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四章 〜原作突入〜
九十四話 『相談』
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――ここで一つ、水瀬美月のことを紹介しておこう。
水瀬美月は優しく、穏やかな性格。容姿は整っており、黒髪のロングヘアーで、清楚な印象を与える女の子だ。
気遣いが出来るし、優しいし、可愛いし。……うん。非の打ち所がない女の子だ。
しかし、そんな彼女にも欠点はある。それは……とても嫉妬深いことである。今はそうでもないけども、昔はかなり酷かったし。
「透華様……ご相談があるのですが……少し、お時間よろしいですか……?」
不安げに瞳を揺らし、上目遣いで私を見る美月さん。……この前のことも結局相談内容のことを聞けてないのは、少し気がかりだったし。
「ええ。勿論、ですわ。……それで、相談とはなんですの?」
私は美月さんに問いかける。すると、彼女はおずおずと口を開いた。
「その……透華様と一緒にバイトしている颯斗くんのことなんですけど……」
颯斗くんのこと?美月さん、颯斗くんのことが気になるのかしら? 私は少し不思議に思いつつも、美月さんの話に耳を傾ける。
「美穂さんにも相談していたんです。美穂さんからは〝大丈夫ですよ。颯斗は水瀬さんのこと好きですよ〟と言って貰えましたし、美穂さんにもそう言われたのですが……」
んん?いまいち相談内容が把握できない。私が頭に疑問符を浮かべていると、美月さんは続ける。
「それでもやはり、不安は拭えなくて……私、やっぱり……」
……ドクン、と心臓が跳ねる。その先の言葉は予想は出来る。……でもその先の言葉を聞くのが怖い。
私は固唾を呑んで、彼女の言葉に耳を傾ける。そして、美月さんは小さく息を吸い込むと意を決したように口を開いた。
「私、変なんです。颯斗くんといると胸が熱くなるんです」
己の胸に手を当てて、美月さんは言う。……それはもしかしてなくても――
「(恋じゃん)」
紛れもない、恋だと。私は確信した。
……しかし、まさか彼女が恋をするとは……とゆうか、颯斗くんと美月さんってそんなに絡みあったか?原作でも、そんな描写なかったと思うのだが。
これも私が原作とは全く違う行動をしているからなのだろうか。
……なんにせよ、私の行動によって変わったことがあるのは事実だろう。それが良い方向になのか、悪い方向になのかはまだわからないけども。
でも、一つだけ言えることがあるのなら……
「私、美月さんの恋を応援致しますわ!私、友達の恋を応援するのが夢だったんですの!」
「あ、ありがとうございます。透華様……!」
そう言って、美月さんは嬉しそうに微笑む。……そう、私が一つ言えることは……
「(恋する乙女は可愛いわ!)」
ということだけだ。
水瀬美月は優しく、穏やかな性格。容姿は整っており、黒髪のロングヘアーで、清楚な印象を与える女の子だ。
気遣いが出来るし、優しいし、可愛いし。……うん。非の打ち所がない女の子だ。
しかし、そんな彼女にも欠点はある。それは……とても嫉妬深いことである。今はそうでもないけども、昔はかなり酷かったし。
「透華様……ご相談があるのですが……少し、お時間よろしいですか……?」
不安げに瞳を揺らし、上目遣いで私を見る美月さん。……この前のことも結局相談内容のことを聞けてないのは、少し気がかりだったし。
「ええ。勿論、ですわ。……それで、相談とはなんですの?」
私は美月さんに問いかける。すると、彼女はおずおずと口を開いた。
「その……透華様と一緒にバイトしている颯斗くんのことなんですけど……」
颯斗くんのこと?美月さん、颯斗くんのことが気になるのかしら? 私は少し不思議に思いつつも、美月さんの話に耳を傾ける。
「美穂さんにも相談していたんです。美穂さんからは〝大丈夫ですよ。颯斗は水瀬さんのこと好きですよ〟と言って貰えましたし、美穂さんにもそう言われたのですが……」
んん?いまいち相談内容が把握できない。私が頭に疑問符を浮かべていると、美月さんは続ける。
「それでもやはり、不安は拭えなくて……私、やっぱり……」
……ドクン、と心臓が跳ねる。その先の言葉は予想は出来る。……でもその先の言葉を聞くのが怖い。
私は固唾を呑んで、彼女の言葉に耳を傾ける。そして、美月さんは小さく息を吸い込むと意を決したように口を開いた。
「私、変なんです。颯斗くんといると胸が熱くなるんです」
己の胸に手を当てて、美月さんは言う。……それはもしかしてなくても――
「(恋じゃん)」
紛れもない、恋だと。私は確信した。
……しかし、まさか彼女が恋をするとは……とゆうか、颯斗くんと美月さんってそんなに絡みあったか?原作でも、そんな描写なかったと思うのだが。
これも私が原作とは全く違う行動をしているからなのだろうか。
……なんにせよ、私の行動によって変わったことがあるのは事実だろう。それが良い方向になのか、悪い方向になのかはまだわからないけども。
でも、一つだけ言えることがあるのなら……
「私、美月さんの恋を応援致しますわ!私、友達の恋を応援するのが夢だったんですの!」
「あ、ありがとうございます。透華様……!」
そう言って、美月さんは嬉しそうに微笑む。……そう、私が一つ言えることは……
「(恋する乙女は可愛いわ!)」
ということだけだ。
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