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四章 〜原作突入〜
六十九話 『原作』
しおりを挟む入学式。それは新たな出会いの場である。いつもなら緊張なんてしないはずの行事だけど……今年だけは違う。何故ならば、これから起こる出来事を知っているからだ。
「おはようございます。透華様」
そんなことを思っていると、美月さんの声が聞こえてきた。今日から私達は高校生になるのだ。
「私と透華様、一緒のクラスになれるといいですね!」
そう言って微笑む彼女はとても可愛らしいけど……なんだかヤンデレ感があるんだよな……原作だと全く違う性格だったはずなんだが……これ私が悪いのか?
「透華様のおかげであの人のストーカーもなくなりましたし……本当に透華様には頭が上がりませんね……」
そう言って尊敬の眼差しで見つめてくる美月さん。……ああ……あいつのことか。名前忘れたけど、美月さんにめちゃくちゃ粘着してたやついたなぁ……私がちょっと言っただけで大人しくなってたのはびっくりしたわ。
まぁ、美月さんに被害が及ばなきゃそれでいいんだけどさ……原作だと確かあいつのせいで美月さん危険に晒すことになるんだよね……そんな未来だけは変えたかったし。
「そんなに感謝されることではないですよ。私はただ自分のしたいようにしているだけなので」
「いえ!それでも感謝していますよ!それにしても……高校でもまた同じクラスでお世話になれたら嬉しいですね」
そう言って微笑む彼女を見てるとこっちまで嬉しくなってきた。原作とは全く…
と言ってもいいほど違った展開になっているし、とりあえず今は――、
「(入学式が終わったらささっと帰ろう)」
なんて、考えながら私は美月さんの隣を歩いた。
△▼△▼
入学式も終わり、そのまま解散となった。正直退屈すぎて寝そうになったくらいだ。校長の話なんて眠くなるし外部生と内部生は席が違うので美穂ちゃんに会わないんだよなぁ。クラスは同じなんだから同じで良くない?って思うんだけど仕方ないのかな……。ちなみに私のクラスは1組なので漫画通りだ。
そして王子も西園寺も同じクラスだし、本当に原作通り進んでるみたいだ。……そして――、
「私だけ離れたわ……少し残念」
華鈴様も原作通りなんだよな……華鈴様は別のクラスなのは原作でもそうだったし問題はないのだが。
「華鈴様。お昼は一緒に食べましょう」
私がそう言うと、華鈴様は少しだけ微笑んだ。
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