きよ、うふ…… 大人の女ってそういうものなの。ああん、天成君のはどうかしら、いつも右側にポジショニングしているわ。右なの? 右に曲がっているのかしら? どのくらいの角度かしら? もしかして30度? それだと、私の凄く感じるところに当たってしまうわ…… ああん、考えただけでも、ダメになってしまいそう)」
エロすぎるボディを見せつける様にくねる真央先生。
超デカイおっぱいがプルプルと揺れる。裸の方が健全ではないかと思えるエロいボンテージ姿だ。
珍しく、口に出していることは、参考になるのだが、内面描写があまりに酷すぎる。
俺がどっちにポジショニングしているかまで観察してるんですか?
この人外英語教師様は。
ロボットみたいなのは、平然とこちらに向かってくる。結構速い。
「それほど大きくないな……」
「うむ、3メートルほどか」
ビシッとサムズアップするように親指を立て、片目をつぶり大きさを計るエルフの千葉。
確かに、周囲の木とかと比べるとそれくらいか。
「自律型か…… それとも中に人がいるのか…… よく分からんが」
エルフの千葉の言う通りだ。ここからじゃわからん。
相手はクソ錬金術師だ。いってみれば、異世界の「科学者」だろう。
どっちの可能性もある。
ただ、どちらにせよ、ぶち壊せばいい。
「もうね、舐めたマネしてくれるのよ!」
禁呪を曲げらてしまったエロリィが獰猛な笑みを浮かべている。
チョコンとした可愛い八重歯が牙のように見える。
しかし、先生の言っていることが正しいかどうか知らんが、なんらかの方法で魔法を無効化しているのか?
となると、接近戦か……
さっき、究極の接近戦兵器と言っていいライサが吹っ飛ばされて戻ってきたが。
「禁呪の攻撃はきかないかもしれないぞ、エロリィ」
「そんなことないのよ! 天才の禁呪のプリンセス様の攻撃はこの程度じゃないのよぉ!」
再びエロリィの周囲に魔法陣が展開する。
魔力の流れる圧力で、金糸のようなツインテールがハラハラと宙を舞う。
「あはッ! 当たらなきゃどうしようもねぇな! エロロリ姫!」
最初の一撃を吹っ飛ばされたライサだ。
叫ぶようにそう言うと、爆ぜた。突撃開始だった。
右手に握った釘バットをブンブンと振り回す。
夥しい数の敵の血を吸っている釘バットだ。打撃部分は、赤黒く変色している。
「ライサ、あまり突出するな!」
「あはッ! 二度も同じ手を喰らわないから」
俺も魔力回路の出力を上げる。
魔力が指先ににまで流れ込む感触があった。
俺も一気に突き進む。
ライサを追う。
『魔力回路全力運転しないの? 出し惜しみ?』
『違う、全力運転は危なすぎるんだよ!』
サラームが訊いてきたので答える。全部脳内で、一瞬だ。
言葉はイメージになっている。
最近は、意思疎通に言語化が必要かどうかも分からんくらいだ。
俺と精霊・サラームはそれくらい一体になっているのかもしれん。良いのか悪いのか分からんが。
『七つの魔力回路を全力運転した方がいい気がするわ』
『そりゃ、もう最後の手段だ』
俺の体内にある七つの魔力回路。
魔力の薄い、地球で過ごしたせいで、ひとつだけでも桁違いの出力を持つ。
それが、俺には七つある。俺の魔力出力は、それこそ星を破壊しかねないレベルだ。
でもって、あまり魔力を上げ過ぎると、脳内にまで魔力が流れ込むのか、精神が凄まじいアッパーハイとなってしまう。
だから、微妙に出力を調整しなきゃいかん。
魔力回路フル回転は、よほどのことが無いと出来ない。
「おりゃぁぁ!! 死ね! このクソ野郎! 殺してやる! 死ね! ぶち殺す! 殺す! 絶対に殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 死にくさりやがれ!」
大気をプラズマ化させる速度で釘バットが唸りを上げる。
緋色の長い髪が帯電しているかのようにバチバチと音をたて、舞い上がる。
硬質な激突音が響く。鼓膜が痺れるような音。音というより衝撃波か。
ライサの釘バットの一撃だった。
そいつが、ロボットのような物の左腕に激突。
正確にいえば、そいつは左腕を持ち上げ、一撃を受けたのだ。
角ばった左腕の部分は分厚い装甲板が巻きついたような構造になっている。
ボコンとその装甲板が凹んでいた。
「ライサ危ない!」
ロボットモドキの右拳が唸りを上げて、ライサの細いボディ目掛けて吹っ飛んできた。
「ちぃッ!」
それを左の拳で迎撃するライサ。メリケンサック付の拳だ。
金属同士の激突する固く重い音が響いた。
ロボットの右拳が後方に弾かれる。
ライサは体ごと、後退した。
ズサァァーっと足を地面にめり込ませ、轍のような跡を作りながら。
「このクソ野郎が!」
今度は俺だ。魔力回路全開とかいかないが、十分な密度に練り上げた魔力が全身を駆け巡っている。
ひゃはぁぁぁあぁあ!! いいねぇ!
「超絶、無敵! 俺様パンチィィィ!」
ボキ――
変な音がした。俺の手首から、肘からも――
『アイン、手首がと肘が変な風に曲がって、寄〇獣のミ〇ーみたいになっているわ』
「あがががっががががが……」
超イテェ!! 吐き気する。頭が真っ白になりそう。
手の骨が木端微塵に粉砕された感じぃぃぃ。
ぶらーんと俺の右手が垂れ下がる。
もはやピクリとも動かない。
「む、完全脱力か…… すごいな、アイン」
エルフの千葉の声が聞こえた。
違うから。別に「鞭打」出すわけじゃないから。
脱力もくそもなく、粉砕骨折で、力なんかびた一文入らん。
『おおおお、なんとか、なんとかしてくれぇ、サラーム』
『はーい。出し惜しみするからだわ』
回復の水に包まれる俺の腕、痛みが引いていく。しかし、すぐには回復しない。
くそ、回すか。全部まわすか。しらねーぞ。クソが……
俺は、七つの魔力回路を回転させる。
大気から大量の魔素が俺の中に流れ込んでくるのが分かる。
ビリビリと体の奥から重低音の響きが聞こえてくるようだ。
「ああああああああ!!! おおおおお!!! 俺は! 俺はこの宇宙を総べるために生まれてきたのだぁぁ!!」
気分いい! 最高だぁ! 俺は無敵! 俺は最強! 俺は不敗である!
「大宇宙超絶支配大皇帝様になるべく、俺は生きる! あああ、全ての命は俺にひれふせぇぇ!!」
『アイン、出力どんどん上がっているわよ』
やべぇぇぇぇぇ、ちらりとなんか、やな予感がするけどぉぉぉ――
でも、俺は最強だしぃぃぃ!
めまいを起こすような陶酔感。ああ、このまま俺は神になるのではないか?
ガクガクと震え、俺は俺に酔っている。
もう最強だからどうでもいい感じ。ヘブンだ。
デコピンで壊れるじゃね? こんな奴。
俺は陶酔感に浸りきった笑みを浮かべ、ゆるゆるとロボットモドキに接近する。
なんか、警戒しているな?
え、無駄だからなぁぁぁ。もう、俺が宇宙最強、多層次元を総べる初代超絶大宇宙皇帝様になる男なのだだだだだだだだだだだだだだ――
「もうね! 私が先なのよ! アインどくのよ!」
甲高くも可愛い声が響いた。その声で我に返る俺。
やべぇ、また自分を見失うとこだったぁぁぁ!
「私の魔力回路が、コンコン突かれてりゅのぉぉ。らめぇ、そんなにガンガンしゅると、らめなのぉぉ、覚えちゃう、魔素の味を覚えちゃうのぉ。突かないで、そんなに激しいと、魔力回路の形が変になちゃうのぉぉ。私の大事な魔力を作るお部屋なのにぃぃ、あああん、魔素の粒粒まで感じちゃうのぉぉ、出る、出ちゃう、なんか出ちゃうのぉぉ、らめぇぇ、魔力回路をガンガンやられると頭が真っ白になって―― ああああ、そんな奥まで、そんな奥はらめぇぇぇ、熱いのぉォ、熱くて凄いのが来ちゃうのよぉぉ! 魔力の刃なのよぉぉぉぉ!」
荘厳な禁呪の響きが空間を清めていく。
虫の羽音のような「ブーン」という音。
エロリィは両手に剣を握っていた。いや違う。魔力の刃だ。
そうだ、エロリィにはこれがあるのだ。
「禁呪で絞り出した魔力を刃としたものなのよぉ、もうね、これで切り刻んでやるのよぉ」
ただの禁呪使い。つまり「魔法使い」なんかではない。
スカンジナビア拳法の使い手でもある。
接近戦でも超一級品の幼女様なのだ。
はためくエローエ。その隙間から腰のあたりの白い地肌も見えている。
「あはッ! こっちもやってやる! ぶち殺してやる!」
ライサも緋色の髪を風に舞わせ、突っ込んで行く。
両手で釘バットを握り締めている。
突撃の勢いを合わせてフルスイングで勝負する気だ。
カパッとロボットモドキの肩の部分が開いた。
「砲か!」
二本の砲身のようなものが肩から突き出た。
ボンと言う意外に軽い音を立て、なにかが飛び出た。
「もうね! なによこれ! ヌルヌルでねちょねちょしているのよ!」
「なんだこれ! 殺すぞ! てめぇ! ブチ殺すぞ! 殺してやる! 死なす!」
エロリィとライサがジタバタと暴れる。
なんだあれは? 触手?
ロボから触手?
それは、明らかに触手だ。
ヌルヌルのミミズのような色をした触手が大砲のような物からの伸びている。
エロリィの幼くフラットなボディにヌルヌルと触手が絡む。
腕から生じている刃が空しく空を斬っている。
ライサの全身を触手が絡め取っていた。芸術的なラインを持つ腰から胸へのラインをヌルヌルの触手が這いずっていく。
キュッとその細い腰に巻きつき、内またにまで絡みついてやがる。
「疾風斬!!」
俺の叫びとシンクロして、サラームが風の刃を作り発射。
触手を切断だ。根元を狙って一刀両断だ!
しかし、射出した風の刃が軌道を捻じ曲げられた。そのまま、原生林の中に突っ込み、バサバサと木をなぎ倒していく。
「くそ! 魔法は効かないのか!」
俺は、一気に魔力回路のブーストを上げて突っ込む。ハイテンション、アッパーハイでも構わん。
エロリィとライサを助ける。
無事な左手に濃密な魔力を流し込む。一気に突っ込んだ。
「「アイン!」」
触手に絡め取られた二人の許嫁の声がシンクロ。
俺の名を呼んだ。
ボワァァァァァ!!!
「なんだこりゃぁ!」
粉塵が巻き上がった
「と、飛んでいく……」
エルフの千葉が俺の視界に映っている光景をそのまま言葉にしていた。
砲から触手を発射したロボットモドキが飛んでいく。
背中に背負ったロケットのような物で、飛行していた。
触手に俺の二人の許嫁を捕えながら。
「エロリィ!! ライサァァ!!」
蒼空に吸い込まれるように飛んでいくそれを見て、俺は叫んでいた。
俺はまたしても、大事な者を奪われた――
そいつが、奔流となって叩きつけるように頬に当たる。
「きゃはははは!! 私の超禁呪の前には、全ての者は滅びるしかないのよぉぉ!」
凄まじい閃光と絶叫。
エロリィの放った超禁呪「空間破砕砲」のエネルギーの粒子が光の束となって吹っ飛んで行った。
標的は、昭和の匂いのするメカニカルなモンスター。
ロボットみたいなのだ。
当たる――
そう思った瞬間だった。
ぐにゃん――
そのような音をたてるかのように、エネルギーの奔流が軌道を変えた。つまりひん曲がったのだ。
そのまま突き進み、山の中腹に激突。山腹を丸く削って、中空に消えていく。
「もうね! なんなのよ! なんで曲がるのよ!」
ブルーの瞳を見開き驚きの顔を見せるエロリィ。
今までのエロリィの繰り出した攻撃の中でも最強かもしれない攻撃をあっさり回避した。
まずいな…… コイツ、強いかもしれん。
「畏れ多くもエロリィちゃんの神々しき禁呪のベクトルを変えたのか? 非ユークリッド空間への干渉…… おそらくは空間操作」
エルフの千葉が解説した。なんか難しいことを言いだしているが、どう表現しようと現実は変わらない。
「ああはぁん、魔力に干渉しているのよ、うふ。だから曲がってしまったの(ああん、でも丁度良く曲がっていると、すごく良いところに当たるものなの。まっすくな物よりも、先生は微妙に曲がっている方が好きよ、うふ…… 大人の女ってそういうものなの。ああん、天成君のはどうかしら、いつも右側にポジショニングしているわ。右なの? 右に曲がっているのかしら? どのくらいの角度かしら? もしかして30度? それだと、私の凄く感じるところに当たってしまうわ…… ああん、考えただけでも、ダメになってしまいそう)」
エロすぎるボディを見せつける様にくねる真央先生。
超デカイおっぱいがプルプルと揺れる。裸の方が健全ではないかと思えるエロいボンテージ姿だ。
珍しく、口に出していることは、参考になるのだが、内面描写があまりに酷すぎる。
俺がどっちにポジショニングしているかまで観察してるんですか?
この人外英語教師様は。
ロボットみたいなのは、平然とこちらに向かってくる。結構速い。
「それほど大きくないな……」
「うむ、3メートルほどか」
ビシッとサムズアップするように親指を立て、片目をつぶり大きさを計るエルフの千葉。
確かに、周囲の木とかと比べるとそれくらいか。
「自律型か…… それとも中に人がいるのか…… よく分からんが」
エルフの千葉の言う通りだ。ここからじゃわからん。
相手はクソ錬金術師だ。いってみれば、異世界の「科学者」だろう。
どっちの可能性もある。
ただ、どちらにせよ、ぶち壊せばいい。
「もうね、舐めたマネしてくれるのよ!」
禁呪を曲げらてしまったエロリィが獰猛な笑みを浮かべている。
チョコンとした可愛い八重歯が牙のように見える。
しかし、先生の言っていることが正しいかどうか知らんが、なんらかの方法で魔法を無効化しているのか?
となると、接近戦か……
さっき、究極の接近戦兵器と言っていいライサが吹っ飛ばされて戻ってきたが。
「禁呪の攻撃はきかないかもしれないぞ、エロリィ」
「そんなことないのよ! 天才の禁呪のプリンセス様の攻撃はこの程度じゃないのよぉ!」
再びエロリィの周囲に魔法陣が展開する。
魔力の流れる圧力で、金糸のようなツインテールがハラハラと宙を舞う。
「あはッ! 当たらなきゃどうしようもねぇな! エロロリ姫!」
最初の一撃を吹っ飛ばされたライサだ。
叫ぶようにそう言うと、爆ぜた。突撃開始だった。
右手に握った釘バットをブンブンと振り回す。
夥しい数の敵の血を吸っている釘バットだ。打撃部分は、赤黒く変色している。
「ライサ、あまり突出するな!」
「あはッ! 二度も同じ手を喰らわないから」
俺も魔力回路の出力を上げる。
魔力が指先ににまで流れ込む感触があった。
俺も一気に突き進む。
ライサを追う。
『魔力回路全力運転しないの? 出し惜しみ?』
『違う、全力運転は危なすぎるんだよ!』
サラームが訊いてきたので答える。全部脳内で、一瞬だ。
言葉はイメージになっている。
最近は、意思疎通に言語化が必要かどうかも分からんくらいだ。
俺と精霊・サラームはそれくらい一体になっているのかもしれん。良いのか悪いのか分からんが。
『七つの魔力回路を全力運転した方がいい気がするわ』
『そりゃ、もう最後の手段だ』
俺の体内にある七つの魔力回路。
魔力の薄い、地球で過ごしたせいで、ひとつだけでも桁違いの出力を持つ。
それが、俺には七つある。俺の魔力出力は、それこそ星を破壊しかねないレベルだ。
でもって、あまり魔力を上げ過ぎると、脳内にまで魔力が流れ込むのか、精神が凄まじいアッパーハイとなってしまう。
だから、微妙に出力を調整しなきゃいかん。
魔力回路フル回転は、よほどのことが無いと出来ない。
「おりゃぁぁ!! 死ね! このクソ野郎! 殺してやる! 死ね! ぶち殺す! 殺す! 絶対に殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 死にくさりやがれ!」
大気をプラズマ化させる速度で釘バットが唸りを上げる。
緋色の長い髪が帯電しているかのようにバチバチと音をたて、舞い上がる。
硬質な激突音が響く。鼓膜が痺れるような音。音というより衝撃波か。
ライサの釘バットの一撃だった。
そいつが、ロボットのような物の左腕に激突。
正確にいえば、そいつは左腕を持ち上げ、一撃を受けたのだ。
角ばった左腕の部分は分厚い装甲板が巻きついたような構造になっている。
ボコンとその装甲板が凹んでいた。
「ライサ危ない!」
ロボットモドキの右拳が唸りを上げて、ライサの細いボディ目掛けて吹っ飛んできた。
「ちぃッ!」
それを左の拳で迎撃するライサ。メリケンサック付の拳だ。
金属同士の激突する固く重い音が響いた。
ロボットの右拳が後方に弾かれる。
ライサは体ごと、後退した。
ズサァァーっと足を地面にめり込ませ、轍のような跡を作りながら。
「このクソ野郎が!」
今度は俺だ。魔力回路全開とかいかないが、十分な密度に練り上げた魔力が全身を駆け巡っている。
ひゃはぁぁぁあぁあ!! いいねぇ!
「超絶、無敵! 俺様パンチィィィ!」
ボキ――
変な音がした。俺の手首から、肘からも――
『アイン、手首がと肘が変な風に曲がって、寄〇獣のミ〇ーみたいになっているわ』
「あがががっががががが……」
超イテェ!! 吐き気する。頭が真っ白になりそう。
手の骨が木端微塵に粉砕された感じぃぃぃ。
ぶらーんと俺の右手が垂れ下がる。
もはやピクリとも動かない。
「む、完全脱力か…… すごいな、アイン」
エルフの千葉の声が聞こえた。
違うから。別に「鞭打」出すわけじゃないから。
脱力もくそもなく、粉砕骨折で、力なんかびた一文入らん。
『おおおお、なんとか、なんとかしてくれぇ、サラーム』
『はーい。出し惜しみするからだわ』
回復の水に包まれる俺の腕、痛みが引いていく。しかし、すぐには回復しない。
くそ、回すか。全部まわすか。しらねーぞ。クソが……
俺は、七つの魔力回路を回転させる。
大気から大量の魔素が俺の中に流れ込んでくるのが分かる。
ビリビリと体の奥から重低音の響きが聞こえてくるようだ。
「ああああああああ!!! おおおおお!!! 俺は! 俺はこの宇宙を総べるために生まれてきたのだぁぁ!!」
気分いい! 最高だぁ! 俺は無敵! 俺は最強! 俺は不敗である!
「大宇宙超絶支配大皇帝様になるべく、俺は生きる! あああ、全ての命は俺にひれふせぇぇ!!」
『アイン、出力どんどん上がっているわよ』
やべぇぇぇぇぇ、ちらりとなんか、やな予感がするけどぉぉぉ――
でも、俺は最強だしぃぃぃ!
めまいを起こすような陶酔感。ああ、このまま俺は神になるのではないか?
ガクガクと震え、俺は俺に酔っている。
もう最強だからどうでもいい感じ。ヘブンだ。
デコピンで壊れるじゃね? こんな奴。
俺は陶酔感に浸りきった笑みを浮かべ、ゆるゆるとロボットモドキに接近する。
なんか、警戒しているな?
え、無駄だからなぁぁぁ。もう、俺が宇宙最強、多層次元を総べる初代超絶大宇宙皇帝様になる男なのだだだだだだだだだだだだだだ――
「もうね! 私が先なのよ! アインどくのよ!」
甲高くも可愛い声が響いた。その声で我に返る俺。
やべぇ、また自分を見失うとこだったぁぁぁ!
「私の魔力回路が、コンコン突かれてりゅのぉぉ。らめぇ、そんなにガンガンしゅると、らめなのぉぉ、覚えちゃう、魔素の味を覚えちゃうのぉ。突かないで、そんなに激しいと、魔力回路の形が変になちゃうのぉぉ。私の大事な魔力を作るお部屋なのにぃぃ、あああん、魔素の粒粒まで感じちゃうのぉぉ、出る、出ちゃう、なんか出ちゃうのぉぉ、らめぇぇ、魔力回路をガンガンやられると頭が真っ白になって―― ああああ、そんな奥まで、そんな奥はらめぇぇぇ、熱いのぉォ、熱くて凄いのが来ちゃうのよぉぉ! 魔力の刃なのよぉぉぉぉ!」
荘厳な禁呪の響きが空間を清めていく。
虫の羽音のような「ブーン」という音。
エロリィは両手に剣を握っていた。いや違う。魔力の刃だ。
そうだ、エロリィにはこれがあるのだ。
「禁呪で絞り出した魔力を刃としたものなのよぉ、もうね、これで切り刻んでやるのよぉ」
ただの禁呪使い。つまり「魔法使い」なんかではない。
スカンジナビア拳法の使い手でもある。
接近戦でも超一級品の幼女様なのだ。
はためくエローエ。その隙間から腰のあたりの白い地肌も見えている。
「あはッ! こっちもやってやる! ぶち殺してやる!」
ライサも緋色の髪を風に舞わせ、突っ込んで行く。
両手で釘バットを握り締めている。
突撃の勢いを合わせてフルスイングで勝負する気だ。
カパッとロボットモドキの肩の部分が開いた。
「砲か!」
二本の砲身のようなものが肩から突き出た。
ボンと言う意外に軽い音を立て、なにかが飛び出た。
「もうね! なによこれ! ヌルヌルでねちょねちょしているのよ!」
「なんだこれ! 殺すぞ! てめぇ! ブチ殺すぞ! 殺してやる! 死なす!」
エロリィとライサがジタバタと暴れる。
なんだあれは? 触手?
ロボから触手?
それは、明らかに触手だ。
ヌルヌルのミミズのような色をした触手が大砲のような物からの伸びている。
エロリィの幼くフラットなボディにヌルヌルと触手が絡む。
腕から生じている刃が空しく空を斬っている。
ライサの全身を触手が絡め取っていた。芸術的なラインを持つ腰から胸へのラインをヌルヌルの触手が這いずっていく。
キュッとその細い腰に巻きつき、内またにまで絡みついてやがる。
「疾風斬!!」
俺の叫びとシンクロして、サラームが風の刃を作り発射。
触手を切断だ。根元を狙って一刀両断だ!
しかし、射出した風の刃が軌道を捻じ曲げられた。そのまま、原生林の中に突っ込み、バサバサと木をなぎ倒していく。
「くそ! 魔法は効かないのか!」
俺は、一気に魔力回路のブーストを上げて突っ込む。ハイテンション、アッパーハイでも構わん。
エロリィとライサを助ける。
無事な左手に濃密な魔力を流し込む。一気に突っ込んだ。
「「アイン!」」
触手に絡め取られた二人の許嫁の声がシンクロ。
俺の名を呼んだ。
ボワァァァァァ!!!
「なんだこりゃぁ!」
粉塵が巻き上がった
「と、飛んでいく……」
エルフの千葉が俺の視界に映っている光景をそのまま言葉にしていた。
砲から触手を発射したロボットモドキが飛んでいく。
背中に背負ったロケットのような物で、飛行していた。
触手に俺の二人の許嫁を捕えながら。
「エロリィ!! ライサァァ!!」
蒼空に吸い込まれるように飛んでいくそれを見て、俺は叫んでいた。
俺はまたしても、大事な者を奪われた――
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転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
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ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
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(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
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魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
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