62 / 122
第五章:第二次ノンケ狩り戦争
第六二話:アナル・ガン! アナル弾!
しおりを挟む
仲間の死体の中でガクガクと震えるガチホモ。
上半身裸の筋肉質。大胸筋がプルプル震えていた。
「パ…… パンゲアの悪魔どもめ……」
それでも命乞いはしなかった。
「あはッ! コイツを殺したら、アインと一晩だかんな! 独り占めして色々やってやるぅぅ~」
ライサが緋色の髪を揺らしながら言った。凶悪な釘バットはいつでもフルスイングの準備完了だ。
そのルビーの瞳がヤバいことになっている。瞳孔が完全に開いてやがる。
「きゃはははははははは!! もうね、殺すのよ! コイツ殺して、私がアインと一緒に寝るのよぉぉ!」
エロリィも完全にアヘ顔から復帰。全身から魔力光を滾らせ、殺気ムンムンだった。
北欧の美の女神を土下座させるその美貌が、鋭い殺意に彩られている。
シャラートが無言で横にスッと動いた。
その間合いを嫌うように、ライサが同じく横に動く。
それを見て、エロリィも動いた。
お互いがお互いをけん制しているのだ。
もし、ガチホモ攻撃に出た場合、その隙を他の二人に狙われる可能性があるのだ。
だから、三人ともガチホモに攻撃ができないでいた。
また、シャラートが横に動いた。油断なくチャクラムを構える。
その切れ長の目が、ふっと長いまつ毛で影をつくった。
他の二人も間合いを維持するかのように、横に動く。
まるで、椅子取りゲームのような状況がそこに出現していた。
シャラートが俺の正面に移動してきた。
俺と目があった。
黒い瞳が俺を見つめる。脳を痺れさせるような視線。
中身はともかく、その美しさは完ぺきに近い。
「アインが! アイン! なんですか! そんなところでいきなり脱ぎだすなんて!」
ビシッと俺を指さし、シャラート絶叫。
俺脱いでねーよ!
なにそれ?
「あはッ! なんだってぇ!」
「もうね、アインが脱いだの!?」
キュンとライサとエロリィの視線が俺に集まる。
しかし、俺は呆然とするだけ。だって脱いでないし。
「ああん~ 天成君たら、こんなとこで脱ぎだすなんて、大人の私を誘っているのかしら?(あああ、ダメよ。その若い男の子の自分の肉体を見せつけて、この私を落とそうというのね…… ダメよ。もう、先生は28歳ですもの、男の裸くらいでドキドキしないわ…… ああん、ダメよ! ダメっていっているのよ! 天成君! ああん、うふ)」
俺が服を着ていることを目の前で確認しているにもかかわらず、先生は暴走。
「チャーンス! やはり、アインの遺伝子は私が独占です!」
斬れるような笑みを浮かべシャラートが、チャクラムを投げつけた。
外れる距離じゃない。
シャラートは、暗殺者だけに、どんな手段を使っても相手を殺しにかかる。
俺が脱いだという嘘で、ライサとエロリィの注意を削いだのだ。
しかし――
「キンッ!」と高い音を響かせ、チャクラムが弾き飛ばされていた。
「――!!」
声にならない声を上げ、シャラートが戦闘態勢に入った。
シュンと、移動する。
その瞬間、今までシャラートのいた場所になにかが次々と着弾していた。
「ヒュン――」というなにかが風を切る音が聞こえた。
ライサが釘バットを振るった。
「カツン」という音がして、釘バットになにかが突き刺さっていた。
「なんだこれ?」
ライサがそれを抜き取った。
黒く尖ったいわゆる円錐形のなにかだ。
ソフトクリームのコーンのような形だ。
「これは、アナル弾ですな。これを放つガチホモがまだいたのですか」
セバスチャンが解説を開始した。
なんだよ、アナル弾って?
いや、訊かないから。絶対に訊かない。
どうせ、ロクでもないし。
聞くと心と耳が穢れること100パーだよ。
「ライサ、すぐ捨てた方がいい。後、手を洗おう」
俺はキョトンとしているライサに言った。
「あはッ! なんかヌルヌルしているよ、これ?」
ライサはそう言って、その「アナル弾」という奴を俺に向かって持ってきた。
いや、それいらないから。絶対にいらないから。
「絶対に捨てて、今すぐ捨てて、早く」
ヒュン―― ヒュン――
更に風を切る音が響いた。
『アイン、危ない! 疾風刃!』
サラームが叫んで、魔法を発動。
俺が適当に名前をつけた風による切断魔法だ。
俺目がけて飛んできたらしい「アナル弾」は俺の目前で切り刻まれた。空中でだ。
細かい破片が飛びちって、ピチピチと顔に当たった。
確かに、なんかヌルヌルした感じが残っている。
「ぺッ! 口の中入った! クソ! ぺッ!」
細かい破片となったせいで、口の中に破片が入ってきやがった。
くそ、名前からして嫌な予感しかしないものが、口の中に入ってきやがった。
最悪だ。
『サラーム。もう少し丁寧な仕事しろよ。雑だよ』
『なんで? 防いだんだからいいじゃない!』
『まあ、それはありがたいけどさ……』
精霊のサラームは俺の中に引きこもっている。
やはり、俺を失って、外に出るのは恐ろしいのだろう。
俺の守りはかなり固い。
「もうね、いったいなんなのよ、これは?」
エロリィが言った。すでに、残ったガチホモを殺す競争をしている場合ではなかった。
新たなガチホモがやってきているんだ。
どこにいる?
「ほう…… 私のアナル弾を、回避するとはやりますね」
すっと1万人がバトルできる大広間の上の方に人影が見えた。
ちょうど、体育館の壁にある廊下みたいなところだった。
壁の影からすっと全身を現した男。
やはり、正真正銘のガチホモ。
黒い革バンドが乳首を隠しているだけの上半身裸。
下は真っ黒い革製のふんどしを締めている。
そのふんどしの後ろの方から、ホースのような物が伸びている。
そんで、そのホースの先を手に握っているわけだよ。
ホースの根元がどこに突っ込まれているのか、想像したくねーよ。
「私はガチホモ四天王の1人、アナール・ドゥーン。『アナル・ガン』の使い手です――」
「ほう、アナル・ガンの使い手がまだいたのですか」
淡々と会話に割り込むセバスチャン。止めろよてめぇ。
「キュン」と風を切ってチャクラムが飛んだ。
シャラートだ。そうだ、そんな会話聞く必要ない、殺してしまえ。
キンッ!
凶悪な光を放ち、あらゆるものを切断するシャラートのチャクラムが撃ち落とされた。
カラカラと音をたて、地面に落ちて転がる。
「私のチャクラムを……」
シャラートは、突き刺すような視線をガチホモ四天王と名乗ったアナール・ドゥーンに向けた。
ホースのような「アナル・ガン」とかいう物から、ヌルヌルの粘液みたいなのが垂れている。
「もうね、なんなのよ! 『アナル・ガン』とか『アナル弾』って!」
「エロリィ! いいから、スルーしよう! 頼む!」
「そうですな―― 『アナル・ガン』それは呪われた武器なのです」
そんな俺の声を無視して、淡々と語り出すセバスチャン。
「『第一次ノンケ狩り戦争』後、ガチ※ホモ王国の敗戦、そしてバラゾック条約により所有が禁止された禁忌の武器――」
「ほう…… 少しは物の分かる者がいるようですね」
ガチムチの男。アナール・ドゥーンと名乗った男は、ふわりと舞い降りてきた。
どうみても体重120~130Kgはありそうなのに、その重さを感じさせない動きだった。
いつもだったら、敵を見れば無条件で飛びかかる、狂犬のようなライサが、警戒して間合いを開けた。
彼女の殲滅兵器としての勘が、危険のシグナルを出しているのだろう。
「『アナル・ガン』は直腸内に挿入された、『アナル弾』を括約筋の圧力で撃ちだすものです。過剰な腸液の分泌、そして恐るべき、括約筋の力が必要となります」
セバスチャンの話はやはりろくでもなかった。
さっき、俺の口の中に入ったの、ガチホモの「腸液」ついてたの?
俺死ぬよ。そんなの聞いたら、精神的に死ぬから。
もう、吐きたいんだけど。
「アイン~!! やだぁぁぁ!! 水! 水出してよぉ! 手洗いたい!!」
緋色の髪の美少女が俺に泣きついてきた。
俺も泣きたいんだけど。そっちは手だよね。こっちは飲んじゃったよ。破片だけど。
『サラーム! とにかく水だ!』
『はーい! いいわよ』
空中に水球が出来た。
俺はそこから水を手でとって口をゆすぐ。うがいもする。
ああ、少し気分が楽になった。
ライサは必死で手を洗っていた。
なんか、泣きそうな顔になっているんだけど。
普段、血まみれになっているけど、やはりガチホモの腸液は嫌だよな。絶対にやだよ。
「しかし、アナル弾は、弾込に時間がかかるもの…… 連発など、聞いたことがありませんな」
セバスチャンが棒読みで言った。もう、その話題いいから。
「フッ―― 所詮は、前の戦争の理解の域を出ませんか。技術は日々進歩するのです。今や、この直腸には30発の『アナル弾』が装填されています」
ふわりと自分の前髪を払って、アナールが言った。
「さらに、私の腸液の滑りは、通常のガチホモの3倍なのです。本気を出せば、この『アナル弾』を初速700メートル/秒で撃ちだせます。毎分600発のレートで……」
「むぅ…… それは、まるであの零戦に搭載された『九九式二〇粍二号機銃並み…… いや、口径を考えると、『五式三十粍固定機銃』クラスということか……」
エルフの千葉が、「アナル・ガン」のスペックに反応する。
どうして、こう軍ヲタとは役にたたないことを、こんなに覚えているのか……
しかし、ガチホモの腸液にまみれた、「アナル弾」こんなとこまき散らされたらかなわない。
『なあ、サラーム、コイツ殺そう! このガチホモ』
セバスチャンも亡き者にしたかったが、ここは目撃者が多すぎた。
『えー、せっかく面白いんだから、もう少し見て見たいわ! アイン、そんなに簡単に殺そうとか、良くないわ! 精霊として忠告するわ! 命は大事なのよ!』
『てめぇ、どの口でいいやがる!』
いつもは、殺すことになんの躊躇もない精霊様が、「面白い」という理由で殺すのを拒否。
お前はいつもそうだな。
この、羽虫が。
まあ、いいこっちは最強許嫁軍団もいるのだ。ガチホモ1人程度、どうということはない。
「クソがぁぁ!! ぶち殺してやるぅぅ!! その存在を、この世から消してやるぅぅ! 殺す! 殺す! ぶち殺す! ここで、死なす! このガチホモのド畜生がぁぁぁ!!」
手を洗い終わったライサが、釘バットを構えた。当然、メリケンサックも装着済だ。
チンピラゴロツキの武器を持った、超絶美少女殺戮兵器だ。
「殺します―― まず、どこを切り落として欲しいですか? リクエストを4回まで聞きます。5回目は首ですけどね――」
チャクラムを構え直し、ゆらゆらと気配を空気の中に溶けこませていくシャラート。
陽炎のように、存在が希薄になってくる。やはり、生粋の暗殺者だ。
「もうね、アンタ丸焦げ決定なのよぉ! 1000億万度の業火で焼いてやるのよぉぉ!」
エロリィの周囲から魔力光が湧きあがる。
更に、広げた両腕にリングのような魔法陣が展開。それが回転を始めた。
「いやいや、これは怖い、お嬢さんたちです…… しかし――」
フッとアナールが笑みを浮かべた。
よくみると、結構整った顔をしてやがる。まあ、俺ほどではないが。
「逃げちゃいましたけど、いいのですか?」
「あはッ?」
「ん~?」
「もうね、なによ?」
ライサとシャラートとエロリィがキョトンとした顔になる。
「ほら、ブロンズ兵がいなくなってしまいましたね。あれを殺す競争をしていたのでは?」
ニヤニヤと笑みを顔に張りつけ、アナールは言った。
「あびゃーーす!! もうね、アンタたちが余計なことするから、もうね!!」
エロリィがパンパンと足で地面を踏み鳴らす。まさに、地団太を踏むという言葉をリアルで再現。
「クソがぁぁ!! じゃあ、このガチホモ殺した方が勝ちでいいだろ!」
「しかし…… お義母様、先ほどの競争は――」
シャラートがルサーナに振り返って訊いた。
「先ほどの競争は、1万人を全滅した場合に適用します。この四天王は別です」
凛とした声で、目の前のガチホモ四天王は、俺の一晩独占権競争の対象外であると宣言。
「では、そういうことで、今のところは、顔見世でいいしょう―― いずれ、アナタたちが上がってきたら、お相手する時が来るかもしれません…… フッ」
ガチホモ四天王、アナール・ドゥーンは地面に向かって、アナルガンを連射した。
その反動で、飛びあがる。
高い通路に手をかけて、ふわりとたった。
「では、今回はここまでです」
「あ~ あ~ アインとの一晩が~ 遺伝子がぁ…… ああ、もう……」
シャラートが「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ」言いだした。
もはや、そこにいたのは、暗殺者ではなく、発情モードに入った一人のサイコ気味の痴女だった。
上半身裸の筋肉質。大胸筋がプルプル震えていた。
「パ…… パンゲアの悪魔どもめ……」
それでも命乞いはしなかった。
「あはッ! コイツを殺したら、アインと一晩だかんな! 独り占めして色々やってやるぅぅ~」
ライサが緋色の髪を揺らしながら言った。凶悪な釘バットはいつでもフルスイングの準備完了だ。
そのルビーの瞳がヤバいことになっている。瞳孔が完全に開いてやがる。
「きゃはははははははは!! もうね、殺すのよ! コイツ殺して、私がアインと一緒に寝るのよぉぉ!」
エロリィも完全にアヘ顔から復帰。全身から魔力光を滾らせ、殺気ムンムンだった。
北欧の美の女神を土下座させるその美貌が、鋭い殺意に彩られている。
シャラートが無言で横にスッと動いた。
その間合いを嫌うように、ライサが同じく横に動く。
それを見て、エロリィも動いた。
お互いがお互いをけん制しているのだ。
もし、ガチホモ攻撃に出た場合、その隙を他の二人に狙われる可能性があるのだ。
だから、三人ともガチホモに攻撃ができないでいた。
また、シャラートが横に動いた。油断なくチャクラムを構える。
その切れ長の目が、ふっと長いまつ毛で影をつくった。
他の二人も間合いを維持するかのように、横に動く。
まるで、椅子取りゲームのような状況がそこに出現していた。
シャラートが俺の正面に移動してきた。
俺と目があった。
黒い瞳が俺を見つめる。脳を痺れさせるような視線。
中身はともかく、その美しさは完ぺきに近い。
「アインが! アイン! なんですか! そんなところでいきなり脱ぎだすなんて!」
ビシッと俺を指さし、シャラート絶叫。
俺脱いでねーよ!
なにそれ?
「あはッ! なんだってぇ!」
「もうね、アインが脱いだの!?」
キュンとライサとエロリィの視線が俺に集まる。
しかし、俺は呆然とするだけ。だって脱いでないし。
「ああん~ 天成君たら、こんなとこで脱ぎだすなんて、大人の私を誘っているのかしら?(あああ、ダメよ。その若い男の子の自分の肉体を見せつけて、この私を落とそうというのね…… ダメよ。もう、先生は28歳ですもの、男の裸くらいでドキドキしないわ…… ああん、ダメよ! ダメっていっているのよ! 天成君! ああん、うふ)」
俺が服を着ていることを目の前で確認しているにもかかわらず、先生は暴走。
「チャーンス! やはり、アインの遺伝子は私が独占です!」
斬れるような笑みを浮かべシャラートが、チャクラムを投げつけた。
外れる距離じゃない。
シャラートは、暗殺者だけに、どんな手段を使っても相手を殺しにかかる。
俺が脱いだという嘘で、ライサとエロリィの注意を削いだのだ。
しかし――
「キンッ!」と高い音を響かせ、チャクラムが弾き飛ばされていた。
「――!!」
声にならない声を上げ、シャラートが戦闘態勢に入った。
シュンと、移動する。
その瞬間、今までシャラートのいた場所になにかが次々と着弾していた。
「ヒュン――」というなにかが風を切る音が聞こえた。
ライサが釘バットを振るった。
「カツン」という音がして、釘バットになにかが突き刺さっていた。
「なんだこれ?」
ライサがそれを抜き取った。
黒く尖ったいわゆる円錐形のなにかだ。
ソフトクリームのコーンのような形だ。
「これは、アナル弾ですな。これを放つガチホモがまだいたのですか」
セバスチャンが解説を開始した。
なんだよ、アナル弾って?
いや、訊かないから。絶対に訊かない。
どうせ、ロクでもないし。
聞くと心と耳が穢れること100パーだよ。
「ライサ、すぐ捨てた方がいい。後、手を洗おう」
俺はキョトンとしているライサに言った。
「あはッ! なんかヌルヌルしているよ、これ?」
ライサはそう言って、その「アナル弾」という奴を俺に向かって持ってきた。
いや、それいらないから。絶対にいらないから。
「絶対に捨てて、今すぐ捨てて、早く」
ヒュン―― ヒュン――
更に風を切る音が響いた。
『アイン、危ない! 疾風刃!』
サラームが叫んで、魔法を発動。
俺が適当に名前をつけた風による切断魔法だ。
俺目がけて飛んできたらしい「アナル弾」は俺の目前で切り刻まれた。空中でだ。
細かい破片が飛びちって、ピチピチと顔に当たった。
確かに、なんかヌルヌルした感じが残っている。
「ぺッ! 口の中入った! クソ! ぺッ!」
細かい破片となったせいで、口の中に破片が入ってきやがった。
くそ、名前からして嫌な予感しかしないものが、口の中に入ってきやがった。
最悪だ。
『サラーム。もう少し丁寧な仕事しろよ。雑だよ』
『なんで? 防いだんだからいいじゃない!』
『まあ、それはありがたいけどさ……』
精霊のサラームは俺の中に引きこもっている。
やはり、俺を失って、外に出るのは恐ろしいのだろう。
俺の守りはかなり固い。
「もうね、いったいなんなのよ、これは?」
エロリィが言った。すでに、残ったガチホモを殺す競争をしている場合ではなかった。
新たなガチホモがやってきているんだ。
どこにいる?
「ほう…… 私のアナル弾を、回避するとはやりますね」
すっと1万人がバトルできる大広間の上の方に人影が見えた。
ちょうど、体育館の壁にある廊下みたいなところだった。
壁の影からすっと全身を現した男。
やはり、正真正銘のガチホモ。
黒い革バンドが乳首を隠しているだけの上半身裸。
下は真っ黒い革製のふんどしを締めている。
そのふんどしの後ろの方から、ホースのような物が伸びている。
そんで、そのホースの先を手に握っているわけだよ。
ホースの根元がどこに突っ込まれているのか、想像したくねーよ。
「私はガチホモ四天王の1人、アナール・ドゥーン。『アナル・ガン』の使い手です――」
「ほう、アナル・ガンの使い手がまだいたのですか」
淡々と会話に割り込むセバスチャン。止めろよてめぇ。
「キュン」と風を切ってチャクラムが飛んだ。
シャラートだ。そうだ、そんな会話聞く必要ない、殺してしまえ。
キンッ!
凶悪な光を放ち、あらゆるものを切断するシャラートのチャクラムが撃ち落とされた。
カラカラと音をたて、地面に落ちて転がる。
「私のチャクラムを……」
シャラートは、突き刺すような視線をガチホモ四天王と名乗ったアナール・ドゥーンに向けた。
ホースのような「アナル・ガン」とかいう物から、ヌルヌルの粘液みたいなのが垂れている。
「もうね、なんなのよ! 『アナル・ガン』とか『アナル弾』って!」
「エロリィ! いいから、スルーしよう! 頼む!」
「そうですな―― 『アナル・ガン』それは呪われた武器なのです」
そんな俺の声を無視して、淡々と語り出すセバスチャン。
「『第一次ノンケ狩り戦争』後、ガチ※ホモ王国の敗戦、そしてバラゾック条約により所有が禁止された禁忌の武器――」
「ほう…… 少しは物の分かる者がいるようですね」
ガチムチの男。アナール・ドゥーンと名乗った男は、ふわりと舞い降りてきた。
どうみても体重120~130Kgはありそうなのに、その重さを感じさせない動きだった。
いつもだったら、敵を見れば無条件で飛びかかる、狂犬のようなライサが、警戒して間合いを開けた。
彼女の殲滅兵器としての勘が、危険のシグナルを出しているのだろう。
「『アナル・ガン』は直腸内に挿入された、『アナル弾』を括約筋の圧力で撃ちだすものです。過剰な腸液の分泌、そして恐るべき、括約筋の力が必要となります」
セバスチャンの話はやはりろくでもなかった。
さっき、俺の口の中に入ったの、ガチホモの「腸液」ついてたの?
俺死ぬよ。そんなの聞いたら、精神的に死ぬから。
もう、吐きたいんだけど。
「アイン~!! やだぁぁぁ!! 水! 水出してよぉ! 手洗いたい!!」
緋色の髪の美少女が俺に泣きついてきた。
俺も泣きたいんだけど。そっちは手だよね。こっちは飲んじゃったよ。破片だけど。
『サラーム! とにかく水だ!』
『はーい! いいわよ』
空中に水球が出来た。
俺はそこから水を手でとって口をゆすぐ。うがいもする。
ああ、少し気分が楽になった。
ライサは必死で手を洗っていた。
なんか、泣きそうな顔になっているんだけど。
普段、血まみれになっているけど、やはりガチホモの腸液は嫌だよな。絶対にやだよ。
「しかし、アナル弾は、弾込に時間がかかるもの…… 連発など、聞いたことがありませんな」
セバスチャンが棒読みで言った。もう、その話題いいから。
「フッ―― 所詮は、前の戦争の理解の域を出ませんか。技術は日々進歩するのです。今や、この直腸には30発の『アナル弾』が装填されています」
ふわりと自分の前髪を払って、アナールが言った。
「さらに、私の腸液の滑りは、通常のガチホモの3倍なのです。本気を出せば、この『アナル弾』を初速700メートル/秒で撃ちだせます。毎分600発のレートで……」
「むぅ…… それは、まるであの零戦に搭載された『九九式二〇粍二号機銃並み…… いや、口径を考えると、『五式三十粍固定機銃』クラスということか……」
エルフの千葉が、「アナル・ガン」のスペックに反応する。
どうして、こう軍ヲタとは役にたたないことを、こんなに覚えているのか……
しかし、ガチホモの腸液にまみれた、「アナル弾」こんなとこまき散らされたらかなわない。
『なあ、サラーム、コイツ殺そう! このガチホモ』
セバスチャンも亡き者にしたかったが、ここは目撃者が多すぎた。
『えー、せっかく面白いんだから、もう少し見て見たいわ! アイン、そんなに簡単に殺そうとか、良くないわ! 精霊として忠告するわ! 命は大事なのよ!』
『てめぇ、どの口でいいやがる!』
いつもは、殺すことになんの躊躇もない精霊様が、「面白い」という理由で殺すのを拒否。
お前はいつもそうだな。
この、羽虫が。
まあ、いいこっちは最強許嫁軍団もいるのだ。ガチホモ1人程度、どうということはない。
「クソがぁぁ!! ぶち殺してやるぅぅ!! その存在を、この世から消してやるぅぅ! 殺す! 殺す! ぶち殺す! ここで、死なす! このガチホモのド畜生がぁぁぁ!!」
手を洗い終わったライサが、釘バットを構えた。当然、メリケンサックも装着済だ。
チンピラゴロツキの武器を持った、超絶美少女殺戮兵器だ。
「殺します―― まず、どこを切り落として欲しいですか? リクエストを4回まで聞きます。5回目は首ですけどね――」
チャクラムを構え直し、ゆらゆらと気配を空気の中に溶けこませていくシャラート。
陽炎のように、存在が希薄になってくる。やはり、生粋の暗殺者だ。
「もうね、アンタ丸焦げ決定なのよぉ! 1000億万度の業火で焼いてやるのよぉぉ!」
エロリィの周囲から魔力光が湧きあがる。
更に、広げた両腕にリングのような魔法陣が展開。それが回転を始めた。
「いやいや、これは怖い、お嬢さんたちです…… しかし――」
フッとアナールが笑みを浮かべた。
よくみると、結構整った顔をしてやがる。まあ、俺ほどではないが。
「逃げちゃいましたけど、いいのですか?」
「あはッ?」
「ん~?」
「もうね、なによ?」
ライサとシャラートとエロリィがキョトンとした顔になる。
「ほら、ブロンズ兵がいなくなってしまいましたね。あれを殺す競争をしていたのでは?」
ニヤニヤと笑みを顔に張りつけ、アナールは言った。
「あびゃーーす!! もうね、アンタたちが余計なことするから、もうね!!」
エロリィがパンパンと足で地面を踏み鳴らす。まさに、地団太を踏むという言葉をリアルで再現。
「クソがぁぁ!! じゃあ、このガチホモ殺した方が勝ちでいいだろ!」
「しかし…… お義母様、先ほどの競争は――」
シャラートがルサーナに振り返って訊いた。
「先ほどの競争は、1万人を全滅した場合に適用します。この四天王は別です」
凛とした声で、目の前のガチホモ四天王は、俺の一晩独占権競争の対象外であると宣言。
「では、そういうことで、今のところは、顔見世でいいしょう―― いずれ、アナタたちが上がってきたら、お相手する時が来るかもしれません…… フッ」
ガチホモ四天王、アナール・ドゥーンは地面に向かって、アナルガンを連射した。
その反動で、飛びあがる。
高い通路に手をかけて、ふわりとたった。
「では、今回はここまでです」
「あ~ あ~ アインとの一晩が~ 遺伝子がぁ…… ああ、もう……」
シャラートが「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ」言いだした。
もはや、そこにいたのは、暗殺者ではなく、発情モードに入った一人のサイコ気味の痴女だった。
0
お気に入りに追加
684
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる