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第五章:第二次ノンケ狩り戦争
第五四話:ガチホモどもよ…… 俺の婚約者の恐ろしさに震えて死ね
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俺はガチホモ城を見つめた。これ以上ないくらい、嫌な表情。
どす黒い城は、淫猥な造形で天に挑んでいる。絡んだ蔦が、パンパンの血管に見える。
この罰当たりな造形は、どうにかして欲しいというか、関わり合いになりたくないんだけど。
「アイン、これより我等、パンゲア王国&同盟国の特別攻撃隊が殴り込みを仕掛ける」
エメラルドグリーンの髪をたなびかせ、エルフの千葉がその言葉を吐きだしていた。
すでに、陽光は大きく西に傾き、その色を濃いオレンジ色に変えていた。
エルフの長い髪とコントラストをなす、その光景はまるで一葉の絵画の様であった。
ただ、額に巻いた旭日の鉢巻が、異世界の幻想を木端微塵に粉砕していた。
『いよいよだわ! ホモの聖地だわ! アイン、楽しみよね!』
ウキウキとしたサラームの声が響く。俺にしか聞こえない精霊の声だ。
『なあ、この城も一気に、でかい魔法で吹き飛ばさねーか? 『ラマーズ砲』でもなんでもいいから』
『最強の武器を手に入れたからといって、それに溺れるのはよくないわ。人類を破滅の淵の追いやった過ちを繰り返す愚考だわ』
『しらねーよ! てめぇは、ホモが見たいだけだろ! この腐れ羽虫が!』
『羽虫じゃないわ! 精霊王になるのよ! ガチホモ城、突撃だわ! それしかないわ』
『アホウか! 死よりも恐ろしい事態が待っているのが明白だろ! 魔法で一気に駆除だ!』
長さ200センチで太さ20センチのガチホモの槍だぞ。
おまけに、刺されたら、ガチホモ転生だ。
誰が行くか! そもそも俺は…… あ!
『いやだわ! 絶対行くわ!』
『いや、俺はいかないで済みそうだな! サラーム~」
『え! なんで?』
「千葉! その特攻隊メンバーは、どうなっている?」
俺は、沈みゆく陽の中の幻想空間で、美しさを際立たせているエルフに訊いた。
中身は男子高校生であるが、外見だけは飛び抜けて美しい。
すっと繊細な四肢を伸ばし、舞うように歩くその姿は、とても元が特濃ヲタの千葉とは思えない。
鉢巻きに書かれた「大和魂」というロゴがかろうじて、このエルフの精神性を現していた。
「うむ、まずは私を含めた、婚約者メンバーの4人、アインと父君、母君、そしてセバスチャンと先生だな」
「ちょっと待て! その人選、色々問題あるだろ!」
無茶苦茶なこと言いやがる、つーか、なんで作戦をこのエルフが仕切ってんの?
いや、普通に聞いてしまった俺も大概だとは思うけど。
まず、俺は問題外だろ?
もはや、数少ない王位継承権を持つ人間だよ。どーすんの? 死んだり、ガチホモ転生したら、パンゲア王国終わりだよ?
「アイン様は、現時点では、王位継承権をお持ちになっておりません――」
まるで、俺の考えを呼んだかのように、淡々とした声が背後から聞こえた。
慣れた。セバスチャンだった。
「なにそれ? 俺、王位継承権持ってないの?」
「いえ、正確には少し違います。王位継承権を持つ権利をもっていますが、現在は持っておりませんですな」
「なにそれ?」
「正式に、王位継承権を持つためには、王家の試練を受けていただかないとならないのです」
淡々とろくでもないことになりそうなことを言いやがった。この侍従が。
その試練とやらも、どうせろくでもないこと間違いない。
次から次へとろくでもない展開を用意しやがって……
俺は、この世界を作り出した神に殺意を覚えた。
いるのかどうかは知らんが。もし、存在していていたら、いつか叩きのめしてやる。
プルプルと拳の中に、怒りを握りこむ俺であった。
「更に、高貴なる者の義務として、アイン様が突撃メンバーから外れることはありえません」
無表情のまま、有無を言わせぬ調子でセバスチャンが言った。
てめぇをガチホモの餌にして、そこに魔法を叩きこんでやろうかぁぁ~
ビキビキとこめかみの血管が音を立ててやがるぜ。
「アイン! 私の可愛いアイン、アナタは超天才で、可愛いし、精霊を自由に操る、精霊マスターです! 戦力としても欠かせません。ああ、こんな容赦なく、厳しいママを許して!」
ぎゅっと柔らかい物に、俺の頭が包まれた。同時に高速回転のスリスリが炸裂した。俺の頭が、ルサーナのおっぱいでシェイクされる。
「ああん、天成君たら、お母様に甘えてしまって…… うふふ、男の子って、いくつになってもお母様に甘えたいものなのね…… ああ、先生少し妬けてしまうかも(どうしたの、真央。もしかして、この母子の関係に…… ああダメよ! 天成君に限ってそんなこと。でも、もし…… ああ、お母様と禁忌の関係にあったら、私はどうしたらいいのかしら、ああん、混ぜてもらえるのかしら、うふ――)」
もはや、倫理観の欠片もない人外英語教師の内面描写は暴走しっぱなしだった。
どうにも止まらん。つーか、この先生を連れて行ってどーすんだよ? なにを期待してるんだよ先生に?
すっと、ルサーナが俺を離した。そして巨大な穂先を持つ槍を握り、目を細めた。溺愛ママの顔から、「銀髪の竜槍姫」の顔になっている。それは、伝説の救国の英雄の1人の顔であった。
「来ていますね――」
「ああ、来てるな」
すっかり影の薄くなった「雷鳴の勇者」俺のオヤジのシュバインも言った。
巨大な鉄塊のような剣を肩に担いでいる。今までの嫁にぶちのめされ続けた経緯を知らなければ、非常に頼もしく見えるだろう。一応は勇者だ。
まあ、12年の地球暮らしで、魔力回路は錆びつき、一切の魔力が使えなくなっているが。
あんなデカイ剣を持っているところを見ると、身体能力だけは健在のようだ。
音もなく、黒く長い髪が俺の頬にサラサラと当たってきた。いつの間には俺に至近距離に立っているシャラートだった。
吐息がかかる様な距離まで接近。相変わらず、クラクラするようないい匂いがする。
「アイン、敵がいます。気を付けてください――」
シャラートは、俺のことを天才、無敵と持ち上げるわりに、戦闘になると、俺を必死で守ろうとするところがある。
痴女でサイコだけど、おまけに暗殺者だけど。それでも、俺にガチ惚れであるこのお姉様を俺はやはり大好きだった。
その横顔は涼しげでありながら、一切の無駄のない、研ぎ澄まされた美しさがあった。
メガネの黒髪のクールビューティなのだった。
俺専用の大きなおっぱい。俺だけがモミモミできチュウチュウできる至高のおっぱい。
俺の姉にして、婚約者だ。
「もうね! 殺すわよ。アインを狙う奴は、私が殺すのよぉぉ! きゃはははははは!! もうね、殺すしかないのよぉ!」
精神のタガの外れた甲高い笑い声をあげ、金髪ツインテールの美しき禁呪使いが魔力を解放しつつあった。
エロリィ・ロリコーン。俺の婚約者にして、狂気の禁呪使いだった。
その美しく可愛らしいと形容すべき、顔にはド外れた狂気の笑みが浮かんでいた。
そして、どす黒い狂気に犯された甲高い笑い声が響く。
「きゃはははははははは!! 禁呪なのよぉぉ! もうね、禁呪で切り刻んでやるのよぉぉ!」
ブーンと甲高い羽音のようなものがして、エロリィの両手から、青い魔力光の剣が立ち上がる。
魔力でできた剣。それは青白い光を放つ魔力剣だった。
どこから、どうみても幼女なのだが、その身体能力はかなり高い。
「あはッ! 敵だ、敵の気配がするね。殺す? 見つけたらぶっ殺すからね。皆殺しだから! ああ、殺したい。ねえ、アイン、早く殺したいよ! 死ね! ブチ殺す、殺してやる! ド畜生がぁぁぁ!! 皆殺しだ! ガチホモどもがぁぁぁ!!」
緋色の髪をした美少女打撃兵器が、敵を察知し、破壊スイッチがオンになったようだった。
ビリビリとした殺気が空間に漏れ出してくる。
彼女の存在する空間が帯電し、バチバチと音とを立てて放電を開始しそうな雰囲気だった。
ニィィーと口の端を釣り上げ、獰猛な笑みを浮かべている。牙をむいた美しき捕食獣だった。
俺の許嫁にして、ナグール王国の姫。生成した魔力を使用し、全身の身体能力を驚異的に上昇させる。ノンストップの超絶美少女兵器だ。
「ああ、殺したい。早く、皆殺しにしたい。あああ、殺す、ブチコロス、殺すんだ! 死ねぇぇぇ!」
殺意を溢れさせながら、両こぶしのメリケンサックを握りこむ。
さらに、赤黒く染まった釘バットを構える。
彼女はゆっくりと周囲を警戒するように見つめている――
「いたぁぁぁ!! いたぞ! ガチホモがぁぁ!! 殺す! ぶち殺してやる! 殺すぞ! ド畜生が! 死ね! 死ねぇぇぇ!!」
緋色の少女が咆哮した。ビリビリと天を振るわせる咆哮。
その叫びを置き去りにする、音速を超えるダッシュ。
土煙を残し、吹っ飛ぶように彼方に飛んで行った。
まさしくそれは、緋色の弾丸だった。
敵に死と恐怖を叩きこむ、美しき死の女神の姿であったかもしれない。
「ライサ!!」
俺の叫びなど聞こえるわけがない。
長い緋色の髪の尾を引き、ブンブンと釘バットを振り回しながら、音速の突撃を敢行する。
「殺してやる! ガチホモがぁぁあ!! 死ねぇぇぇ!! 殺す! 殺す! ぶち殺す!! クソ、ガチホモどもがぁぁぁ!!」
ヒュンと風を舞って、シャラートが後を追った。更に、エロリィも突撃だった。
「殺します。ガチホモは殺します―― アインと私の愛の邪魔なのです――」
「キャハハハハはは! もうね、天才で美しい、プリセスの禁呪なのよぉぉ! 皆殺しにしてあげるのぉぉぉ!」
シャラートはその両手にチャクラム。
エロリィは全身から、眩い魔力光を放っている。
俺の恐怖の許嫁3人だ。一騎当千どころじゃない。
地獄の始まりだった。
ガチホモたちは、俺の婚約者という地獄の蓋を開けてしまったのだ。
もう後悔してもそれは遅いのであった。
俺は、突撃する3人の美しい婚約者たちを見つめていた。
死ねガチホモ――
俺の許嫁の恐怖を味わって、死ね。
俺たちとガチ※ホモ王国戦いは、なし崩しに開始されたのであった。
どす黒い城は、淫猥な造形で天に挑んでいる。絡んだ蔦が、パンパンの血管に見える。
この罰当たりな造形は、どうにかして欲しいというか、関わり合いになりたくないんだけど。
「アイン、これより我等、パンゲア王国&同盟国の特別攻撃隊が殴り込みを仕掛ける」
エメラルドグリーンの髪をたなびかせ、エルフの千葉がその言葉を吐きだしていた。
すでに、陽光は大きく西に傾き、その色を濃いオレンジ色に変えていた。
エルフの長い髪とコントラストをなす、その光景はまるで一葉の絵画の様であった。
ただ、額に巻いた旭日の鉢巻が、異世界の幻想を木端微塵に粉砕していた。
『いよいよだわ! ホモの聖地だわ! アイン、楽しみよね!』
ウキウキとしたサラームの声が響く。俺にしか聞こえない精霊の声だ。
『なあ、この城も一気に、でかい魔法で吹き飛ばさねーか? 『ラマーズ砲』でもなんでもいいから』
『最強の武器を手に入れたからといって、それに溺れるのはよくないわ。人類を破滅の淵の追いやった過ちを繰り返す愚考だわ』
『しらねーよ! てめぇは、ホモが見たいだけだろ! この腐れ羽虫が!』
『羽虫じゃないわ! 精霊王になるのよ! ガチホモ城、突撃だわ! それしかないわ』
『アホウか! 死よりも恐ろしい事態が待っているのが明白だろ! 魔法で一気に駆除だ!』
長さ200センチで太さ20センチのガチホモの槍だぞ。
おまけに、刺されたら、ガチホモ転生だ。
誰が行くか! そもそも俺は…… あ!
『いやだわ! 絶対行くわ!』
『いや、俺はいかないで済みそうだな! サラーム~」
『え! なんで?』
「千葉! その特攻隊メンバーは、どうなっている?」
俺は、沈みゆく陽の中の幻想空間で、美しさを際立たせているエルフに訊いた。
中身は男子高校生であるが、外見だけは飛び抜けて美しい。
すっと繊細な四肢を伸ばし、舞うように歩くその姿は、とても元が特濃ヲタの千葉とは思えない。
鉢巻きに書かれた「大和魂」というロゴがかろうじて、このエルフの精神性を現していた。
「うむ、まずは私を含めた、婚約者メンバーの4人、アインと父君、母君、そしてセバスチャンと先生だな」
「ちょっと待て! その人選、色々問題あるだろ!」
無茶苦茶なこと言いやがる、つーか、なんで作戦をこのエルフが仕切ってんの?
いや、普通に聞いてしまった俺も大概だとは思うけど。
まず、俺は問題外だろ?
もはや、数少ない王位継承権を持つ人間だよ。どーすんの? 死んだり、ガチホモ転生したら、パンゲア王国終わりだよ?
「アイン様は、現時点では、王位継承権をお持ちになっておりません――」
まるで、俺の考えを呼んだかのように、淡々とした声が背後から聞こえた。
慣れた。セバスチャンだった。
「なにそれ? 俺、王位継承権持ってないの?」
「いえ、正確には少し違います。王位継承権を持つ権利をもっていますが、現在は持っておりませんですな」
「なにそれ?」
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その試練とやらも、どうせろくでもないこと間違いない。
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いるのかどうかは知らんが。もし、存在していていたら、いつか叩きのめしてやる。
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「更に、高貴なる者の義務として、アイン様が突撃メンバーから外れることはありえません」
無表情のまま、有無を言わせぬ調子でセバスチャンが言った。
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ビキビキとこめかみの血管が音を立ててやがるぜ。
「アイン! 私の可愛いアイン、アナタは超天才で、可愛いし、精霊を自由に操る、精霊マスターです! 戦力としても欠かせません。ああ、こんな容赦なく、厳しいママを許して!」
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「ああん、天成君たら、お母様に甘えてしまって…… うふふ、男の子って、いくつになってもお母様に甘えたいものなのね…… ああ、先生少し妬けてしまうかも(どうしたの、真央。もしかして、この母子の関係に…… ああダメよ! 天成君に限ってそんなこと。でも、もし…… ああ、お母様と禁忌の関係にあったら、私はどうしたらいいのかしら、ああん、混ぜてもらえるのかしら、うふ――)」
もはや、倫理観の欠片もない人外英語教師の内面描写は暴走しっぱなしだった。
どうにも止まらん。つーか、この先生を連れて行ってどーすんだよ? なにを期待してるんだよ先生に?
すっと、ルサーナが俺を離した。そして巨大な穂先を持つ槍を握り、目を細めた。溺愛ママの顔から、「銀髪の竜槍姫」の顔になっている。それは、伝説の救国の英雄の1人の顔であった。
「来ていますね――」
「ああ、来てるな」
すっかり影の薄くなった「雷鳴の勇者」俺のオヤジのシュバインも言った。
巨大な鉄塊のような剣を肩に担いでいる。今までの嫁にぶちのめされ続けた経緯を知らなければ、非常に頼もしく見えるだろう。一応は勇者だ。
まあ、12年の地球暮らしで、魔力回路は錆びつき、一切の魔力が使えなくなっているが。
あんなデカイ剣を持っているところを見ると、身体能力だけは健在のようだ。
音もなく、黒く長い髪が俺の頬にサラサラと当たってきた。いつの間には俺に至近距離に立っているシャラートだった。
吐息がかかる様な距離まで接近。相変わらず、クラクラするようないい匂いがする。
「アイン、敵がいます。気を付けてください――」
シャラートは、俺のことを天才、無敵と持ち上げるわりに、戦闘になると、俺を必死で守ろうとするところがある。
痴女でサイコだけど、おまけに暗殺者だけど。それでも、俺にガチ惚れであるこのお姉様を俺はやはり大好きだった。
その横顔は涼しげでありながら、一切の無駄のない、研ぎ澄まされた美しさがあった。
メガネの黒髪のクールビューティなのだった。
俺専用の大きなおっぱい。俺だけがモミモミできチュウチュウできる至高のおっぱい。
俺の姉にして、婚約者だ。
「もうね! 殺すわよ。アインを狙う奴は、私が殺すのよぉぉ! きゃはははははは!! もうね、殺すしかないのよぉ!」
精神のタガの外れた甲高い笑い声をあげ、金髪ツインテールの美しき禁呪使いが魔力を解放しつつあった。
エロリィ・ロリコーン。俺の婚約者にして、狂気の禁呪使いだった。
その美しく可愛らしいと形容すべき、顔にはド外れた狂気の笑みが浮かんでいた。
そして、どす黒い狂気に犯された甲高い笑い声が響く。
「きゃはははははははは!! 禁呪なのよぉぉ! もうね、禁呪で切り刻んでやるのよぉぉ!」
ブーンと甲高い羽音のようなものがして、エロリィの両手から、青い魔力光の剣が立ち上がる。
魔力でできた剣。それは青白い光を放つ魔力剣だった。
どこから、どうみても幼女なのだが、その身体能力はかなり高い。
「あはッ! 敵だ、敵の気配がするね。殺す? 見つけたらぶっ殺すからね。皆殺しだから! ああ、殺したい。ねえ、アイン、早く殺したいよ! 死ね! ブチ殺す、殺してやる! ド畜生がぁぁぁ!! 皆殺しだ! ガチホモどもがぁぁぁ!!」
緋色の髪をした美少女打撃兵器が、敵を察知し、破壊スイッチがオンになったようだった。
ビリビリとした殺気が空間に漏れ出してくる。
彼女の存在する空間が帯電し、バチバチと音とを立てて放電を開始しそうな雰囲気だった。
ニィィーと口の端を釣り上げ、獰猛な笑みを浮かべている。牙をむいた美しき捕食獣だった。
俺の許嫁にして、ナグール王国の姫。生成した魔力を使用し、全身の身体能力を驚異的に上昇させる。ノンストップの超絶美少女兵器だ。
「ああ、殺したい。早く、皆殺しにしたい。あああ、殺す、ブチコロス、殺すんだ! 死ねぇぇぇ!」
殺意を溢れさせながら、両こぶしのメリケンサックを握りこむ。
さらに、赤黒く染まった釘バットを構える。
彼女はゆっくりと周囲を警戒するように見つめている――
「いたぁぁぁ!! いたぞ! ガチホモがぁぁ!! 殺す! ぶち殺してやる! 殺すぞ! ド畜生が! 死ね! 死ねぇぇぇ!!」
緋色の少女が咆哮した。ビリビリと天を振るわせる咆哮。
その叫びを置き去りにする、音速を超えるダッシュ。
土煙を残し、吹っ飛ぶように彼方に飛んで行った。
まさしくそれは、緋色の弾丸だった。
敵に死と恐怖を叩きこむ、美しき死の女神の姿であったかもしれない。
「ライサ!!」
俺の叫びなど聞こえるわけがない。
長い緋色の髪の尾を引き、ブンブンと釘バットを振り回しながら、音速の突撃を敢行する。
「殺してやる! ガチホモがぁぁあ!! 死ねぇぇぇ!! 殺す! 殺す! ぶち殺す!! クソ、ガチホモどもがぁぁぁ!!」
ヒュンと風を舞って、シャラートが後を追った。更に、エロリィも突撃だった。
「殺します。ガチホモは殺します―― アインと私の愛の邪魔なのです――」
「キャハハハハはは! もうね、天才で美しい、プリセスの禁呪なのよぉぉ! 皆殺しにしてあげるのぉぉぉ!」
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エロリィは全身から、眩い魔力光を放っている。
俺の恐怖の許嫁3人だ。一騎当千どころじゃない。
地獄の始まりだった。
ガチホモたちは、俺の婚約者という地獄の蓋を開けてしまったのだ。
もう後悔してもそれは遅いのであった。
俺は、突撃する3人の美しい婚約者たちを見つめていた。
死ねガチホモ――
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