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四章 〜原作突入〜

七十三話 『最悪な日』

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お昼休み。私は花咲さんの約束通り二人で昼食を食べていた。場所は屋上である。ここはあまり人が来ないし静かだから落ち着いて食べられる。ちなみに今日のメニューは城ヶ崎家のシェフが作ってくれた弁当だ。


花咲さんと話すのは凄く楽しかった。楽しかったんだけど――、


「透華様。お昼ご飯、誰と一緒に食べてたんですか?」


何故か美月さんがそんな風に問い詰めてきたのだ。しかもその表情はとても怖く、浮気を疑われているような気分になった。


「み、美月さん……落ち着いてください」


「あら。私は落ち着いていますよ? ただ透華様に質問しているだけですから」


「そ、そうですけど…………」


なんだろうこの圧迫感……いつも笑顔で接してくれてる人だからこそ怖いよ……!そう思っていると、


「すみません。城ヶ崎さんいます?」


突然扉が開かれた。……花咲さん!なんていうタイミングなんだよ!今このタイミングは最悪だよ!?


「城ヶ崎さん、今日一緒に帰るって言ってましたよね?なので迎えにきました!」


……えっ。一緒に帰るって言ったっけ私…?


「透華様は私と一緒に帰るんですよね?」


「は?何言っているんですかあなた」


……二人とも目が笑ってない……。このままじゃまずい気がする。とりあえず何か言わないと……! そう思って口を開いた瞬間だった。


「あら。透華さん。どうしたの?」


「華鈴様……!ちょうどよかった!二人とも!私華鈴様と一緒に帰る予定があるんで失礼しますね!」


華鈴様は白鷺学園の理事長の孫だ。つまりこの学校で一番偉い人である。逆らうことは絶対にしないはずだろう。現に二人とも『華鈴様ならしょうがないか』みたいな顔をしてるし。


「は?ちょ……」


「あー!もうこんな時間じゃないですか!早く行きましょう!」


そしてそのまま私は手を引かれ教室を出ることになった。私は困惑している華鈴様の腕を掴みながら私は走った。


△▼△▼


「急に腕を掴まれてびっくりしたわ」


「すみません……でもあの場にいるよりマシだと思いまして……」  


あれから私たちは近くの公園に来ていた。ここは私たちがよく来る場所でもある。


「まぁ、いいけど。……透華さんってヤンデレ気質な子に好かれやすいのかしら?」


それは私も思ったことがある。美月さんとか漫画と違うし。花咲さんは……漫画では登場してないからよくわからんけど。


「……生意気なのよ!あいつ!月坂美穂!」


そんなことを考えていると、緑川の声が聞こえてきた。見るとそこには数人の取り巻きを連れた緑川がいた。


「うわ……」


華鈴様が露骨に嫌そうな顔を浮かべている。まぁ、華鈴様は緑川みたいなタイプ嫌いだしなぁ。


「……あっちに行きましょうか」


「そうですね……」


私たちはその場を離れようとしたのだが――、


「あ~ら。城ヶ崎さんじゃない」


………今日は本当に最悪な日だ……と私は心底そう思った。
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