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四章 〜原作突入〜
九十話 『受験と挨拶』
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瑛太くんは受験で私は期末テスト。どちらも、重要なことなのはそうなのだけれども、大半は受験の方が大切だとそう言うだろう。
それに、瑛太くんが受験するところは私たちが通う白鷺学園。学力的に瑛太くんは厳しいらしく、相当頑張って勉強しているらしい。
なので、私が勉強を教えることになったのだ。
私は美穂ちゃん程の成績ではないし、文系科目ならそこそこできる方だけれど、理系科目は全くできない。なので、今回は現文と古文を中心に教えることになった。
「………本当に今更なんですが……ぼ……俺に勉強を教えてくれて良かったのでしょうか?城ヶ崎さんだって自分の勉強があるでしょう?」
不安そうに私を見つめる瑛太くん。
そんな瑛太くんを見て私は思わず笑ってしまった。そんなこと、瑛太くんが気にする必要はないというのに……。
「気にしないで。期末テストより瑛太くんの受験の方が大切だからね。それが白鷺学園なら尚更よ!私のことはいいから自分のことを優先して」
そう、期末テストでいい結果が残さなくてもまだチャンスはあるけど白鷺学園の受験はたった一回。二回も三回もあるわけじゃない。
落ちたらそこで終わりなんだ。だからこそ、瑛太くんには絶対に合格してほしい。
「………ありがとうございます。でも、城ヶ崎さんの手を煩わせないように頑張ります」
そう言って微笑む瑛太くん。その笑顔はとても可愛くて眩しかったのを確認しながら私は笑みを浮かべた。
△▼△▼
そしてやってきた期末テスト。今回は瑛太くんの受験に力を入れていたので期末テストを疎かにしていた。まぁ、いつも通り平均点ぐらい取れれば良いやと思っている。
「月坂美穂。おはよう」
不意に背後からそんな声が聞こえてくる。……こ、この声は…!
「え……あ、おはようございます。伊集院様……」
戸惑いながらも挨拶をする美穂ちゃんに満足気に頷きその場を去っていく王子。………何だあれ……とみんながそう思ったのだろう。周りにいる人たちが美穂ちゃんの方を向いていた。
そこには嫉妬と憎悪の視線が美穂ちゃんに向いている。
王子……?燃料投下して行くなよ!?フォローか何かはしろよ!!……って思いつつも何も言えないのが辛いところである。
「何あれ……」
「何で月坂美穂ばっかり……!」
……これはマズいぞ。このままじゃ、美穂ちゃんに矛先が向いているわ……!だからと言って私がここで何かをするのは……
「みんなー、おはようー」
不意に明るい声が聞こえてきた。それは西園寺の声がする。そしてその隣には華鈴様がいる。
みんなの目が一気にそちらに向けられる。そこには、歓喜の表情をした生徒が多数いるのだった。
「はぁはぁ……西園寺様と華鈴様が二人で登校してるぅう!!」
「おはようございます、西園寺様……!」
二人の登場により、クラスメイトたちが発狂し始めた。……お、恐ろしい……。
「あ、城ヶ崎さんもおはようー。今日も早いね」
「透華さん、おはよう」
西園寺と華鈴様がニッコリと私に笑い掛ける。うわー!マジでこの笑顔が眩しい。でも、私に話しかけるのやめてー!周りの視線が痛いから!!
「あ、おはようございます……西園寺様に華鈴様」
私はなるべく笑顔で二人に応える。……あー、視線が痛い!視線が刺さるー!! そんなことを思いつつ、私はその場を素早く去った――
それに、瑛太くんが受験するところは私たちが通う白鷺学園。学力的に瑛太くんは厳しいらしく、相当頑張って勉強しているらしい。
なので、私が勉強を教えることになったのだ。
私は美穂ちゃん程の成績ではないし、文系科目ならそこそこできる方だけれど、理系科目は全くできない。なので、今回は現文と古文を中心に教えることになった。
「………本当に今更なんですが……ぼ……俺に勉強を教えてくれて良かったのでしょうか?城ヶ崎さんだって自分の勉強があるでしょう?」
不安そうに私を見つめる瑛太くん。
そんな瑛太くんを見て私は思わず笑ってしまった。そんなこと、瑛太くんが気にする必要はないというのに……。
「気にしないで。期末テストより瑛太くんの受験の方が大切だからね。それが白鷺学園なら尚更よ!私のことはいいから自分のことを優先して」
そう、期末テストでいい結果が残さなくてもまだチャンスはあるけど白鷺学園の受験はたった一回。二回も三回もあるわけじゃない。
落ちたらそこで終わりなんだ。だからこそ、瑛太くんには絶対に合格してほしい。
「………ありがとうございます。でも、城ヶ崎さんの手を煩わせないように頑張ります」
そう言って微笑む瑛太くん。その笑顔はとても可愛くて眩しかったのを確認しながら私は笑みを浮かべた。
△▼△▼
そしてやってきた期末テスト。今回は瑛太くんの受験に力を入れていたので期末テストを疎かにしていた。まぁ、いつも通り平均点ぐらい取れれば良いやと思っている。
「月坂美穂。おはよう」
不意に背後からそんな声が聞こえてくる。……こ、この声は…!
「え……あ、おはようございます。伊集院様……」
戸惑いながらも挨拶をする美穂ちゃんに満足気に頷きその場を去っていく王子。………何だあれ……とみんながそう思ったのだろう。周りにいる人たちが美穂ちゃんの方を向いていた。
そこには嫉妬と憎悪の視線が美穂ちゃんに向いている。
王子……?燃料投下して行くなよ!?フォローか何かはしろよ!!……って思いつつも何も言えないのが辛いところである。
「何あれ……」
「何で月坂美穂ばっかり……!」
……これはマズいぞ。このままじゃ、美穂ちゃんに矛先が向いているわ……!だからと言って私がここで何かをするのは……
「みんなー、おはようー」
不意に明るい声が聞こえてきた。それは西園寺の声がする。そしてその隣には華鈴様がいる。
みんなの目が一気にそちらに向けられる。そこには、歓喜の表情をした生徒が多数いるのだった。
「はぁはぁ……西園寺様と華鈴様が二人で登校してるぅう!!」
「おはようございます、西園寺様……!」
二人の登場により、クラスメイトたちが発狂し始めた。……お、恐ろしい……。
「あ、城ヶ崎さんもおはようー。今日も早いね」
「透華さん、おはよう」
西園寺と華鈴様がニッコリと私に笑い掛ける。うわー!マジでこの笑顔が眩しい。でも、私に話しかけるのやめてー!周りの視線が痛いから!!
「あ、おはようございます……西園寺様に華鈴様」
私はなるべく笑顔で二人に応える。……あー、視線が痛い!視線が刺さるー!! そんなことを思いつつ、私はその場を素早く去った――
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