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四章 〜原作突入〜
七十九話 『相談とリア充』
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放課後になり私は生徒会室へと入るのだが――
「(よくよく考えたら生徒員でもない私がここに入ってきてよかったのかしら……?)」
そんなことを疑問に思ってしまう。でもまあ……大丈夫か……。だって相手も了承してくれたし。
「あっ!透華様!」
美月さんが私に気付いたようで駆け寄ってくる。ああー、美月さんは可愛いわね~。癒されるわ~。私の心は癒されていくよ~。
「美月さん、それでお話しって何かしら?もしかしてまたあいつのこと?」
『あいつ』とはストーカー野郎のことである。一年前に討伐したはずだからあいつのことではないと思うが念のため確認すると、
「い、いえ。あの人のことではありません……その……」
何故か言い淀む美月さん。そして俯いて黙り込む。……?え。本当に何の話なのかしら……?
「ん?城ヶ崎さん?」
不意にそんな声がした。見るとそこには――、
「き、き……如月くん!」
「何で部外者の城ヶ崎さんがここにいるんだ?水瀬?」
「ご、ごめんなさいっ!これには訳がありまして!」
そう言って頭を下げる如月くんと慌てる美月さんがいた。そしてそれをみていたら――、
『ごめんなさい!ごめんなさい』
………不意に頭から流れてきた映像。これは一体……?この光景に見覚えがあるような気がするんだけど……。
だけど思い出せない。ううん違う。思い出そうとしていないだけなのかもしれない。何故かわからないけど思い出したらいけない気がして。
「透華様どうされました?」
気付くと目の前には不思議そうな顔をしている二人がいた。
「……な、なんでもないですわ」
だから私は誤魔化すことにしたのだ。
△▼△▼
結局、美月さんとの話はなんだったのか分からないままだったが、その後少し話した後解散となった。
『ごめんなさい、透華様。今日はバタバタしていてあまり時間が取れなくて……明日にでもゆっくりお話をしますね?』と言われてしまったからだ。
なので仕方なく一人で帰っているわけなのだけれども……。
「あれ?城ヶ崎さん!」
身に覚えのある声に振り返るとそこに居たのは瑛太くんである。……瑛太くーん。可愛い~~!癒しー!つい先ほどまで精神的に疲れていたので思わず抱きしめたくなってしまった。いや、しないけどね?
「あら。瑛太くん。こんなところで会うなんて奇遇ですね?美穂ちゃんは一緒じゃないんですか?」
……危なかった。もう少しで変なことを口走ってしまうところであった。
「は、はい!今は別行動中です!」
「そっか~、なら、途中まで一緒に帰らない?私も一人だし」
「はい!是非ともお願いします!」
瑛太くん、完全に『恋する少年』って感じの顔になってて可愛い~~。あー、瑛太くん可愛い~。今すぐ抱きつきたいくらいだよ~。
「(……ってダメよ私!確かに瑛太くんは可愛くて愛しくて天使みたいだと常々思ってるけれど、それはあくまで弟のような存在であって恋愛感情はないはずよ!)」
だと言うのに何故だろう。無性に手を伸ばしてしまいたくなる衝動に襲われる。というか既に手が伸びてしまっているのだが。
だがなんとか理性を総動員させ手を戻すことに成功する。ふう、助かったわ……。もし伸ばしてしまっていたらきっとそのまま押し倒して食べてたわ。変態になる所だった……。
そしてそれから特に何も話すことなく歩いていくと分かれ道に差し掛かる。そこで瑛太くんとは別れたので私も帰路につくことに。
「それにしてもさっきの映像は何なのかしら……?どうしてあんなものを急に思い出したの?」
帰り道を歩きながら考えるが全然答えが出ないので諦めることにした。だって考えても仕方ないもの。
それよりももっと大事なことがあるから。それは――
「お。透華」
「あら。透華ちゃん」
そんなことを思っているとお兄様と香織様が二人仲良く並んで歩いている姿が見えたのだ。
その姿を見て私は――、
(ああ……ラブラブ……)
そう思った。だって本当に幸せそうなんだもの。見ているこっちが胸焼けしてしまいそうになるくらいに甘い空気が漂っていたのだ。恋人同士なんだから当たり前と言えばそうなんだけどさー。
「(……けっ!リア充爆発しろっ!!)」
そんなことを心の中で叫びつつ、私はため息を吐いた。
「(よくよく考えたら生徒員でもない私がここに入ってきてよかったのかしら……?)」
そんなことを疑問に思ってしまう。でもまあ……大丈夫か……。だって相手も了承してくれたし。
「あっ!透華様!」
美月さんが私に気付いたようで駆け寄ってくる。ああー、美月さんは可愛いわね~。癒されるわ~。私の心は癒されていくよ~。
「美月さん、それでお話しって何かしら?もしかしてまたあいつのこと?」
『あいつ』とはストーカー野郎のことである。一年前に討伐したはずだからあいつのことではないと思うが念のため確認すると、
「い、いえ。あの人のことではありません……その……」
何故か言い淀む美月さん。そして俯いて黙り込む。……?え。本当に何の話なのかしら……?
「ん?城ヶ崎さん?」
不意にそんな声がした。見るとそこには――、
「き、き……如月くん!」
「何で部外者の城ヶ崎さんがここにいるんだ?水瀬?」
「ご、ごめんなさいっ!これには訳がありまして!」
そう言って頭を下げる如月くんと慌てる美月さんがいた。そしてそれをみていたら――、
『ごめんなさい!ごめんなさい』
………不意に頭から流れてきた映像。これは一体……?この光景に見覚えがあるような気がするんだけど……。
だけど思い出せない。ううん違う。思い出そうとしていないだけなのかもしれない。何故かわからないけど思い出したらいけない気がして。
「透華様どうされました?」
気付くと目の前には不思議そうな顔をしている二人がいた。
「……な、なんでもないですわ」
だから私は誤魔化すことにしたのだ。
△▼△▼
結局、美月さんとの話はなんだったのか分からないままだったが、その後少し話した後解散となった。
『ごめんなさい、透華様。今日はバタバタしていてあまり時間が取れなくて……明日にでもゆっくりお話をしますね?』と言われてしまったからだ。
なので仕方なく一人で帰っているわけなのだけれども……。
「あれ?城ヶ崎さん!」
身に覚えのある声に振り返るとそこに居たのは瑛太くんである。……瑛太くーん。可愛い~~!癒しー!つい先ほどまで精神的に疲れていたので思わず抱きしめたくなってしまった。いや、しないけどね?
「あら。瑛太くん。こんなところで会うなんて奇遇ですね?美穂ちゃんは一緒じゃないんですか?」
……危なかった。もう少しで変なことを口走ってしまうところであった。
「は、はい!今は別行動中です!」
「そっか~、なら、途中まで一緒に帰らない?私も一人だし」
「はい!是非ともお願いします!」
瑛太くん、完全に『恋する少年』って感じの顔になってて可愛い~~。あー、瑛太くん可愛い~。今すぐ抱きつきたいくらいだよ~。
「(……ってダメよ私!確かに瑛太くんは可愛くて愛しくて天使みたいだと常々思ってるけれど、それはあくまで弟のような存在であって恋愛感情はないはずよ!)」
だと言うのに何故だろう。無性に手を伸ばしてしまいたくなる衝動に襲われる。というか既に手が伸びてしまっているのだが。
だがなんとか理性を総動員させ手を戻すことに成功する。ふう、助かったわ……。もし伸ばしてしまっていたらきっとそのまま押し倒して食べてたわ。変態になる所だった……。
そしてそれから特に何も話すことなく歩いていくと分かれ道に差し掛かる。そこで瑛太くんとは別れたので私も帰路につくことに。
「それにしてもさっきの映像は何なのかしら……?どうしてあんなものを急に思い出したの?」
帰り道を歩きながら考えるが全然答えが出ないので諦めることにした。だって考えても仕方ないもの。
それよりももっと大事なことがあるから。それは――
「お。透華」
「あら。透華ちゃん」
そんなことを思っているとお兄様と香織様が二人仲良く並んで歩いている姿が見えたのだ。
その姿を見て私は――、
(ああ……ラブラブ……)
そう思った。だって本当に幸せそうなんだもの。見ているこっちが胸焼けしてしまいそうになるくらいに甘い空気が漂っていたのだ。恋人同士なんだから当たり前と言えばそうなんだけどさー。
「(……けっ!リア充爆発しろっ!!)」
そんなことを心の中で叫びつつ、私はため息を吐いた。
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