黒銀の精霊マスター ~ニートの俺が撃たれて死んだら異世界に転生した~

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第五章:第二次ノンケ狩り戦争

第八七話:託された大剣「覇王神剣ドラゴンザバッシュ」

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 俺の叫びが響く。
 呪文の名前なんか適当だ。
 俺のイメージを掴んだサラームが魔力を使い物理干渉する。
 ヲタ精霊は俺のイメージを正確につかむ。

 超轟雷――
 
 こいつは、俺が赤ん坊の時にサラームが最初に見せた魔法のパワーアップ版だ。
 ああ、あの時、俺はシャラートの背負われていたんだ……
 ふと、頭によぎる。

 ドォォォォォーン。
 空気を振動が暴力になるレベルの音が響く。
 塔の壁の一部が吹っ飛んだ。構わない。

 凄まじい閃光が走っている。
 ガチホモだ。轟音と閃光の嵐(テンペスト)焼かれちまえ。

『わはは! すごいわアイン! 100兆ボルトね! サンダ〇ブレイクや、マッ〇コレダーを超えたわ』
『俺はグレートマ〇ンガーやレッド〇ンより強いんだよ!』
『言うわねアイン、でも――』
『分かってる、「俺たち」だな』

 俺とサラームが脳内で会話している最中。
 ガチホモ王は100兆ボルトの電撃に包まれていた。
 もはや、一撃で肉がはじけ細胞までバラバラになるレベルの攻撃のはずだ。

「ぬがぁぁぁ~ なんという強力なビリビリプレイなんだぁぁ!! 洒落にならんぞ、アイン!!」

 光りが治まる中、黒焦げになりながらもガチホモ王は言い放った。
 全身がブスブスと焼け焦げてた。焦げ臭い匂いが電撃で派生したオゾンに混ざって流れ出す。
 
 これでも死なないのかよ……
 ただ、さすがに100兆ボルトは、それなりに堪(こた)えたろう?
 手足にはめ込んでいるガチホモ王四天王の肉体の方がまず崩れ始めていた。

「五身合体ガチホモⅤ(ふぁいぶ)がここまでやられるとは…… 想定外かよ」

 バリトンの無駄にいい声でくだらないことを言う。
 ガチホモ王は、四天王と合体してパワーアップしている。
 しかし、肉体の強度がガチホモ王とはやはり違うようだ。

 俺の攻撃を見てライサが一気に突っ込む。
 残像を置いていく緋色の弾丸だ。床が砕け瓦礫が舞い上がる。
 
「おらぁぁぁ!! ぶち殺してやる! ぶっ殺す! 死ね! 死ね! 殺すぞぉォぉ!!」

 ライサは吠えた。
 その口元から牙のような犬歯が見える。
 竜巻(トルネード)のように振りまわす釘バット。
 超音速を超え、もはやローレンツ収縮が実感できるレベルの速度に達する。

 圧倒的な速度が質量を増加させ、天文学的破壊力を持つ一撃が振り下ろされた。

 ガチホモの脳天目掛けてだ。
 音と表現できない衝撃波が発生した。
 血飛沫が上がる。

「死ねよ! このド畜生が! あはははっ!」

 獰猛な笑みを浮かべ、横殴りに2撃を放った。
 唸る釘バット。
 しかし、そいつがガチホモ王の股間の槍で止められた。

「この牝ブタがぁぁ!!」

 どでかい拳が唸りを上げて、迫ってくる。

「死ね! ド畜生がぉぉ! ぶち殺すぞ! シネッェェェェ!!」

 ガチホモ王の拳とライサの釘バットが交錯する。
 ガチホモ王の拳がライサの細いからだに吸い込まれた。
 ライサの渾身の釘バットの一撃がガチホモ王の脳天を襲った。

 どごぁぁぁーー

 塔までビリビリと揺らす激突。
 凄まじいパワーの衝突だった。

 相撃ちだ。
 吹っ飛ぶライサ。まだぶち抜けていない天井にぶち当たり跳ねかえって、床に叩きつけられた。
 それでも立ち上がるライサ。

「ぺっ」

 床に唾を吐いた。どろりとした血の混じった唾だ。
 その手には釘バットが無かった。

 それは、ガチホモ王の脳天に食い込んだままだった。
 1本も髪もない尖った頭が変形し、フタコブラクダの背中のようになっていた。
 その谷間に釘バットがあった。
 ピューピューと血が吹きだしていた。

 しかもだ――

『これ、私日本で見たことあるわ』
『ああ、そうだな』

 ハゲの巨大な頭部は半分体にめり込んで、首が無くなっている。
 亀というか――
 日本でよく見た、徳利セーターで口まで隠したある手術のCMみたいになっていた。

「アハハハハ! 今のアンタの頭よりアインの方が逞しいよ! ね、アイン」

「キャハハハハハ! もうね、その頭あり得ないのよぉ! アインの方が一つ上の男なのよぉ!」

 ライサとエロリィが爆笑する。指さして。

「むぉぉぉぉぉ! この牝ブタどもがぁ!」

 バリトンボイスがこもった感じになる。
 口が完全に胴体の中にめり込んでるからだ。

「もうね、アンタは禁呪で殺すのよぉ!」
 
 笑い止むと獰猛な視線をガチホモに送る。
 碧い双眸からの突き刺すような視線だ。

「ああん、そんな硬いのでコンコンしないでぇ。らめなのぉ、刺さっちゃう。本当はダメな場所に刺さって入ってきちゃうのぉ。きちゃうのぉ。魔力回路中の大事なお部屋をコンコンしないでぇぇ~ あああぁ、直接ドピュドピュされたら、デキちゃうのぉォ~ らめぇ、デキちゃうぅぅ。ああ、硬いし、熱いのがコンコンくるのよぉ~。私の魔力回路の大事なお部屋に魔法が出来ちゃうのぉぉ。あ、あ、あ、あ、壊れちゃうのよぉォ、ああ、来ちゃうのぉぉ。硬すぎなのぉ。中を上がってくるのよぉォ、すごく熱いのよぉォーー!! なんか来る。すごいのがくるぅぅ~。いくぅぅぅ~」

 エロリィは禁呪を唱える。俺の魔力を注がれているので、魔素から魔力への変換工程がない。圧縮された禁呪だった。

 禁呪の詠唱が終わった瞬間。
 無数の鋼の矢のような物が出現した。
 ガチホモを中心にドーム状に出現。
 その鋭い切っ先をガチホモ王に、向けていた。
 一気にそれが降ってきた。
 鋭い切っ先を持った集中豪雨だった。

「むぅぅ! これはぁ!」

「キャハハハハ!! 死ぬのよ。ガチホモ!」

 禁呪が産みだした切っ先が一気ガチホモ王の肉体を貫く。
 まるでサボテンのようになっていく。

 それを見てライサが突っ込んだ。
 思い切り右のストレートだ。
 その拳にはメリケンサックが握られている。

 ライサはガチホモ王の胴体の真ん中にぶち込んだ。
 細い腕から信じられないようなパワーだ。
 ガチホモ王の体が浮き上がる。一気に巨体が天井に大のたたきつけられた。
 そして、床に落下。轟音。
 瓦礫と粉じんが舞いあがる。

 サボテン状態のままでぶっ飛ばされたガチホモ王。
 エロリィの禁呪の放った矢は金属に見えるが魔力作られたものようだ。
 サボテンのようになったガチホモ王を殴ったライサはなんともなってない。

「まだ、立ち上がるのか」

 俺はゆっくりと立ち上がるガチホモ王をみやった。

 頭が胴体に食い込み、体はハリセンボン状態。
 そして俺の魔法で、ほとんど丸焦げの状態だ。
 見た目はウェルダンになっているが、まだミディアムくらいか。

「アインをお嫁さんにするまで、俺は負けないのだぁ。アインをお嫁さんにしてガチホモのアダムとイブになるのだ。そこは永遠の禁断の王国なのだ」

 完全に開ききった瞳孔で俺を見つめる。くぐもったバリトンボイスが響く。
 俺が呪文を唱えようとしたときだった。

 ドン――

 巨大な鉄塊が俺の前に突き立った。

「覇王神剣ドラゴンザバッシュ――」

 オヤジの剣だ。

 割れた天井の一部からオヤジが顔を出していた。

「こっちはもう終わった。とにかく王族を連れて帰る。まあ、生きてた奴全員だけどな。パンゲア城に連れて帰る」

 親父は言った。
 つーかパンゲア城は今は、徒歩圏内だ。

「オヤジこれは……」

「そいつ、使うか、アイン。貸してやってもいいぜ」

 俺は覇王神剣ドラゴンザバッシュに手を伸ばした。
 それを掴む。
 まるで、ずっと使っていた剣のような気がした。

「いいぜ、オヤジ。ちょっと借りる」

 俺はその鉄塊のような大剣を持ち上げた。
 構えた、いや、剣が構えを教えてくれたような気がした。
 俺の七つの魔力回路に呼応しているような感じだった。

 大剣の無言の言葉が俺の心に流れてくるような感じだ。圧倒的なパワーが感じられた。

 覇王神剣ドラゴンザバッシュにはめ込まれている。柄の部分の大きな玉が黄金色に輝き出した。

 あれ? 他にも玉を入れる場所があるな……
 俺はドラゴンザバッシュを見て思った。大きな珠の周囲に玉をハメ込む場所があった。
 オヤジの手入れが悪いのか……
 そんな風に思った。

 手に取った覇王神剣ドラゴンザバシュが俺の魂に何かを伸ばしてきたような気がした。

「この覇王神剣ドラゴンザバッシュ魔力を流し込める」
 
 膨大な魔力流し込める――
 なんだ、この剣は……
 しかし。
 俺はその柄強く握りこんだ。

「アインよぉぉ! 俺のお嫁さんにならぬなら、殺す!」

 ガチホモ王がむき出しの殺意を露わにした。
 殺意の色を帯びたくぐもったバリトンボイス。
 爆風の様な殺意の奔流が空間に流れ込む。
 真正面から俺はそれを受ける。

 まだ立ち上がり、その力を見せつける。

 強い――
 どうしようもないド変態だが、その強さは今までに経験したことが無い。

「もうね! しつこいのよぉ!」

 金色のツインテールを揺らし、エロリィが叫ぶ。

「あはッ! まだやるか、殺してやる。ぶち殺してやる。死でも死んでも殺してやる」

 緋色の髪をなびかせ、ライサが吼えた。

「ガチホモ――」

 俺は覇王神剣ドラゴンザバッシュの切っ先をガチホモに向けた。

「アインよ―― 俺の物にならぬのか……」

 俺は「ふぅぅ」と息を吸った。
 エロリィの薄い胸が呼吸で膨らむ。
 ライサが大きく息を吸い込み、獰猛な笑みを浮かべる。

「「「ぶち殺すぞガチホモ!!!」」」

 俺とエロリィとライサの叫びが響き渡った。
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