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四章 〜原作突入〜
九十三話 『とんでも展開?』
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それから数日が経った。美穂ちゃんは普段通りだけども、王子は様子が違う。チラチラと美穂ちゃんの方を向くことぐらいしかしていない。
積極的に話すこともせずに、ただただ美穂ちゃんを遠目に見ている。これは……イケメンで尚且つ、少女漫画のヒーローだからギリギリ許されるけど……普通だったらキモイ。
イケメンというのはお得。こんなキモイ行為も、イケメンなら許されるのは、少し理不尽だと思うのは私だけなのだろうか……?否、イケメンだからといってなんでも許されるわけが無いだろう。しかし、周りにはそうは見えないらしく。
「伊集院様、放課後になったら、必ず自分の席で黄昏てて……まるで、誰かを待っているようなお姿……尊すぎます……!」
「何を考えてらっしゃるのかしら……気になるわ……!」
「やっぱり伊集院様って格好いいよね……」
と、女子には大人気。でも、私は知っている。あれは王子がただ単に、ヘタレで緊張しているからだと、大声で叫びたいわー……!
「透華さん」
不意に声が聞こえてきた。隣を見ると、そこには華鈴様の姿があった。珍しいこともあるものね。華鈴様が私に声をかけるだなんて……
「何でしょうか?華鈴様。」
首をこてんと傾げて、私は尋ねる。華鈴様は少し言いづらそうにしながらも口を開いた。
「悪いけども、今日のお昼、一緒してくれないかしら」
「え、えぇ……別に構いませんが……」
いきなりのお願いに、私は少し戸惑いながらも了承した。華鈴様が私に頼み事をするなんて初めてだし。しかし、悪いけども……だなんて、華鈴様と一緒にお昼食べることは別に嫌じゃないから、わざわざ悪いだなんて言わなくてもいいのに。
と、思っていると
「あ、白鷺さん、一緒にお昼食べない?」
西園寺の声が聞こえた。西園寺はニコニコと笑っているが、その目は濁って見える。……え?もしかして……いや、もしかしてなくとも私巻き込まれた……?
「悪いけども、今日は透華さんと一緒にお昼食べたいから」
華鈴様は西園寺の言葉に対して、そう返事をした。……華鈴様、もしかして怒ってる?華鈴様の周りに炎を幻視してしまうぐらいには、華鈴様の目はギラギラしていたし、声のトーンも普段より低いし。
「……もしかして昨日のこと怒ってる?」
囁くように、西園寺は言った。それに華鈴様は顔を真っ赤に染めて、西園寺を睨んでいる。これは……あれか?喧嘩か?それとも……
「別に怒ってない」
「激しくしすぎたよね。ごめんね」
そんな言葉にザワつく教室。……ま、まさかのそういう展開?エ、エロ展開ですか?! 私はその衝撃的すぎる展開に、目眩がしそうになった。だってここの世界は仮にも少女漫画の世界だよ?そのうえ、この二人は高校生だよ?……そんなエロ展開……あるわけがない。……あるわけがないんだけども……
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ?!」
何この慌てぶり。これはまさかの、本当にやったのか……?! そんな疑問が浮かんでくる。
「……あ、あの私……美月さんと食べるので……」
「ありがとうね。城ヶ崎さん」
ニッコリと笑う西園寺。そして、華鈴様はびっくりして私を見ているけども……ごめん。流石の私もこの圧には耐えられないよ!
「ち、ちょっと……透華さん??!」
「ほら。行くよ?」
逃がさない、とでも言うかのように西園寺は華鈴様の腕をガシッと掴む。華鈴様は顔を真っ赤に染めて、西園寺を睨んでいるが……なんというか、その目は涙目で、迫力がないというか……
そのままズルズルと引き摺られるようにして歩く華鈴様。それを呆然と見送る私とクラスメート。
華鈴様には悪いことをしたと思っている。……思ってはいるが、あの圧には耐えられないよ!西園寺、怖いもん!あんなのに勝てるわけがないじゃん! 私は華鈴様の無事を祈りつつ、美月さんを誘いお昼を食べた。
積極的に話すこともせずに、ただただ美穂ちゃんを遠目に見ている。これは……イケメンで尚且つ、少女漫画のヒーローだからギリギリ許されるけど……普通だったらキモイ。
イケメンというのはお得。こんなキモイ行為も、イケメンなら許されるのは、少し理不尽だと思うのは私だけなのだろうか……?否、イケメンだからといってなんでも許されるわけが無いだろう。しかし、周りにはそうは見えないらしく。
「伊集院様、放課後になったら、必ず自分の席で黄昏てて……まるで、誰かを待っているようなお姿……尊すぎます……!」
「何を考えてらっしゃるのかしら……気になるわ……!」
「やっぱり伊集院様って格好いいよね……」
と、女子には大人気。でも、私は知っている。あれは王子がただ単に、ヘタレで緊張しているからだと、大声で叫びたいわー……!
「透華さん」
不意に声が聞こえてきた。隣を見ると、そこには華鈴様の姿があった。珍しいこともあるものね。華鈴様が私に声をかけるだなんて……
「何でしょうか?華鈴様。」
首をこてんと傾げて、私は尋ねる。華鈴様は少し言いづらそうにしながらも口を開いた。
「悪いけども、今日のお昼、一緒してくれないかしら」
「え、えぇ……別に構いませんが……」
いきなりのお願いに、私は少し戸惑いながらも了承した。華鈴様が私に頼み事をするなんて初めてだし。しかし、悪いけども……だなんて、華鈴様と一緒にお昼食べることは別に嫌じゃないから、わざわざ悪いだなんて言わなくてもいいのに。
と、思っていると
「あ、白鷺さん、一緒にお昼食べない?」
西園寺の声が聞こえた。西園寺はニコニコと笑っているが、その目は濁って見える。……え?もしかして……いや、もしかしてなくとも私巻き込まれた……?
「悪いけども、今日は透華さんと一緒にお昼食べたいから」
華鈴様は西園寺の言葉に対して、そう返事をした。……華鈴様、もしかして怒ってる?華鈴様の周りに炎を幻視してしまうぐらいには、華鈴様の目はギラギラしていたし、声のトーンも普段より低いし。
「……もしかして昨日のこと怒ってる?」
囁くように、西園寺は言った。それに華鈴様は顔を真っ赤に染めて、西園寺を睨んでいる。これは……あれか?喧嘩か?それとも……
「別に怒ってない」
「激しくしすぎたよね。ごめんね」
そんな言葉にザワつく教室。……ま、まさかのそういう展開?エ、エロ展開ですか?! 私はその衝撃的すぎる展開に、目眩がしそうになった。だってここの世界は仮にも少女漫画の世界だよ?そのうえ、この二人は高校生だよ?……そんなエロ展開……あるわけがない。……あるわけがないんだけども……
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ?!」
何この慌てぶり。これはまさかの、本当にやったのか……?! そんな疑問が浮かんでくる。
「……あ、あの私……美月さんと食べるので……」
「ありがとうね。城ヶ崎さん」
ニッコリと笑う西園寺。そして、華鈴様はびっくりして私を見ているけども……ごめん。流石の私もこの圧には耐えられないよ!
「ち、ちょっと……透華さん??!」
「ほら。行くよ?」
逃がさない、とでも言うかのように西園寺は華鈴様の腕をガシッと掴む。華鈴様は顔を真っ赤に染めて、西園寺を睨んでいるが……なんというか、その目は涙目で、迫力がないというか……
そのままズルズルと引き摺られるようにして歩く華鈴様。それを呆然と見送る私とクラスメート。
華鈴様には悪いことをしたと思っている。……思ってはいるが、あの圧には耐えられないよ!西園寺、怖いもん!あんなのに勝てるわけがないじゃん! 私は華鈴様の無事を祈りつつ、美月さんを誘いお昼を食べた。
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