上 下
85 / 94
四章 〜原作突入〜

八十五話 『瑛太くんとデート』

しおりを挟む
今日は瑛太くんに『初デート』だ!なので、私は張り切っていた。気合いを入れて、化粧だってしてきた。髪も巻いてきたし、服装だって新しく買った白のワンピースを着てきたし。


「城ヶ崎さーん!こっちこっち!」


私が瑛太くんを見つけて、手を振りながら近づいて行くと、瑛太くんは笑顔で迎えてくれた。
その笑顔を見た途端、私の胸の鼓動が一気に跳ね上がった。


「ごめん、待った?」


「ううん。お……いえ、僕も今来たところだから」


「そう。良かった~。それで、映画行くのよね?タイトルは確か〝君に捧げる初恋〟だったかな?美穂ちゃんがくれたチケットのタイトル……」


「そうですね。それです。僕、原作監修してるんで。その原作、とても面白かったので城ヶ崎さんにも見て欲しくて……!」


キラキラ目の瑛太くん、かわいいなぁ……そう思いながら私達は映画館に入った。


△▼△▼


〝君に捧げる初恋〟を観た感想としては……


「(うん、完璧に〝あなたに花束を〟の内容じゃん!!)」


まぁ、〝あなたに花束を〟の世界なんだから当たり前っちゃあ当たり前だけど……厳密に言うと少し違うけども……!


「じ、城ヶ崎さん?どうかしました?」 


隣に座っている瑛太くんに声をかけられてハッとした。いけないいけない。考え事していたら、ついつい現実逃避してしまったよ。


「も、もしかしてあまり面白くありませんでしたか?」


不安そうな顔になる瑛太くんを見て、慌てて首を横に振った。


「そんなことないわ!すごく面白かったわよ!特にラストシーンとか主人公である女の子……愛が告白する場面なんてドキドキしたわ!」


これは嘘ではない。本当に感動的な物語だった。主人公の愛はとても可愛くて健気だったし、何よりキャスト全員の演技力がすごかった。特に主演の二人の熱演ぶりには圧倒されたし観客全員が引き込まれていたと思う。
すると瑛太くんの顔がパァッと明るくなった。そして嬉しそうに微笑んだ。


「よかったー!退屈させたんじゃないかと思って心配だったんです……」


ニコニコしている瑛太くん……かわいい……
キュン死寸前になりながらも、私は平静を保ったフリをして会話を続けた。
その後も色々な話をした。好きな本や漫画の話など、お互いのことを色々話した。


瑛太くんの話は面白く、とても楽しかった。やだ……私の彼氏超ハイスペック……!そんなことを思いながら幸せな時間を過ごした――。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【R18】寝取られ願望がある旦那様のご要望で、年下の美しい国王陛下に抱かれることになった夜。

yori
恋愛
「お願いだよ、ミア。私のために、他の男に抱かれてきておくれ」 侯爵夫人であるミア・ウィルソンが、旦那様にお願いされて、年下の美しい国王陛下と閨を過ごすことに。 そうしたら、国王陛下に指示されて、色んな事に目覚めてしまうそんなお話。 ※完結済み作品「転生先のハレンチな世界で閨授業を受けて性感帯を増やしていかなければいけなくなった件」の数年後、ルーク王国が舞台。ですが、登場人物とか出てこないので、読まなくても全然大丈夫です。 ※終始えっちしています。何でも許せる方のみ読んでください……!

転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした

黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん! しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。 ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない! 清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!! *R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

処理中です...